カテゴリー別アーカイブ: 05 芸術・エンターテイメント

不遇の直情家、ゴッホ‐1668‐

 新型肺炎で、観光地が閑散としていると言います。

 日本経済はインバウンドにかなりの恩恵を受けていたので、観光に携わる企業はかなりの痛手だと思います。

 世の中は繋がっているので、勿論他人事ではないのですが。

 しかし兵庫県立美術館はかなりの賑わいでした。

 1月25日から3月29日まで開催のゴッホ展です。

 開館30分前に到着しましたが、チケット売り場はすでに30人ほど列が。

 みるみるうちに列は伸びて行きます。

 最近は、演出も華やか。

 webサイトのTOPページにある『糸杉』です。

 今回はこちらが目玉でしょうか。

 チケットを購入し、いざ展示室へ。

 いやがうえにも期待が高まるのです。


1887年9-10月 『パイプと麦藁帽子の自画像』

 観終わったあと、娘に小学館の「学習まんが人物館」を買い与えました。

 読んだ後、娘もそれなりの衝撃を受けているようでした。フィンセント・ファン・ゴッホの人生がいかに苦難に満ちたものだったかにです。

 1880年、27歳で画家として生きる決意をしたゴッホですが、生前は評価されずで絵も殆ど売れませんでした。

 画家としての才能を信じるのは弟のテオだけで、彼だけが良き理解者だったのです。

 これまで読んだ本からの印象ですが、情熱的ではあるがカッとなりやすく、ハンドルで言うところの「遊び」が少ない、直情家だと感じます。

 牧師の手伝いなどをした経験から、画家たちが集まってすむ修道院のような暮らしを理想という考えを持っていたようです。

 1888年2月、それを実行に移した場所が南仏のアルルです。


1988年6月 『麦畑』

 今回もその時期の描かれた作品が多数ありました。

 南仏の自然に魅入られたゴッホは、絵の具を厚く塗り重ねていく技法を確立していきます。

 ひまわり、麦畑、そして『夜のカフェ・テラス』で描いた、黄色く照らされた屋外席。

 私は『夜のカフェ・テラス』が一番好きなのですが、ゴッホの黄色はどんな展覧会場でも一番初めに目に飛び込んでくる気がします。

 当時、賛否両論だった印象派の画家とも知り合い、大きく影響を受けています。

 彼らをアルルに誘うのですが、実際にやってきたのはゴーギャンでした。

 ところが口論から「そんな役に立たない耳なら切り落としてしまえ」と言われ、あの耳切り事件が起こってしまうのです。

 1889年、自らサン・レミの精神病院に入院することになりますが、そのときに彼の心をとらえたのが糸杉でした。

1889年6月 『糸杉』

「糸杉のことを私はいつも考えている。-ひまわりの絵
のような何かを描きたい。私が糸杉を観た徳、誰もまだその絵を描いていないのに驚いた。線といい、形といい、エジプトのオベリスクのように美しい。そして緑が何とも特別なすばらしい色である」

 弟テオへの手紙でこう語っています。

 糸杉がモチーフとなっている絵は初めて観たと思いますが、最晩年の傑作だと思います。

 キャンバスからはみ出してしまっているその構図が、彼の興奮と息遣いを感じさせます。

 渦を巻くようなタッチは、彼の人生への迷いそのものでしょうか。

 その後、医師のガシェを頼ってオーヴェールへ。1890年の7月27日にピストル自殺を試み、29日に亡くなります。

 この『糸杉』を完成したおよそ1ヵ月後のことでした。

 7月に描いている『カラスのいる小麦畑』は、鮮やかな黄色の小麦畑を、暗い空が覆い、真っ黒なカラスが群れを成して飛んでいる構図です。

「自然が大変美しいとき、私は驚く程に澄んだ気持ちになる期間を経験する。私はもはや私心がない、そして絵は夢のように思われる」

 確かに死を予感させる一枚で、寒々しい迫力を感じます。

 それから97年後、1987年にゴッホの『ひまわり』を安田生命が53億円で落札します。

 この高度情報化社会ならという仮定はナンセンスですが、本当にゴッホの才能を見抜く方法はなかったのでしょうか。

 今年の7月ロンドンのナショナルギャラリーから『ひまわり』が大阪にやってくるようです。

 この不遇の直情家に何故か惹かれます。おそらく長い列ができるでしょうが、また出掛けて行くのだと思うのです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

