カテゴリー別アーカイブ: 04 建築

オープンハウス

 先週の金曜日、現場日記にオープンハウスの告知をしました。

 週末の折込広告に入っている、内覧会のことです。場所を公開せず、申し込みのあった人に地図を送る点が、少し違うところでしょうか。

 私の事務所は今年で14年目になりますが、本格的なオープンハウスは今回が初めて。良い建物にしようと思えば、時間が有るにこした事はありません。引っ越し前のギリギリまで工事が続いているのが実状です。

 オープンハウスとなると、引っ越し前の休日が条件。更に告知期間をなど考えると……結局開催できていませんでした。何より、家はクライアントのもの。開催を前向きに考えてくれた場合に限ります。

 この計画は、平野区で20坪ほどの敷地に完成した、木造3階建てのローコスト住宅です。

 クライアントは、自身の要望と別に「頑張れば、自分達の思う家が必ず建てられる事を証明し、伝えたい」と考えていました。

 なぜそこに至ったかと言えば、まず家創りをスタートするだけでも簡単ではなかったからだと思います。

 候補の土地が見つかっては、金額が合わなかったり、建築の条件が合わなかったり。1年半の時間をかけ、目処がついたのが今年の3月。
ローンの条件で、6月末までに金額と施工会社の決定が必須でした。あわただしく図面を仕上げ、見積りをとり調整を終え、施工会社と契約。着工となったのです。

 私たち設計事務所と家を建てるのは、土地探し1つとっても、大変なことです。そこがスタートですから、完成にいたるまでには、多くの時間と、労力が必要になります。

 しかし、終盤にさしかかれば、もう終わってしまうのかという気持ちになるはずです。

 何故そんなことが言えるのか。私もそんな気分になり、その現場を見続けてきたからです。最も充実した時間は、最も苦労した時間なのです。

 と、言っているはなから「上がってきた木製建具の寸法が間違っていて、12月24日になるとメーカーが……」と監督から連絡が。
どんな状態であるにしろ、今回は必ず開催します。それもこれも全て現実。

 興味のある方は気軽に遊びに来てください。

Ohanaの仕事

昨日は、朝一番から七五三の撮影に行っていました。

 Ohanaへ初めてお客さんとして行ったのです。

 植栽も随分育ち、オリーブも1m近く伸びていました。

 子供達が着付けをしている間、1階の仕事場でカメラマンの石井さんと四方山話をしていました。

 スタッフでもある奥さんが2階のスタジオから「準備出来ま~す。そろそろテンション上げてくださ~い」と。

 ちょっと茶化して言っているのだと思っていると……全く違っていたのです。

 まずは家族写真、続いて2歳の娘、5歳の長男、最後に兄妹で。撮影に入った石井さんのテンションは凄かった。

 奥さんが「ここから笑いますよ」の通り、ありとあらゆる手(技術)を使って、子供達は笑いっぱなし。見ている私達も、涙が出るくらい笑わせて貰いました。「これだけ笑ったのは久し振り」というお客さんも居るそうです。

 スタジオ内の撮影はもちろん駄目ですが、Ohanaの仕事を知って貰うということで、横顔だけ許して貰いました。

 無理を言った割には、伝えきれないのが口惜しいのですが、こういうものは体験するしかないものです。

 撮影が終わり写真を選ぶ間、子供達は階段下の空間で遊んでいました。

 カメラマンの石井さんと知り合って約3年。

 仕事のスタイル、Ohanaの目指す方向など、何度も何度も話し合ったのですが、その仕事自体は全く知らないに等しかったのです。

 バ-ンスタインの愛弟子、指揮者の佐渡裕が、師のことをこう回想していました。

 「指揮台の上では何をしてもいい。音の為ならたとえ素っ裸になってもいいという考えでした」

 コメディアンのように笑わすというのではなく、いい表情を撮る為に手を尽くすという感じでしょうか。全く同じ考えと言えます。

 帰り際奥さんに「この建物のおかげで、ともて仕事がしやすくなりました」と言って貰い、不覚にも若干涙ぐんでしまったです。

 私が建物の設計者というのを、出来る限り差し引いて。写真が出来上がる前でも、家族にとってこの時間は、最高のエンターテイメントで、ディズニーランドへ行ったのにも負けるとも劣らないものだと思います。ディズニーランドへ行ったことはありませんが。

