カテゴリー別アーカイブ: 04 建築

いいねでいいのか‐1646‐ 

 長男が定期考査中で、昨日も夜遅くまで勉強していました。

 大して勉強しなかった私は基本的に一夜漬け。帰りの地下鉄では船を漕ぐ程に熟睡していました。

 それで、何度も谷町線の終点まで行ったものです。

 長男もちょくちょく八尾南駅まで行っているようですが、私と同じ一夜漬けではなければ良いのですが……

 先日、その八尾南駅前を車で通る機会がありました。

 面白い建物があるなと思い、見に行くとミキハウス本社でした。

 子供服のブランドですが、先週、産経新聞の夕刊に、木村皓一社長の記事が連載されていました。

 「スポーツには人を元気にするに力がある」という考えの下、多くのアスリートを援助しています。

 今回の東京オリンピックでも所属選手がすでに内定。

 有名なところでは、卓球の福原愛さんも所属選手でしたし、オリンピック柔道3連覇の野村忠宏さんは現在も所属しているようです。

 建物は、先日の「堺市立のびやか健康館」に続き、見た目の通り黒川紀章の設計でした。

 1991年の完成ですが、いずれは世界の富裕層がここにやってくるという考えのもと、随分背伸びして建てたら銀行さんに怒られたという記事も見つけました。

 しかし思いは現実となった訳です。

 連載の中に、スポーツ選手の支援は宣伝効果ありきではないと書かれていました。

 本業で結果を出しているからこそ出来る社会貢献で、立派な方だなと感じたのです。

 今朝、アフガニスタンで非業の死を遂げた、医師の中村哲さんの遺体が福岡に戻ったというニュースがありました。

 中村さんは、下痢で脱水状態になった子供を抱いて押し寄せる若い母親をみて、治療どころではなく、まずは清潔な飲料水が先だと、取り組んだのが灌漑用水路の建設です。

 日本の伝統的な技術を独学で学び、自らが重機を操ることもあったそうです。医師であるにも関わらずです。

 まるで現代に蘇った行基か空海のような人が、なぜ一切正当性のないテロリストの凶弾に倒れなければならなかったのか。

 この世には、神も仏も居ないのかと嘆きたくなります。

 記事の中に、アフガニスタンとの縁が紹介されているものがありました。

 アフガニスタン北東部には希少な種の蝶がおり、昆虫が大好きだった中村少年にとっては、是非訪れてみたい土地でした。

 医師となり、福岡県の山岳会の遠征でこの地を訪れた中村さんは、親しみをおぼえ、この地に赴任することになります。

 人生を左右する要素は沢山あると思いますが、中村さんにとって、それは子供の頃の昆虫への興味だったのです。

 人生にはいくつもの分かれ道があり、どれを選ぶも自由です。しかし、歩いていなければその分岐点さえやってきません。

 どれだけ高性能な車をもっていたとしても、アクセルを踏まなければ全く価値のない鉄の塊です。

 駅で見かけたある大学の公告が秀逸でした。

 「いいね!」で、いいのか。

 私もまだまだ道半ばですが、人生を楽しむコツは、何にでも興味をもつことと、方向性を決めたらしっかりアクセルを踏むことだと思います。

 自分の人生の行先を決めるのも、運転するのも自分。傍観者では駄目だと、せめて自分の子供には伝えたいのです。

 銃撃を受けたことも、ましてや死んだことも無い私が言うのもおかしいのですが、中村さんは充実した人生を送られたのではないかと思います。

 木村さんにしても同じですが、写真で見るお顔が全てを物語っていると思うのです。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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【News】

『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

お目が高い!‐1645‐

 庭木のサザンカが満開です。

 築38年の古家を買ったのが8年前。

 よって、私が選んだ庭木は1本もありません。

 毎朝、この小さな庭に向かって瞑想しますが、花木の変化が、日々に僅かな平静を与えてくれるのです。

 初代阪急梅田駅のホームだったコンコースもクリスマス仕様になっていました。

 14年前に書いた「阪急梅田の歴史」はこの日記で、最も読まれている記事のひとつだと思います。

 私にとっては、中学、高校、予備校の通学路でもあり、原風景のひとつなのかもしれません。

 火曜日に「おめでとうございます! あなたの写真が Houzz の特集記事に取り上げられました」というメールが届きました。

 Houzzは、建築関係の専門家紹介サイトですが、世界規模のサイトでもあり、作品が完成する度にUPしています。

 貼り付けてあったURLをクリックすると、

【2019年】日本のHouzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編 

 とあります。

 2018年1月〜2019年11月15日までにアップロードされた写真のうち、2019年1月〜11月15日までの間に日本のHouzzユーザーがアイデアブックに保存した写真のデータに基づいています。