夢のかけらを死守せよ‐1662‐

 気温的にはそれ程寒くありませんが、それでも冬の雨です。

 少し濡れると流石に風が冷たいもの。

 今週前半はぐずつくようで、一度延期した「うえだクリニック」の撮影は今週も難そう。

 子供の絵本をパラパラとめくっていると、水の循環をイラストで表した頁がありました。

 山肌に降り注いだ雨は、地下水となって川の源となります。

 いくつもの支流を集め、川幅を徐々に増し。

 上流から中流。

 中流から下流へ。

 そして海へと注ぎます。

 太陽に熱せられた海水は蒸発して雲に。それらが再び山へ雨を降らせます。

 仏教等では、全てのものは何度も生まれ変わるとされます。

 輪廻転生という考え方ですが、自然の摂理から生まれたのだと想像するのです。

 雨から川となった水は、人の世の汚れや穢れを洗いながら再び海へ。海ではバクテリアがそれらを分解し、また蒸発するときに水は浄化されます。

 この循環を自然が持ち堪えている間に、人類はもう少し生き方を修正しなければならないはずなのです。

 河はいくつもこの街流れ

 恋や夢のかけら

 みんな海に流してく

 Hold me tight 大阪ベイブルース

 何とも叙情的な詞は、大阪の海を歌った上田正樹の『悲しい色やね』から。

 上田正樹さんの作詞・作曲なのかなと思っていたら、作詞・康珍化(かんちんふぁ)、作曲・林哲司となっていました。

 このコンビで、「悲しみがとまらない」杏里、「北ウイング」中森明菜のヒット曲を生んでいます。高橋真梨子の「桃色吐息」も康珍化さんの作詞でした。

 大阪の海は 悲しい色やね

 さよならをみんな

 ここに捨てにくるから 

 詞と曲のどちらが先なのかは分かりませんが、このパートが完成した時、ヒットを確信したと思います。

 もう大阪の海が悲しい色に見えてくるのですから。

 年始から、もうフルスロットルで飛ばしてきたつもりですが、一区切りつくまであと8時間、12時間、いや数日……

 我が仕事ながら、何とも時間の掛かる仕事です。しかし「夢と希望をもって常に前向きに」と教えて貰いました。

 恋のかけらはすっかり流して貰って構いませんが、夢のかけらだけは、もう必死の形相で死守しなければなりません。
  

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:スタイル別』2019年12月31日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が2位に選出

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【News】
『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出
『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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芸歴20年で、ようやく成人‐1658‐

 成人式の日本列島は、太平洋側が概ね晴れ。

 日本海側は曇天だったようですが、多くの新成人にとっては素晴らしい門出となりました。

 晴れ着姿で、足早に会場へ向かう姿も。

 妻の通う美容院では、一番早い予約は2:30amだったそうです。

 その女性にとっては長い一日ですが、より記憶に残る日になったかもしれません。

 大阪市平野区の会場は「コミュニティ・プラザ平野」。

 反り屋根と、瓦が特徴の建物ですが、日本建築家協会会長も務めた出江寛の設計。1995年の完成です。

 成人式では格式張っているからか、「成人の日 記念のつどい」となっていました。

 すでにかなり盛り上がっており、あちらこちらで鬨の声が上がっていました。

 今日はまわりに迷惑を掛けない範囲で、十分楽しんで貰えればと思います。

 私は大学を出てから、2年と少し設計事務所に勤めましたが、所長はいずれも出江寛建築事務所の出身でした。

 その関係で、この建物の担当者の方から色々話を聞かせて貰いました。

 正面にあるガラスに濃紺の部分があるのですが、現場監督にピースの空箱(タバコ)を渡し、「この色でお願いします」と伝えたそうです。

 24歳の時に教えて貰ったのですが、色も合せて「格好いい!」と思ったのです。

 再び昨年末の「紅白歌合戦」の話ですが、氷川きよしさんのステージが話題になりました。

 演歌歌手としてデビューした氷川さんの今年のステージは、白組とも紅組とも見れる衣装で、ビジュアル系パンクバンドをも思わせる、激しいヘッドバンキングも披露しました。

 以下のような記事を見ました。

 「デビューして20年。ようやく成人して次のステップ行けるのが20年。自分らしく道を切り開いていきたい」

 社会の求める役割を20年間一所懸命に務め上げ、ここからは自分らしく生きるという宣言は、格好良くもあり、心に染み入るものがありました。

 人としての成人は自然にやってきますが、職業人としての成人は、時間と共に勝手にやってくるものではないような気がします。

 実施図面のUPを控え、年始から全力モードです。

 私も芸歴26年となりました。多様性を受け入れ、大先輩に負けない立派なプロであれるよう今日もしっかり働きます。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:スタイル別』2019年12月31日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が2位に選出