 出来ればその写真を見せられれば良いのですが、出来ないのが残念であり、写真スタジオの価値とも言えるのです。

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追伸:今日のお昼過ぎに、石井さんからメッセージを頂きました。そのまま転記します。
こんにちは、守谷さん
日記、読みましたよ!
いっぱい褒めていただいてありがとうございます。
もっと褒めて下さい!でも ディズニーは言いすぎw
”そろそろテンションあげてくださーい!”は
もちろん茶化して言うてるんですよw
指揮者の言葉もいいですね。
エガちゃんの言葉を思い出しました、ボクの好きな言葉です。
”俺を見て客が笑顔になる。俺はそれだけで幸せだ。
客の笑顔があれば笑わせるか笑われるかの違いなんてどうでも良いことだ。”
あと採用見送りになったカットですけど
守谷さんのブログに使える?かなと思いつつ・・・送ります。
幸せになる笑顔ですよね!
Ohana いしいたつや

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大阪の近現代建築2

 大阪の近現代建築を紹介する話の続きです。

 住宅雑誌の編集者から、大阪市内とされています。現場帰りに少しずつ足を運んでいました。こんな時でなければ、キタ、ミナミ、天王寺など、カメラを首から下げて、うろうろすることはありません。

 道頓堀にかかる戎橋から東の太左衛門橋方向を撮りました。

 太左衛門橋というよりは、たこ焼きの「大たこ」のある橋、が分かり良いかもしれません。

 戎橋の上でも撮ってみました。考えてみれば、グリコを撮ったのも生まれて初めてです。

 鰻谷あたりで、安藤忠雄設計のガレリア・アッカを探していました。タバコ屋さんのおばちゃんが「どこを探してるん?」と。

 「ああ、それならちょっと南の左手にあるわ。打ち放しやで」

 カメラを首に下げていると、何か感じが違うんだなと。また、大阪のおばちゃんに「打ち放し」と言わしめる、安藤の凄さを感じました。

 天王寺は、事務所を設立した場所なので思い入れがあります。

 本当にお金も無かったので、たまに行った安い居酒屋が「新力」。

 席は狭く、階段は急勾配。でも活気があって安くて美味しいのです。

 更に、たまに行っていたバーも探しました。

 教室のワックスの香りがする、レトロなバーでしたが、行ったり来たりしても、見当たらず。

 近くの店の主人に聞くと「ビルに建て変わったなあ。もう大分前やで」と。

 あわよくば撮影をと思っていたのが、浅はかでした。

 紹介のリストはを5件中、4件まで絞りました。この機会に大阪の街を歩いてみて、自分がどんな建築が好きで、何に影響を受けたか、輪郭が見えてきました。

 しかし、実際に一番感じたのは、街は変わるということ。

 映画「ブラック・レイン」の撮影に使われた、阪急百貨店のコンコースは大きく様変わりし、バー「桃陰」は天王寺から無くなってしまったのです。

パソコン

 事務所のパソコンが、ついに動かなくなりました。

 本日、修理を依頼したのです。

 少しだけ昔話です。

 私が大学をでて、初めて設計事務所へ勤めたのが1994年。急激にパソコンが普及し始めた頃でした。

 建築設計でも、手で描くか、パソコンのCAD(図面を描くソフト)を使うかの境目だったと思います。

 手描きの場合は、ドラフターという大きな製図台の上で描きます。図面というのは結構大きいので、立ったり座ったりしないと手が届かないもの。図面を描いていると、すごく働いている気分になれました。

 繰り返し図面を描く事で、スケール感を手が覚えると言うか、今でも出来れば手描きから入るほうが良いと思います。

 1996年に独立してからも、ずっと手描き。天王寺のワンルームマンションは、4畳しかなかったので大半はドラフターが占めていました。

 そのような感じですから、CAD化は2000年。遅いほうだったと思います。現在の設計事務所は、ほとんどCAD化されているので、私は手描き世代の一番最後と言えます。

 もう一つパソコンにこだわりがないからか、結構トラブルが発生するのです。そう言っても、パソコンなしで実務は厳しいものがありますから、今はオープンデスク用のノートパソコンで仕事をしているのです。

