カテゴリー別アーカイブ: 02 ことば・本

与えよ、さらば与えられん‐1644‐

 12月に入り、忘年会シーズンも佳境というところでしょうか。

 私の仕事には「得意先」というものが無く、かなり少ない方だと思いますが、それでもいくつかの会に声を掛けて貰いました。

 先週末は一番遠くでの開催。奈良県下北山村まで行って来ました。

 ボートを置かせて貰っている「トボトスロープ」の忘年会に声を掛けて貰ったのです。

 スロープとある通り、増減水の激しい池原ダムでボートの昇降をしてもらう、可動港のような施設です。

 池原ダムには20年以上前から訪れていますが、こちらにお世話になるようになったのは5、6年前から。

 長男が小学生になり、一時は辞めていたバス釣りを再開した頃でした。

 会場は、店長さんが近くのバンガローを借りてくれています。

 帰りを気にする必要もなく、尋常ではない釣り好きばかりが集まる、ただただ楽しい会なのです。

 常連のお客さんにプロの料理人が居られ、店長の奥さんと全て準備して下さり、私達は食べて飲むだけ。

 今年のメインはクエ鍋でした。

 おでん保温機?までお店から持って来てくれたとのこと。

 バチがあたるのではと思う程楽しませて貰いました。

 メンバーには、元プロや釣具メーカーのテスターの方まで居られ、聞けば聞く程勉強になります。

 私もここに来たなら、朝から晩までかなり集中して釣りをしているつもりですが、ある方は年に100日は来ていたとのこと。

 また、「毎日池原ダムの水位は見てるので、釣りに来ていなくても、頭では毎日釣りをしてますよ」と。

 なるほど。そこまでは出来ていないなと納得したのです。

 夜中の1時くらいまで盛り上がっていましたが、折角教えた貰ったことを試してみたいもの。

 6時に起きて湖上へ出ました。

 快晴で、ピリッとした寒さも心地よく。

 グングンという当たりがロッドから伝わって来ましたが、1匹目はウグイ。

 いわゆる外道のウグイを更にもう1匹追加。

 本命のバスを求めて大きく移動します。

 先月は、初めて野生の熊を見ました。

 怖くはありましたが、そこまでの大自然の中に居るだけで幸せなのです。

 とは言え何とか魚は手にしたいもの。

 6匹釣って、最大で40cm弱。

 思ったサイズは手に出来ませんでしたが、最後の1投でも釣れ、納得してスロープに戻ったのです。

 上手い人の話を聞くと、自分の未熟さが分かります。

 多少落ち込むのですが、学ぶことがあるということは伸びしろがあるということ。何でも一生勉強です。

 武道をしている友人が、自身の師の言葉だと教えてくれました。

 与えよ、さらば与えられん

 聖書に

 求めよ、さらば与えられん

 という言葉があるようなので、私の聞き違いかもしれません。

 しかし、できれば何かしらのプラスの影響を与えられる人でありたいと思います。

 そういう意味においては、芸能人などは究極の仕事かもしれません。

 自分という存在が商品なのですから。

 そこまでは無理ですが、設計、デザインすることで、誰かを幸せにしたいという一点において、ブレは全くありません。

 今年も残すところ1ヵ月。悔いのない2019年とするため、ラストスパートです。

 残念ながら、釣りに関してはまだまだ人に与えるものはありません。

 しかし、そんな存在があることもまた幸せなのです。

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

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【News】
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