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夢をたくした500円玉を‐1655‐

 新年明けましておめでとうございます。

 今年は娘が受験生につき、正月を大阪で過ごしています。

 それでは長男が暇だろうと、阿倍野へ映画を観に行っていました。

 あべのアポロシネマが入るアポロビル。

 1972年の完成で、関西が誇る巨匠・村野藤吾の設計です。

 正面のガラス横にあった有機的な装飾が特徴でしたが、すっかり普通の壁に変わっていました。

 あべのハルカスの場所にあった前・近鉄百貨店も村野の設計でした。

 残念ではありますが、築47年の建物が残っていることを喜ぶべきでしょうか。

 長男のリクエストは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』。

 スター・ウォーズシリーズは1977年のスタートで、私達はど真ん中世代ですが、あまり観たことがありませんでした。

 長男は友人の影響で、順にシリーズを観ているので、軽くレクチャーをして貰いました。

 内容には触れませんが、少女が宿命を背負い、世界のために戦う姿は、『風の谷のナウシカ』も同じモチーフです。

 主役のレイは、気高く、極めて美しかったのです。

 相関関係があまり分かっていない私でも、文句なしに楽しめました。

 大晦日も自宅に居たのですが、ほぼ初めて『紅白歌合戦』を観ました。

 娘はテレビを我慢しているのですが、ビートたけしが歌うという記事を読み、「その時間帯だけ観てもいい?」と相談したのです。

 22:00頃にテレビを付けました。

 漫才師、芸人、俳優、映画監督、文筆家……と多くの顔をもつビートたけしですが、子供の頃からヒーローでした。

 深夜ラジオの「オールナイトニッポン」は、1981年から10年間、ほぼ全て聴いたと思います。

 そんなことを熱く語ると「ところでどこが面白いの?」と聞かれることもあります。

 面白くないという訳ではないのですが、正直私も答えられません。

 好きなことをして、人に求められ、成功して行く姿が、ただただ格好良かったのです。

 テレビ番組だけでなく、本もCDも買っていました。

 一番好きな曲が『浅草キッド』でした。

 最近はテレビ番組をあまり観ないので、久し振りに観たビートたけしは、幾分太っていましたが、年輪とともに、歌声は深みが増している気がしました。

 オケがよく聴き取れていないのか、先走ってしまう部分もありましたが、やはりとびきり格好良かったのです。

 この曲は、明治大学を中退し、浅草のフランス座で貧乏をしていた時代の元相方を歌ったものです。

 朴訥とした、真面目な詞がなんともよいのです。

 夢をたくした100円を 投げてまじめに拝んでる

 今でも時々500円玉を投げて拝むのは、この詞があったからです。

 夢はすてたと言わないで 他に道なき2人なのに

 「自分が売れたということに罪悪感がある」というコメントもありましたが、司会の内村光良が涙ぐんでいるのも印象的でした。

 私の勝手な結論です。

 芸人は面白いのは当たり前で、顔が命だと思います。

 作家・開高健はこんなことを書いていました。

 モンゴルでは風の生まれ変わりと信じられる馬を駆る少女の姿を見て「自らの美しさに全く気が付いていないその姿が美しい」と。

 うる覚えなのですが、よく分かる気がします。

 どう見えるとか、どう見て欲しいとか、そんなことを全て忘れるくらい懸命に生きる姿が美しく、格好よいのだと思うのです。

 何か宿命を背負っている訳でもありませんが、俳優になれるような顔を持っている訳でもありませんが、今年もひたむきに、懸命に生きたいと思います。

 2020年も宜しくお願いします。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:スタイル別』2019年12月31日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が2位に選出

