人の記憶は、そこから消えそうになると、脳に焼き付けられるそうです。
先週、木曽福島へ向かう際の義妹との話しです。
木曽福島の少し手前、中山道沿いに「寝覚めの床」という所があります。
彼女は、小さい頃から何度も電車で、木曽の山荘へ通っています。電車がこの地に近づくと、その度に車内放送で説明が流れます。
何十回聞いたか分からないのに、今聞かれて説明できないと、笑っていました。
奇岩の中を木曽川が流れる景勝地。その景色に誘われ、竜宮城から帰った浦島太郎がやってきて昼寝をした。目覚めたあと、ここで玉手箱を開け、現実に戻った。夢から覚めたので「寝覚めの床」と呼ばれている。
これがいわれです。本人の名誉のために言うと、彼女は守谷家で唯一国立大を卒業。生物の研究で、修士課程を修了しています。
何かを記憶するには、以下のことが重要だそうです。
1. 書いたり、声に出したりして体で覚える。
2. 書く際はテキストを伏せ、思い出しながら書く。
覚えようとして覚えるのではなく、記憶から消えようよする時、忘れたくないという脳の働きで、よる強く記憶として焼き付けられるのです。
「学生時代に、論理的に教えて貰ったら、間違いなくやったのに」という気持ちと、「聞いたことがあるけど、やらなかったなあ」という後悔。
いつでも言ってくれるなら、覚える必要はありません。「何度言えば分るんだ!」ではなく、何度も言うから分からないというこのパラドックス。
人の記憶の関係は、人と人の関係そのものでした。