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白川郷でみた「結」の本質‐1362‐

 昨日は、岐阜の荘川高原スキー場に行っていました。

 東海北陸道の高鷲インターを過ぎ、ひるがの高原サービスエリアの次のインターチェンジが荘川。

 かなりローカルな感じのスキー場ですが、ここにしたのには理由があります。

 ひとつは、久し振りにスノーボードをするためです。

 長男に水をあけられたボードですが、私の練習のため、広く、すいているところがよかったのです。

 まだ時々こけますが、娘のボーゲンにはついていけるようになりました。

 ようやく長男と同じくらいまできたでしょうか。

 なんとも昭和の匂いがするレストハウス。

 このほうが落ち着くのは昭和45年生まれなので当り前か。

 席の確保に苦心する必要もなしで、気楽に午後2時まで滑りました。

 ただ「シニア券(50歳以上)」の表記にたじろいでしまいました。

 もう数年で、ついにシニアなるというのが現実なのです。

 荘川まで北上してきたもうひとつの理由は、白川郷に寄るためです。

 前回白川郷に来たのは2008年の秋。娘が生まれて半年くらいでした。

 家族で47都道府県制覇を掲げていますが、いずれも4人で回るのが前提です。

 今年の夏休みには達成できそうですが、その次は日本の世界遺産制覇にしようと思っています。

 私は満足しているけれど、子供には記憶がない。

 これでは目的を果たしていないので、記憶にないところは、再訪しなければと思っているのです。

 夕方3時半に着きましたが、この時間でも続々と観光客が訪れます。

 私達もそのひとりですが。

 2008年にも訪れた、明善寺の庫裡に入ってきました。

 1階には囲炉裏があります。

 電気やガスなど無い時代、寒い冬は炉を中心とした暮らしがありました。

 内部は5層構造になっており、中央はすのこ状の床になっています。

 囲炉裏の暖気が登ってきて、茅葺屋根の内部を燻します。

 それらは、虫を駆除する役目もはたしているのです。

 また、茅葺屋根なので、窓は妻面(屋根のかかっていない側面)にしかありません。

 光はより貴重なものだったでしょう。

 2~4階はカイコを養殖する空間です。

 長い冬、大きな屋根裏を養蚕工場として活用されていたのです。

 1階にあるこの囲炉裏は暖をとるだけのものではなく、全ての中心でした。

 茅の葺き替えは、片面だけで1千万円以上かかるそうです。

 また、100人から200人の人手も必要になってきます。

 その膨大な人出は、「結(ゆい)」という労働交換によってまかなわれます。

 豪雪地帯である白川村は、長く他の地域と隔離されるため、それぞれの家庭だけで生きていくことは不可能でした。

 互いが助けあうことが、どうしても必要だったのです。

 「結」は日本各地にありました。沖縄では「ゆいま~る」です。

 「結」という思想は、農業国であった日本の原風景といえるのです。

 彼岸をむかえ、茅葺きの屋根からは雪解け水が茅の1本1本からしみ出し、滴となってしたたり落ちます。

 村内に張り巡らされた水路の流れは、春の訪れをしめすよう。

 本格的な春を迎える彼岸は、現代とは比べられない程、待ち遠しいものだったのではと思います。

 現代社会が失ったものを、簡単に断ずることはできません。

 しかし、若者の「まずは自分の権利があってこそ」という姿をみて、果たしてそれでよいのだろうかと思います。

 その時間そこにいれば、今度の葺き替えの時に手伝って貰える訳ではありません。

 役にたってこそ、屋根を葺いてこそなのです。

 もし手伝って貰えなければ、その先にあるものはたったひとつなのですから。

白川郷

 先週末訪れていた、白川郷について書いてみます。

 岐阜県の中央あたりに位置し、日本有数の豪雪地帯にある飛騨白川郷。

 合掌づくりの建築が評価され、1995年ユネスコ世界遺産に登録されました。

 いくつかの建物は、中を見学出来ます。

 山深くに住んだことは無いのに、窓からの景色に郷愁を感じるのは何故でしょう。

 合掌づくりの集落はいくつかありますが、一番大きいのが萩町。普通の生活を営む家も多くあります。

 街外れに納屋がありました。これも茅葺。「カヤ」とはスゲやススキの総称だそうです。

 何か凄みを感じます。

 屋根が茅ですから、草木も生えます。現代に、この暮らしを続けるのは大変でしょう。

 しかし、自然淘汰され残ってきたのですから、非常に強い建築の種と言えます。

 それを維持するのが、お金、人手とも大変なのですから難しいものです。

 陸の孤島と呼ばれ、独自の発達を遂げた白川郷ですが、今年の7月には東海北陸道が全線開通しました。

 白川郷は名古屋、金沢、富山と高速道路で結ばれます。

 それにともない、観光客が増加。インターチェンジから10分の所が3時間との予想もありました。

 それで、朝一番に萩町へ入ったのですが、お昼前後は凄い人出でした。

 この後、白山を超え、福井に向かいました。山頂付近から見下ろすと、確かに陸の孤島。

 その孤島に人が押し寄せるのですから、時代とは不思議なものです。私もその一人ですが。

 しかし自然界に存在する材だけで作られる家に、郷愁と安らぎを感じるのはごく自然な事かもしれません。

白川、白山、勝山

 一昨日から岐阜、福井を旅行しています。土曜日は合掌造りの岐阜県の白川郷。

 日曜は恐竜発掘日本一の福井県の勝山市に。

 白川郷からは白山スーパー林道で日本海側に抜けました。

 標高800mから1100mあたりが紅葉していました。

 今日は寄り道しながらゆっくり帰ります。