カテゴリー別アーカイブ: 02 ことば・本

人の為?

 ある経営者の方とお話していました。

「今までは、家族のため、社員のため、と思って頑張ってきたけど、これからは、家族と共に、社員と共に、頑張らなアカン!」と仰っていました。「共生」の思想です。

 自宅のダイニングには、書家「相田みつを」の作品が、ひと月分の31枚が綴られた、日めくりカレンダーを掛けています。

 10日の作品には、ちょっとドキッとさせられます。

 人の為と書いて、いつわりと読むんだねえ みつを

 仕事をするのは、 自分の為?家族の為?クライアントの為?多分、誰かの為にする事じゃないんだろうな、って思います。

 そう考えるようになったのは、「京セラ」の稲盛元会長の“社会こそが、自分を磨く最高の道場”という言葉を聞いてからです。

 仕事をするという事は、修行をするということなのです。

ゆく河の流れ

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 この連休は妻の実家に里帰りしていました。

 近くに川があるので、天気が良い日は、飼い犬の「マナ」を連れてよく散歩に行きました。

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 川辺を散歩していると飽きることがありません。

 水鳥が水遊びをしていたり、小魚が物陰にかくれているのを探したりしていると、「マナ」は私の目を盗み「道草」を本当に食べています。

 川はよく人生に例えられますが、鎌倉時代の古典随筆、「方丈記」の始まりは簡潔で美しい名文です。

 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。(中略)朝に死に、夕に生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。

 そこにある「無常観」という思想は少し心にゆとりを与えてくれる気がします。

憧れのヒト

 小説家、開口健、そのヒトが大好きで良く読みました。

 『輝ける闇』などの名作と共に楽しいエッセイが数多くあります。この休みに『オーパ』などの旅行記を読み返していました。

 その旅行に同行したカメラマンとの会話をいくつか。

 「ええか、男はナ、自分の財布で飲むんヤ。

 それでなければ身につかへんのヤ。

 男になりたければ、そうするんやデ。

 上を見て生き、下を見て暮らさないかん。

 そういうこっちゃ。」

 「金を儲けようとすると逃げていきよる。

 結果として手にするんならええんヤ。

 そんなもんより名だ、名を惜しむんヤ。

 いいか、いい仕事をしなくてはいかんゾ。」

 「釣りでも、食うことでも、飲むんでも、オンナでも、

 なんでも徹底的に、これでわかった、もう結構というまでに

 トコトンやるんヤ。そうしているとある瞬間、なにかがピカッと閃く。

 それで本当にそれがわかったとうこことなんヤ。

 量は質に転化するもんなんやデ」

 
何か元気がでてきません?

年はクレル

 今年もあと2日、兎にも角にも、2004年は終わります。-年が暮れる-なんとも美しい表現だなと、気が付きました。

 今年は私の設計事務所のホームページをリニューアルすると共に、この日記を始めました。日々思うことを、少しでも文章として残せたら、という気持ちと、自分の見た美しい自然の風景を見て貰いたいという気持ちからでした。

 私の勝手な考えを見てくれる人はいるんだろうか、と思っていましたが、いろんな人に訪れて頂き、何人かの人からは「いい話もあるね」なんていう感想を貰ったりした時は、なんとも嬉しいものでした。

 見て貰えるというのは、大変うれしく、励みになります。考えを素直に伝えたいという気持ちもあります。日記は今後も出来る限り続けて行きたいと思いますので、気が向いた時はまた立ち寄ってください。

 今年は、私の作品を初めてテレビで紹介してもらったり、本への掲載が決まったりと、いくつかのご褒美を貰ったような気がします。まだまだ勉強しなければならない事は山積みですが、仕事納めを終えた今日だけは、「精一杯やったじゃないか」と自分に言ってあげたいと思います。