地獄からの復活-1640‐

 朝夕こそ冷えますが、日中は20℃近い日もあります。

 小春日和と言うよりは、小夏日和と言った方が近いかもしれません。

 大阪をブーツに例えるなら、かかとに位置するのが金剛山地。

 山の色にも暖色が混じり、気温とは裏腹に暖かな景色へと変化して行きます。

 ミカン畑には、濃い橙色の実があふれんばかりに。

 多くの果実は、熟れると暖色に変わるのも面白いところです。

 動物たちへ「美味しいよ!見つけて!」というメッセージだと考えれば納得できるのです。

 知人が面白かったと書いていた「マツダ  心を燃やす逆転の経営」を読みました。

 日経ビジネス編集部の山中浩之と元会長の金井誠太の対談形式になっています。

 近年、マツダのデザインが随分良くなったなと思っていました。

 長男が2年程前に「あの赤の車が格好いい」と言った事をよく覚えています。

 1980年代から90年代にかけて、低価格車メーカーのイメージを払拭するため、マツダの名前をあえて販売系列会社から外します。

 トップメーカーへの対抗措置でしたが、これが裏目にでます。

 販売は低迷し、それを補うための値引き販売。ユーザーが他メーカーに乗り換えたいと思っても、下取りが安くてままならず再びマツダで買い替えざるを得ない。

 これを「マツダ地獄」と言ったそうです。

 折角なら本物を見たいと思い、ショールームへ行ってみました。

 先週のことですが、定休日ではないのに休みになっていました。

 残念ながら外から眺めることに。

 マツダ3という車種のようですが、フロント部分も精悍だし、確かに色もいい。何故が「欧米っぽい」と表現したくなります。

 今更ながらですが、マツダは内燃エンジンでハイブリッド並の燃費を実現していると知りました。

 ガソリン自動車を発明したのはカール・ベンツですが、その基本構造は以下の通りです。

 ガソリンと空気を混ぜたものを圧縮し、スパークプラグによって着火、その燃焼圧力でピストンを押し下げて駆動力に変えます。

 圧縮比が高いと燃費とトルクが向上するのですが、高すぎると燃焼不良がおこるというのが常識でした。

 圧縮比率を従来の10から世界最高水準の14まで上げ、ハイブリッド並の燃費を実現したのが、マツダのエンジンなのです。

 その開発責任者、人見光夫は「教科書通りの非常識」と表現したそうです。成熟したかに見える業界にもこのようなことが起こり得るのです。

 よくある表現として、デザインは良いが機能がおろそか。機能は高いが、見た目がいまいち。

 もし、全責任を持つリーダーの下で計画が進んでいたなら、そのようなことは起り難いと思います。

 「モノ造り革新」を推進、成功させた金井元会長は、当時どん底だった社内には「どうせ」という負け犬根性が蔓延していたと言います。

 そこで鼓舞するのです。

 弱者でも誇りは高くあれ

 少し手を加えさせて貰えるなら「弱者こそ誇り高くあれ」だと思います。

 今年度の売り上げ予想が3兆7千億円の弱者もありませんが、最終的にはトップの志がチームの運命を決めるのだと思います。

 何も「地獄からの復活」でなくても良いのですが、人はそこまで弱いものだと、分かっておかなければなりません。

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小善は大悪に似たり‐1639‐

 前回は、二上山からの写真を何枚かUPしました。

 大阪平野を見下ろすと、目につく建物が色々あります。

 市内なら、やはり現在高さ日本一のあべのハルカス。

 左端は弁天町の大阪ベイタワー。元、オーク200です。

 南を見れば、富田林にあるPLの塔でしょう。

 遙か先にあるのがりんくうゲートタワービル。

 PLの塔はパーフェクトリバティー教団の平和記念塔ですが、ポツンと建っているのでよく目立ちます。

 先日近くを通ると、大規模な改修中のようでした。

 淡路島にある巨大観音像が荒れ放題という記事がでていました。

 維持するということは愛情に等しく、相応の覚悟がいるものだと肝に銘じておかなければなりません。

 そのPLの塔から西に行2km程行った所にあるのが狭山池。

 2009年の11月に訪れました。

 PLの塔と狭山池博物館の間に、小さく二上山が見えています。丁度見返している感じのアングルです。

 大阪に暮らして半世紀ですから、自分の居場所を見失うことはなさそうです。

 マガモの写真が残っていました。

 この時期、ため池には沢山の渡り鳥がやってきます。

 先日の朝、近所をジョギングをしていた時のこと。

 数羽のハトが、何かをついばんでいました。

 ハトは平和の象徴と言われるくらいですから、何となく穏やかな気分になります。