 ともありました。

 「中庭のある無垢な珪藻土の家」のキッチンが、日本で5番目に多く保存されたということでした。

 こちらの奥様は本当に忙しい方で、相談に見えてからも、動きやすい配置をよく勉強、研究されていました。

 ゴミ箱を置く位置や、ゴミ箱上にある小さな棚にはストック用のゴミ袋を置いて置きたいなど、詳細までイメージが出来上がっていたのです。

 キッチン裏にある家事スペースは、仕事も出来るようにダイニングと距離を取りながらも、顔を上げればお子さんが見えるような開口で繋がっています。

 もの凄く広いLDKなら無条件に賛成したのですが、家事スペースをキッチン後ろにとると、少しリビングが狭くなるかもと懸念していました。

 本当に奥様の希望通りの配置にしても良いものか、随分悩んだのです。

 悩みに悩んだのですが、希望の通りのプランで行くことにしました。

 おそらく人生で最も沢山のお金を掛ける「家」に関わらせて貰っているので、悩んだり逡巡することばかりです。

 しかし、ある時気が付きました。

 自分が答えをどうしても出せない位に迷っている時は、どちらに進んでも大丈夫だと。

 このキッチンは、特別な材料を使っていたり、驚くような配置になっている訳ではありません。

 もっとはっきり言えば、格好のよいキッチンは他にも沢山あったはずです。
 
 その中で、この写真が選ばれたことに、見る人がどれだけ真剣に何かを探しているかを感じるのです。

 「お目が高い!」と言えば、目線が上から過ぎるでしょうか。

 こんなプレゼントが時々届くと、「ああ、間違っていなかったんだ」と勇気が湧いてきます。

 小さな結果の積み重ねが、一所懸命に働けば、必ず誰かが見てくれているという確信へと繋がって行くのです。

 これを、梅田のコンコースを通って通学していた頃に分かっていれば、最終学歴はマサチューセッツ工科大学だったはずですが、それはもう叶いません。

 ただ、エリートではないから分かり得ることもあると思います。負け惜しみかもしれませんが。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
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魔法の単位‐1629‐

 今日、10月10日が体育の日だったのは、1964年の東京オリンピック開幕を記念したものでした。

 来年の東京オリンピック時は、開会に合わせて7月24日に「スポーツの日」として1年限りで引っ越すそうです。

 当時より気温が上がっており、祝日まで制定したのに、この気持ちのよい秋を外す理由は何だったのでしょうか……

 女心と秋の空の言葉通り、雲も空の色もめまぐるしく変化していきます。

 秋らしいウロコ雲。

 かと思えば夏空のような快晴に。

 いずれにしても気持ちの良い季節。やはりスポーツの秋、読書の秋です。

 「現場」私の第二の仕事場ですが、実に様々な道具を見ます。

 ここにもヘラ、万力、レンチ、さしがね等々。

 手入れをされたカンナは、手を触れてはいけないという雰囲気があります。

 多くの人が関わる現場で、共通言語となるのはやはり数字です。

 棟梁のMさんは、ミリ単位のスケールを使っています。

 少し年上の大工、Aさんはミリの上に「尺寸」が入ったものを使っています。

 303mm=30.3cmが1尺。その1/10が1寸で3.03mm。

 1坪は6尺平方(約1.82m平方)で約畳2枚分。の概念は、随分前に一度書いたことがあるので、良ければ読んでみて下さい。

 尺寸は最少単位が約3mmとなるので、ミリより3倍大雑把という言い方もできますし、全ての思考を1/3に出来るとも言えます。

 日本の建築は3尺グリッドで作ると建材の端材が少なくなり、コストパフォーマンスが上がります。

 よって、私も3の倍数をどこかで意識しています。

 厳密に言えば、法律によって尺寸で明記することは禁じられていますが、現場では非常に有効に使われています。

 全てを1/3にする魔法の単位と言ってもよいくらい、価値があるものだと思います。


 2016年にフィンランドへ行って以来、海外へ出れていないので、4日間だけ香港へ行ってきます。

 コンセントのアダプターを買いに行くと「この時期に香港ですか!」と言われてしまいました。

 半年前にチケットを取っていたので、まさかこんなことになると思いませんでした。迷いはしましたが、出来るだけ危険を避けて行ってこようと思います。

 4日も休もうと思えば、ギリギリまで働いて深夜から準備を始めるのはいつものこと。

 長さの単位は、「尺寸」なのか「ヤード」なのか「メートル」なのか。いずれにしても、知らない街へ行く高揚感はいつも変わりません。

 娘から「マスクと黒い服は駄目やで」と言われました。新聞をよく読んでいるので、私より情勢に詳しいかもしれません。

 月曜に戻ってから、またUPしていきたいと思います。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

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『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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家族力と設計‐1627‐