 そして、新たな気持ちで、新年を迎えようと。

 今年も一年、本当にありがとうございました。2005年が、みなさんにとって素晴らしい一年となりますよう。

                        守谷昌紀

『ケインとアベル』

 映画を観るときや、本を選ぶときの基準で一番大切にしているのは、誰かの推薦です。中でも「まだ、この本を読んでいないなんて、羨ましい」といった類の感想を聞いた作品は必ず読んだり、観たりします。
 私の好きなタレントさんが、そんなコメントをしていたのが、ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」(新潮文庫)です。
 1906年4月18日に、アメリカとポーランドの全く異なる環境に生まれたケインとアベルが出会い、互いに成功し、互いに憎しみあいながら、互いの成功を妨害します。その一方で、知らないところで相手の人生の危機を何度も救ったりもします。ストーリーは交錯しては離れ、二重奏のように複雑に展開していく2人の男の人生を描いています。
 歯ごたえがありそうで、楽しませてくれそうな小説は、いつも探しています。小説はフィクションであるからこそ、作家の全てを注ぎ込み、言い訳無用の潔さと人生を感じるからです。
 読んでいる時間を楽しませてくれれば十分なんですが、その話の中には、必ず心に引っかかるところがあります。たとえば「ケインとアベル」の場合は次の一節です。
 「運命は勇者に微笑む」 ジェフリー・アーチャー著『ケインとアベル』より

名前と漢字

 日本語の漢字は一般的には、5万字くらいと言われているそうですが、そのうち、名前に使える漢字は1945文字の常用漢字と、2004年に新しく493文字増えた人名用漢字983文字を合わせて2928文字あります。
 私の名前は”昌紀”と書きますが、正直に言うと、すごく気に入っているというわけではありませんでした。”昌”は女性にもよく使われる文字という印象があったので、すこし女性っぽいと感じていたからです。
 名前に関する本を読んでいた時に、そういえばと思って調べてみると、
昌:勢いが盛ん。栄える。美しい。太陽が光り輝くさまを表す。
快活でエネルギッシュ。周囲を明るく照らすような子に。
 
紀:はじめ。道筋。決まり。要。年代。書き記す。柔らかい印象に。

とありました。「ん?だいぶイメージと違うな。そういえば、太陽が2つもあるんだから、明るくて、いいに決まってるじゃないか。はじめに照らす、か、そうありたいナ。」などと一人納得していました。
 私の名前は、父方の祖父母がいくつか候補を考え、そこから両親が選んだそうです。もう連れ添って34年になる、自分の名前という一生涯のパートナーの事を何も知らなかったことに、なにやら恥ずかしいような、情けないような・・・・・・。
 これから、署名をする時の気分はきっと、晴れ晴れとしたものになるだろうと思いますし、少し自分の目指す像の輪郭が見えたような気がします。

先週末の新聞に『一流の顔』という本の著者の岡野宏さんという方のお話が載っていました。
  元NHKの美粧師の岡野さんは、NHKのアート美粧部で40年間
ざっと10万人の顔をこしらえてきた。・・・中略・・・女優松たか子のお父さん松本幸四郎氏から手紙が届いた。「とにかく、つくり込まないでくれ・・・」娘を思う親心。幸四郎氏の助言を心に留めて、初々しさとさわやかさを生かそうと決めた。このとき、岡野さんは「必要以上に手を加えないことも大切である」と悟ったという。
 男の化粧に対する関心はここ数年、高まっているが、こんな意識とは裏腹な事にも時々出くわす。「先日、プロ野球の球団から金銭授受のあった今年プロ野球入りする選手が謝罪する
映像がテレビに出ていました。深く頭を下げているのに、なぜか誠意が伝わってこない。よく観察していると、あのまゆ毛がいけないと直感したんです。手入れされたまゆがかえって軽いイメ
ージをつくり、彼の謝罪する気持ちを正確に伝えていなかった」「まゆは知性、目は心、鼻筋は気質を表す」”一流の顔”と長年向き合っていた岡野さんの持論だ。