 ちょっと近づいてみると、更に数羽のハトが飛んできました。

 そうこうしているうちに、大群のハトが舞い降りてきて、取り囲まれてしまいました。

 鳥の祖先は恐竜とも言いますし、ハトとは言えちょっと怖いくらいだったのです。

 どうやら、朝ここでエサやりをしている人がいるようです。

 IBMの社是には、以下のような話が載っているそうです。

 北国の湖の畔に心優しい老人が住んでいました。湖には毎年雁の群れが飛んできて冬を過ごします。優しい老人はいつとはなしに餌を与えるようになりました。

 来る年も来る年も老人は餌を与え続け、雁の群れも越冬の糧とするようになりました。

 ある年、雁の群れが老人に餌を貰おうと水辺で待っているのですが、老人はいつまでたっても現れません。すでに亡くなっていたのです。

 その年に寒波が襲来し、湖が凍結してしまいました。老人が現れるのをひたすら待ち、自分達で餌を捕ることを忘れた雁たちはやがて皆餓死してしまったのです。

 社是には「IBMではこのような社員の育て方をしません」と書かれているそうです。

 京セラの名誉会長の稲盛和夫さんから教えて貰った話ですが、ここから「小善は大悪に似たり」という考えに行きついたそうです。

 著書等にはここまででしか書いてありませんが、実際の講話では「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」といつも言われていました。

 大善は非情に似たり

 そうでなければ、誰もがガンジーでマザー・テレサなので、心から納得できます。

 この都会で、ハトにエサをやらずともそう餓死することはないはずです。

 「あげる」という行為には、生への敬意が含まれていないといつも感じるのです。

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家族力と設計‐1627‐

 今週月曜日、『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』が発売されました。

 22、23ページに「回遊できる家」が掲載されています。

 web全盛の時代ですが、200ページの中の2ページとはいえ、実際の書店に並んでいるのを見ると嬉しいものです。

 巻頭特集の「関西の個性派さんのお宅、拝見しました」に10例ある中の2番目。

 特集をまとめたページには、子供さんが皆で回遊している写真が採用されていました。

 この雑誌が税別278円と極めて安いのは、広告のページが多くあるからで、ハウスメーカーやビルダーでない実例枠は、関西版とはいえ極めて少ないのです。

 その中で、編集部の目にとまり、先方からオファーして貰ったことは、私達にとって非常に嬉しいことです。

 「回遊できる家」は、昨年の3月に『住まいの設計』、4月には毎日放送『住人十色』、また住宅系のwebサイトの特集にも3度ほど取り上げてもらいました。

 正直ここまで露出するとは全く思っていませんでした。

 建築家を集めてあるwebサイトでみつけてくれたとのことで、2013年の4月にオファーを貰いました。

 そして、5月に初めて現地へ。

 折角南に庭があるにも関わらず、LDKは北東角の暗い場所にありました。

 一番条件のよい南には客間と玄関が半分以上を占めており、プランの方向性は考える必要さえありませんでした。

 この北の和室は現在子供部屋のある場所で、南面するLDKと一体の空間としました。

 切妻屋根の大屋根は中央が暗くなるので、ガラス瓦から光を中央に落としています。

 これが1階の建物中央に光を落としてくれます。

 既存の建物と環境をしっかり把握し、奥さんの要望を実現するということを真面目にすれば、それほど難解な計画ではありませんでした。

金額調整だけは骨が折れましたが。

 ただ、ここまで目に留まるということは理由もありそうです。

 奥さんの主な要望は

① 明るく風が通る

② 回遊できる

③ 子供とずっと仲良く

 でした。

 回遊するには部屋の周囲が動線で囲まれている必要があります。

 これは意外にハードルが高く、余程面積に余裕がなければ、「止めておきましょうか」となります。

 動線の一部を、玄関前の廊下と兼ねることでこのプランは実現しています。

 どこにでも売っている小物入れを上手く使っている収納は、取材の度にフォーカスされました。 

 お金の使いどころも良く心得ておられ、この無垢の収納棚はこの空間によく合っています。

 誰でも少し工夫すればできそう、というのもポイントでしょうか。

 8月にゲラが上がってきた際、チェックバックするとライターの方から以下のような返信を貰いました。

守谷さま

 お世話になります。○○です。

 早々にご確認くださいまして、どうもありがとうございます!