 今週月曜日、『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』が発売されました。

 22、23ページに「回遊できる家」が掲載されています。

 web全盛の時代ですが、200ページの中の2ページとはいえ、実際の書店に並んでいるのを見ると嬉しいものです。

 巻頭特集の「関西の個性派さんのお宅、拝見しました」に10例ある中の2番目。

 特集をまとめたページには、子供さんが皆で回遊している写真が採用されていました。

 この雑誌が税別278円と極めて安いのは、広告のページが多くあるからで、ハウスメーカーやビルダーでない実例枠は、関西版とはいえ極めて少ないのです。

 その中で、編集部の目にとまり、先方からオファーして貰ったことは、私達にとって非常に嬉しいことです。

 「回遊できる家」は、昨年の3月に『住まいの設計』、4月には毎日放送『住人十色』、また住宅系のwebサイトの特集にも3度ほど取り上げてもらいました。

 正直ここまで露出するとは全く思っていませんでした。

 建築家を集めてあるwebサイトでみつけてくれたとのことで、2013年の4月にオファーを貰いました。

 そして、5月に初めて現地へ。

 折角南に庭があるにも関わらず、LDKは北東角の暗い場所にありました。

 一番条件のよい南には客間と玄関が半分以上を占めており、プランの方向性は考える必要さえありませんでした。

 この北の和室は現在子供部屋のある場所で、南面するLDKと一体の空間としました。

 切妻屋根の大屋根は中央が暗くなるので、ガラス瓦から光を中央に落としています。

 これが1階の建物中央に光を落としてくれます。

 既存の建物と環境をしっかり把握し、奥さんの要望を実現するということを真面目にすれば、それほど難解な計画ではありませんでした。

金額調整だけは骨が折れましたが。

 ただ、ここまで目に留まるということは理由もありそうです。

 奥さんの主な要望は

① 明るく風が通る

② 回遊できる

③ 子供とずっと仲良く

 でした。

 回遊するには部屋の周囲が動線で囲まれている必要があります。

 これは意外にハードルが高く、余程面積に余裕がなければ、「止めておきましょうか」となります。

 動線の一部を、玄関前の廊下と兼ねることでこのプランは実現しています。

 どこにでも売っている小物入れを上手く使っている収納は、取材の度にフォーカスされました。 

 お金の使いどころも良く心得ておられ、この無垢の収納棚はこの空間によく合っています。

 誰でも少し工夫すればできそう、というのもポイントでしょうか。

 8月にゲラが上がってきた際、チェックバックするとライターの方から以下のような返信を貰いました。

守谷さま

 お世話になります。○○です。

 早々にご確認くださいまして、どうもありがとうございます!

 問題ないとのこと、安心しました。

 誌面の動き、楽しい感じは、ひとえに□□様の「家族力」、そしてやはり、設計の妙だと思います。

 多くの実作を見ている、目の肥えたライターの方が「設計の妙」と書いてくれたことはとても嬉しかったのです。

 当初は1ページの予定だったのが2ページに増えたということもこのやり取りで教えて貰いました。

 で、考えます。

 それ程難解でなかったプランを「設計の妙」と言ってもらい、自分としては自信ありのプランがそれほど露出しないこともあります。

 他者が見たいものと、自分が見て欲しいものは違うことが多いのです。

 これを私は「ウィキペディアの法則」と呼んでいます。

 例えばあるお寺の歴史を調べる時、お寺の公式webサイトには、本人たちが伝えたいことが書いてあります。

 しかし、多くの人が知りたいことは、ウィキペディアのほうが分かりやすいのです。公式で正しいという担保がなかったとしても、です。

 このことを良く分かっておかなければと、いつも思うのです。

 初めて現地に行った際、奥さんのスクラップブックを見せてもらいました。

 「部屋の中に、こんな窓が欲しいんです」

 「スチールで製作できればこんな感じで繊細につくれるのですが、何とかコストが合えばいいですね」

 のような返答をしたと思います。

 実際はコストが合わずで、木で製作しました。

 スチールよりは少し太いですが、木としてはシビアにデザインしたしたつもりです。

 出来上がってみると、「この窓が好き」と言ってくれる奥様方の多いこと……

 勿論、もっとクールな空間が好きな人も居ますから、多数派かどうかは分かりませんが。

 もう3度も取材を受けて貰ったので、人がよいのに甘えるのも程ほどにしておかなければなりません。

 ゲラを奥さんにお送りした後、返信して貰ったメールを添えて「回遊できる家」のその後の物語は一区切りとしたいと思います。

 ご家族の思いと、設計が噛みあったとき、建築は極めて幸せな景色を見せてくれます。

 「子供とずっと仲良く」過ごされると思うのです。

守谷 昌紀様

 いつもお世話になっております。

 記事、見せて頂きました。

 子どもたちが沢山載っていて、とても嬉しかったです。

 記事も増やして頂いて本当に嬉しいです。

 子どもたちも友達に見せると張り切っています。私も子どもたちとの思い出のアルバムが一つ増えた気分です。

 いつも雑誌などご紹介頂きありがとうございます。

 まだまだ暑い日が続いていますので、お身体ご自愛ください。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