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「風情」は凄い‐1653‐

 先週木曜日に、「ならまち」を訪れたことを書きました。

 奈良市観光協会のwebサイトにはこうあります。

 ならまちは世界遺産である元興寺の旧境内を中心とする地域を指します。

 奈良の町屋全体をそう呼ぶのかなと思っていましたが、エリアを指すものでした。

 電車で言えば近鉄奈良駅から南の商店街を抜けたあたり。

 コンビニも町屋に入っています。

 三条通り沿いにある南都銀行本店。

 東京駅や奈良ホテルの設計で知られる、辰野金吾の弟子、長野宇平治の設計。多くの銀行を設計しています。

 「南都と呼ばれる社寺のまちから商業のまちへと変化していき、現在に至る」という説明もありました。

 銀行名はここからきているようです。

 広い間口の家が多く、これは京都と反対。

 ゆったりした雰囲気なのは、このあたりが影響しているでしょう。

 風習として残るのが「身代り申(さる)」。

 「庚申(こうしん)さん」のお使いである申をかたどった魔除けが軒に吊るされています。

 家の中に災難が入ってこないよう身代わりになって貰うのですが、背中には願い事も。

 良いも悪いも背負って貰い、申し訳ない感じがしなくもありませんが。

 普通の店舗にも吊るされているのが、何だかホッとします。
 

 中心である元興寺(がんごうじ)まで南に下ってきました。

 現在の何倍もの規模を持っていたようで、ならまちエリアがほぼ境内だったそうです。

 東門の先に見えるのが、国宝・極楽堂です。

 この日は来訪者も少なく、ゆっくり見ることができます。

 南に回ると、寄棟屋根であることが分かりました。

 石仏・石塔群の「浮図田」。

 石は語らずとも何かしらの意思が伝わってくると感じるのは、決して言葉遊びではありません。

 西隣に建つのは禅室。こちらも国宝です。

 極楽堂を見返すと、西面屋根の一部は色が違うのが分かります。

 元興寺は718年に飛鳥の法興寺(飛鳥寺)が平城京に移されたお寺です。

 その法興寺(飛鳥寺)は、日本最初の本格的伽藍を持つ仏教寺院で、聖徳太子と同時代を生きた蘇我馬子が593年に創建しました。

 この部分の屋根瓦は、その頃の物で1300年の時を超えて存在する「日本最古の屋根瓦」なのです。

 現存する世界最古の木造建築は法隆寺ですが、建立が607年で、火災よって再建されたのが8世紀。

 木材としては元興寺の方が古いものだという研究もあるそうです。

 それだけの風格、風合いを感じさせるものでした。

 先日の「M-1グランプリ」でも審査員を務めたダウンタウンの松本人志さん。

 彼のコメントは常にニュースになる程、最も影響力を持つ芸人です。

 その彼に誘われて放送作家になったという高須光聖さん。自身のwebサイトでこんな事を書いていました。

 「風情」は凄い。これは日本独自のもの。同じアジアの国々にも無い。

 この黙して語らぬ凛とした空気。なんとも言えぬ落ち着いた感じは日本という国にしか存在しない。

 これはたった一軒だけでは作れないここに住む多くの人が、店が、個々で感じ取って景観を作っている その一体感が風情を作っている。

 まさに空間が作り出す共同芸術なのかも。

 メモに2007年とあるので、今も掲載されているのか分かりません。また、一字一句合っていないかもしれません。

 「ダウンタウンがいなければ……」などと言う人も居ますが、彼が関わってきた番組のキャリア、そして文章を読んでいると、間違いなく一流の香りがします。

 それは、元々才能があったのか、放送作家という過酷な仕事が彼を鍛え上げたのか、幼少期から知る松本人志の影響なのか……

 おそらくその全てだろうと想像しています。

 建築においてはプロですが、風情をここまで的確に、平易な言葉で表現するのは簡単ではありません。

 街だけでなく、人の能力も感性も、ひとりでに出来上がるものではないと感じます。

 大阪で暮らし、京都で学び、奈良で風情の奥行きを知る。

 社会に対して、周辺に対して、良い影響を与えられる仕事人でありたいと思うのです。

 ただ、あれはどう考えてもコーンフレークですが。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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世紀末の残り香を‐1624‐

