カテゴリー別アーカイブ: C57 緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」

緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐6‐バームクーヘンも登場

 今年も残すところ1週間あまり。

 遅れ気味になっていましたが、ようやく「山本合同事務所」の引渡しが終わりました。

 このオフィスは北向きなので、光は裏側からとることになります。

 反対に言えば、北側に対しては思い切って開くことができるのです。

 駐車場脇にある階段が、キューブの中に貫入していきます。

 階段前にある看板は、クールに仕上げました。

 エントランスはワークスペース中央。

 奥に進むとオーバルカウンターを備えたメインのワークスペースです。

 南の開口から、またトップライトから、冬の柔らかい日差しが差し込んでくるのです。

 手前にあるのは、今回初登場のバームクーヘンデスク。

 この有機的なフォルムを持つ2つのデスクが、人の流れ、関係性を創造してくれることを期待しています。

 バームクーヘンの北側はガラスのカーテンウォール。

 北側道路を望み、吹抜けで3階と繋がっています。

 3階は、応接室でありリビングでもあります。

 右手に見えるのはロフトへのハシゴ。

 一番奥にあるトイレにはシャワーが備え付けてあります。

 繁忙期や打合せ後には、宿泊することも視野にいれてのことです。

 ミニキッチン、冷蔵庫は無印良品でまとめました。

 そして右手は再び吹抜け。

 3階も含めての大きな1室空間になっているのです。

 オーバルカウンターに合わせて、天井から吊り下げられたペンダントライト。

 これは、クライアントが東京で見つけてきたもの。

 シーリングファンが、緩やかに空間を撹拌してくれるでしょう。

 各席の横に移動して使う、ムービングキャビネット。

 オリジナルを木で制作しました。これはなかなの出来です。

 働く場所を快適に。

 誰もが思い、誰もが望むことです。

 その思いにどこまで応えられたのかは、本格的な業務が始まってからの評価になるでしょう。

 タイトルにある「緑」が中央にやってくるのも年始。

 いくらかの不安もありながら、楽しみにしているのです。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐5‐主役登場

 10月の最終週からようやく天候も回復。

 「山本合同事務所」もようやく外部工事の目途がつき、内装工事が本格化しています。

 壁、天井の塗装がはじまりましたが、1階駐車場はまだ下塗りの段階。

 2階ワークスペースはほぼ塗装も終了です。

 このオフィスは壁紙を使っておらず、エマルジョンペイントという、漆喰のような肌合いの塗装を仕上げとしています。

 空間が優しくなるのです。

 ワークスペースの吹抜けは、タワー状の足場があるうちに仕上げなければなりません。

 11月に入ってから再び現場へ行くと、家具が搬入されてきました。

 オーバルカウンターがワークスペース中央に据えられ、空間が引き締まります。

 夕方、クライアントも交えて、LANのネットワーク、電話等の打合せ。

 それぞれの席に、どのような配線を送るかを、1席ずつ確認して行きます。

 3階は吹抜けと繋がる、リビングのような空間。

 休憩室、打合せ室など使い方は様々です。

 小振りな無印のキッチンが入り、イメージが明確になってきたと思います。

 舞台なら、主役、ヒロイン、仇役、脇役があるように、建築にも配役があります。

 このオーバルカウンターはこの建物においてはまさに主役。

 ワーキングデスクという機能を満たし、中央に緑を内包する形状は、この空間のためだけにデザインしたもの。

 現時点での手応えは十分です。

 このあと、続いてヒロインも登場します。

 山本合同事務所劇場はクライマックスに向かうのです。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐4‐だろうでなく、かもしれないへ

 「山本合同事務所」の現場までは車で行くことがほとんどです。

 第二京阪が開通してから、名神を通ることがほとんどなくなりました。

 巨椋池からは、阪神高速京都線に乗り継ぎます。

 池と付きますが、京都最大の水場でした。干拓によってできた広い田の中を走る快走道路です。

 京都らしい景色を望みながら、所用時間は1時間15分ほど。

 この日は夕方からの打合せ。

 影がかかっていましたが、ようやく足場のない外観が見れました。

 京都市内につき、景観条例で切妻屋根が求められます。

 その条件の中で、こぶりながら働きやすいオフィスを模索しました。

 土地がら、仕事がら、移動はほぼ車。

 1階は全て駐車場となっています。

 2階がメインのワークスペースですが、壁の下地ができあがってきました。

 その上に、ちょこんと3階がのっかっているというレイアウトです。

 南端の屋根にあるトップライト。

 楕円テーブルの中央に向かって光が落ちてくるよう設計しました。

 この中央に緑を置く予定なのです。

 クライアントはとても仕事が忙しく、「その世話がちゃんとできるだろうか」と思案中。

 最終的にどうするかを決めるのはクライアントです。

 現場としては出来る限り多くの場面を想定して、備えをしておくのが仕事です。

 だろう運転でなく、かもしれない運転を。

 教習所で誰もが教わったことですが、全てに通じるものなのです。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐3‐ここでうたた寝