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『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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ペリ追悼「建築は建築家よりも大切で、都市は建築より大切なもの」‐1625‐

 前回は、秋分の日に国立国際美術館を訪れたことを書きました。


クリムトが目的でしたが、ペリ逝去の記事をみて、建物を撮りたいという気持ちもあったのです。

 しかし月曜日は小雨まじりの曇天。

 本日、梅田へ出るついでに再撮影してきました。

 人様の作品に、どれだけ時間を使うんだという話もありますが、ペリ追悼の意を示したつもりです。

 この金属細工は、日本の竹林をイメージしたものと語っていたと思います。

 この館は元々万博記念公園にありました。

 1970年の大阪万博で集まった美術品等を保管するのが目的だったそうです。

 移転した現在の館は2004年の完成で、大部分が地下となっている珍しい美術館です。

 トップライトのすぐ下、地下1階のホールには、大きな陶板らしき抽象画が展示されています。

 係員の人に「レプリカですよね?」と聞くと、「いえ、万博の開催時には大阪ガス館に飾られていた、ジョアン・ミロの作品なんですよ」と。

 これだけ大きな陶板壁画はなかなかありませんし、まさか本物とは。

 ここは誰でも入れるゾーンなので、とても得をした気分になるのです。

 地下鉄肥後橋駅に行くために、土佐堀川に掛かる「ちくぜんはし」を南に向かって渡ります。

 そこから東側を見ると、フェスティバルホールの並びに建つのが、2002年竣工の中之島三井ビルディング。

 土佐堀川と堂島川に挟まれた一等地です。

 阪神高速から見える「TORAY」のロゴが入った、格好の良いビルと言えば分かる人も居るでしょうか。

 こちらもペリの作品ですが、これ程美しい高層ビルはそうありません。

 旧中之島三井ビルディングの縦ラインが強調されてデザインを踏襲したといいます。

 ガラスのカーテンウォール、閉じた壁面、曲面、直線と、贅沢過ぎる程の材料を使っています。

 それらを、上品にまとめ上げるところに、ペリの類まれなる能力を見ることができるのです。

 OBPにあるクリスタルタワーと共に、高層ビルの傑作だと思っています。

 アルゼンチン生まれの建築家、シーザー・ペリは今年の7月に亡くなりました。享年92歳。

 イリノイ大学建築学部大学院修了し、エーロ・サーリネン事務所へ。

 サーリネンと言えば造形の美しいJFK国際空港のTWAフライトセンターが有名ですが、現在はホテルにコンバージョンされているようです。

 その後、いくつかの設計事務所を経験して、1977年シーザー・ペリ アンド アソシエイツを設立(後にペリ クラーク ペリ アーキテクツに変更)。

 同時にイエール大学の建築学部長も務めます。そして1995年AIAゴールドメダルを受賞。

 プリツカー賞こそ受賞していませんが、エリート中のエリートなのです。

 2001年に会館したNHK大阪放送会館も日本設計との共同設計者という役割です。

 しかしこのダイナミックなガラスドームは、ペリが主導したものではと想像しています。
 
 ペリはデザイン・アーキテクトという仕事を、自らの手でつくり上げたのです。

 また2014年に開業したあべのハルカスでは外装デザインに携わりました。

 「都市は建築よりも大切で、建築は建築家よりも大切なのだ」

 これは、ペリの日本法人代表を務める、光井純さんがペリから学んだ言葉として語っています。

 またイエール大学の教え子で、後に2人で事務所を開くことになるフレッド・クラークに、ペリはよくこんな話をしたそうです。

 「まだ名声が確立していないエーロは、デザインがプロジェクトごとに異なっていることへ対して非難を受けた。

 当時の建築家はスタイルを持つべきだと考えられており、敷地ごとに特化したデザインは認められていなかった。

 敷地の形状特性や歴史文化があるので、その個性をしっかりと読み取って、その場所にふさわしい形を作り上げるのが建築家の仕事である」

 初めに勤めたエーロ・サーリネン事務所での経験です。

 我が町と言ってよい、天王寺に日本一高い高層建築ができると聞き、何度か否定的な意見を書きました。
 
 あの密集した土地柄に、いまでも高層建築が必要だったとは思っていません。

 しかし建築は常にそこに存在しますし、時間と共に風景となります。

 そう考えた時、あべのハルカスが美しいことは間違いのないことであり、高層建築の外観にここまで拘り、一生をささげた建築家はそういないはずです。

 敷地の長所を探し出し、それぞれのクライアントの未来の幸せを形にするという私のポリシーは、僭越ながらペリと全く同じです。

 長年、実仕事に揉まれるなかで私もここにたどり着きました。また、そうであるから創造性が枯れることもありません。

 建築家が建築の上にくることなど勿論あり得ません。いつも思うことですが、一流の人は常に柔らかく謙虚です。

 ペリに追悼の意と、これらのことを再認識させて貰ったことに心から感謝を捧げたいと思います。

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秋の夜長に哲学する‐1623‐

 今日は気温こそ28度ありましたが湿度は20%少し。
 
 エアコンを一日付けなかったのは7月中旬以来。過ごしやすい一日となりました。

 長かった夏も、ようやく終わりが見えてきたでしょうか。

 とは言え、昼間の日差しはまだまだ力強いものがあります。

 会社の隣にある「R Grey」は、弟がオーナーのマンションです。2年前の今頃から入居が始まりました。

 当初は入ってくれるだろうかと心配しましたが、有り難いことに現在も満室です。

 コンクリート打ち放しは青空によく映えるのです。

 昨日、移動の途中に近所のイオンへ立ち寄りました。

 昼を随分過ぎていたのでフードコートで昼食を済ませることに。

 数日前だったか「スガキヤの店舗が多数閉店する」というニュースがネットにでていました。

 喜連瓜破駅前店は大丈夫なのかなと思っていたのですが、昨日時点では営業していました。

 私のクライアントは、節制している人が多く「糖質制限」などと言う言葉も良くでてきます。

 久し振りに食べた対極にある昼食ですが、これで610円(笑)

