週末は出雲市で、 建築家展に参加していました。
出雲大社は60年に一度の遷宮の年にあたります。日本で唯一「神在月」を許されるこの地に、全国の神様が集まります。
まさに「神迎祭(かみむかえさい)」の真っ最中。多くの参拝者で賑わっていました。
国宝の本殿は、今年屋根が葺き替えられました。檜皮にも、新しさを感じます。
門をくぐると、まわりには荒々しくゴロタ石が敷き詰められてします。
神様と人の結界を表し、非常に歩きにくくなっています。簡単には寄りつけないようになっているのです。
本殿の手前、拝殿のすぐ横にある「庁の舎(ちょうのや)」。設計者は菊竹清訓で、神社のオフィスといった建物です。
菊竹は1960年に発表されたメタボリズムの体現者。
都市、建築には「新陳代謝」が必要という考え方です。東京で仕事が始まった時、その代表作「スカイハウス」を真っ先に見に行きました。。
庁舎(ちょうのや)は、1963年の完成。この建物を見た瞬間から、夢中でシャッターをきり続けました。
建物のモチーフは、稲穂を天日で干すそのフォルムです。
しかし建物全体のイメージを決定づけるのは、側面を覆うルーバーです。これが建物内へ、柔らかな光を落としています。
この日は朝から雨が降っていました。
このルーバー状のコンクリートには溝があり、そこにポタポタと雨水が落ちています。
言ってみれば、これらは全て軒樋だったのです。
また、それに覆われているのではなく、樋と樋の間にはガラスが入っています。屋根であり、外壁であり、開口部でもあったのです。
50年が過ぎ、わずかに雨がにじんでいました。
これらが全て分かったとき、菊竹の狂気を感じました。
もの創りにおいて、考え方が大切です。しかし、その考え方を動かす、情熱がなければ、何も達成できません。しかも「狂」がつくくらいでなければ、人の心など動かないと感じたのです。
今回は仕事へ行ったのですが、多くの刺激とエネルギーを貰いました。
出雲大社はあらゆる縁を結ぶ神様として知られます。それならこれも何か縁なのか。