カテゴリー別アーカイブ: 04 建築

今年の七夕、父は

 先週土曜日は’07年7月7日。7が3つ並んだ七夕でした。

 大阪のある神社。七夕前日の風景です。

 境内には短冊とペンが置いてあって、近所の子供が願い事を結んで貰っていました。

 何故ここに居るかと言うと、境内にある住居部分の建替えの設計をしているのです。

 その計画をテレビ番組が取材する事になりました。

 建てる前の引越しから竣工まで、通して撮影したいとオファーがありました。クライアントに聞くとOK。この日は私も……。何とも気恥ずかしい限りですが。

 この計画、現在は予算調整中で本当に放映されるのかは知りませんが、どうせ一部始終を撮られるのだしとUPしてみました。

 翌、七夕当日は昨年完成した”光庭の家”の取材がありました。こちらは住宅雑誌です。

 共にまた確定したらUPしたいと思います。

 幼稚園へ行く、ウチの子供の短冊には”お父さんみたいになりたい”と。笑ってしまいますが、妻の誘導があったとは言え、身が引き締まる思いです。

 応援歌は忌野清の志郎の”♪昼間のパパは~♪”でしょうか。

鬼門のお話

 建築、特に家を設計する際には、いろんな制約があります。鬼門もその一種と言えますが、やや趣を異にします。

 こだわるか、こだわらないかを別にしても、解釈が一通りでないのです。概ね”北東を鬼門、南西を裏鬼門とし、玄関や水廻りを避ける”というものですが、起源の諸説をいくつか上げてみます。

1-古代中国の家創りの知恵で、黄河中流域から見て、北東から攻めてくる匈奴に代表される遊牧民、南西から吹く強い季節風を防ぐ為、玄関を設けない。
2-中国では、地域によって違いがあるもの、北東と南西の風が多く、カマドの火の粉が家の中に入らないよう、台所を設けない。
3-北東は日当たりが悪く湿気がこもりやすい。南西は日当たりが良すぎるので水や食べ物が痛み易いので、水廻りを設けない。
4-風水学に基づいて。

 4は学問なので取り上げるのは止めますが、世間で言われる事は、中国から伝わったものと、生活からの知恵が入り混じったものと言えるでしょう。

 関西ではこだわる人が多いそうで、建売住宅でも、北東に玄関とトイレを作らないのは定石のようです。”大阪城には北東にトイレがあったから、太閤さまは早くに亡くなった”とか言う話は会話として聞いた事があります。
 
 実際に家の設計をする際、仮に北東と南西に向かって45度の範囲とすれば、全体の1/4が凶となってしまいます。これが二世帯住宅等にになると、もう大変なのです。気にする方に対しては、出来る限り工夫しますが、実際問題として、鬼門封じに頼ることもあるのです。ちなみに、京都の北東に比叡山延暦寺があるのも鬼門除けと言われています。

 その鬼門除けですが、これもまた諸説様々。家の場合それぞれに社を作る訳にはいきませんから、その方向に植物を植える。それも中国の故事にちなんで桃の木とか、”難を転じる”のでナンテンとか。魔よけに柊やザクロなどと言うのも聞いた事があります。また白は清浄を表すので白い玉砂利を敷いたり、清めの盛り塩をしたり。

 起源まで立ち返ると、台風などで家が吹き飛ばない(当たり前)ようにし、水廻りに対しては、風通しを良く、光の入りすぎをコントロールすれば良いはずですが、何より住まい手の不安を残さないようにしなければなりません。

 絶対の正解がないのは、それはそれで難しい事と言えます。これは家創り全体にも言えるのですが。

京都、宝ヶ池良い所

 一昨日、京都盆地は北東端、宝ヶ池に行っていました。宝ヶ池プリンスホテルで、ある会合があったのです。

 この日は花冷えで、最高気温も10度あるなし。鴨川の源流、高倉川の桜も七分咲きでした。

 向かいにあるのは国立京都国際会館で1966年(昭和41年)の竣工。大谷幸夫氏の設計です。

 なんとなくアニメ・ガンダムに出てくる、ホワイトベースを連想させませんか。コンペで勝ち残ったにも関わらず、当時はかなり物議をかもし出したようです。

 ホテルのアプローチには枝垂桜。こちらは満開でした。

 宝ヶ池プリンスホテルは1986年(昭和61年)の竣工です。関西の重鎮、今は亡き村野藤吾氏によって設計されました。代表作は新高輪プリンスホテル、大阪新歌舞伎座など。

