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建築家・守谷昌紀TV 工場街に建つ、中庭をそなえた「ダイヤモンドカットの家」

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

10月11日「テレワーク時代の間取り」
9月18日「冷蔵庫の位置」
6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」

■11月28日『homify』の特集記事に「回遊できる家<リノベーション>」掲載
■11月17日『homify』の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載

メディア掲載情報

巨匠の愛した、あべの近鉄村をちょっと歩き‐1976‐

今日は123の日。

本日、故アントニオ猪木さんが、従四位・旭日中綬章を授与されるという記事を先日読みました。

勿論のこと「イチ・ニー・サン・ダーッ!」にちなんでのことです。

よって昨日は122となりますが、阿倍野に買物へでていました。

妻があべのキューズモールに寄りたいと。

これは2009年5月の写真ですが、このあたりは再開発によって本当に大きく変わりました。

大阪で唯一の路面電車が、キューズモール東のあべの筋を走ります。

はす向かいはあべのハルカスですが、こちらは近鉄百貨店の本店が入っています。

その南にはあべのHoop

さらに南にはあべのandが。

ともに近鉄が母体となっているので、この界隈はまさに近鉄村なのです。

妻に何が食べたいか聞くと「滅多に食べないからラーメン」と。

長男がなかなかのラーメン好きで、富雄の人気店「みつ葉」がHoopのフードコートに入っていると聞いていました。

Webサイトを見ると「泡系ラーメン」となっています。

こちらは塩ラーメン。

こちらはしょうゆラーメン。

麺は太目で、泡だったスープは濃厚。

チャーシューはレア気味でした。

メンマもフレッシュなタケノコといった感じ。

1杯950円は安いと本田圭佑選手には怒られそうですが、適正かなと。

ラーメンを語るほど知識はありませんが、しょうゆは天下一品系の味でしょうか。

勿論のこと大変美味しゅうございました。

前近鉄百貨店本店は近鉄グループとゆかりの深い、村野藤吾の設計でした。

日本を代表する巨匠ですが、村野の仕事場がこの界隈に残っています。

現在はカフェとして再利用されているのです。

席が埋まっていたので、またの機会にしようと思いますが、中庭を望む景色を少し感じることができました。

手摺なども有機的なフォルムが、らしさを感じさせます。

何気ないところに、何故だか差異があるのです。

ウロウロしていると、昔よく来ていたお店もまだ残っていました。

天王寺は創業の地なので、いつ来ても懐かしいのです。

この道の狭さや下町感は、キタやミナミにはないものです。

村野もこの地を愛したから、ここにアトリエを構えたのだと思います。

淀屋橋か天満橋あたりあっても何の不思議もありませんし、たしか自宅は宝塚でしたから、ここまで通っていたことになります。

再開発も良いですが、この雑多な町が残ることを心から願うのです。


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姫路の路線バスでみた、本当のプロの技術‐1975‐

年末から、月に2回ほど兵庫県の揖保郡太子町に通っています。

「ささき整形外科クリニック」の右隣で「ささき整形外科クリニック デイケアセンター 」の工事が始まりました。

昨日、「ゲンバ日記」に、初回をUPしました。

プールのある、通所リハビリテーション施設の計画です。

こちらも是非ご覧ください。

太子町に限らずだと思いますが、西播地域はやはり車社会です。

大阪から、車でなら山陽自動車道を使って2時間弱です。

電車なら、大阪駅から山陽本線の網干駅まで1時間15分程。

網干駅からはタクシーで10分弱です。

先週も現場での定例会議がありましたが、電車で行くことに。

かなり早めにつき、姫路駅から路線バスで行ってみることにしました。

姫路駅の北側にあるバスターミナルから、現場のすぐ近くまで行けるようなのです。

駅からまっすぐ北に延びる目抜き通り。

その先には姫路城。

この景色を一度見ておきたいのもありました。