 私が小学生の頃からあったので40年以上営業していることになります。

 周りを見渡すとスガキヤ人気は結構なもので、「赤字店を積極的に閉鎖」とでていた効果もあったのかもしれません。

 スガキヤと言えば、スプーンとフォークが一緒になったこれです。

 ラーメンを食べることだけを追求した究極の道具、スプフォークです。

 勝手に命名していますが。

 建築は装飾も可能ですが、そこまで予算に余裕があることは稀です。

 なら、機能、用途のあるものを突き詰めて行くしかありません。

 久し振りに「R Grey」に入る用事がありましたが、この階段も、できる限り単純化した美しさを追求したつもりです。

 階段室2階の窓はコンクリートの溝にガラスを差し込んでいるだけ。

 アルミ部分はありません。

 3階の窓も同じ構成ですが、1枚物のガラスでは施工が難しくコストも上がるので、2枚に分割されています。

 ただ、等分するのでなく、右端の1枚は2階と同じ大きさとしました。

 コストを抑え、光を取り入れるという機能を限界まで追求したつもりです。

 今年引退した、イチローのバットづくりも担当した元ミズノのバット職人、久保田五十一さんは落合博満元監督にこう教えられたそうです。

 「商品は人が手にして喜ぶもの。道具は人が手にして使うもの。遊びはいっさい不要」

 スガキヤのラーメンが商品なら、スプフォークは道具です。

 建築は「生きるため道具」でした。

 しかし現代社会においては「人生を豊かにする道具」と言った方が適切かもしれません。

 これは、落合元監督の言葉からすると、すこしブレがあります。

 しかしそこが、芸術と生活の中間にある建築の奥深さとも言えるのです。

 「建築設計とは哲学すること」

 誰だったか忘れてしまったのですが、ある建築家の言葉です。

 哲学は英語でフィロソフィ。ギリシア語で「知を愛する」という意味です。

 秋の夜長で哲学する時間はいくらでもありそうです。

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木となった聖樹‐1621‐

 近畿地方も、昨年の台風ではかなりのダメージを受けました。
 
 泉南地方は停電が長引き、設備設計事務所がなかなか仕事ができないと嘆いていました。

 現代において、電気がなければ仕事も全く進みません。関東地方において、少しでも早い復旧を願うしか出来ないのです。

 9月24日(祝・火)に移転、オープンする「うえだクリニック」。竣工一歩手前までなんとかこぎつけました。

 外構工事は足場がとれた後になります。

 外部土間の打設だったり、サインの準備だったりと、暑い中を真っ黒に日焼けした職人達が黙々と働いています。

 こういった人達の日々の仕事の上に竣工がある訳で、「必ずこのプロジェクトを成功させる」という強い気持ちになるのです。

 近くを通ったので「中庭のある無垢な珪藻土の家」の庭樹を見に行ってきました。

 こちらは建物前のヤマボウシと中庭にヤマモミジが植わっています。

 ヤマボウシは一度葉が落ちたことがあり、この暑さで少し気になっていたのです。

 足下まで日を受ける一本立ちは、最も条件が厳しいのですが、元気に育っていました。

 「Shabby House」においては、一度枯れてしまったことがあるのです。

 「Shabby」の言葉通り、「着古した」家を目指したこの住宅ですが、庭樹にもテーマがありました。

 シンボルツリーにはヨーロッパでクリスマスツリーに使われるオウシュウトウヒ(ドイツトウヒ)が選ばれました。

 2011年春の竣工後、奥さんと「古川庭樹園」まで行き、この一本を探してきたのです。

 これは2012年のクリスマスの写真。

 ライトアップされ、見事なクリスマスツリーとなっていました。

 しかし2013年の猛暑で元気を失い、2014年に枯れてしまったのです。

 2014年の5月、再度「古川庭樹園」へ。

 こちらの専務も一緒に回ってもらい、奥さんとこの一本を見つけました。

 一本立ちなので、もう少し日に強い方が良いだろうと常緑のヤマボウシ、「マウンテンムーン」という樹種にしたのです。

 少し土も改良して貰いました。

 最後に伺ったのは2015年の秋で、元気に育っているだろうかと思い出したのです。

 うえだクリニックにも植栽をします。僅か1本、2本の樹々が街に潤いを与え、建物に物語を付加してくれるのです。

 「Shabby House」はパリのアパルトメントを本気で目指そうと、ドイツトウヒを選択したのですが、今の日本は暑すぎたようです。

