タグ別アーカイブ: 夕景

雨濡れて、夕景鮮やか‐1840‐

先週土曜日は、「The Longing House」の撮影でした。

撮影日の心配事はいつも同じですが、見事に晴れてくれました。

今回も撮影は冨田英次さん。

こちらのお家、住宅としてはかなり大きい部類に入ります。

さらに見せ場もたっぷり。

ご家族にも協力して貰い、どんどん撮り進めて行きます。

家具、ライト、タイル、そしてこのヘリンボーン張りのフローリング。

こだわりのない場所などひとつもありません。

最終的に、このアングルでご家族に入ってもらい、人物ありの撮影もしました。

こちらは手押しポンプを備えた井戸のようなもの。

機能面、安全対策においてもフルコースなのです。

結局、午前の部が15時すぎまで掛かってしまいました。

撮影後にしておきたいことがあったので、夕景撮影の前に一旦車でアトリエに戻りました。

17時半頃、再度電車で戻ってくると、かなり激しい雨が降ってきました。

予報にもなかったので、まさか雨は想定しておらず、駅で雨宿りです。

ただ、完全に夕立ちの雰囲気で、すぐに日がさしてきました。

撮影は大丈夫だろうかと気をもみながら、現地へ戻ったのです。

まんべんなく濡れていたので、そのまま撮影に入れました。

まだらになっていたりすると、拭くか、濡らすかの作業が必要になります。

夕景のシャッターチャンスはかなり限られているのです。

これまでに何度か痛い目にあっていたので、無事撮影ができ、ほっと胸をなでおろしたのです。

むしろ雨濡れて、夕景は鮮やか。

最高のシチュエーションとなってくれました。

帰りの電車は爆睡でアトリエに戻り、翌日の打合せの準備をしました。

雨の時間が30分ずれていれば、夕景撮影は完全に無理でした。

精一杯頑張っていれば、幸運もやってくるはず。そう信じて今日もヘトヘトになるまで働きます。

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■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
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奥さんの念願が叶いました‐1758‐

