難解、読書の秋

 昨日、11月7日は立冬。秋は足早に……

 週末は、滋賀県の朽木に行く予定です。山中なら、紅葉がさかりでしょうか。この季節、歯ごたえのある、ありすぎる本を読みたくなるようです。

 昨年の秋は、「タイタンの妖女」カート・ヴォネガット・ジュニアにてこずっていました。

 今年はニーチェの「善悪の彼岸」。

 途中、他の本も平行しましたが、約4ヶ月掛かってしまいました。

 そもそもは、「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―」佐藤優、を読んだのがきっかけです。この本を勧めてくれた人から「彼はこんな本を読んでるみたい」と教えて貰ってのです。

 古典から哲学書まで、どう見ても難解そうなものばかり。たまにはそんな本を読まないといけないなと思い、久し振りにニーチェを読み始めました。

 しかしこれはカート・ヴォネガット・ジュニアの比ではありませんでした。難解につぐ難解。形容につぐ形容。訳者は「ビルマの竪琴」の著者、竹山道雄。彼もあとがきに、難解だと書いていました。

 男子の成熟。―小児のときの遊戯の際に示したあの真剣さを、ふたたび見いだしたこと。

 愛よりなされたことは、全て善悪の彼岸に起る。

 前者は理解できます。しかし後者は……何とかかんとか読み終わりました。

 今度は楽しく読める小説をと「官僚たちの夏」を選びました。

 著者の城山三郎は社会派小説家と呼ばれ、一度読んでみたいと思っていたのです。

 1960年代の通産省を舞台に官僚のトップ、次官となる主人公、風越信吾。彼は、ミスター通産省と呼ばれる名物官僚で、大臣、総理との論戦も辞さないという豪傑タイプ。

 池田勇人、佐藤栄作など実在の総理もモデルとなっている通り、多くの人物が実在したようです。日本が我武者羅に働いていた時代の、官僚の栄光と悲哀を描いた話と言えばよいでしょうか。やはり小説は読みやすい。

 例えばテレビで、評論家が難しい時事問題を簡潔に解説し、一刀両断に結論付ける場面があります。爽快な感もありますが、普段の暮らし、仕事ではなかなかそうならないもの。

 「バカの壁」の著者、脳科学者・養老猛は「常に脳にトゲが刺さっている。そんなちょっと気持ち悪い状態じゃないといけない」と言っていました。何かちょっと気持ち悪いくらいで丁度いいのだと。

 自分の哲学と合わない事を避けていたなあ、と思う時があります。しかし、会話でも答えが予測できないほうが刺激的なもの。苦手、知らない、ところに成長の余地はありそうです。

 次に読むのはまた来年か。秋は難解が良いかも。
 
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■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』■■■ 7月8日(日)「匠」として出演しました

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