職業建築家として

 今日は爽やかな、秋晴れの朝です。快晴は一時、日々の雑事を忘れさせてくれます。建築を設計していると純粋に建築のことだけではなく、その周囲にある問題で迷ったり、悩んだりすることもあります。

 「いい仕事がしたい」。ただその一念だけなのですが、仕事をする、生きるという事は、良い悪いだけでは判断出来ない事も起こります。迷ったり、悩んだりした時に、創り手としての心構えで、心に留めていることばがあります。

 人々にとって何等かの生きるよすがと成り得ない小説を、私は一作たりとも書きたくない。

 私は複雑で高邁なものは信じないし虚無に対して常に反抗的である。

 それぞれの場所で傷ついたり挫折したりしながらも、なお闘おうとしている人々のために、私は小説を書いてきたし、またこれからも、そうであり続ける。

宮本輝(小説家)

そう。複雑で高邁なものは信じないのです。

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