 あの樹には悪いことをしてしまいましたが、本物のクリスマスツリーがあったその景色は、心に残っています。

 むしろ、今は無いからより長く残るのかもしれません。

 「樹」は生きているものだけを指し、木材の言葉がある通り、「木」はあらゆる状態に使える言葉です。

 クリスマスツリーは「聖樹」とも言うそう。

 「木」となってしまったあのドイツトウヒを、何かの形で残す方法を考えれば良かったと、今更ながら悔いが残るのです。

 たった3ヵ月で本当にクリスマスがやってくるのかと訝りたくなる程の暑さですが、それがこの日本の魅力です。

 また、自然や宇宙は人知を超えたものである証拠かもしれません。

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■9月15日(日) 9:00~12:00 高槻高校文化祭にて
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『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

お金も、名誉も、小さく霞んでしまう‐1615‐

 会社に宅急便が届いた時は、必ず「どこからの荷物ですか?」と聞くようにしています。

 時々間違いもありますし、強盗である可能性もないではありません。

 「知らない物は受け取らない」くらいの気持ちで出るようにといつも言っているのです。

 配達の人が「○○様からです~」というと、妻は梨と気づいたようで、軽いフットワークで受け取りに行きました。

「千葉の家」のクライアントから、『しろい梨』が届きました。

 「お気持ちだけで十分です」と何度かお伝えしたのですが、今年も頂いてしまいました。

 竣工してもう6年になるのに、本当に有り難いことです。

 子供たちは早速かぶりついていると思います。

 その長男は、この夏のシアトル行きで、マグカップをお土産に買ってきてくれました。

 スターバックス1号店の限定品らしく、15ドル程だと言っていたと思います。

 シアトルはマリナーズがあるくらいですから港町です。

 また、私の想像よりはるかに大きな都市のようです。

 マイクロソフトの本社もすぐ近くで、見学に行ったそうです。

 スターバックス1号店は海のすぐ近くにあります。

 4店舗しかなかった町のコーヒーショップを、ハワード・シュルツは世界的規模にまで発展させました。

 1号店だけが、昔のロゴを使っているらしく、凄い人気で、1時間並んで買ってくれたとのことでした。

 これはコーヒー豆でできた豚?

 写真は全て本人撮影ですが、あまり良く分かっていませんでした。

 保存しておこうか?と聞くと「別にいいよ」と。

 私は海外の街並みを見ているだけで、ときめくのですが、若いということは、写真を必要としないということかもしれません。

 物も嬉しいですが、やはりその背景にある物語、気持ちが、物を物以上の何かにしてくれるのだと思います。

 昨日、もうひとつ嬉しいプレゼントが届きました。

 7月初めに住宅誌の取材で伺った「回遊できる家」のゲラが上が、先日上がってきました。

 その確認を奥様としている際に「3年後の感想」も送ってくれたのです。

 ご本人から「文章におかしなところがあれば、守谷さんが校正、継ぎ足しして下さいね」と言って貰いましたが全く不要でした。

 これだけ臨場感のある文章は、苦労の過程、また気持ちが入っていないと書けないと思います。

 お金も、名誉も、感謝の気持ちの前では、小さく霞んでしまいます。

 時々、こんなご褒美を貰えるから、何があったとしても頑張ることができるのです。

 多少私に気を使って貰っていたとしても、この仕事とこの作品を心から誇りに思うのです。

【3年後の感想-回遊できる家-】

 リフォームして、ちょうど3年が経ちました。

 設計をお願いした頃は2人だった子どもも、今は4人になり、4番目の息子は3歳なりました。

 長男はお友達が呼べるこの家をとても気に入っています。多い日では、お友達が12人も来たこともあります。

 次男はプラーレールのレールを部屋いっぱいに広げることができるこの家が好きです。

 長女はおうちの中でかくれんぼをするとこが大好きです。

 三男は、この家が生家となりました。

 何十社ものリフォームプランを見て、どうしても納得いくプランが見つけられなくて、でも諦められなくて、1度建築家さんの話を聞いてみてから、それでもダメだったら諦めようというところまできている時でした。