 天井と柱の取合い部は、独特の有機的なデザインが見て取れます。

 ロビーの向かいには茶室も。数奇屋建築も得意とするところと、重鎮は一味も二味も違うのです。

 会合が終わると日は暮れていました。このホテルはドーナツ型の平面を持っています。中心部となる中庭へ出てみると、ひんやりとした空気はやはり京都の夜でした。

 心地よいスケール感で、ライトアップされた桜も良く生えています。真っ直ぐに伸びた竹は、円形の中庭をより印象付けるのです。

 僭越ではありますが、同じ創り手として”さすが巨匠!”と唸ってしまうのです。

コミュニティープラザ平野で

 先週末に長男のお遊戯会がありました。会場は大阪市平野区長吉出戸にある区民ホール。愛称コミュニティープラザ平野は大阪の重鎮、出江寛氏の設計です。

 氏は現代の材料を使って日本の美を追求しており、この建物は近隣の町屋をモチーフにしたとの事。鉄筋コンクリート打放しに瓦屋根という公共建築なのです。

 ホールにはいると、三角に切り取られた南の開口から、光が差し込んできます。天井にはスレートの波板仕上。工場の屋根に良く使われる材料と言えば伝わるでしょうか。安価な素材に思いを込める。その思想を私も尊敬しています。

 お遊戯会のほうは、出演時間5分程。無事自分の役割をこなしてくれました。衣装に苦心していた妻は、とても喜んでいました。

 運動会の件があったので、結構心配していたのです。

 しかし今回は片肌脱いで熱演してくれました。

カメラを撮る

 竣工写真の撮影については何度か書きました。先週末は、今年初めての撮影でした。

いつも撮ろうと思いながら、忘れてしまう写真家の専用カメラ。10年以上の付き合いになりますが、やっと撮りました。

 フィルムのサイズから”4×5(しのご)”と言われます。通常のフィルム巾の35mmに対して、4インチ×5インチ(100mm×125mm)ですから、約3.5倍の大きさ。

 後ろから見て、アングルを決めます。しかし、真ん中のガラス部分には上下左右の反転した象が写るだけです。像なので、暗幕を頭から被らないと、はっきりとは見えません。

 本体はスイス製、レンズはドイツ製、三脚はフランス製との事。機能を追及して出来たものでしょうが、形、質感とも、なんとも言えない美しさと味わいを感じます。

 オープンデスクの学生も撮影に立ち会うと、とても喜びます。実務の体験以上に。

横に立ってシャッターを切ります。夜景を撮る時は、数分シャッターを開いている事も。その間は、人が前を通らないか、車は来ないかと気をもむ時間なのです。

 しかし、佇まいも含めて”プロの仕事だなあ”と思う瞬間です。

「城陽の家」 掲載

 年末にかけて当事務所の作品が、2つの雑誌で紹介されます。

①『1000万円台で家を建てる!Vol.3(ニューハウス出版より12/16発売)

 「城陽の家」が「Tさんのお宅」として紹介されました。(P20~24)
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『すまいnet関西 Vol.7』(ザネットより12/25発売予定)

 こちらは関西圏のみの発売で見開き1ページですが、同作品が紹介されます。書店と共にサークルKサンクスにも置いてあるそうです。

①は正確に言うと、出版ではムックという分類です。

ムック-雑誌であるが、不定期な発行や雑誌の付録として認められていないものが付録に付いているなどの理由で書籍扱いになっている本。 『ウィキペディア(Wikipedia)』より

 なので、雑誌より長く書店に置かれています。これは私にとっては嬉しい事。書店などにお立ち寄りの際は、是非ご覧下さい。

一級建築士事務所アトリエ m

人と湿度の微妙な関係

 昨日の大阪は、最低気温が8℃。

 秋の風情が無いと嘆いていたら、急に冷え込んできました。

 前から買おうと思いながら、やっと買ったのが湿度計付き温度計。

 現在、事務所内は気温25℃、湿度36%です。人というのは、実に湿度に影響されるのです。

 例えば夏。健康によい室温は27~28℃と言われています。

 しかし夏の湿度は70~80%くらいあり、あまり涼しく感じません。

 それが50%以下になると、汗が蒸発し易くなり、気化熱を奪う事で涼しく感じるのです。湿度を60%以下に抑えると、カビやダニの発生を抑える効果も期待できます。

 逆に冬は、湿度が高ければ多少室温が低くても、あまり寒さを感じません。冬の外気は乾燥しています。

 それが室内で暖めるられると膨張し、相対的な湿度は更に下がります。湿度を調整しないと、より寒く感じる訳です。

 また、ウイルスは低温、低湿度を好む為、湿度が低いと盛んに活動します。乾燥は喉の保護作用も低下させます。ウイルスが体内に侵入しやすくなるのです。

 では湿度は高いほうが良いかと言うと、そうでもありません。高すぎると今度は結露の問題が発生します。

 室内の温かく、湿度の高い空気が、室温の低い押入れ等に流れ込むと、急に冷やされ、壁面などに水滴として現れます。これが表面結露です。

 その他に、壁内に発生する内部結露もあり、家にとっては厄介な問題です。様々な要素が絡み合っているので、折を見て詳しく説明したいと思います。

 結論としては、一年を通して快適な湿度は45~60%くらい。冬でも30%以上に保ちたいものです。

 ちなみに、少々湿度の高い日でも、屋内より屋外の湿度が高いことは滅多にありません。

 湿度の調整を、除湿器や加湿器に頼らず実現するには、”風通し”がとても重要になってくるのです。

改修の後には

 現在進行している仕事の中に住宅の改修工事があります。

 テレビ番組で、すっかり市民権を得た感もありますが、もうもうとホコリのたつ現場は、なかなかに刺激的なものです。

 今まで隠れていた構造体があらわになり、これから生まれ変わろうとする現場には、多くの職人が入り乱れ、熱気や活気が満ちています。

 建築が創り上げられて行く過程は、荒々しく、躍動感があるので、多くの視聴者が見たいと思ったのは、至極当然かもしれんません。

 この一番面白い部分を、クライアントには出来るだけ見てもらいたいと思っています。

 現場に足を運び、職人達と会話して欲しいのです。そうすれば職人はどんな人の為にこの家を創っているかを知り、クライアントはどれだけ多くの人が汗を流しているかを見る事が出来ます。