 事務所立ち上げの際、パソコンをはじめ現在の設備が全て必要だったら。その費用を捻出できたかどうか。初期投資、最小世代の一番最後でもあります。

ハービスPLAZA

 今日から11月。本日「伊東内科クリニック」が開院しました。

  計画を始めて1年と9ヶ月。スタート時から今年の6月まで、クライアントが海外勤務だったので、随分スカイプで打合せしました。どの建物にも、多くのストーリーが詰まっていることを改めて実感します。

 午前の診察が終わった頃、少しのぞきに行きました。スタッフの方と少しお話ししましたが、皆さん笑顔で、私も少しホッと出来たのです。

 その前、朝からは梅田のハービスPLAZA(OSAKA)へ行っていました。

 4F リビングギャラリーで大阪府建築士会「住宅を設計する仲間達」の作品展示があり、私達も参加しているのです。

 11月1日(月)~11月7日(日)の間、パネル、模型の展示をしていますので、機会があれば是非お立ち寄り下さい。

 常設で、紹介のファイルも置いてあります。

 今回のテーマは「コンクリート住宅と鉄骨住宅」。

 今回が初めてだったので、展示の位置が分かっておらず、A1のパネルにちょっと作品を詰め込み過ぎました。中央上段です。

 次回はもう少し絞ろうと思います。

 美しいホールで申し分ないのですが、中心から遠いのだけが問題でしょうか。リッツ・カールトンの東隣になります。

 また本日発売の建築ジャーナル11月号に、8ページで作品集が掲載されました。

 作品集の部分は、地域によって掲載作品が違うようです。

 今年もあと2ヶ月。やり残したことがない1年にしたいと思います。

見学会

 まだ10月というのに、すでに木枯らし1号が吹いた大阪。

 急激に寒くなり、妻と娘がカゼをひきました。長かった夏と比べると、秋は一気に通り過ぎそうです。

 今日は夕方から、週末土曜日の内覧会を控えた「伊東内科クリニック」へ。建築設計をしている友人3人と見学会です。院長に相談すると快く受け入れてくれました。

 大学の同級生で、設計事務所を営む友人が4人います。他にいるのかもしれませんが、この4人は比較的連絡を取っているのです。

 同業者ですから、友人と言うよりライバルですが、話をするだけで勉強になり、刺激になります。後の食事会では感想、意見の交換です。

 ただ、一番の問題はその食事会の場所。みな、結構味にうるさいのです。

 「刺身の美味しいところ」「ビールのジョッキは毎回替えてくれないと」等など。

 先日、ミナミの歌舞伎座裏にあるバーに連れて行って貰いました。「NOLA」というお店。

 マスターの距離感がとても良く、知性的で、落ち着きあるお店でした。

 ハンバーグも有名なステーキハウス「清起」の横を上がって行きます。

 多彩なビールが用意されており、勿論ですがジョッキは毎回替わります。

 食べ物も厳選されているのです。

 ミナミへ行くなら2軒目はここですが、今回はキタ。

 どこに行くか思案中です。

池を望む取材

 先週に続いて、昨日は「池を望む家」の取材でした。

 実際の暮らしが始まって約2年。クライアントの理解なしには成立しないもの。感謝以外ありません。

 朝の9時半から、まずは外部の撮影。

 お子さんにも協力して貰いました。

 続いて内部の撮影。

 昼からは、ダイニングで、ライターからの質問を受ける段取りです。

 私も合わせて、取材側が7人。予想以上にテキパキと進んで行きました。

 昼休憩を挟んで、ご家族の横に座って、対談形式の質問が1時間半でした。

 その後に補足カットを撮り、全て終了。

 最後にカメラマンの撮ったものを見せて貰ったのですが、流石!という感じでした。

 普段は一般誌の写真が多いようで、楽しそうで、動きのある写真が沢山ありました。

 年明け1月5日の発行予定。また、お知らせします。

ロケハン

 ロケーションハンティング、略してロケハン。テレビ等では聞きますが、昨日立ち会ってきました。