 私たちの理想は、30個以上あったと思うのですが、全部叶えて下さいました。勿論、予算の関係で実現不可のものもありましたが、必ず代替え案を考えて下さいました。

 夢に少しずつ近づいていったあの日々が懐かしく、今でももう一度体験したいほど楽しい日々でした。

 3年が経ち、子どもたちの落書きが増え、物も増えましたが、リフォームをして本当によかったと思っています。

 当初暑さ寒さの問題で、吹き抜けを心配していましたが、エアコンの効きもよく、気密性の高いおうちにして頂いて感謝しています。

 明るさも南の窓と天井のガラスの瓦から光が届き、夜以外電気をつけることがなくなりました。

 子どもたちは、回遊できるこの家で、毎日走り回っています。この三年間ほぼ毎日走り回っていて、回遊できるおうちにしてよかったです。

 3年住んで子どもたちの遊びも高度なものになり、今は家の中でお祭りごっこ、屋台ごっこ、お店屋さんごっこなど、レパートリーは無限です。

 その日々新しい遊びを考えるこの子たちとこれから5年、10年と月日を重ねていきたいです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送

■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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うつりこんで横浜‐1606‐

 謦咳に触れるという言葉があります。

 立派な人なら、咳ばらいでも聞く価値があるという意味です。

 7月18日(木)は、稲盛塾長最後の講和を聴くために横浜に居ました。

 今年いっぱいでの解散が決まっている「盛和塾」

 京セラを創業、一代で一兆円越えの企業へと成長させた稲盛和夫さんに学びたい人たちが集う場所です。

 2007年に入塾させて貰い、ほぼ毎年参加してきた世界大会ですが、人数が増え2008年からパシフィコ横浜が会場となりました。

 インターコンチネンタルホテルの左にあるのが、会場となる国立大ホール。

 ホールはいつも熱気が溢れていました。

 今年は、約4800名の塾生が世界各国から集まりました。

 私の席は、端ではありますが前から12列目。直接塾長が見える距離で講話が楽しみです。

 毎年の恒例行事でもあるので、横浜の建物も見て回りました。

 当時は日本一高かったランドマークタワーです。

 横浜球場の後ろに見えるのは横浜市庁舎。

 1959年の完成で村野藤吾の設計です。

 階段を大切にした村野らしいディティールです。

 飴色になった木の手摺が妖艶でさえあります。

 しかし新市庁舎が建設中で、来年の6月には移転の予定。

 始まりがあれば、必ず終わりがあるのです。

 87歳となった稲盛塾長は体調がすぐれずで、残念ながら欠席となりました。

 講話は代読となりましたが、その中で「経営について、私の考えは語りつくしたという気持ちが強い」とありました。

 もう十分に教えて貰ったので、これからは自分の足で立ち、歩いていかなければなりません。

 私が最も印象に残ったのは次のような行です。

 世界中を塾生の皆さんと一緒に旅をし、酒を酌み交わしたことが思い出として残っています。

 皆さんのおかげで、素晴らしい人生を送ることができました。
 
 それは塾生の皆さんが私に与えてくれたのです。

 人はここまで謙虚になれるのかと思います。

 塾長の言葉に全く嘘がないことは、直接薫陶を受けた人なら誰もが分かるのです。

 反対に言えば、ここまで謙虚でなければ、ここまで心を高めることはできないのだとも思います。

 寂しくもありますが、新たな闘志をもって、横浜から帰ってきたのです。

 翌7月19日の日経新聞にも、記事がでていました。

 記事は「盛和塾が幕を閉じても、一人でも多くの人を幸せにするという経営者の使命に変わりはない」と結ばれていました。

 このアングル、どこかで見たことが……

 探してみると、一番左下に居ました。

 自分の記事ではないので、喜ぶつもりはありませんが記念にはなりました。

 稲盛さんは言います。

 舗装された歩きやすい道は、エリートが歩いて行く。そうではない者が、前に行きたければ、ぬかるんだ道を行くしかない。

 泥んこになっても、靴が脱げてしまったらそれを何とか引っこ抜いてでも、行くしかない。

 何度も聴かせて頂いたので、骨の髄までしみ込んでいます。

 何があろうと、ネバーギブアップの精神で前に進んで行く覚悟です。

 最後におまけです。

 日曜日に、友達から「再放送みてるよ」とメッセージがありました。

 『大改造!!劇的ビフォーアフター』の私の担当回が、BSで再放送されていたようです。

 プライベートサイトの情報ですが、全300回以上ある中で、2番目に多く再放送されているようです。

 やっぱり「本当は大賞だったんじゃないか」と思っているのですが、それでは謙虚さが足りないか。

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墨田区でジャポニスムを感じる‐1605‐