 問題ないとのこと、安心しました。

 誌面の動き、楽しい感じは、ひとえに□□様の「家族力」、そしてやはり、設計の妙だと思います。

 多くの実作を見ている、目の肥えたライターの方が「設計の妙」と書いてくれたことはとても嬉しかったのです。

 当初は1ページの予定だったのが2ページに増えたということもこのやり取りで教えて貰いました。

 で、考えます。

 それ程難解でなかったプランを「設計の妙」と言ってもらい、自分としては自信ありのプランがそれほど露出しないこともあります。

 他者が見たいものと、自分が見て欲しいものは違うことが多いのです。

 これを私は「ウィキペディアの法則」と呼んでいます。

 例えばあるお寺の歴史を調べる時、お寺の公式webサイトには、本人たちが伝えたいことが書いてあります。

 しかし、多くの人が知りたいことは、ウィキペディアのほうが分かりやすいのです。公式で正しいという担保がなかったとしても、です。

 このことを良く分かっておかなければと、いつも思うのです。

 初めて現地に行った際、奥さんのスクラップブックを見せてもらいました。

 「部屋の中に、こんな窓が欲しいんです」

 「スチールで製作できればこんな感じで繊細につくれるのですが、何とかコストが合えばいいですね」

 のような返答をしたと思います。

 実際はコストが合わずで、木で製作しました。

 スチールよりは少し太いですが、木としてはシビアにデザインしたしたつもりです。

 出来上がってみると、「この窓が好き」と言ってくれる奥様方の多いこと……

 勿論、もっとクールな空間が好きな人も居ますから、多数派かどうかは分かりませんが。

 もう3度も取材を受けて貰ったので、人がよいのに甘えるのも程ほどにしておかなければなりません。

 ゲラを奥さんにお送りした後、返信して貰ったメールを添えて「回遊できる家」のその後の物語は一区切りとしたいと思います。

 ご家族の思いと、設計が噛みあったとき、建築は極めて幸せな景色を見せてくれます。

 「子供とずっと仲良く」過ごされると思うのです。

守谷 昌紀様

 いつもお世話になっております。

 記事、見せて頂きました。

 子どもたちが沢山載っていて、とても嬉しかったです。

 記事も増やして頂いて本当に嬉しいです。

 子どもたちも友達に見せると張り切っています。私も子どもたちとの思い出のアルバムが一つ増えた気分です。

 いつも雑誌などご紹介頂きありがとうございます。

 まだまだ暑い日が続いていますので、お身体ご自愛ください。

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尖った稲穂‐1619‐

 「余の辞書に不可能の文字はない」はナポレオン・ボナパルトの言葉とされます。

 しかし諸説あるようで「不可能というフランス語はない」といったものもあるそう。

 建築現場、設計事務所業界に置き換えて「人手不足という日本語はない」としてみます。

 嘆いていても仕方ないので、フランスの英雄にあやかってみるのです。

 そのような訳で、現場と会社をコマネズミのように往復する毎日ですが、充実度は1000%なのです。

 現場からの帰り、今日は良い天気だなと思っていたら、急に雲が広がり、ゴロゴロと雷の音。

 ゲリラ豪雨も9月が多かったと思うので、常に意識はしておかなければなりません。

 さっと昼食を取ろうと国道沿いのうどん店に入りました。

 食事を終えて店を出ると、裏手に水田が広がっていることに気が付きました。

 大阪市内の少し手前ですが、かなりの広さで大きな空を見るのは気分が良いものです。

 隣にはため池があり、ここから水を引いているのでしょうか。

 びっしりと生えたハスと浮き草。水面は殆ど見えません。

 近づくと、水面付近が一斉に動き「ガサガサッ、ボチャン」と。

 正体はおそらくこのカエル。

 お食事中のシラサギです。

 何を食べているかは、ご想像にお任せします。

 ヒマワリも植わっていたので、ちょっとお口直しを。(目直し?)

