原理を知れるか

 昨日、高松宮殿下記念世界文化賞の贈呈式がありました。

 建築部門に選ばれたのは伊東豊雄氏。受賞時のインタビューで「ちょっと大それたことを言うようだけど、21世紀の建築の原理となるような建築を作っていきたい」と発言していました。

 伊東豊雄は初期の作品から、随分作風が変化しました。1941年生まれですから、もうすぐ70歳。老いてますます盛んを地で行く建築家です。

 「それまでは、軽くて、透明感があって、美しいものを作りたい。ひたすら美しいものを作っていくしかないと思い込んでいた。けれども、美しくなくても、軽くなくても、透明でなくても、何かもっと強くて、人々にアピールするものがありうると感じ始めた」

 という記事もありました。

 ミキモト銀座2。

 表参道にあるTOD’S。

 今回の受賞は作品群に対してのものですが、この2作品にもその哲学が垣間見えます。

 建築家の語源は諸説あるのですが、ラテン語のarchitekton(アーキテクトン)と言われます。

 「arche」と「teckton」からなり、arche はアリストテレスの言ったアルケーのことで「原理」を意味します。

 tecktonはテクニック等も同じ語源である「熟達した」などの意味があります。

 よって原理を熟知したもの、となるのです。

 原理を知る。

 物創りをする上での、永遠の課題です。