五七五

 「最近、字を書かなくなった」という会話をあちこちで聞きます。 

 スケジュール管理はスマートフォンという人も多く、ペーパーレス化が加速していると実感するのです。そんな事もあり、長男は書道教室に通っています。その教室で俳句大会があるらしいのです。

 さっそく五七五のルールを習ったようで、指を折りながら、言っています。

 草の中 バッタのレース おもしろい
 公園で ウンテイをして マメできた

 ただ文数を合わせるだけですが、それでも色々と考えているようです。先日買い与えた本には、小林一茶が載っていました。

 やれ打な 蝿が手をすり 足をする
 痩せがえる 負けるな一茶 是にあり
 めでたさも 中位なり おらが春

 一茶は、小さい物、弱い者の見方をする人でした、と解説にありました。

 歴史に名を残す俳人ですから当たり前ですが、たった17文字でここまで違うのです。

 コミカルだったりアイロニカル(皮肉)だったりする句は、一茶のお得意とも言えます。

 早くに母親と死に別れたり、その生い立ちとも関係しているようですが、アイロニカルな表現は、嫌味を感じるか、ふと笑ってしまうか紙一重。この辺りが一流との境目でしょうか。
 
 日本の文化には、金閣寺、日光東照宮、金の茶室など、豪華な貴族文化もありますが、利休の待庵などに代表される「わびさび」の文化もあります。これは、それらへの反発心からくる対比文化とも言えます。

 17文字の小宇宙。

 そんな言葉が頭に浮かびますが、俳句こそがミニマリズム(最小限主義)の行きついたところと言えるかもしれません。

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