父の流儀

 ウチの子供が引きずっているのは、手製のバットです。

 2週間ほど前に実家へ寄った時の事。”これでボール打って見る?”と父が取り出して来ました。手頃な廃材があったで削りだしてみたそうです。1本目は今のより長かったので、これで2本目。孫の為だったらなんだって出来るのです。

 ちょっとグリップが太い感はありますが、前作よりフォルムがそれらしくなっています。妻も痛く感動していました。

 父は岡山の高校を出ると大阪で就職します。二十才をいくつか過ぎた頃、ガラス屋を始めました。大阪は万博景気に湧いていたとはいえ、いきなり繁盛する程甘くは無かったようです。時間が

 ある時は、店の棚、テレビを置く台等など、大概のものは自分で作っていました。

 トラックの荷台にガラスを載せる専用の台を”ウマ”と言いますが、これも大工だった祖父の手作りでした。そんな中に育ったので”要るものは作る”という考え方は私のベースにもあると思います。

 今は何でも買うほうが安い時代です。子供にも”自分で作るなんて面倒くさいしかっこ悪い”と思う時が来るでしょう。私がそうだったように。それでも自分がお祖父ちゃんになった時、バットを削っているような気がします。

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