青騎士

 今年はなんと5月下旬から梅雨入り。例年より12日も早いようです。

 昨日は台風2号の影響もあり、一日中雨風が止む時ありませんでした。

 雨なら雨なりの楽しみを、ということで神戸の兵庫県立美術館へ。

 地下駐車場は展覧会等があれば2時間400円。

 スペースも大きく、これも助かります。

螺旋階段を上がってエントランスへアプローチします。

 現在は「カンディンスキーと青騎士展」が開催されているのです。
 
 ヴァシリー・カンディンスキー(1866~1944年)は、20世紀の初頭に活躍した画家です。

 彼は1910年に初めて抽象画を描いたと言われます。

 その初期にあった芸術グループが青騎士とありました。
 
 はじめはミレーの「晩鐘」のような絵画が好きでした。そこから、シャガールやムンクのように、構図や色使いがダイナミックなものへ興味が移って行きます。

 そして、モンドリアン、クレー、ミロ、マレービッチ等の抽象画が最も気になりだしたのが、大学生の頃。カンディンスキーは現代まで続く抽象絵画の源泉にあると言えるのです。

 今回、一番良かったのは『印象Ⅲ(コンサート)』(1911年)でした。子供も連れて行ったので、慌ただしくはありましたが、それでも本物を見るのは価値があります。

 長男は何となく興味を示していました。

 カンディンスキーは、20世紀初頭から第二次世界大戦がはじまるまで、バウハウスの教官も務めています。バウハウスはドイツにあった、建築と芸術の総合学校です。

 同時期に活躍していた、モンドリアンと共にデ・ステイルという運動に参加していたのが、シュレーダー邸を設計したリートフェルト。彼も教官を務めています。建築の世界へも影響を与えていると言えるのです。

 しかし「青騎士」とは、何とも美しい響きです。

 この美術館の設計は安藤忠雄。

 長く、広く、薄く海へ向かって突き出した庇は、挑発的です。

 完成から9年。

 緑が鉄筋コンクリートの躯体を覆います。

 能の世界では、鬼の舞は優しい心をもって舞い、女の舞は鬼のように強い心をもって舞へといいます。

 無機質なコンクリートに緑と愛情を込めて、というところでしょうか。

 9年経って、一層感じが出てきました。