木の幹

 仕事場で、FMラジオをつけていると、この季節は「春」や「さくら」を題材にした曲が多く流れてきます。

 以前新聞のコラムに、ある染色家の話が載っていました。

 咲いた桜の花弁を煮出して染色すると、灰色に染まるのですが、花が咲く寸前の木の幹を煮出だすと、美しい桜色に染まるそうです。美しいのは花ですが、そこに至るまでの、根っこ、幹、枝こそがその美しさを支えています。

 遠目に山並みを眺めていると他の部分と違って、どことなく桜色っぽい部分があることに気づきます。そんな所はいちように桜の名所ですでにつぼみ、枝ともわずかに色付いています。

 木々は自らは動けないので、やって来る季節への準備は怠らないのです。

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