多くの路線が発着しており、巨大バスターミナルになっていました。

姫路の駅前をゆっくりと出発しました。

すると「目がみえないので、降車ボタンを押してもらっていいですか?」という声が。

振り向くと、白い杖こそ持っておられませんでしたが、目が良くないようです。

すぐに押して差し上げると、次の停留所で降りていかれました。

降車のブザーが鳴り、大きな病院前に停車しました。

ドアが開きましたが、いっこうに誰も降りる気配がありません。

振り返ってみると、かなり高齢のおじいさんが、本当にゆっくり、ゆっくりと、摺り足で移動されていました。

地域の人にとって、バスが本当に大切な「足」だということを、痛烈に感じたのです。

バスは姫路の市街地を抜け、郊外を走ります。

喉かな景色が、目に優しかったのです。

このバスの運転手さん、本当に運転が丁寧で、発車時、停車時において一切不快感がありません。

本当に上手だなあと感心していたのです。

しかし少し考えてみると、そうしなければお年寄りにとっては、命に係わる問題になるのかもしれないのかもと、思い至ったのです。

日々の真剣勝負の中で、鍛えに鍛えあげられてきたのかもしれません。

これまでに乗ったどのバスより、どのタクシーよりスムーズだったので、降車時に「運転が本当に丁寧で、とても快適でした」と伝えました。

同じような年齢の男性でしたが、マスク越しなので目しか見えませんが、満面の笑みで「ありがとうございます」と。

運賃は530円でした。

時刻表では30分で着くことになっていましたが、45分掛かっていました。

しかし、それは本当に小さな問題だなと思いながら定例会議に向かったのです。

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共通テストのコルビュジエを解いてみる‐1974‐

先週火曜日に【ゲンバ日記チャンネル】をUPしました。

https://youtube.com/watch?v=7DLD8Wj9ryo%3Frel%3D0

半地下の音楽室のある「没頭できる家」のEpisode1です。

なかなか編集ができずで、まだ昨年分。

基礎完成までですが、よければご覧ください。

先週土曜日から、大学入学共通テストが始まりました。

外はシトシト冬の雨。梅の蕾も雨濡れて寒そう。

初日は社会、国語、外国語でした。長男は文系私学の志望なのでこの日だけの受験です。

帰ってくると、国語の第1問にル・コルビュジエがでてきたと教えてくれました。

【文章Ⅰ】は、病床に伏す正岡子規が、障子を当時は高価だったガラスに変えたことで、窓の役割が大きく変わったという話から始まりました。

続いて、ル・コルビュジエは窓と壁をどう構成するかを、いかに重要視していたかという話へ展開していきます。

【文章Ⅱ】では水平連続窓が特徴のサヴォア邸の写真も登場します。

壁のもつ意味は、風景の観照の空間的構造化であるとしました。

そして、建築は「沈思黙考の場であり、瞑想の場でもある」という結論へと導かれていきます。

国語は200点満点ですが、第1問は12問あり配点は50点。

折角のお題なので、久し振りに解いてみました。(⇒は間違った問題です)

①1 ②3 ③2 ④4 ⑤3 ⑥2⇒3 ⑦2 ⑧5 ⑨3 ⑩2⇒4 ⑪2 ⑫4⇒3

3問間違いの35点でした。

丁度70%なので、まあまあといったところでしょうか。

結局、近畿大学しか通っていないのですが、国語と世界史は結構自信がありました。

写真画像でなく、ペーパーに書き込みながら解けば⑩、⑫もとれたかも……は当然負け惜しみですが。

昨年末、娘たっての希望でホームステイに行っていました。

見送りには行けなかったので、お迎えだけ関空に。

場所はオーストラリアで8日間。

現地のホストファミリーにお世話になったのです。

最近でこそ、少し円が盛り返していますが、一番弱かった時。

それはそれでそれは堪えましたが、タイミングはそれ以上に大切です。

最高に楽しかったようで、好きな英語を伸ばしてくれればと思います。

長男は社会では世界史を選択しています。

試験前日、参考書をみながら問題を出してくれというので少し手伝いました。今でも結構覚えているものです。

受験勉強としては実を結びませんでしたが、特に国語の試験は大好きでした。

サトウハチロー、山本周五郎、宮本輝、星新一……一流作家の文章は読んでいて楽しかったものです。また、世界史は世の中の流れを解釈するのに、今でも役立っている気がします。