 今日は9:30amに両国駅に到着しました。

 大阪から大きな段ボール箱をもって、キッズデザイン賞の審査会場までやってきたのです。

 会場は、墨田川を都心側に渡ってすぐの所にあります。

 育成中だった芝も立派に育ってくれました。

 移動中に動いてしまった家具や人間を修正します。

 2階にある「あおぞらえほんしつ」と「もりのひみつきち」には、本物の材を貼り付けました。

 おなじく「こもれびひろば」にも。

 建築は本物を持ち込む訳にはいかないので、模型を任意で提出できます。

 物創りが好きでこの仕事を始めたので、模型の質、スピードともに自信はあります。

 しかし、私が模型を作っていたのでは仕事が滞ってしまうので、スタッフまたはオープンデスク生などに作って貰います。

 現在は人手不足で産休中の田辺さんに、育児の合間をぬって手伝いに来て貰いました。

 躯体は概ね組み上げてくれたので、最後の仕上げを私がしました。本格的に模型を触ったのは15年振りくらいでしょうか。

 出発の前夜、深夜まで作っていましたが、これは仕事というよりは趣味寄りだなと思っていたのです。

 審査会場は入らせて貰えずで、スタッフの人が内部に搬入してくれました。

 両国駅だけにこんなものが飾られていました。

 目の前が両国国技館ですが、その隣には……菊竹です。

 江戸東京博物館は菊竹清釧の設計で、1993年の完成。彼らしい思い切った提案です。
 
 しかし、完成した当時から賛否両論でした。

 今回が初訪問ですが、九州国立博物館を思わせる大きさと奔放さです。

 いわゆる名建築は「意外と小さいな」と感じることが殆どですが、菊竹は例外です。

 北九州博物館も、吉野ケ里遺跡のゲートも、小倉の競輪場も「大きい」のです。

 だから名建築ではないと言う訳ではありませんが、江戸東京博物館は一目瞭然の建物でした。

 これだけの1枚スラブが持ち上げられている建物を私は見たことがありません。

 最上階は巨大な一室空間。

 もうプランも何もなく、単純明快。その思い切りが菊竹らしいのです。

 江戸の街並みを再現した模型が人気でした。

 双眼鏡が置いてあり、それでみると江戸時代をのぞき見しているような気分になります。

 こちらの籠は、雅という言葉がしっくりくる籠。

 江戸から近代東京まで網羅しているこの館はなかなか見応えがありました。

 江戸東京博物館から、少し東に行くと「すみだ北斎美術館」があります。

 北斎がこの地に暮らしたからですが、2016年の完成です。

 設計者は、SANAAとしてプリツカー賞も受賞している妹島和世。

 外壁に切り込んだ開口部がいくつもあり、色々な方向からアプローチできます。

 開かれた館を目指しているのですが、コンセプト通りに多くの人でにぎわっていました。

 思い切った形に反して、光はとても柔らかい。

 1階ホールは出入りが自由で、外国人観光客ものんびり過ごしていました。

 特にこのスリットが印象的でした。

 4階の常設展だけのぞいてきました。

 展示室が撮影可なのは、空間を観に行っている私としては嬉しいところです。

 先の江戸東京博物館にも、北斎の家を再現していましたが、リアリティはこちらの比ではありませんでした。

本当に人かと思う程の仕上がりで、正直、ちょっと気持ち悪かったのです。

 北斎と言えば富岳百景です。

 その分かりやすくダイナミックな浮世絵は、印象派の巨匠たちの心をとらえました。

 いわゆるジャポニスムです。

 モネ、ゴッホ、ゴーギャンが学んだと聞けば日本人として誇らしくもあります。

 2つの館は設計者が違うので比較になりませんが、四半世紀経ち、日本の建築はこうまで変化しました。

 妹島の洗練された美しさは、妖艶であり清潔です。プリツカー賞受賞は伊達ではありません。

 しかし、菊竹のダイナミズムも忘れてはいけないものかもしれません。

 展望室からはエキスパンドメタル越しのスカイツリーが見えました。

 確か、SANNAがニューヨークで手掛けた出世作も、アルミエキスパンドメタルで覆われていたはずです。

 建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞は今年の磯崎新の受賞もあり、この10年で4人の日本人が受賞しています。

 現代におけるジャポニスムと言ってもよいかもしれません。

 同じ仕事をするものとして、とても誇らしいですが、私は妹島ではありません。

 もしプリツカー賞を取りたいなら、全く規模の違うアワードですが、それでも一歩ずつ歩を進めていくしかありません。

 久し振りに気合十分で作成した模型ですが、本物を貼り付けた、小さな仕掛けを審査員の人が気付いてくれれば……

 発表は8月23日。吉報が届くとよいのですが。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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