梅田新道の北東にある露 天神社(つゆのてんじんしゃ)。
「お初天神」のほうがわかりよいでしょうか。
梅雨の晴れ間に映る緑は、都心部において一服の清涼剤です。
1703年、境内で情死した遊女「お初」の名前をとってお初天神と呼ばれるようになりました。
この実話を題材に、近松門左衛門がえがいた人形浄瑠璃が「曽根崎心中」です。
「曽根崎心中」の大ヒットによって広く知られ、多くの人が訪れるようになりました。詳しくは社のwebサイトに。
南に建つのは梅新第一生命ビル。
かなりの高さですが、神社の参道に敬意をはらい、建物がくり抜かれています。
法的には不要だったと思いますが、共生するとはこういうことだと思うのです。
「埋田」が「梅田」となったと言われるほど、江戸時代までキタエリアは何もなかったといいます。
時々話題にあがる「うめきたガーデン」ですが、入園料が1000円。
ニューヨークのセントラルパークは無料。天王寺にある「てんしば」も無料です。
さらにお初天神が朝の6時から深夜0時まで、開いているのをみると……
ここは大阪の顔となりえる場所。
誰に権限があるのか知りませんが、英断を下せば喝采しか起らないと思います。
大阪市民は、ただケチなだけではありません。どこにお金を掛けるべきかを知っていると思うのです、といっておきましょう。
近くに広がるお初天神通り商店街は、戦後の闇市から発展していった雰囲気を残しています。
自然発生した街のほうに、私は魅力を感じるのです。
御堂筋沿いにある「縄すし」。この店には少し思い出があります。
27歳の頃だったか、作家の友人が個展を開きました。そして、ある方からお祝いを貰いました。
「こういったお金は、ひとりで使わないほうがいいから」みたいなことをいい、「寿司でも行こう」となったのです。
独立して2年目。人におごろうと思える程のお金は勿論ありません。
かといって、おごって貰うのも苦手で、そういう場面は極力避けていました。
当時、彼とはたまに会うくらいだったのですが、ご馳走になることにしました。
彼は私の知る中でも育ちがよく、おごるとかおごってもらうとかにまず執着していません。
「お金の使い方が分かるまでは3代かかる」と言いますが、まさにその3代目。
品とでもいえばよいのか、こういったものもそれに近い気がします。
で、この店に連れられて来たのですが、当時1皿が100円から200円くらいだったと思います。
この値段で、職人が握った寿司を食べられるのだと驚き、ビールで乾杯したのです。
ゲソの握りとサンマの握りが本当に美味しかったことを舌が覚えています。
食やお金には、人柄が顕著に表れます。そういっている時点で、まだまだお金の使い方など分かっていないのでしょう。
お金の使い方が分かっているか。
もし孫ができたら、彼が成人した時に、ゆっくり考えてみたいと思うのです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【News】
■3月25日『大改造!!劇的ビフォーアフター』朝日放送(ABC)「住之江の元長屋」再放映■
■10月29日『住人十色』毎日放送(MBS)「松虫の長屋」放映■
『建築家カタログ2016』8月29日発売に「遠里小野の家」掲載
『homify』6月4日に「松虫の長屋」掲載
『homify』5月10日に「長田の家」掲載
『homify(タイ)』4月25日に「加美の家」掲載
『homify(中国)』4月9日に「住之江の元長屋」掲載