気がしているだけかもしれませんが、そう思えるだけでも幸せなものです。

点数も大事ですが、折角若い命を燃やすのですから、興味のある科目を勉強して貰いたいというのが私の希望です。

ここからはいよいよ2次試験が始まります。

「没頭できる家」の現場へ行く途中、早咲きの桜でしょうか。

すでに花が開きはじめていました。

2月、3月に良い知らせを聞ければよいのですが。

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お野菜、お大根、お芋さんと、三国一の幸せ者‐1973‐

昨日、近くを通ったので駒川商店をのぞいてみました。

シャッター商店街が増えるなか、ここは本当にいつも活気があります。

それで時々のぞきたくなるのです。

妻がいつも行く近所の青果市場は、昨日まで正月休みでした。

ここは本当に安いので助かっています。

これ程ではないにしても、近所のスーパーの正月休みが長くなっているのに驚きました。

確実に働き方、社会常識が変化していくのを身をもって感じるのです。

そんな事情もあって、先週末は道の駅「しらとりの郷・羽曳野」へ。

昼前に行くと、駐車待ちの車列ができていました。

中も広く、かなり賑わっています。

生花が沢山あるのも特徴でしょうか。

地元の野菜が多く並んでいました。

生産者が直接搬入して陳列することもできるそうです。

何せ「お野菜」が安いと妻の機嫌がよいのですから、来た甲斐があるというもの。

「野菜」なんて呼び捨てにできないのです。

お大根、お茄子、にお葱。

お豆さんと、お芋さんに至っては更に「さん」付けです。

少し前ですが、ラジオから『土を喰らう十二ヵ月』という映画が公開されていると聞こえてきました。

作家・水上勉の『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』を原案に、沢田研二主演で、映画化された作品のようです。

水上勉は幼少期に口減らしのため、禅寺へ奉公に出されました。

そこで「ご馳走とは、旬の素材を探し、馳せ走ってもてなすことだ」という精神と、精進料理を学びます。

「土を喰う」が意味するのは「旬の物を食べる」ということです。

旬の野菜は値段も安いのですから、全ての物価が上がっているこの時期にこれ程適した言葉はありません。

私は全く好き嫌いがないのが自慢ですが、これは本当に幸せなことだと思います。

先日、長男に「全く無いのは、かなりのレアケースなんじゃない」と言われました。

ちなみに長男は頑張れば何でも食べれますが、魚があまり好きではありません。

子どもには小さい時から「好き嫌いせずに」と言ってきました。

しかし長男との会話をきっかけに、嫌いなものがない私に、彼らの気持ちを理解するのは不可能だったのだなと、改めて気付いたのです。

それでも思います。

食品と名の付く物で、この世に美味しくないものなど何一つ無いと。

三国一の幸せ者とは私のことなのです。

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建築家・守谷昌紀TV 半地下の音楽室がある「没頭できる家」Episode1-発掘調査で土器出土-

