アマゾンリフォーム‐1181‐

 昨日から7月に入りました。

 梅雨明けが待ち遠しいところですが、夏祭りが始まる季節。近所のだんじりが、試験引きに回ってきました。

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 6月30日「アマゾン ジャパン、リフォーム定額販売に参入」というニュースがありました。以下、記事の抜粋です。

 アマゾン ジャパンは2015年6月30日、EC(電子商取引)サイトのAmazon.co.jpでリフォーム商品・サービスの取り扱いを始めたと発表した。「キッチンやトイレ、ユニットバスなどを、工事費込みで1クリックで購入できるようになる」(同社のジャスパー・チャン社長)。

 アマゾン ジャパンがAmazon.co.jp内に「リフォームストア」を立ち上げ、積水ハウスグループ、大和ハウスリフォーム、ダスキンが約5000品目の商品やサービスを定額料金で出品する。

 今回、Amazon.co.jpに商品を提供する事業者も「ネット販売は、リフォーム市場の拡大につながる」(積水ハウス 社長兼COOの阿部俊則氏)と、新たな販路に期待を示す。

 「Amazon.co.jpのカスタマーレビューで五つ星をいただけるよう、工事を担う人材の育成に全力を尽くしたい」(阿部氏)。

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 現在、見積り調整中のリノベーション。この細い路地を入ったところに現場はあります。

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 最も狭いところは1.4m。資材の搬入も手仕事になりそうです。

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 築100年は越えようかという建物で、雰囲気は十分。

 しかし中はもっと凄いのです。

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 雨漏りが。

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 1階まで水道が貫通しています。

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 前の持ち主が引っ越す際、向かいに住むクライアントに「買ってくれないか」と打診しました。

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 かなり強引な屋根の架け替えがしてあります。

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 少しでも光を入れたかったのか、物干しとして使っていたのか。

 気持ちは分りますが、この形状ならどうしても漏ってしまうでしょう。

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 急な階段を上がると、2階は更に厳しい現状が待っています。

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 雨漏り、シロアリに柱は喰われ、かなり屋根が下がっています。

 大きな地震がくれば、屋根が落ちないとは言えません。

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 この現場は、見積りがスタートして、すでに2ヶ月。その前の、調査・設計期間が半年です。

 設計においての考え方、各施工会社の工事の仕方など、一つとして、同じものはありません。それが、リノベーションです。

 リノベーションは既存建物の価値を上げるという意味があります。よって、直すというニュアンスのリフォームではなく、こちらを好んで使っているのです。

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 職人の高齢化、東京オリンピックによる人材不足は深刻です。建築施工会社は淘汰が進み、適正な金額で仕事が出来る施工会社は、どこも忙しくしています。

 実際に工事をするのは施工会社が率いる職人チーム。ハウスメーカーという施工会社は極論すれば無いと言えます。

 ハウスメーカーの仕事を請け負うと、分厚い施工要領所が送られてくるそうです。

 どこの寸法をチェックし、どの角度から写真をとり、どの位置にビスをうち……と、誰でも施工出来るようになっているのです。

 マニュアル化全盛の時代ですが、建築現場にもその波が押寄せてきました。

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 EC(電子商取引)が時代の中心となっていうのは紛れもない事実です。しかし、物創りの現場に居る人は、今も昔も変わりません。

 「工事を担う人材の育成に全力を尽くしたい」というコメントには、仕事があれば、職人は育つと思っているのではないかと感じます。

 技術を磨く為には、相当な時間が掛ります。それは、合理的でない場合が殆ど。必要なのは仕事ではなく、仕事に掛ける時間、仕事をしてくれる人に対する敬意ではないかと思うのです。

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 巨大企業に私が吼えた所で、なんの影響もないでしょう。

 しかし、リフォーム、リノベーションは経験、感覚がものを言いいます。覚悟されて、参入下さい。

 仕事を取れる会社が、発言力を持つのは、いつの時代も同じ。私も、最も求められる建築家を目指してきました。

 しかし、コストのしわ寄せ、無理な納期など、泣きの見るのは現場の職人という構図を避けなければ、建築現場の未来はありません。