 水田の一部には、鳥よけネットの掛かっているエリアがありました。

 早生種なのか、すでに深く頭を垂れています。

 注意して見ると、区画ごとに成長度合いが随分違います。

 時間をずらしながら収穫する為でしょうか。

 こちらは、穂が重くなり始めた頃。

 その隣は穂の付き始め。

 まじまじと若い稲穂を観察したのは初めてでした。

 当たり前ですが、初めから穂が垂れていることはありません。

 「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」

 立派な人ほど謙虚であるということわざですが、日本の米食文化が、より親近感と、説得力を持たせているでしょう。

 とても好きな言葉ですが、頭を垂れていない時期があったから、成長があるとも言えます。

 誰しも青い、尖っている時期はあって良いのだと、鋭い稲穂をみて、至極納得できたのです。

 そう考えると、子供に大人を求めたり、若いスタッフに成熟を求めてしまったことがあったかもと、反省したのです。

 小学生から中学生に掛けて、大人に対して敬語を使い始めます。子供が大人に向かうタイミングで、多少の違和感を感じるものです。

 幼稚園から敬語を使いこなせるのもおかしいし、大学生になっても使えないのもバツです。

 教育とは、そんな違和感を受け入れることなのかもしれません。

 仕事人としては、およそ四半世紀に渡ってキャリアを積ませて貰いました。その手応えもあります。

 しかしリーダー業に至っては、私がいまだ尖った稲穂。 人手不足はひとえに私の責任です。

 田んぼの底を見ると触角が見えるのでタニシでしょうか。

 人は単細胞生物から、ここまで進化してきました。

 「自然は飛躍せず」

 植物学者リンネの言葉です。

 その言葉を信じ、少しずつでも進歩していると思いたいのです。

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■9月9日(月)14:00~17:00 サンワカンパニー
<グランフロント大阪>にて「無料相談会」に参加
■9月15日(日) 9:00~12:00 高槻高校文化祭にて
「頼れる卒業生」による無料相談コーナーに参加

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42.195‐1611‐

 小学校に入学し、初めての担任はとても厳しい先生でした。

 勉強熱心で、多少怖いくらいの女性で、40代半ばくらいだったでしょうか。

 写真の一番左がその先生です。

 怖いというのもあって真面目に勉強したのですが、そのおかげか、結構成績が良かったのです。

 大人しい生徒で、勉強もでき、先生の言うこともよく聞く。

 使い勝手のよい生徒だったと思いますが、今思えば多少「贔屓」されていたかもしれません。

 保育園の時に、頭が良いとか、悪いとか考えることはあまり無いので、「やれば出来るんだ」と思った初めの機会だったかもしれません。

 その先生は、読書を特に勧めており、感想文も熱心に読んでくれました。

 細やかに評価をしてくれたのも本好きになった要因だっかもしれません。

 近頃は寝る前だけなので、月に1~3冊程度ですが、以来、本を欠かしたことは殆どありません。

 6月に「傑作」と書いた、池井戸潤の「下町ロケット」ですが、今更私が書くまでもない人気作家だとよく分かりました。

 現在まで一作たりとも外れ無し。この「陸王」も素晴らしかったのです。

 足袋を100年作っている老舗メーカーが、先細りする業界を憂い、ランニングシューズ業界に参入する話です。

 小さな足袋メーカーの4代目社長の葛藤と、学生時代はトップランナーでしたが、社会人になって故障、そこから復活していく若きランナーを軸に物語は展開していきます。

 彼に新しく開発した「陸王」というシューズを履いて貰うところから展開は加速していきます。

 大企業に所属するが故、自社のシューズと自分の損得しか考えていない悪役営業マン。ランナーのことだけを考えている職人肌のシューフィッター。新素材を見つけ新たな可能性に掛ける零細企業と、冷たい銀行の実態と、ドラマ化して貰わずとも、画が浮かんでくるような小説です。

 この若きランナーは「陸王」を履きマラソンに出場。

 ライバルを退け、見事に復活優勝をとげるというハッピーエンドでした。

 私のクライアントも、ジョギングレベルではなく、本気のマラソンレースや、中には一昼夜走るトレイルに出場している方もいます。

 そんなこともあり、今年のはじめに大阪女子国際マラソンを観戦に行きました。

 マラソンは35kmあたりからが別次元の苦しさと言います。

 この時もそのあたりで見ていましたが、とても2時間走ってきたスピードには見えませんが、流石に苦しそうでした。

 私も26歳の時に一度だけ、静岡県の袋井でマラソンに出たことがありますが、35km辺りからは歩いてゴールしたと思います。

 「35kmが折り返し点」というコピーに、至極納得したことを覚えています。

 先に書いた担任の先生は6年生の時も持って貰ったと思いますが、20年程前「自宅のリノベーションを考えているから、見にきてほしい」と電話を貰いました。

 リノベーションというよりは部分リフォームだったので、辞退させて貰ったのですが、その頃で70歳を超えている感じだったでしょうか。

 年賀状が返ってこなくなったので少し気にはなっているのですが……

 授業中に、マラソンの距離をゴロ合わせで「死に行く覚悟」と教えてくれました。

 ネガティブな言葉は嫌いですが、実際にマラトンの戦いの勝利を、40km離れたアテネまでギリシャ兵が走って報告、その後絶命したという故事にのっとっているものですから、単なるロゴ合わせとも言えないかもしれません。

