愛着

 関西の料理番組によく出演していた程一彦さん。

 人気番組だった「料理の鉄人」で初めて鉄人を破ったのが程さんで、タコ対決でエビチリの陳建一を破ったそうです。

 焼き飯を作るとき、溶き卵の中にご飯を入れてから炒めるのが彼の作り方。テレビで見てから真似しているのですが、簡単にパラパラ焼き飯が出来るので、親近感を覚えていました。

 程さんが新聞に「好き嫌いをなくす一番の方法は、自分で料理する事」と書いていました。

 なるほど。これは分かります。自分で手間隙掛けて作った料理なら、美味しいところを探します。屋外で自炊して食べる料理が美味しいのも、そんな理由かもしれません。

 ハングリー・イズ・ベスト・ソースという慣用句がありますが、愛着もベスト・ソースなのです。

 また、出来合いのものを使うのは良いが、一手間掛けるのが大切とも書いています。解釈を広げて考えれば、その過程に係わることが大切、ということだと思うのです。

 これは建築も同じ。完璧な完成品を渡されるより、悩み、迷い、決断したものにやはり愛着が湧くものです。決断が大切で、悩み、迷っているだけでは愛着は湧きません。



 間もなく竣工を迎える「伊東内科クリニック」の机は、何度も修正を重ね、この形状になりました。

 机だけではありませんが、院長も「これだけ時間をかけて創ってきたので、愛着がある」と言っていました。

 もちろん私も愛着があります。

 愛情は時間に比例するとも言いますが、モノに対しても全く同じ事だと思うのです。