タグ別アーカイブ: 埋蔵文化財包蔵地域

現場から土器出土‐1939‐

右端あたり、僅かにですが二上山の頂きが見えています。

石器時代、矢じり使われたサヌカイトが採れた聖なる山です。

周辺には古来から多くの人が暮らしていました。

前回、発掘調査が決まったと書きました。

土器が出土しました。 

行政の担当者から、遺構の調査と資料の保存が終わったと連絡があり、朝から寄って来ました。

前回の倍以上の面積が掘り下げられ、遺構にはマークがされています。

丁度、影が掛かっている中央の穴が、木製の柱が発見された場所です。

これらを詳細に記録するのです。

もう少し広いエリアを発掘調査し、柱跡に規則性が見いだされれば住居跡と認定されるそうですが、この範囲では確定できなかったとのことでした。

私の想像ですが、中央の穴と右下の穴が1.8mくらいなので、この延長線上に柱があるのではないかと思います。

古代の柱穴のピッチも1.8m~2mが多いのだそう。

古代のグリッドも、現在と変わらず一間(1.8m)とは、面白いものです。

古墳時代末期の後期、5世紀末あたりのものと推測されるので、約1500年前のものです。

その1500年の間に、4層ほどの地層が見えます。

それらは、家を建てたり壊したり、また有機物が土になったもの。

その断面に斜めに通る2本のラインが見えるでしょうか。

右のラインは、近世に掘られて井戸の痕跡だそうです。

掘削したラインの中、行政の担当者が示しているあたりに、木製の井戸が組まれていたとのことでした。

重機も矢板も無い時代、大きく堀り、その中央に木製で井戸を組み、周辺を埋め戻したことが分かります。

出土した土器や瓦です。

左は、高杯の破片で、右下は小型丸底土器。

古墳時代前期の末期、5世紀末あたりのものだそうです。

実際の生活に使われたというよりは祭祀用で、厚みはとても薄いものでした。

「触ってもいいですか?」と聞くと「勿論かまいません」と。

1500年前、ここに暮らした人たちは、これらを使い、何に祈りを捧げたのでしょうか。

家族の幸せや安全、また、世の太平もあわせて祈ったのかもしれません。

折角発掘調査するなら、何か出れば面白いのにと思っていました。

現場での専門家の解説付きでとてもラッキー。幸先のよいスタートです。

1500年前と変わらぬグリッドで、ご家族の幸せを実現するため、月末から本格的に工事がスタートします。

間もなく開始するので、ゲンバ日記のほうも是非ご覧ください。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

メディア掲載情報

人生初、発掘調査決定!‐1938‐

ラジオから「今日は猛暑日になるかもしれません」というDJの声が聞こえてきました。

9月も中旬というのに暑い日が続きます。

解体が終わった現場へ、朝一番に寄ってきました。

監督と行政の埋蔵文化財の担当者が、試掘の打合せをしています。

担当者が少し地表を探しただけで、古い瓦や水がめの破片などがあっというまに集まりました。

縄目模様の焼き物の破片を見せてくれました。

「かなり古いものなのは間違いありません。これはでるかもしれませんね」と。

埋蔵文化財包蔵地域で建築をする際は、試掘を求められるケースが多々あります。

今回は、浅い基礎の部分を1ヵ所と、深い基礎の部分を1ヵ所に決まりました。

浅い方の試掘は、このような黒い小石混じりの土で、私が見ていても遺跡の手掛かりになるようなものは見当たりませんでした。

しかし深い方は1mを越えたあたりで、明らかに硬い地盤に当たったのが分かりました。

黒っぽい土から、赤っぽい土に変わっています。

沢山の礫が混じっており、ユンボで掘るのも苦労するくらい硬そうです。

担当者と協力業者の動きが明らかに変わりました。

出ました。

木の柱か、杭のようです。

1m付近からの段丘礫層という硬い地盤に、木製の何かが打ち込まれ、そのまわりを人為的に掘った跡が見えます。

段丘礫層は、人の暮らしが始まる前のものなので、そこに手が加えられていると「遺構」という扱いになるのです。

行政の担当者の方が「発掘調査ですね」と。

素早くマークし、そのまま試掘から発掘調査に移行しました。

これまで何度も試掘は経験しましたが、実際に発掘調査になったのは初めてです。

出なければすんなり工事に入れるので、出ないことを祈りますが、怖い物見たさもあります。

住宅でない場合は、発掘調査費用を建主が負担しなければならないので、本当に祈るような気持なのです。

しかし今回は住宅につき、公費で賄われるのでその点は気楽だったのですが。

川沿いから急にせり上がった台地の上にある敷地で、地盤調査の結果も良好。改良工事は不要という判定になりました。

川の中央にある石で、亀の一家が甲羅干しをしていました。

まさか1万年生きているはずはありませんが、周辺は古墳も多く、地盤が良好で、水がすぐ近くにあり、人も亀も住みやすいところなのです。

人生初の発掘調査ですが、続報はまたここでお知らせしたいと思います。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

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