 クリスマスイブの夜、アトリエで仕事をしていると、クライアントからとびきり嬉しいメールが届きました。

 添付画像はこのクリスマスツリー。

 webサイトにUPする前に「ときめく紺色の家」の下書きを送っていました。

 どこまで写真やデータを公開させて貰って良いか相談する為ですが、その返信が以下のものでした。

 守谷さん

 お世話になります。

 奥さんと拝見しました。

 すべて満足していますので、すべてお任せ致します。

 そして、奥さんよりの伝言です。

 添付写真のように、「階段下から見るツリー等々奥さんの念願が叶いました」と。

 また、最近めっきり冬らしくなりましたが、当初懸念していた結露はサッシに少し付着するくらいで全く問題ありません。

その僅かな結露もサッシの外に流れる構造になっているようですし。

 ビフォーと同じくガスファンヒーターを使用していながらです。

 2階が暖かいのです。昼間の暖かさを保温しているようです。床暖房をなしにして良かったと思います。

 後は、将来的に東隣と南東の家が建て替えになるまで朝陽を楽しみたいと思います。

 撮影の候補日を2つ貰っていたのですが、予報が非常に微妙で、寸前まで迷いに迷っていました。

 決行することにしたのですが、実際に青空が出たタイミングは極わずか。

 写真家の冨田さんが、その中で良い仕事をしてくれました。

 午後は雨がパラつくも、夜景も何とかコンプリート。

 全てに恵まれた、秋の一日だったのです。

 メインカットはこのアングルかなと思っています。

 幸せが香り立つようです。

 レコード、バイク、マラソンとご主人は本当に多趣味な方です。

 メールにあった朝日は、この窓から見えるもの。

 以前は寝室があった場所なので、物理的には見えたはずです。

 しかし日々の暮らしの中で、朝食は1階のLDKに降りなければならないので、朝日が見れるタイミングは、かなり限られていたと想像します。

 建築設計だけではありませんが、この「時間軸」というものは、思いの他、様々なことに影響を与えていると感じるのです。

 朝日や夕日は、自然が毎日私達に与えてくれる素晴らしいプレゼント。

 私も一度、ここから見てみたいものです。

 南の建物が隣接している場合は、ハイサイドが良く効いてきます。

 この瓦屋根が見える景色はすこぶる好評です。

 加えて夏の日差しはそこまで入りません。

 ダイニングチェアをくるりと回せば、パウダースペース

 娘さんと2人で仲良く使っているとのことでした。

 撮影日当日、その娘さんの動きが素晴らしく、どれだけ助けられたことか。

 以前なら、スタッフに指示するだけだったのが、人手不足で妻まで連れていくような状況で……

 感謝の気持ちが表しきれない程だったのです。

 また、東西に御陵があるので、風の抜け道を作ってあげると本当に気持ちの良い風が吹き抜けます。

 キーワードのファンキーは奥様から出たもの。

 エントランスはかなり体現出来たかなと。

 サンワカンパニーのレノスというタイルでした。

 そのエントランスから見て右手のピンクは娘さんの部屋。

 ブルーはトイレです。

 大きくはないのですが、その先にある寝室がなかなか面白いのです。

 奥さんが、服と小物をコーディネイトできるよう、ガラスの棚をしつらえました。

 色々なバリエーションを考えることで、長く洋服も着れるとのこと。納得したのです。

 これがビフォーのほぼ同じアングルです。

 外観はこんな感じ。

 1階のLDKはやはり暗く、左の食器棚裏がカビているのも、改善すべき点でした。

 2階中央の洋室は、完全に物置になってしましたが、この上部にハイサイドを穿ち、瓦屋根の見える景色に変えたのです。

 2階の東端にあった「寝室からの景色は好きなんです」と聞き、私の中でプランはすぐに決まりました。

 更に、2階では階段のある中央部が暗かったので、北向きに思いきって大開口を取りました。

 クリスマスツリーは丁度このグリーンの位置に置いてあるものです。

 階段から見上げたクリスマスツリーのある風景。

 こちらもクラアントが送ってくれた画像ですが、ご主人から「奥さんの念願が叶いました」と聞くと、私も幸せな気持ちで一杯になるのです。

 私のクライアントで「どうにもこうにも仲が悪くて」と言う夫妻は勿論居ません。

 しかしその中でも飛び切り仲のよい、ポジティブなご夫妻でした。

 創り手がどれだけあがいても、幸せの景色は、溢れる愛情がなければ絶対に実現しないものです。

 私にとっても、最高のクリスマスプレゼントになりました。

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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夕景に始まり‐1681‐

 昨日、「うえだクリニック」当社のサイトにUPしました。

 2018年の8月にオファーを貰った計画ですが、ここまでくるとようやく一区切りです。

 3月半ばに撮影したのですが、天気は何とか粘り勝ち。

 今回は冨田英次さんという写真家に、初めて撮ってもらいました。

 一番の特徴は、やはりこの広い待合です。

 吹き抜けにある大開口はバルコニーの向こう側にあるルーバーで覆われています。

 ルーバー⇒バルコニー⇒待合と通過させることで、直射を間接光に変えようと考えました。

 その横にキャットウォーク状の空間があります。

 こちらも側面にある開口からの光を、より柔らかいものに変える効果を狙ったものです。

 最新鋭の機器を備えたMRI室は黄緑を基調としました。

 森の中にいるような気持になって、うたた寝していた、となれば素晴らしいのですが。

 診療科目によっては、光が邪魔になることもあります。

 しかし、今回はハイサイドを採用することができました。ハイサイドは東面が特に質が高いのです。

 前クリニックには無かったのが、2階のエリアです。

 本格的なトレッドミルのあるトレーニングルームは、シャワールームも併設しています。

 そしてスタッフルーム。

 キッチンが横にあり、ちょっとした調理が可能です。

 スタッフへの心遣いが、この2階建てのプランを生んだのです。

 スタッフの方も使ってくれていると聞くと嬉しくなります。

 院長は、マラソン、トレイルラン、富士山登頂マラソンまで走る、いわば鉄人。

 撮影の日も急にお願いしたのですが、かなりのスピードで走ってくれたのです。

 非常にポジティブな方で、今まで私が温めてきた案をいくつも採用して貰いました。

 トップライトは明るくなりすぎないよう、こんな配慮をしていると相談すると、OKがでました。

 開院後、患者さんからも「奇麗な」「立派な」「広い」「斬新な」等のお言葉を頂き、喜んでいただけている印象です、と言って貰ったのです。

 その院長が一番良いと言ってくれたのがこの夕景。

 夕景へのこだわりは、決して小さくありません。

 初めての作品「松並木のある家」が完成したのが1997年。

 この夕景で年賀状を作ると、ある人に「この門を設計したの?」と聞かれ、ずっこけたのです。

 2作目の「Spoon cafe」は1998年。この撮影は本当に苦労しました。

 フィルム時代だったので、2分くらいシャッターを開いていたと思います。

 阪急の門戸厄神駅前は、人通りも車の往来も激しく、さらに放置自転車の移動は中々の重労働でした。

 同じく1998年の3作目「白馬の山小屋」は、その名の通り長野県の白馬にあります。

 重鎮の写真家・川元斉さんも一緒に車に乗ってもらい、ここで一泊して貰いました。

 この頃お願いしていた川元さんは夕景が特に上手い写真家でした。

 2006年「下町のコンクリートCUBE」のこのカットは、今も名刺に載せています。

 先日もある会合で「あっ、この作品知ってます」と言って貰いました。

 最も好きなカットのひとつです。

 写真家によって、夕景は特に考え方がでるものです。

 望遠レンズで、池越しに撮って貰ったのは2008年の「池を望む家」

 こちらも重鎮と言ってよい、絹巻豊さんにお願いしたものです。このあたりが、デジカメとの分岐点でした。

 予算がない時は、自分で撮ったこともあります。

 2010年の「イタウバハウス」です。やはりちょっと腕が落ちます。

 最近は平井美行さんに撮って貰う機会が多くなりました。

 2017年の「さかたファミリー歯科クリニック」

 2018年の「トレジャーキッズたかどの保育園」

 そして2019年の「住吉区歯科医師会館」

 建築にとって開口部は、人の目のようなものです。

 目から感情が伝わってくるように、内部空間の雰囲気が漏れ出し、建物の印象を決定付けます。

 それゆえ、夕景の方が情緒豊かです。

 六甲山や生駒山から夜の街を見下ろした時、無数の光に人の温かさや息吹を感じるのに似ているかもしれません。

 夕景に始まった私の物創り人生ですが、いつか夕景で終わるのでしょうか。

 最高の一枚を求め続けます。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
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■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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