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太陽に罪はない‐1503‐

 ひとこと目には「暑い暑い」と言ってしまいます。

 この夏の日射は容赦ありません。

 私は夏大好き、晴れ大好きですが、今朝の曇り空にはややほっとしました。

 自転車の反射板がプリズムの役割を果たし、美しい虹色を見せてくれました。

 こうしてみると、夏の日差しも少しは涼やかでしょうか。太陽は生命の源で、何の罪もありませんが。

 京セラ名誉会長の稲盛和夫さんから、経営を学ぶ場が「盛和塾」

 私は2007年に入塾しました。

 人生にとって、経営者にとって、最も大切なのは「考え方」と教えて貰いました。

 稲盛さんの著書、「成功への情熱」の中に、以下のような言葉があります。

 「強さ」の秘訣のひとつは、完全に客観的でいる勇気を持つことです。もうひとつは、個人の感情を上回る強い信念を持って、自分自身の能力を信じることです。

 繰り返し読んでいる本ですが、ハッとします。

 先日世界遺産に指定された、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を思います。

 私の大好きな坂の街、長崎。2015年9月に訪れました。

 この年の7月、明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録されました。

 軍艦島等と共にグラバー邸も登録されています。

 大浦天主堂は今回の登録で、現在は壁が真っ白に塗られているよう。

 この旅では、高倉健の最後の映画となった「あなた」の舞台、平戸もまわることにしていました。

 薄香漁港がその撮影現場です。

 集落内は、ひっそりとしていました。

 初めて訪れたひなびた漁村に、強いノスタルジーを抱くのはなぜなのでしょう。

 そのまま、平戸ザビエル記念教会も訪ねました。

 その色使いは、南欧の雰囲気も感じさせます。

 日本ではないような空気感さえあるのです。

 強い信念という意味においては、信仰ほど強いものはありません。

 キリスト教が禁じられた260年の間、それらを守るために、踏絵で命を落とした人が実際に居たのです。それはごく普通の市井の方々だったはずです。

 それを思うと、どのくらいの信念を持っているのかと、自分に問わざるを得ません。

 1984年、稲盛さんが50歳の時に通信事業が自由化されるという機会がやってきます。これを「100年に一度のチャンス」と捉え、第二電電(現KDDI)創業に乗り出しました。

 当時、セラミックの世界では知られた存在であったものの、通信事業という全く門外漢の仕事で成功するとは誰も考えていませんでした。

 京セラが成功したのは、稲盛さんの技術が優秀だったからとか、時流に乗っただけとか言われるけれどもそうではない。フィロソフィ(哲学)があったからなのだと言います。

 通信について何も知らない私が、哲学ひとつで事業を成功させれば、経営にどれだけ哲学が大切かということを証明できると思うと考えたそうです。

 その後、鉄道網をもつ会社、高速道路をもつ会社も参入してきました。

 自社のもつ全国規模の施設を利用し、通信網を敷けば良い他社と比べて、京セラを中心とした第二電電は何のインフラも持っていません。

 山の頂上にパラボナアンテナをこつこつと建てていくしかありませんでした。どう考ても、初期投資の金額が違いするぎるので、勝ち目などないはずです。
 
 しかし、現在まで残っているのは第二電電(現KDDI)だけです。

 78歳の時には、経営破綻したJALを、政府からの強い要請を受けて率いることになります。そして、2年で世界最高収益を上げる航空会社へと変貌させました。

 よく知るとは言わないまでも、真近で拝見する限り、身長は高いものの、ごく普通の方です。

 それが、奇跡のようなことを成し遂げて行きます。

 稲盛さんは、「人として何が正しいのか」それだけを考えてきたと言います。

 これらの結果は、正しい考え方があったからこそ、成し得たものなのです。

 正義、公平、公正、誠実、勇気、博愛、勤勉、謙虚。それを実践するだけで良いと。

 人は機械ではないので、スイッチひとつで切り替えることはできません。

 繰り返しそう在りたいと願い、行動を繰り返すしかありません。

 この暑い時に何を力んでいるんだと言われそうですが、「個人の感情を上回る強い信念」という言葉に、そんなことを思います。

 人は弱いもので、つい不平、不満を口にしてしまいます。しかし、太陽に罪はないのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「羽曳野の家」放映

■■■『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「羽曳野の家」掲載

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】

■4月1日(日)「トレジャーキッズたかどの保育園」開園
■3月31日「R Grey」満室となりました
 大阪市平野区平野西5-6-24
「さかたファミリー歯科クリニック」7月26日 OPEN
枚方市津田西町1-24-8

【News】
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「松虫の長家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記<</a

