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旅の終わり‐1203‐

 世界一短い定型詩と言われる俳句。

 俳聖と呼ばれた松雄芭蕉は、十七文字で、無限に広がる風景を描きました。

 1689年、江戸を発った芭蕉は、東北、北陸を5ヶ月にわたって旅します。その紀行文が「おくのほそ道」です。

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 今夏は、行程の一部をたどりました。

 旅を終えた芭蕉は「おくのほそ道」を上方へ広めようと、人生5度目の旅にでます。

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 そして南御堂前、花屋仁右衛門の裏座敷で客死。51歳の生涯を閉じるのです。

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 本町の交差点を少し南に下った所に石碑があります。

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 「旅に病んで夢は枯野をかけまわる」

 南御堂の一角には句碑もあります。これが人生最後の句となりました。

 平安時代の歌人、能因法師や西行を倣い、歌枕を訪ねて回ったのですが、芭蕉は人生を旅と考えたのです。

 昨日は、京セラの名誉会長、稲盛和夫さんの話を聞きに行っていました。

 「いにしへの 道を聞きても 唱へても
   わが行に せずば甲斐なし」

 島津藩に伝わる、いろは歌だと教えて貰いました。

 直接の教えを請えると聞き、盛和塾に入ったのが2007年。

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 年1回、横浜で開催されるこの勉強会には、世界各国から4500名の塾生が集りました。

 稲盛さんは現在83歳。ここ数年は、仏のような優しい姿しか見たことがありませんでした。しかし、昨日は違いました。

 「ここで勉強して3年にもなるのに、少しも経営が良くなっていないとするなら、何を勉強しているのかと言わざる得ません」

 常々、

 「一流企業に勤められるのはごく僅か。日本を元気にするには、あなた達のような中小、零細企業の経営者が頑張らなければなりません」

 「経営を良くするには、人格を高めるしかない。公正明大に利益を上げ、納税することで社会に貢献しなさい」

 「何より、従業員の物心両面の幸せを追求しなさい」

 そう教えて貰いました。一方、

 「人を雇用し、働く場を創出するだけでも尊い行為です」

 と激励してくれます。そんな話を聞くたびに、いつも心洗われるのです。

 人生を旅とするなら、必ず終わりがあります。

 まだまだ健康でおられると思いますが、塾長としての一区切りのメッセージだったのではと思っています。

 ボランティアで、経営の真髄を教えて上げているのだから、良くならないなら教え甲斐がないでしょう。

 稀代の名経営者ですが、勿論同じ人間です。