誰も咳をし、笑う‐1159‐

 一昨日の火曜日は、雨の京都へ。

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 蹴上のウェスティン都ホテルへ行っていたのですが、雨濡れる古都もなかなか良いものです。

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 盛和塾の勉強会だったのですが、参加者は約1300名。同じ支部に属する方が、自らの経営体験を発表しました。

 本当に立派な内容でした。従業員270名の人生を背負うことが、人をこれだけ成長させるのかと思うのです。

 会の最後は、全員が輪になって「ふるさと」を歌います。

 塾長の稲盛さんが、落ち込んだ時のこの唄を歌い、勇気を貰ったことに由来するもの。

 全員が、稲盛さんの考えに共感し、少しでも会社を良くしたいと思っている同士なのです。

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 会場となったウェスティン都ホテルは、関西が誇る巨匠・村野藤吾の設計です。

 「ウェスティン」となり、かなり手が入ったようですが、柔らかなフォルムの階段は、村野好みが良く現れています。

 色がもう一つで残念なのですが、実際の感覚で言えば「ミルキー」が適切でしょうか。

 これも村野好みの真骨頂。 

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 本館の裏には、本格的な和室別棟エリアがあります。

 待ち時間を利用し、見て廻りました。

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 中でも、佳水園は村野流数奇屋建築の傑作と言われます。

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 門をくぐると、まず白砂の中庭が広がります。

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 エントランスホールに掛るのは、川端康成の書。

 一流は一流を知るのです。ただ、純粋な書としての評価は別ですが。

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 この日も満室とのことでしたが、外国人観光客が多いようです。

 どうせなら、本格的な和の空間を体験して貰えると、建築に関わるものとしてはやや誇らしい気持ちになります。

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 回廊をぐるりと廻り見返すと、軒の薄さに驚嘆します

 なぜ薄いのか。薄く作るには、素材のことを良く知っている必要があります。また、過去の実作での経験から、その最小値を探っていくことになります。

 その葛藤と手跡を、人の目は一瞬で見抜く能力を持っていますし、過去に見たことがないものに心が動きます。創り手はそういうものを目指すのです。

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 軒に穿たれた開口。視線を誘導しています。

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 軒の隙間から見えるのは八重桜か。どこまでが意図なのか。巨匠が没して30年、もううかがい知ることは出来ません。

 早くに独立したので、自分には師が居ないとよく嘆いていました。

 稲盛和夫、村野藤吾、ミース・ファン・デルローエ、ル・コルビュジエ、アルバート・アアルト……

 良き師は掃いて捨てるほど居る、と言えばバチが当たりそうですが、自分にその気と、行動力がないだけだったのです。

 謦咳に接すると言いますが、謦咳とは「咳払い、笑ったり語ったりすること」と広辞苑にはあります。

 人は、同じように咳をし、笑い、語る。どんな立派な人でも、同じ人間だと知ることが、その本質なのではと思うのです。

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 有り難いという気持ちと、さあやるぞという気持ちを秘めて、京都を後にしたのが、夜の11時過ぎ。

 ちょっと遅くまで飲みすぎました。

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