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年明け早々は、人を大切に‐1972‐

今日は成人の日で、晴れ着姿の新成人をちらほらと見かけました。

妻が通う美容院でも、着物の着付けが混み合うので、一番早い人は深夜2時からだそうです。

天気に恵まれ、女性は特に喜んでいたでしょう。

1月6日(金)の午前中、長居公園内を自転車で西へ急いでいました。

ヤンマースタジアム長居の横を抜け。

セレッソ大阪の本拠地、ヨドコウ桜スタジアムも通り過ぎ。

大阪急性期・総合医療センターまでやってきました。

年が明けてから、右の奥歯あたりがかなり痛んでいました。

徐々にその範囲が広がり、ろくに物を噛めない程痛み出したのです。

右のアゴ下あたりを触ると、かなり腫れているのが分かりました。


2016年の5月に、唾液腺の中にできた「唾石」を取って貰う手術をしました。

唾石とはカルシウムが結晶化したもので、軽石のようなものです。

この時は傷跡が残らないよう口の中からの手術を選択し、そこから取れるものだけを除去しました。

残っている唾石が原因かなと思い、急いでかかりつけの先生に紹介状を書いて貰ったのです。

やはり、残っている唾石の部分が炎症を起こしているとのことでした。

ひとまず抗生物質と鎮痛剤を処方してもらい、後日CTを撮ることに。

今日あたりから薬の効果がでてきて、ようやく何とか物を噛めるようになった次第です。

病院へ急ぐ道中、立派な家を見つけました。

門松がとても美しく、歯が痛いのに止まって写真を撮ってしまいました。

今日は現場を回っていたのですが、そこに可愛いしめ飾りも。

もう少しの間、松の内気分を楽しんでおきたいものです。

診察を受けた日は、物を噛むのが辛そうな姿を見かねて、妻が七草粥を作ってくれました。

これが何とも美味しかったのです。

美味しいだけでなく、その滋味が心に沁みわたるようでした。あまりに美味しく、写真を撮るのも忘れて完食してしまった程です。

7年前の5月に手術をしたと書きましたが、診察を受けたのは今年と同じ1月6日でした。

1月7日は「人日」と呼ばれる年最初の節句で「人を大切にする」という意味を持つそうです。

伝統とかしきたりという言葉だけでも煙たがられそうな世の中ですが、全てを見越したように当てはまると、もう信じない訳にはいきません。

来年から、1月7日の七草粥は是非恒例としたいと思います。

世のお父さん、お母さんへ。

「人を大切にする」の人には、是非ご自身も入れて下さい。

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

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「知の巨人」磯崎に捧ぐ‐1971‐

昨年末の12月31日、「ポストモダン建築の旗手、磯崎新逝去」という記事が新聞の一面に掲載されました。91歳でした。

ル・コルビジュエを源流とする、モダニズム建築を日本で牽引してきたのは前川國男、丹下健三でした。

モダニズムは伝統的な建築から、機能主義的な建築を良しとする運動でしたが、ポストモダンはその批判から生まれた運動です。

装飾性や折衷性など、より芸術的な部分も求められたのです。

はじめてこの日記で、磯崎建築を取り上げたのは、2006年1月の「奈義町現代美術館」だと思います。

作家の作品ありきで設計された美術館で、妻である宮脇愛子の作品も展示されています。

そしてこの筒の中には、荒川修作+マドリン・ギンズの作品が。

全てを地面として、龍安寺の石庭が表現されているのです。

日本一危険な公園とも言われる、あの「養老天命反転地」の作者2人でもあります。

中を歩くと、ちょっと酔ったような感覚になるのです。

2005年に長男が生まれ、奥津温泉へ初めての温泉旅行に出掛けました。

その近くにあったのがこの美術館でした。

磯崎新に多くの影響を受けたことは、これまでに何度か書きました。

初期の名作、「北九州市立美術館」を訪れたのは、2014年8月の九州旅行の際。

生憎の雨でした。

磯崎は建築は、単なる建物ではなく、思想、歴史、文化などの上に成り立っていると考えていました。

一方、その造形は単純明快。記憶に残ります。

その魅力にとても惹きつけられたのです。

2008年には娘も生まれました。

47都道府県を巡りながら、作品を訪れることは私の楽しみでもありました。

また、『空間へ』や『建築の解体』など、革新的な著書を残したことでも知られています。

『建築における「日本的なもの」』の論説も痛烈でした。

二条城は1603年、徳川家康によって築城された平城ですが、本丸にあった5層の天守閣は、1750年の落雷で焼失しています

現在も残る二の丸御殿は、神社仏閣の佇まいを色濃く残しています。

『建築における「日本的なもの」』で磯崎はこう語っています。

ブルーノ・タウトという建築家が、伊勢神宮、桂離宮を天皇的で「ほんもの」とし、日光東照宮を将軍的で「いかもの」と表現した。

磯崎はこれらを、ハイアート、キッチュと区別しています。

妻面には大きな菊の御紋が施されていますが、これは天皇家に敬意を示したものと考えられます。

一段下がった別棟の鬼瓦には葵の御紋が見えます。

葵の御紋は徳川家の家紋。菊の御紋より上にあるのです。

天皇的な「ほんもの」を 二の丸御殿 とするなら、南にある唐門は将軍的な「いかもの」と言ってよいでしょう。

「いかもの」の象徴として取り上げられたのが日光東照宮です。こちらは2015年の1月に訪れました。

先程の唐門にも、金色の菊の御紋が見えていますが、2013年にはこの下に葵の御紋が隠されていたことが分かりました。

「天皇的なもの」を「ハイアート」、「将軍的なもの」を「キッチュ」と言い切った、磯崎の洞察は見事だとしか言いようがありません。

このあたりが「知の巨人」と呼ばれる所以なのです。

最後に磯崎建築を紹介したのは、2019年にプリツカー賞を受賞した際でした。

この時は「なら100年会館」を紹介しました。

この時点で87歳。

遅すぎた感もありましたが、本人がプリツカー賞創設に深く関わっていたと今回知りました。

それなら、何となく納得できる気がしたのです。