 世紀末と言っても、デーモン閣下の話ではありません。

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」という展覧会を見つけました。

 子供達も時間があるというので家族で中之島へ。

 国立国際美術館は大阪市立科学館のすぐ東にあります。

 ウィーン・ミュージアムが改修中につき、クリムト、シーレ等の作品来日が実現したとあります。

 こういった特別感を漂わされると、もう駄目です。

館の設計は、あべのハルカスのファサードデザインなども手掛けたシーザー・ペリ。

 大半が地下に埋まる美術館です。

 ペリが今年の7月に亡くなったと知りました。またここで、取り上げてみたいと思います。

 世紀末ウィーン最大の画家、グスタフ・クリムト。

 1862年にウィーンで生まれ、1918年にその地で亡くなります。

 『接吻』は最も知られた作品でしょうか。

 1907-08年の作品で、ウィーンのベルベデーレ宮殿に収蔵されているので今回の展示にはありません。

 クリムトは日本の蒔絵や金箔を使った工芸品から強く影響を受けたとも言われています。

 平面的で浮世絵のような構図は、日本人にとっては馴染みやすいとも感じます。

 是非本物を見てみたいのです。

 クリムトはウィーン分離派(ゼツェッション)の創設に参加し、初代会長となりました。

 分離派の目的は2つで、オーストリア美術界の重苦しいアカデミズムから脱却し、ウィーンの大衆に新しい芸術を紹介することです。

 「未来はまわりに花開いているのに、われわれはまだ過去に縛られている」

 1891年、ウィーンの作家ヘルマン・バールの言葉ですが、彼らの運動はその時代の大衆に熱狂的に迎えられたのです。

 オーストリアで最も知られた画家となったクリムトは、ウィーン大学の天井画の依頼を受けました。

 最初のパネルを製作したとき、官能的でエロティズムに満ちた作風を批評家に非難されます。

 怒ったクリムトは、その仕事を放棄するのです。

 その批評家へのアンサーピクチャーとも言えるが1901‐02年の『金魚』。

 もとは『わが批評家たちに』と名付けようとしたというから痛快です。

 分離派は絵画だけの運動ではなく、音楽家、作家、哲学者、建築家も参加しました。

 オットー・ヴァーグナーの『マヨリカ・ハウス』は、分離派の芸術を反映しています。

 装飾的な陶製のファサードはこれまでの建築様式からの脱却を示しています。

 カールスプラッツ駅もオットー・ヴァーグナーの作品。

 これまでのルネサンスの宮殿を模していたものとは全く違い、イスラムの寺院装飾の影響も感じます。

 今回の展示には図面等もありましたが、ヴァーグナー作『カール・ルエーガー市長の椅子』の展示もありました。

 子供は「座り難そう」と言っていましたが。

 職種を越えた一大芸術運動となった分離派(ゼツェッション)ですが、世代を超えた関係も築かれました。

 クリムトは、30歳も年齢が違うエゴン・シーレの才能をいち早く評価しました。

 エゴン・シーレ『自画像』は30cm程の小作でしたが、初めて実物を見ました。

 写真とは比較にならない程素晴らしいもので、やはり画は実物を見るしかないのだと感じます。

 今回の展示で、唯一撮影OKだったのが『エミリー・フレーゲの肖像』(1902年)です。

 クリムトと愛人関係にあったと言われるエミリー・フレーゲは高級洋裁店を営んでおり、彼のモデルにもなりました。

 世紀末のウィーンにおける相関図がwebサイトにあるのですがこれが凄いのです。

 撮影可ということもあり、常に人だかりができています。

 官能的でエロティシズムに満ちたクリムトの作風からすれば、やや穏やかに見えます。

 平面的で浮世絵なような構図が、彼女の気高さを引き立てますが、彼女への愛情表現であるかもしれません。

 娘に展覧会の印象を聞くと「フェルメール展の方が良かった」と。

 フェルメールは純粋に技術が秀でているので、その通りかもしれません。

 近代、現代美術は、少し背景を知らなければ楽しみが半減するとも言えそうです。

 ただ、クリムトの本気フルコースならちょっと小学生には刺激が強すぎるので、丁度良かったと思います。

 世紀末と言えば、私達も20世紀末を経験しました。

 航空会社のミレニアム問題やノストラダムス等は話題に上がりましたが、19世紀末に起こったような大きな芸術運動は無かったと思います。

 18世紀にワットが実用化した蒸気機関に端を発した、産業革命が世界を大きく変えました。

 建築においては1889年のエッフェル塔の完成に象徴されるように、鉄の時代に入って行きます。

 分離派の目的の通り、旧態依然とした古い時代からの、大きな変換期だったからこそ、世紀末と言えば19世紀末を指すのでしょう。

 音楽で言えば、今でも80年代ポップスばかり聞いてしまうように、世紀末から20世紀前半に表れた画家ばかりが気になるのは何故でしょう。

 全ては進歩するのでもっと技術の高い画家も多く居るはずですし、もっと洗練された音楽もあるのだと思います。

 私が新しいものを探していないだけかもしれませんが、安定感で言えばやはり差があるように感じます。