 ある大手企業が発刊する、住宅情報誌で「池を望む家」を取り上げて貰うことになったのです。

 取材は次の日曜日ですが、編集者が大変熱心な方で、誌面の構成を考える為にも現地へ伺いたいとなったのです。

 また、クライアントへのご挨拶を兼ねて、企画の意図もお伝えしたいという事でした。

 カメラマンは本の種類に興味をもって見ていました。

 外部を回っていると、池を望む庭には、ハンモックが吊り下げられていました。

 IKEAで買ったそうです。

 お子さんはとても愛嬌があります。

 彼がお腹の中にいる時からの付き合いですから、もう3年になりました。

 少し見ない間に、随分行動が機敏になっていました。

 子供の成長は本当に早いと感じます。

 企画のテーマは、建築家と一緒に作る家。巻頭9ページの特集だそうです。

 建築家との家創りははまだまだ敷居が高いので、プロセス、ストーリーから取材し、紐解いてみたいという事でした。

 何か責任重大な気もしますが、どんな誌面になるのか楽しみです。

 来週の日曜日も晴れてくれれば良いのですが。

原理を知れるか

 昨日、高松宮殿下記念世界文化賞の贈呈式がありました。

 建築部門に選ばれたのは伊東豊雄氏。受賞時のインタビューで「ちょっと大それたことを言うようだけど、21世紀の建築の原理となるような建築を作っていきたい」と発言していました。

 伊東豊雄は初期の作品から、随分作風が変化しました。1941年生まれですから、もうすぐ70歳。老いてますます盛んを地で行く建築家です。

 「それまでは、軽くて、透明感があって、美しいものを作りたい。ひたすら美しいものを作っていくしかないと思い込んでいた。けれども、美しくなくても、軽くなくても、透明でなくても、何かもっと強くて、人々にアピールするものがありうると感じ始めた」

 という記事もありました。

 ミキモト銀座2。

 表参道にあるTOD’S。

 今回の受賞は作品群に対してのものですが、この2作品にもその哲学が垣間見えます。

 建築家の語源は諸説あるのですが、ラテン語のarchitekton(アーキテクトン)と言われます。

 「arche」と「teckton」からなり、arche はアリストテレスの言ったアルケーのことで「原理」を意味します。

 tecktonはテクニック等も同じ語源である「熟達した」などの意味があります。

 よって原理を熟知したもの、となるのです。

 原理を知る。

 物創りをする上での、永遠の課題です。

愛着

 関西の料理番組によく出演していた程一彦さん。

 人気番組だった「料理の鉄人」で初めて鉄人を破ったのが程さんで、タコ対決でエビチリの陳建一を破ったそうです。

 焼き飯を作るとき、溶き卵の中にご飯を入れてから炒めるのが彼の作り方。テレビで見てから真似しているのですが、簡単にパラパラ焼き飯が出来るので、親近感を覚えていました。

 程さんが新聞に「好き嫌いをなくす一番の方法は、自分で料理する事」と書いていました。

 なるほど。これは分かります。自分で手間隙掛けて作った料理なら、美味しいところを探します。屋外で自炊して食べる料理が美味しいのも、そんな理由かもしれません。

 ハングリー・イズ・ベスト・ソースという慣用句がありますが、愛着もベスト・ソースなのです。

 また、出来合いのものを使うのは良いが、一手間掛けるのが大切とも書いています。解釈を広げて考えれば、その過程に係わることが大切、ということだと思うのです。

 これは建築も同じ。完璧な完成品を渡されるより、悩み、迷い、決断したものにやはり愛着が湧くものです。決断が大切で、悩み、迷っているだけでは愛着は湧きません。



 間もなく竣工を迎える「伊東内科クリニック」の机は、何度も修正を重ね、この形状になりました。

 机だけではありませんが、院長も「これだけ時間をかけて創ってきたので、愛着がある」と言っていました。

 もちろん私も愛着があります。

 愛情は時間に比例するとも言いますが、モノに対しても全く同じ事だと思うのです。