日記に引用した言葉も含めて、「心の琴線に触れたことば」をまとめています。
概ね、名前を知る人ばかりだと思いますが、「山本隆司 エディター」は知らない人が多いと思います。
別名、ターザン山本。元週刊プロレスの編集長。何度か書きましたが、私はこの雑誌の大ファンでした。
内容について、ここでは触れませんが、彼はエディター(編集者)として、ライターとして一流だと思います。
また、エディターという仕事にプライドを持っていました。「この仕事は映画監督と同じくらい評価されていい」と言っていたのです。
色々あったようで編集長職を退き、現在はタレント、作家、と言えば良いのでしょうか。
以前「文章の書き方講座」なるものを開いていました。これがなかなか……その要旨をまとめてみます。
① 自分の考えを正確に他者に伝える。会話上手。日常生活で大事なことはこれに尽きる。とにかく大事なことは「自分の言葉を持つ」こと。言語は栄養と考えるべし。
② 他者が言った言葉を理解する能力。基礎と基本を学んでいないものに個性なんて絶対にない。我流に未来はなし。
③ 女性は自分と相手との距離感を瞬時にして察知する。目の輝きはすなわち反応力のバロメーター。
④ 才能とは人の才能を盗むこと。「利用」「活用」「応用」の三つの武器を持ったことになる。学ぶには一つしか手はない。素直な性格になること。「素直さ」に「目的意識」と「貪欲さ」が加われば、鬼に金棒。
⑤ まずセンテンス(文)を短くする。一番まずいのは、わけのわからない文章を書くこと。これを世阿弥の言葉でいうと我見(がけん)と呼ぶ。
我見と我執にこだわっている人間は伸びない。
⑥ 「いつ、どこで、誰が、何を、どうした」という4W1Hと教えられる。『時間軸』と『空間軸』は必ず具体的に明記する。
そこに主語(登場人物)がからんで物語ができあがっていく。最初の7、8行でその三つをコンパクトに書いてしまう。
⑦ 文の中に音や色を必ず盛り込んでいく。音をたくみに文の中にそっと入れていく。次は色。
活字は活字でしかない。それが文章になって人に読まれると、その瞬間から「絵」にもなれば「音楽」にもなる。
⑧ 文章とは〝風景論〟。読んでいる側は文章に何を求めているかというと、想像力による刺激。風景を想像させない文章はだめ。
文章は「シナリオを書くように」「デッサンをするように」「楽譜を書くように」して書け。
⑨ 悩んでいるということは、めざめているという証拠でもある。悩みは解決するのではなく、その向こう側にある希望を見ること。
「常識」と「傑出」したものを知ることは生きることの喜びになっていく。
世阿弥の言葉を引用するあたり、彼の真骨頂と言えます。私は彼の言葉が好きなのです。
以下は、私が仕事上のポリシーを考える際、大きく影響を受けたものです。
「夢を見ること」と「現実を直視すること」が私のペンの基本となっている。右手にロマンチズム、左手にリアリズムである。本当の夢の実現は、現実との泥臭い闘いなくしてはありえない。
-山本隆司-エディター