寄り添うことはできる

 昨日は夏至。

 当たり前の事ですが、一年で一番太陽が長く出ている日です。

 小学生が夏休みに育てるのは、ヒマワリとアサガオです。

 我が家でも、随分大きくなってきました。

 ヒマワリは向日葵と書きます。いつも太陽の方を見るように、私達も常に希望を見て生きて行きたいものです。

 玄関で子供が育てるのはカブトムシの幼虫。ついにサナギになりました。

 植物も、虫も明るい日の下に出るため、暗い土の中で過ごしている期間があります。

 人にとって、明るく前向きであることは一番大切な事です。しかし、反対の出来事からも学べる人が、更に奥行のある人へなって行くのかもしれません。

 作家の伊集院静が、テレビでこんなことを言っていました。

 「小説が人の人生を変えられるとは思っていない。ただ寄り添うことは出来る。誰しもこんな悲しみがあるんだな、とか。そういう小説を書きたい。なかなか書けないけどね」

 伊集院静は最後の無頼派と言われ、無類のギャンブル好きだそうです。

 ギャンブル小説の最高峰は阿佐田哲也の「麻雀放浪記」でしょう。学生の頃、もう熱中して読みました。本名の色川武大名義では「怪しい来客簿」や、直木賞作品「離婚」などの純文学も書く多才な作家でもあります。

 彼を師事し、晩年まで同じ卓を囲んでいたのが伊集院静でした。
 
 広告代理店のCMディレクターから始まり、近藤真彦の「愚か者」「ギンギラギンにさりげなく」の作詞と、多彩なキャリアを誇ります。直木賞作家でもあり、以前から気になる作家でしたが、まだ作品を読んだことは無いのです。

 前妻の夏目雅子が亡くなった時の事も語っていました。

 「金があれば海外で移植を受けさせられたかもしれない、と考えた。しかしそれは叶わなかった。それからは、金なんかに左右されない人生を、ビクともしない人生を歩んでやると決めた」

 ドリームズ・カム・トゥルーの吉田美和も今回の震災をふまえ「音楽が誰かを助けられるとは思っていない」と発言していました。

 「私の時も、そうだった。ただ、思っているほど、人は弱くない。ただ、音楽はそこにある事は出来る」と言っていたのです。

 共に、自身のパートナーを失った経験を語っています。その世界で上り詰めたと言っていい2人が、行きついた答えは同じものでした。

 仕事において「幸せのために」を追及して来たつもりですが、「寄り添える」という言葉を聞いた時、何の違和感もなく体の中に入って来ました。

 寄り添うことはできる。