 何をもって「無い」とするかは禅問答のようなものですが、やはり「初めて」には、迫力、説得力があるのです。

 アムステルダム、ユトレヒト、ウィーン、リオデジャネイロ……

 時間が出来たら行ってみたいところばかりです。

 世紀末のウィーンで起った事件、その残り香だけでも嗅ぎに行きたいと、ひとつ前に出た感じなのです。

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ブランドの盛衰とリアル無印‐1609‐

 今日から8月です。

 全国的にも暑い日が続きます。

 入道雲を見ると、やはり海へ行きたくなるのです。

 旧暦で言えば、落ち葉が舞い落ちるから葉月。

 旧暦と新暦ではズレがあるので、新暦なら葉が青々として葉月でしょうか。

 心斎橋筋商店街は、大阪で最も人の密度が高い場所のひとつです。

 娘の服を探すのに、心斎橋から難波まで歩きました。

 心斎橋側の入口横にはユニクロの旗艦店があります。

 2010年の完成で、設計は藤本壮介。同年代の建築家で、やはり刺激になります。

 ファーストリテイリング社の柳井さんへプレゼンテーションした際、即決だったとありました。

 新聞に流通業界の売り上げランキングが載っていましたが、イオン、セブンアンドアイに次いでユニクロ要するファーストリテイリング社は3位。

 三越伊勢丹を抑えてで、このブランドがどれだけ日本に浸透しているかが分かります。

 ここは小売の甲子園とも言える場所なので、勢いのあるブランドを感じることもできます。

 学生時代は沢山あったDCブランド等は、撤退しているところもありました。

 ドンキホーテの観覧車もすでに道頓堀名物。

 50年以上この場所を死守しているグリコにも、反対の凄みを感じるのです。

 この鞄屋さんも全く変わらずでした。

 高島屋前まで1.5kmくらいでしょうか。

 高島屋前で90度東に向きを変え、なんば南海通りに入ります。

 少し進めばなんばグランド花月。

 新喜劇座長の酒井藍とすっちーが居ました。

 いずれも着ぐるみですが。

 角の「たよし」も40年以上前からあると思います。

 時期が時期だけに、あちこちでカメラが回っていました。

 笑福亭仁鶴、中田カウス・ボタンから、大木こだま・ひびき、そして矢野・兵頭、テンダラーまで。
 
 吉本新喜劇ともに、揺れに揺れる、吉本ブランドを長年支え続けてきた強者たちの金看板が並びます。

 ブランドの語源は、自分の家畜を見間違わないよう押した焼き印、「Burned」からきていると言われます。

 そこから派生して、銘柄を表す「brand」となりました。元の意味にブランド=高品質は含まれていません。

 しかし、「ブランド=過去への信頼」と言う事はできそうです。

 当社にも、軽い感じで「ブランディングしますよ」のような電話が掛かってきます。

 私の知らないこともあるでしょうが、食べ物ならいくらブランディングしても、美味しくなければ見放されてしまいます。

 面白くない芸人など論外。戦略の前に質があるのは間違いないでしょう。

 若いということは、反発することに等しく、世間という実態の分からない巨人と戦ってきたという感はあります。

 面白いことに、建築という極めて高価なものだからこそ、実績の無い私にもチャンスがあったような気がします。

 比率で言えば少数派でしょうが、これは実感としてあるのです。

 それを20年以上続けてきた今、自社がブランドを目指しているのか、あくまで少数派でよいと思っているのかは微妙です。

 建築には「定礎」という物があります。大きなビルなどの基礎部分に「○○年○月竣工 設計○○ 施工○○」などの記載がある石板がそれです。

 それらが美しさを損なうなら、不要だと私は考えてきました。

 となれば、やはりブランドは目指していないのでしょう。

 ただ、あの建築の設計者は誰なんだとなったとき、見つけて貰えるくらいの発信力は必要です。

 言うなれば無印良品のタグを外した、本物の無印良品を目指すことになるのです。

 そのハードルが高いことは承知していますが、そんな気持ちが心の底のほうにあるから、モチベーションが落ちることがないのだと思います。

 暑い夏。更に情熱を込めて。

 暑苦しいのは承知の上なので、ご容赦下さいませ。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

自然はなぜ美しいのか‐1607‐

 ようやく梅雨があけました。

 色は光の産物ですが、光と影のコントラストがその原型です。

 夏の花は貴重です。

 庭木の代表格はサルスベリでしょう。

 青空に濃桃の花が極めて美しいのです。

 南面の日差し対策に、蔓系の植物を植えているところも増えました。

 近年、暑さは増す一方なので、対策があるに越したことはありません。

 22日、月曜日のうえだクリニックです。

 梅雨明け当日の外観です。

 全く違う景色に変えてくれるのが夏なのです。

 昨夏訪れた、京都・岡崎にあるロームシアター京都(京都会館)。

 設計者の前川國男は、弟子に「自然がなぜ美しいか分かるかね」と尋ねました。

 答えられずにいると「それは、自らに責任をもっているからだよ」と説いたそうです。

 どれだけ風が吹こうと、雨が降ろうと、文句をいう草木はありません。

