絵日記

 先週末、母の郷里の香川県へ行ってきました。

小学生の頃、父と母は商売が忙しく、私たち兄弟は夏休みの大半をそれぞれの郷里で過ごしたので、いろんな思い出があります。

 夏でも朝、顔を洗う井戸水がとても冷たかったこと。山から、街の光に向かってカブトムシが飛んで来るので、早起きすればモゾモゾ動いているカブトムシを拾うだけで、虫カゴが一杯になったことなど。

 小学校の頃、夏休みの宿題に絵日記がありました。

 ある朝、庭の松の木に乳白色のセミの幼虫を見つけました。脱皮したカラは何度も見たことがありましたが、生まれる前の幼虫は初めてだったので、観察していると、ナント背中が割れて羽化を始めたのです。

 何時間かかって成虫になったかは覚えていませんが、時間が経つのも忘れて観察し、その日の絵日記に5日分のページを使って書きました。小学校の先生が1文字づつに○を付けてくれたことを良く覚えています。

 今は祖母ひとりになりましたが、とても穏やかな顔をしています。小さくなったように感じる家と、庭の松の木を見ながらそんな事を思い出していました。