 昨日は、上京区の現場で打合せでした。

 元々は今週火曜日に予定していたのですが、強い雨が降るという予報で延期していました。

 そして明日は台風。秋の天候は安定しません。

 午後3時からの打合せでしたが、暑かった京都もすっかり涼しくなりました。

 職人が、屋根上で作業しているのが見えますが、風が気持ち良いことでしょう。

 ウナギの寝床というほど細い敷地ではありませんが、1階は駐車場のみ。

 5台が駐車できる予定です。

 2階はメインのワークスペース。

 道路が北にあるので、奥が南になります。

 一番奥から見返すと、3階部分が南にある吹抜けで繋がっているのが分かります。

 その3階は切妻屋根によって、やや天井高さを抑えています。

 開放的ではあるが、ボリュームが大きすぎて間延びすることを避けました。

 居心地のよい屋根裏部屋のような空間を目指したのです。

 北側も小さな吹抜けで2階と繋がっています。

 高低差のある空間を、南北に気持ちのよい風が流れるはずです。

 吹抜け空間の上にはトップライトがあります。

 ここからの自然光で、室内でも植物が育てられるよう意図しました。

 職人が部材を溶接していましたが、大きな線香花火のようなに火花を散らします。

 それはそれで美しいものなのです。

 この時点まできて、空間の構成がようやく体感できるのですが、良い空間になるという手応えがありました。

 特に、ふわりと浮いたような3階は、このオフィスの特徴になると思います。

 ハードワークに疲れた時はここでうたた寝。
 
 そんな使い方をして貰えればと思うのです。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐2‐ここは平安宮の内側

 「(仮称)司法書士・土地家屋調査士 山本合同事務所」ですが、掘方が終わり、配筋検査に行ってきました。

 配筋検査はコンクリート中に隠れてしまう鉄筋の径、本数、継手などをチェックするものです。

 清掃もきっちりされており、鉄筋も丁寧に組まれていました。

 仕事の基本は常に整理整頓です。

 敷地は上京区丸太町通大宮西入藁屋町。

 二条城のすぐ北にあります。

 二条城は、徳川幕府が築いた城ですが、その後は天皇家の離宮となりました。

 さらに遡ること800年。

 平安京は桓武天皇によって遷都されましたが、ここは平安宮内にあたることが分かりました。

 京都市へ事前相談に行った際、試掘が必要と知らされたのです。

 計画がスタートした際は、隣地も含めてびっしりと建物が建っていました。

 換地され、新たな敷地境界となったのが右から2番目、青い屋根の家の左端です。

 そこから左が全て解体され、換地も終わり計画が本格的にスタートしました。

 向かって左はマンションが建つ予定で、当工事に先立って京都市の発掘調査が入りました。

 1.5mほど掘り下げられた位置が、平安時代の地盤面だそうです。

 市の担当者は、マンション用地の中央あたりが、平安宮の東端と考えており、平安時代の遺構がでるのではと、かなり意気込んでいました。

 しかし実際にでてきたのは江戸時代のゴミ捨て場くらいで、かなり落胆していたようです。

 800年の間、何度も何度も住まい手が変わり、埋め立てながら、現在の位置まで地盤面が上がってきたと、その担当者から教えてもらいました。

 隣地の調査結果もあってか、当敷地の試掘はわずかなもので終わったのです。

 この敷地は、改良が不要なほど良好な地盤でした。流石は千年の都です。

 また、平安宮内という貴重な土地。

 基礎柱部分においては、隣地から10cmで施工しています。

 現場と相談し決定したのですが、施工限界値だと考えています。

 専門家にとってはあまり価値のないゴミ捨て場のようですが、平安から江戸まで痕跡を、断面状にみれたことに、私はかなり興奮しました。

 「野洲の家」では、山城跡、または古墳のある敷地に住宅を建てさせてもらいました。

 今回は宮内での仕事です。

 土地に対する敬意や、街に対する愛着がなければ、建築は常に身勝手なものになってしまいます。

 古都に敬意をはらい、楽しく、明るい仕事空間を実現したいと思います。

 今日は七夕。私達の夢が叶いますよう。

文責:守谷 昌紀

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐1‐プロローグ

 働く人にとって、仕事場は人生で最も長い時間を過ごす場所だ。

 クライアントは、そこを「最も心地よく、緑あふれる空間にしたい」と言った。

 「山本司法書士事務所」から「(仮称)司法書士・土地家屋調査士 山本合同事務所」へと業務拡大にともない、オフィスの建て替えを考えるようになった。

 敷地は二条城の北、丸太町通の南に位置する。

 ウナギの寝床とまでは言わないまでも、敷地の間口は6m弱。南北は14mという細長い敷地だ。

 旧オフィスは大正時代に建てられたという木造2階建てで、天井はかなり低かった。

 それでも創業者の父が手をいれながら使ってきたその建物を、皆で大切にしていたのだ。

 しかし、隣地との等価交換があったり、仕事の幅をより広げて行きたいという気持ちから、建て替えを決断したのだ。

 新しいオフィスは鉄骨3階建て。

 1階は全て駐車場で、2、3階がワークスペースとなる。

 3階は応接室であり、休憩室でもある。

 リビングのような空間をイメージしているが、吹抜けを介して2階ともつながる。

 2階には天窓へ向かって伸びるシンボルツリーがある。

 それを囲むオーバルカウンターには、葉の間を通り抜け、木漏れ日がおち、高低差のある開口部からは、穏やかに風が流れる。

 働く時間の中で、「心地よい」や「幸せ」とは何かを考えた、ひとつの答えだ。

 この建物を、クライアントはトップの覚悟とも言った。

 創り手は、その覚悟に応えなければならない。

文責:守谷 昌紀

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