 互いを知れば”良い家にしてあげたい””大事に使おう”と思うのが人情。良い事ばかりなのです。

 番組上の演出なのでしょうが、過程を見せずに大きな感動を与えるより、つぶさに見守って貰った上で、より良い家にするほうがずっと大事です。

 実際には、その場に立って感じてみないと分からないことも多くあるものです。

 何度も見ていたとしても、完成した時には、期待をはるかに上回るものにしたいと思います。

 生半可な取り組み方で、出来きることで無いのは重々承知の上ですが・・・・・・

 さて、最後は劇的であれるかどうか。

写真を撮る日は

 昨日の日曜日は、完成した住宅の写真撮影に行っていました。

 私が写っていますが、メインは建築専門の写真家による撮影です。昔の写真館にあるような、専用のとても大きなカメラで撮るのです。

 昨年の春に設計依頼を受け、この日までおよそ一年半。設計の最中には様々な問題を解決しなければなりません。しかし、この日が一番気をもむのです。

 まずは日程調整。クライアントの予定、写真家の都合、そして何より天候。家が完成し、日常生活が始まる中、お願いするので”明日は天気が良さそうなので”とは行きません。

 今回も一週間前から、日曜日の天気予報が二転三転するたび、一喜一憂していました。

 やはり、青空の下で撮影したい。しかし、こちらの思い通りにはならない。後はただ祈るのみ・・・・・・

 当日は、何とか青空がのぞきました。

 次は、路上駐車。車が前に止まっていると撮影は出来ません。都市部の現場では、前日からお願いの張り紙をしたり、私たちの車をギリギリまで止めておいたりと、策を講じるのです。以前、駅前店舗の撮影は、ひっきりなしに止まる、自転車、車に散々悩まされました。

 撮影が始まる前から、道を掃いたり、吹き掃除をしたり夜景の撮影が終わるまで、一日中走り回っていました。全て終了した時は、もうぐったり。

 写真を撮るために仕事をしているのではありませんが、私達の手元に残るのは写真だけです。

 前記の理由から、写真を撮れる機会もかなり限られています。

 どうせ撮るなら、良い写真家に、良い状態で撮って貰いたいと願うのです。

 後は現像を待つばかり。一区切りついた今は、とても清々しい気分です。

歩道橋からの景色

 大阪のど真ん中と言えば、梅田(キタ)の中央にある歩道橋でしょうか。

 JR大阪駅と阪急百貨店、阪神百貨店を結び、街頭インタビューのロケ地としてはおそらく関西No.1。高い分、視界も開けます。


 

 

 

 北西遠くには原広司設計の梅田スカイビル。

 空中庭園の部分を、下から持ち上げる工法が話題になりました。

 真北には、キタの顔になった感もある、ヨドバシカメラ。元祖ゴールドポイントカード、だそうです。


 

 

 

 時計回りに、北東には竹中工務店設計のアプローズタワー。

 ホテル阪急インターナショナルや劇場が入る複合施設。

 見えていませんが、東隣にある毎日放送(MBS)の社屋はMの形がモチーフになっています。


 

 

 

 

 真東は、現在は改装工事中、初代、キタの玄関口、阪急百貨店です。

 (2005/10/31の日記を参照)2011年のグランドオープンまで、工事を続けながらの営業が続きます。


 

 

 

 南西の角には、誰某も狙っていた阪神百貨店。

 (2005/11/14の日記を参照)その後ろには、最上部の電光掲示板で流れるニュースを中止するというニュースで話題になった大阪の丸ビル。

 東京と違って本当に○です。


 

 

 

 西を見ると、道路を挟んで、南側には大阪ヒルトン、最も新しいハービスエント、ハービス大阪と続き、北側には大丸百貨店のあるアクティー大阪。

 下の方には小さく大阪中央郵便局も見えます。

 

 

 

 

 ぐるりと見渡して、一番好きなのは、真南にある梅田換気塔。

 村野藤吾設計で、完成は1963年。

 ステンレスで創られた造形は躍動感に溢れ、存在感十分です。

 新高輪プリンスホテル、大阪新歌舞伎座、広島の世界平和祈念堂などを設計した村野は、昨年亡くなった丹下健三と共に、日本の建築会を牽引した巨匠です。

 1984年、93歳で亡くなる前日まで設計をしていたことは、伝説となりました。

 そのバイタリティーは、日本一の地下街と地上を結ぶ梅田換気塔から、いまでも溢れ出ているのです。