ダイエーがイオングループの完全子会となったのが2015年1月。
ダイエーの名が完全に消滅、というニュースもありました。
流通に革命をもたらした関西の雄だけに、寂しい気もしますが、ビジネスとはかくも厳しいものです。
一方、存在感を増し続けるイオングループ。
大型ショッピングセンターのイオンモールは、日本だけでなく、中国、ベトナムにも多くの店舗を出しているようです。
この3月、イオンモール堺北花田の4km程西に、堺鉄炮町がオープンしました。
いずれも、大阪から大和川を越えてすぐの立地で、建物も良くにています。
これだけ近くに、大型店舗が出店されるということは、イオングループの総取りと言った感もあります。
小売は、本当に厳しい時代に入ったと考えざるを得ません。
堺と言えば江戸時代まで環濠都市として栄えました。この店舗は、その北西角に位置します。
これまで、環濠都市は私の住む喜連、事務所のある平野、作品のある遠里小野などについて書いてきました。
しかし本家と言えば堺。そのうち本格的に探索したいものです。
このショッピングモールの東に建つ「赤レンガ館」。
(株)ダイセルの前進、堺セルロイド(株)が1908年、関西の設計事務所の草分け、茂庄五郎に依頼し設計された建物です。
阪神高速大和川線の建設で、解体が決まりましたが、セルロイドの国産化に奮闘した当時を偲ぶモニュメントとして保存することになった、とあります。
セルロイドという言葉、広辞苑にはこうありました。
ニトロセルロースに樟脳を混ぜて製した半透明のプラスチック。90℃で柔軟となり、冷却すれば硬くなる。燃えやすい。玩具・フィルム・文房具・装身具などに用いられた。最近ではアセチルセルロース系のプラスチックを多く用い、これを不燃セルロイドと称す。
世界初の合成樹脂素材は、その後ポリエチレンなどにとって代わられましたが、人類の歴史を大きく変えました。
現在は、家電を始め多くのものが合成樹脂素材で作られています。自由な造形、コストダウン、軽量化がその理由でしょうか。しかし、建築とはあまり相性が良くないのです。
家電なら、保証は1年、部品のストックは5年、7年持てばメーカーの責任を果たしたというイメージのようです。
建築なら、10年くらいは軽く持ち、30年くらいはほぼメンテナンスなし。口に出すと責任が生じるので、なかなか聞こえてきませんが、現場の人達はそう思っていると思います。
石、タイル、鉄、ステンレスなど、硬いものは強く長持ちするが、重く加工が大変で、それが金額に跳ね返ってくるという構図です。
デフレとひとくくりに言っても、時間的視点を抜きにしてでは、少し乱暴な気がします。
合成樹脂のトップメーカーの社屋はレンガ造りで、それが100年持っているのというのが現実なのです。
100円3本のボールペンと、ステンレスのパーカーのボールペンを比べるのはナンセンスです。
しかし、愛着と重さは等しいのかもと言うと、それこそ乱暴でしょうか。
何れにしても、時間軸が入っていないケースが最近とても多い気がするのです。