 反対の言い方をすれば、自らに責任を持たない姿が美しくない事になります。

 ここのところ、吉本興行の話題が紙面を賑わしています。

 美しい、美しくないで判断するなら、前川の物差しを当てるのが一番簡単です。

 人は嘘をつくことが、物理的には可能です。しかし、嘘は誰もが見抜くことができるという事実もあります。

 それが法的に証明できるかということを抜きにすればですが。

 どちらが悪い、悪くないの判断を私が出来る訳ではありません。

 しかし、世の中の風を敏感に感じとることが生命線であるタレントと、一般企業の経営者を同じ土俵で勝負させるのは、ちょっと酷かもしれません。

 会社に嘘をついたところで、タレントは大きく読み違いをしました。しかし、第一線で活躍しているということは、世間に嘘が通用しないということは勿論知っているはずです。

 概ね、人は美しいものが好きだということは、まぎれもない事実だと思うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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同志は近所のおばちゃんだった‐1603‐

 私の住む平野は、大阪では堺の次に大きな環濠都市だったと言われています。

 平野郷の夏祭りの目玉はだんじり。

 各町会のだんじりが一斉に集まる九町合同曳行はなかなかの迫力です。

 先週はその試験引きをしていました。

 いよいよ夏本番が近付いてきました。

 梅雨時でエアコンの匂いが少し気になったので、クリーニングを頼みました。

 いつも頼んでいるハートクリーングの予約がとれずで、初めてハウスクリーニングサービスという会社に頼んでみました。

 テレビ出演多数、お掃除講習の講師としても活躍とありましたが、とても丁寧な人で本人が来てくれました。

 ひとりでされているそうで、大手に勤めてから独立。この道30年とのことです。

 「そんなに汚れていませんでしたね」と、テキパキと1時間程で仕事は終わりました。

 会社の中、家の中に入って貰う仕事は、仕事の精度、金額も大切ですが、やはり人柄が重要です。

 とても謙虚な人で、自宅もお願いすることにしました。誠に勝手ながら、お勧めしておきます。

 火曜日だったか、家に帰ると娘が「凄いことがおこってん!」と飛びだしてきました。

 レンタルDVDショップのくじ引きかなにかで、A賞だか、B賞だかを長男が引き当てたと。

 スパイダーマンのフィギアでした。

 この日も、スパイダーマンの新作を観に行く予習でDVDを借りていたくらいなので、2人でかなり盛り上がっていました。

 ちなみに娘はC賞だか、D賞だかでマーベル映画のポスター。

 それも喜んでいましたが。

 ヒーロー物の映画が面白くなければ商売あがったりですが、それでもマーベルの映画群は凄いものがあります。

 単体でもヒット、皆が集まればさらに大ヒット。

 これら多くの原作を手掛け、また製作の指揮をとったのがスタン・リーです。

 マーベル隆盛の礎を築いたのが彼ですが、映画の中にチョイ役で登場します。

 全て子供に教えて貰ったのですが、昨年亡くなったので、残念ながらもう観ることは出来ません。

 近頃のアイドルグループがそうであるように(昔もありましたが)、やはりチーム、仲間の力、魅力が噛みあうと掛け算となる良い例だと思います。

 会社は地下鉄の駅から3分くらいで、前に銭湯、コインランドリー等もあり、正直、タバコのポイ捨てがひどいのです。

 朝一番に来た人が、できるだけ広い範囲を拾いますが、周辺20m内に10本近く落ちていることもあります。

 清潔は気持ち良いし、良いことをしているんだと言い聞かせても、毎日同じ場所に、同じ銘柄の吸い殻があると「何ともなあ」と思うこともあります。

 6時頃会社に来た時、近所のおばちゃんが吸い殻拾いをしているのを見かけました。

 吸い殻が多く残っているのはマンション前が多く、「あそこは誰が拾ってるんだろう」と思っていたのです。

 そういったマンションに限って、管理はいい加減で、滅多に清掃員など来ないもの。その謎がようやく解けました。

 その姿を見てシンパシーを感じましたし、それだけで、ゴミ拾いの時の気分が全く違ったものになります。

 「ひとりではない」

 この意味がどれだけ大きいかを実感したのですが、同士は近所のおばちゃんでした。

 うっかりしていて、七夕が過ぎていることに気が付きました。

 受験を控える娘は、生垣の笹に短冊を。内容は書きませんが。

 2人でふざけていることもありますが、兄妹とも少し「やる気スイッチ」が入った感じがします。

 できれば、良い環境で成長して行ってくれたなら……

 そして、良い仲間が多く出来れば……

 ここは少し自戒の念も込めてですが。

 仲間、チーム、同志がいれば、粘り強さ、喜び、そして成功の度合いも、全く違ったものになってくると思うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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その小説、傑作につき‐1599‐

