太陽の塔

 この連休は、素晴らしい天気でした。何処にも行けそうになかったので、子供と妻は高槻の実家へ帰っていました。

 日曜日、迎えに行く途中に万博記念公園の外周道路を通りました。紅葉は今が見ごろ。

 公園の中央から大阪を見下ろしているのは“太陽の塔”。ご存知、岡本太郎の代表作。

 常人離れした表情と“芸術は爆発”だという言葉はあまりにも有名です。しかし、それくらいしか知りません。それが気になりだしたのは、この夏一枚の写真を見てからでした。

 福井県で訪れた山間の静かな蕎麦屋さんに、写真は飾られていました。店主と並んでというものでなく、蕎麦に箸を付ける姿が映っています。パリッとしたYシャツにネクタイ。”かっこいい”と思ったのです。静かな横顔には哀愁さえ感じました。

 “太陽の塔”は1970年の元気な大阪のシンボルです。老朽化により解体という話もあったようですが、今年から3年間の修復工事が始まりました。残ったとしても、あの頃は良かったではダメだと思うのです。中央の顔=太陽を見ているとそんな気になるのです。

 自分の心のままに生きる芸術家を見ると、人の原型というか本性に近いものを見る気がします。彼は縄文土器に興味を持ったといいます。原始的な生活から生れた芸術に惹かれたのは、ごく自然な事だったのかもしれません。

 芸術家という人種に、どこか愛おしさを感じるのです。