テレビ欄を見た時、ふと気になり録っていた番組。”DREAMS COME TRUE”のドキュメンタリーを見ました。
それまでに知っていた事は、女性から絶大な支持を受け、ヒット曲を連発する音楽ユニット。VOCALは吉田美和。彼女はこの秋に内縁の夫を亡くしたという事。自然に聞こえる範囲のものでした。
詳しくはWikipediaに。DREAMS COME TRUE
その程度の知識ですが、彼女の事を書いてみます。恥ずかしながら番組のあと、初めて聴いたCDで涙してしまったからです。
曲は”大阪LOVER”。番組内に流れていました。
大阪に住む男性との遠距離恋愛を、コミカルに描いた曲です。
今年の春にリリースされ、ラジオから流れていたのでメロディは知っていました。観終わった後、全部聴いてみたいと思ったのです。
番組では9月23日に国立競技場で最終日を迎える、2ヶ月に及ぶライブツアーを追います。
しかし、吉田美和さんの夫のことには一切触れていません。
彼女は言います。”今年のツアーはいつもより涙が出る”。
北海道の小さな町出身とありましたが、亡き夫は何処の出身なのか、2人が何処に住んでいたかも出てきません。
ただ”大阪LOVER”は、大阪もしくは大阪弁に置き換えて、彼女達のことを描いた曲と感じました。
曲は個人が創るのですから、当然とも言えますが強くそう思ったのです。
音楽だけに係わらず、人はアーティストの作品だけを見ているのではありません。
その後ろにある人生、ストーリーを意識する、しないに係わらず見ています。
逆にそれらが感じられないものは、自分の人生も投影出来ません。心は動かないのです。
多感で、繊細すぎるようにも見える吉田美和というアーティストもその人生を写しているはずなのです。
番組では最後に、全てを出し尽くしたように放心する彼女が映し出されます。
最終日は9月23日。夫が亡くなったのは9月26日。平静であったはずが無いのです。この事を知ったのは、番組を見た後でした。
知らなくても、プロとして最高のモノを届け、観客の心を揺さぶりたいと、歌う姿は迫力がありました。
そして何となくですが”夫に捧げる”という言葉が頭に浮かびます。
凄いものを見せて貰ったと言う気持ちと、見てはいけないものを見てしまった、感さえありました。
彼女は言っていました。”音楽の力って凄い”。
創り手の人生がその凄みに強く係わっています。本当に辛い事だったと思いますが、彼女はそれさえも歌う運命にあるのかもしれません。
私はアーティストと言う、純粋で不器用な表現者を見ると愛しく思うのです。