 私も松たか子さんは他の女優さんとは少し違う印象を受けていましが、自分、もしくはその周りの人々の明確な意識を持ってプロデュースしていることで納得できました。
 また、その選手の謝罪会見を見たときに、イメージが軽いかどうかは別にして、何か心に引っかかるものはありました。
 人によって感じ方はそれぞれですが、奴隷解放宣言で有名な第16代アメリカ大統領リンカーンは「男は40歳になったら、自分の顔に責任を持て」と言ったそうです。
 久しぶりに鏡に映る「顔」をマジマジと見てみました。

省みて省く

 今年の夏の話題は、オリンピック一色でしたが、新種目の女子レスリングは、金メダル有望ということもあり、かなり注目を浴びていました。
 中でも、父親が元プロレスラーの浜口京子選手は世界選手権の実績もあり、特に期待を集めていました。私はなにを隠そう、30年来のプロレス(格闘技)ファンで、京子選手とともに、TVに出てくる父親、アニマル浜口さんを見つけると、に楽しい気分になっていました。
 彼は、プロレスという一風変わったジャンルの中でも異彩を放っていました。プロレスラーとしての話は別の機会に譲るとして、昔から哲人の雰囲気があり、最近もこんな言葉を残されていました。
 「欲望ばかりが膨らむと、元に戻らないといけない。反省しなきゃ。自分を省みて(かえりみて)省いて(はぶいて)いく。人間というものは思いあがるのが本性なんですね。だから、『謙虚』という言葉は、ものすごくいい言葉だと思いますよ。
 まだまだ至らない、道至らないから学んで努力する、その人は伸びる。貪欲でなく省みて・・・。」

 メジャーリーグも大好きですが、マイナーな世界の中でも懸命に生きている人が私は大好きです。そこには、少数派の悲哀と逞しさ、そして底抜けの明るさを感じるのです

食を書く作家

 先月は私の好きだった作家が2人お亡くなりになりました。海洋小説の第一人者、白石一郎さんと、もうひとかたが水上勉さんです。

 「飢餓海峡」、「雁の寺」などがとくに有名ですが、私は「土を喰う日々-わが精進十二カ月」が一番心に残っています。

 軽井沢で暮らす水上氏の四季の食卓を綴った本で、その日々の暮らしぶりには、幼いころを過ごした禅寺で学んだことが生かされています。自然にあわせ、野菜と相談しながら料理をする・・。食と生について深く感銘を受けた随筆です。

 幼い頃の、師の教えで、寺の畑に何もないような、寒い冬の来客に、心を砕いて「ご馳走」を用意するくだり。

 「ご馳走とは、旬の素材を探し、馳せ走ってもてなすことだ」

 とういう師のことばがあったと思います。

 精進料理の「精進」とは、精進するための料理ではなく、精進して作る料理だという考え。

 文面のいたるところから、謙虚で慈しみ深さが伝わってきました。

イチロー語録

イチロー選手の活躍は今年に限ったことではありませんが、アメリカの国技〈ベースボール〉の158年の歴史の中で、年間最多安打記録を更新し、頂点に立った今年のことばには凄みを感じます。

「モチベーションが落ちたことは無い」

「目標を設定して到達してしまうと努力しなくなる。満足は求めることのなかにある」

「第三者の評価を意識した生き方はしたく無い。自分が納得した生き方をしたい」

そして子供たちには夢を与えてくれます。

「体がでかいことにそんなに意味はない。僕は見てのとおり、大リーグに入ってしまえば一番ちいちゃい部類。日本では、中間クラスでしたけども、大きな体ではない。そんな体でも、大リーグでこういう記録を作ることができた。これだけは、日本の子供だけではなく、アメリカの子供にも言いたい。
『自分自身の可能性をつぶさないでほしい』――と。

あまりにも、大きさに対するあこがれや、強さに対するあこがれが大きすぎて、自分の可能性をつぶしてしまっている人がたくさんいる。そうではなくて、自分自身の持っている能力を生かすこと、それが可能性を広げることにもつながる」

このことばは、私達大人にも大きな希望を与えてくれます。