若い頃に見た「北九州市立美術館」の白黒写真は強烈なインパクトを私に与えました。

雨の中、何とか靄が晴れるまで待って撮ったのがこの一枚です。

「下町のコンクリートCUBE」は、この建築から着想したのです。

これは今年の年賀状の裏面です。

出さないでおこうかなと思いましたが、作品を巡り始めた時は0歳だった長男が現在は17歳です。

あれから17年が経ったのです。

直接会うことは叶いませんでしたが、知性的で品のある語り口は常に憧れでもありました。

永遠の片思いとなった師に、心から哀悼の意を捧げたいと思うのです。

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北野天満宮で思う、承認と許容‐1970‐

新年あけましておめでとうございます。

これまで、子どもが受験の年は1月3日に北野天満宮へ参っていました。

しかし今年は長男にとって勝負の年。元旦の5時頃、大阪から京都へ向かいました。

道路も駐車場も殆ど混んでおらず、6時過ぎには到着。

参道の屋台もまだまばらな感じです。

合格祈願の祈祷受付は7時半からだったので、1番席でご祈祷を受けることができました。

早く行ったから合格する訳でもありませんし、御祈祷を受けたから合格する訳でもありません。

それでも、東京、千葉などからの参列差者もおられました。最後に親ができることは神頼みくらいです。

長男は慣れない正座で、足に全く感覚が無いと言っていました。

北野天満宮で初日の出も拝むことができました。

絵馬に願いを込め。

縁起の良さそうなところに奉納。

後は本人が頑張るだけです。


帰る頃には参道も賑わっています。

もう一度境内をのぞくと、長い列ができていす。

やはり活気あってこそ北野天満宮です。

撫で牛も撫で、この日のミッションはこれで完了。

元旦に車で京都に来たのは初めてで、もっと混んでいると想像していました。

東寺あたりも車の流れはスムーズです。

念のため、akippaで駐車場を取っておいたのですが、8時頃までなら境内の駐車場に入れそうな感じでした。

午後になるとそうもいかないのだと思いますが。

大阪に戻った足で実家に行き、両親、弟家族と食事会でした。

お節料理とズワイガニ。

姪っ子はカニが大好きで、物凄い量を食べていました。

あれだけ喜んでくれたら、作り甲斐もあるというものです。

昼間から食べて飲んで。

子どもは腹ごなしに秘密の特訓場で卓球を。

従弟同士仲がよいのは何よりです。

そのまま夜まで居て、夕食はステーキでした。


赤ワインと一緒に楽しませてもらいました。

今年は兎年。

何とも可愛い感じの絵馬ですが、雄々しく脱兎のように駆け抜けたいと思います。

初詣での間、2023年のテーマを考えていました。「承認と許容」としました。

読んで字の如くですが、認め、受け入れることから全てをスタートしたいと思っています。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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4年に及ぶ物語、ここに完結‐1954‐

昨日の日曜日は、絶好の撮影日和。

近鉄石切駅あたりから見た空は、全く雲の無い快晴でした。

四代住み継ぐ「薪ストーブのある入母屋の家〈リノベーション〉」の撮影だったのです。


予定日の天候が悪かったり、コロナの感染拡大と重なったりと、2度の延期を経て実現しました。

常緑ヤマボウシが紅葉し、明るい庭のタイルと青空に映えています。

軒が深いので、玄関扉は無垢のナラ材で製作しました。

素材の選択にはかなりこだわっています。

室内の壁は全て漆喰塗りで、床は無垢のナラ材です。

そこに薪ストーブとステンレスのキッチンが、キリッとアクセントになっています。

司令塔のような位置にあるのがこのキッチンです。

中庭を望む配置としましたが、ここからの景色が一番よいとのこと。

奥さんに「普段使うキッチンや、お風呂にこだわってとても良かった」と言ってもらいました。

洗面脱衣にある、メジャーリーグのロッカーをイメージしたクローゼットです。

その横に洗面。

そして浴室が続きます。

鋳物ホーローのバスタブと大判タイルが優雅な空間を演出してくれるのです。

芝生の手入れは意外に簡単ではありません。

それで、ある程度面積を抑えましょうとなりました。

それも功を奏したのか、青々と根付いています。

その奥にあるのは砂場。

お子さんが大きくなれば、家庭菜園としても使えるよう考えました。

屋根裏に続く通路は橋のような空間です。

トップライトからの光が、建物中央の一番暗い場所を照らしてくれるのです。

屋根裏空間も、子供さんが小さい間は遊び場に最適なはずです。

昼の部の撮影を終えたのが13時頃で、17時前に再訪しました。

夕景の撮影がスタートです。

スロープにはアッパーライトも備え、視認性を高めています。

夜は照明を暗めにすると、山小屋のような趣になるそうです。

薪ストーブに火が入る季節は、なお雰囲気があるでしょう。

こちらの計画は、2018年の10月にスタートしました。

総打合せ回数45回、現場打合せは22回。

紆余曲折あり、ここに来るまでに4年の歳月が経過しました。

計画がスタートした時には2歳前だったお子さんが来年は小学生。本当に時が経つのは早いものです。

ただ、ご家族の成長をつぶさに見せて頂いたことで、多くのことを設計に織り込むことが出来たと思っています。

4年に及ぶ物語はここに完結しました。

その時間が、空間の密度に現れていると思うのは私だけなのか、そうではないのか……

それはまた世の中が判断してくれるはずです。

仕事に終わりはあるようで、やはり無いものだと思うのです。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

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2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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