食べ物の恨みは怖い、九州編‐1206‐

 前回のUPは木曜日の23:59になってしまいました。

 2005年10月から、欠かさず月木に上げて来たこだわりもあり旅の最後までたどり着けず……

 シルバーウィークの旅は、今回で最終回です。

01

 9月22日(火)の夕方、平戸からすぐ近くの、薄香という漁村に寄りました。

 高倉健の遺作「あなたへ」のロケ地になった所です。

02

 高倉健が、亡き妻の散骨に訪れたのがこの港。

 通りがかったおばさんが「あの船が、健さんがのった船だよ」と教えてくれました。

03

 映画の中にある写真館もそのまま。セットを残してあるのか、本当の名前なのかは分りません。

 昭和の名優、健さんがたたずむシーンを思い出しながら、最後の宿泊地佐世保へ。

04

 夕方、佐世保のホテルに到着。早速カメラを持って街へ出ました。

 ある建物を撮りたいが為に、佐世保に宿を取ったのですが、まさかの改修工事中。

 諦めきれず、周囲をウロウロしていると、品の良い行員が内部を少し案内してくれました。

 それはそれで心に残りますが、返す返すも残念。

05

 仕方ないので、夕食は名物という長崎牛のレモンステーキ。

97

 普段粗食なので、基本、何を食べても美味しいのです。

06

 連休最終日、23日(水)朝の佐世保港。

 ジョギングしていると朝市を見つけました。

09

 地元の市場で魚を見るとテンションが上がります。

 ウマズラハギの大きいこと。

11

 佐世保から、唐津までは40km程。

 のどかな景色の中を1時間程で到着。

13

 「呼子のイカ」が名物だそうですが、イカはやはり鮮度が命。

 更に、さばいてから出すまでの時間を、最短にする努力をしているようです。

15

 ゲソの天ぷらは、胴を食べた後に揚げてくれます。

 魚嫌いの長男も、良く食べました。

16

 最後は、北九州の中心地、小倉へ。

19

 1998年完成の北九州メディアドーム。

 再び、菊竹清訓の設計で、中は競輪場になっています。九州は、本当に良い建築、街が多い。どこに行っても外れ無しという感じです。

 唯一はずれたのが、長崎中華街の中華料理屋でした。

20

 先にも書きましたが、世界遺産登録もあって、観光客でごったがえしています。

 名の知られた店のようで、早めに行きましたが、自由にオーダーしたいなら1時間半待ち。

 「この金額以上のコースを頼むなら、今すぐ案内します」と。

 そのやり方はどうかとも思いましたが、子供もお腹がすいたと言うし、たまにはちょっと贅沢してもと、入ったのです。

21

 ある程度は予想はしていましたが、子供はフカヒレのスープを喜ばず。

 エビチリもカリカリの天ぷらの方が美味しいと。やっぱり「王将の餃子の方が美味しい」という始末。

 ちゃんぽんは評判通り美味しかったのですが。

 微妙な気分で伝票を見ると、飲んでいない生ビールが3杯飲んだことになっており……

 勿論消して貰いましたが、詫びている感じは全く伝わって来ませんでした。

 働いてい居る人は、忙しさでいっぱいなのでしょうが。

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 一方、長崎港、出島ワープにあるレストランのトルコライスセットは800円。

23

 期待の大小はありますが、娘のオムライスと合わせて、大満足。安くて美味いに勝るものはありません。

 人気観光地になれば、放っておいても人が殺到します。

 しかし、街の風情というものは、季候、建物、人、食べ物と、五感で感じるものです。中でも、人は人に最も影響を受けますし、加えて、食べ物の恨みは怖いのです。しつこいのですが。

 次回は、私が唯一行ったことがない日本、沖縄か。

<目指せ、家族で47都道府県制覇>

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沖縄

坂と信仰の街、長崎‐1205‐

 前回は、グラバー邸に到着したところまで書きました。

 グラバー邸は、今年の7月、世界遺産に登録されたばかり。多くの観光客で賑わっていました。

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 グラバー邸のすぐ下にあるのが大浦天主堂です。

 幕末、主ににフランス人の為に建てられました。長崎を旅して驚くのは、教会の多さです。

 江戸時代から明治初期まで、禁教が続きました。教会は、弾圧、抑圧との戦いの痕跡とも言えるのです。

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 夕食は長崎中華街へ。

 名物はもちろんチャンポンですが、名店らしい店に入りました。

 チャンポンは美味しかったのですが、店員の応対は酷かった。旅と食事についてはまた改めて書こうと思います。

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 翌22日(火)は、軍艦島クルーズでした。

 石炭の需要増加と共に、多くの人たちがこの小さな島に移り住んで来ました。

 最盛期には5000以上が島内に住み、小学校、中学校、映画館、パチンコ屋があったそうです。

 日本初の鉄筋コンクリート造の共同住宅も建築されました。

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 しかし、1974年に閉山し、無人島となります。

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 その廃墟を、私も含め、多くの人が見に訪れるのです。

 愛媛の山奥にある「東洋のマチュピチュ」別子銅山も、全く同じ構図です。

 世界中が産業革命によって、成長、発展の真っ只中に居た時代の痕跡には迫力があります。

 高い賃金を求め、危険を覚悟で、そんな仕事に従事した人達がこれ程多く居た訳です。

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 長崎市内を後にし、北西に約100km。

 平戸までやってきました。

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 平戸ザビエル教会は、平戸を見下ろす山の中腹にあります。

 1549年、フランシスコ・ザビエルがこの地にたどり着いたところから、日本におけるキリスト教は全てが始まりました。

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 この教会は、ザビエルの平戸訪問を記念して1931年に建てられました。

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 地元の信者の方々の好意で、公開されているのですが、本当に美しい教会でした。

 パリのノートルダム寺院、ミラノのドゥオーモなど、教会建築の傑作と言われる建築をいくつか見てきました。

 この教会は日本の、この小さな港町に合った、素晴らしい教会建築でした。

 踏み絵で知られるように、信仰の為に命を掛けた人が多く居たという事実があります。

 長崎を訪れ、それらが現実であったことを、僅かに肌で感じることが出来ました。教会が、悲しく美しいのです。

 人は生きてこそなので、命を賭すことが素晴らしい事だとは思いません。

 しかし、信仰であれ、信念であれ、命を掛けてまで貫きたいことがあるのか………

 ただ美しいと感じた25年前。信仰と信念を感じた今。それが成長であって欲しいと願います。

81

 今日の朝6時に大阪に戻り、バタバタと一日が終わりました。

 まだ、佐世保、北九州が残っているので、こちらは次回UPします。 

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