 昨日、関西もようやく梅雨入りしました。

 ここまで遅れたことによって、私の現場は随分助かりましたが、そんな事だけを言っている訳にはいきません。

 日本が日本であるための恵みの雨。

 アジサイも待ちくたびれていたでしょうから。

 朝一番に「うえだクリニック」の現場から戻ってくると、阪神高速は通行止めの表示がでていました。

 アナウンスされていたG20の影響ですが、丁度会社のある平野からの通行止めでした。これらも現場に響かなければ良いのですが。

 池井戸潤の小説を初めて読んだのは2年前でした。

 この頃は経済小説の名手、高杉良の作品ばかり読んでいました。「ザ・ゼネコン」という小説を購入すると、amazonでお勧めにでてきたのです。

 「鉄の骨」という同じくゼネコンの話でしたが、なかなか面白かったので、長男が持っていた「アキラとあきら」も読みました。

 こちらはドラマ化されてから文庫化されたそうですが、ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」よろしく、恵まれた御曹司と、ハングリー精神で上り詰めて行く2人の人生が交錯する様を描いています。

 そして、「下町ロケット」を読み終えました。

 十年に一度の傑作小説だと思います。

 ドラマ化もされているので、周知の作品なのだと思いますが、2011年直木賞受賞作品は伊達ではありません。

 楽しみを奪いたくないので、最小のあらすじだけ書いてみます。

 主人公は佃製作所という小さな精密機械工場の二代目社長です。

 佃航平は大学をでたあと宇宙科学開発機構の研究員となりますが、革新的なロケットエンジンの開発者でした。

 そのエンジンのトラブルで、ロケットの打ち上げは失敗。責任を取って佃製作所に戻ります。

 父を継ぎ経営者となるのですが、その技術を持った零細企業の屈辱と、忍耐と、努力と逆転の痛快物語です。

 ライバル関係にある上場企業から戦略的に訴えられ、耐力差からの兵糧攻めにあいます。

 国産ロケットを開発中の大企業、帝国重工業の社内のパワーゲームに翻弄され、ありとあらゆる屈辱を味わうのですが、このあたりの描き方が抜群に腹立たしい。

 それが、最後に溜飲を下げさせてくれる度合いを最大値にしてくれるのですが。

 上質なエンターテイメント映画を見た後のような読後感で、これだけページの先を急いだのはいつ以来だったかと思っていました。

 「子供の頃、アポロ計画に憧れて」という、ありふれたスタートからここまで描き切るのですから、その筆力は凄いの一言に尽きます。

 前回、日曜日にミナミへ行ったと書きました。

 高島屋の北西、御堂筋に面して建っていた歌舞伎座が、酷いことになっていました。

 元の歌舞伎座は、大阪が誇る建築家、故・村野藤吾の代表作です。

 その上に、こんなホテルを乗っけるとは!


 
 現代の法規制が厳しいのは分かりますが、村野なら絶対そこは貼りものにしません。

 もう呆れるレベルなのですが、何の発言力もない自分に腹が立つのです。

 宮本輝の代表作「道頓堀川」に、川下から愁いを秘めてミナミの街を眺めるシーンがあったと思います。

 それを読んでから、この辺りからミナミを見るのが好きになったのですが、新戎橋南詰には出世地蔵尊があります。

 頭を垂れて、成長、成功をお願いするのです。

 仕事を始めてからは、自分なりに精一杯生きてきたつもりですが、勿論のこと下に見られること、屈辱を受けることもあります。

 安藤忠雄とて、屈辱を受けることはあるでしょうが、もし私が、せめて関西で一番なら、例えば歌舞伎座上のホテルに関しても、少しは発言できたかもしれません。

 全ての結果は自分の責任で、誰のせいでもないのです。

 ただ文字の配列だけで、これだけ人に元気を与えたり、涙を流させたりできるのですから、作家はいつまでたってもの私の憧れの仕事です。

 やる気を出すのに、遅すぎるということはないはずです。もっと言えば、今が最速です。

 液体酸素と、液体水素は十分注入して貰いました。下半期のロケットスタートを確実に決めなければなりません。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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