 「陸王」の中でもっとも痛快だったセリフです。

 「この2年間都合よく離れていく連中を何人も見てきました。いいときは擦り寄ってくるのに、悪くなるとあっという間にいなくなる。御社だって、そうじゃないですか。サポート契約を打ち切ったのはオレじゃない。御社のほうでしょう。なのに、レースに復帰した途端、手のひらを返したように近づいてくる。もううんざりなんですよ」

 マラソンの当日、大企業のシューズではなく「陸王」を履くことを決めた場面です。

 命までを掛けるかは別にしても、何もかけずに真理は見えないし、人の心を動かすことはありません。

 およそ半世紀生きてきたので、教えて貰ったこと、学んだこと、知っていることは数限りなくあります。

 どんなことがあっても死にませんが「42.195」で目の前にあるものに臨むだけなのです。

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大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
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取材大好き‐1602‐

 先週の土曜日は「回遊できる家」の取材でした。

 住宅誌のリフォーム特集ですが、9月末の発売予定です。告知OKとなれば、またここでお知らせします。

 もう少し晴れてくれれば良いのですが、梅雨時につき贅沢は言えません。

 出版社は概ね東京にあるので、ライターの方は朝5時に家を出たそうです。

 わざわざの大阪に来て貰ったので、取材は絶対成功させなければなりません。

 朝10時から取材開始です。

 前回の訪問は毎日放送『住人十色』の撮影の時で、昨年の2月でした。

 子供さんも慣れたもので、取材中は子供部屋(子供エリア?)で遊んで待っています。

 3番目の長女さんは年中さんで、お父さんにピッタリ。

 長男君が小4、次男君が小2、三男君が間もなく3歳です。

 2016年12月の撮影の時は、ラグの上でずっと寝ていた三男君。

 4人兄弟の末っ子君は、何と言っても逞しい。

 まさか自分が2歳だなんて思っていないのです。

 2階も皆で案内してくれました。

 ガラス瓦から光が落ちるこの風景は、何度見ても良いものです。

 一番奥にあるお父さんの書斎には小さな机が2つ。

 こちらのご夫妻はいつも子供が一番なのです。

 キッチン後ろの収納は、とても可愛いと「また」撮ってもらいました。

 奥さんはちょっと恥ずかしがっていましたが、私が入れ知恵しました。

 奥さんには申し訳ないのですが、工夫すれば自分にもできる、そんな写真を読者は見たいのです。

 このアングルも必須です。

 カメラマンの男性は関西の方で、兎に角子供に優しい。

 こんなサービス精神で、撮れる画は確実に変わってくるものです。

 面白い構成なので、勉強している写真も撮ってみましょうかとなりました。

 色々な人に撮って貰いましたが、カメラマンの一番の仕事はやはりアングルを探すことだと良く分かります。

 建築は設計、建築会社、そしてクライアントとの共同作業で出来上がります。

 こちらの奥さんはいつも謙遜されるのですが、とてもセンスが良いのです。

 フローリングに合わせて選んだこの飾り棚。

 実はは衣類入れで、上から長男、次男、長女、三男となっています。

 新たに加わっていたこのプランター置きも、よく合っています。

 ティッシュボックスも木で揃え、撮影時はティッシュ自体を箱の中に押し込んでくれていました。

 非常に細やかな気遣いができる方です。

 しかし大らかな人で、ちょっとくらいの落書きで雷を落としたりはしません。

 落書きしたその日は、小さな雷鳴くらいはあったかもしれませんが(笑)

 この洗面の右の水栓は、子供さんが使いやすいように手前、横に付けました。

 これも奥さんの要望から位置を決めたものです。

 「子供たちといつまでも仲良く」というメインテーマがぶれたことは一度もありませんでした。

 そして、その通りの光景が広がっています。

 時には喧嘩することもあるでしょうが、思いは必ず実現します。

 また、それを現実のものとするのが私の仕事です。

 今回は面白いプラン特集ということで「回遊できる家」を見つけて貰いました。

 よって、メインの写真はみんなで走り回っている写真でしょうか。

 昨年の1月中旬にも『住まいの設計』の取材を受けて貰っているので、メディアに載るのは3度目です。

 ご家族は「上の2人は取材が大好きですし、守谷さんが居なかったらこの家はできていませんから」とまで言ってくれます。

 創り手冥利につきるのですが、私と会うまでに十数社の建築会社にプラン、見積りを出して貰ったと、この日初めて聞きました。

 そう聞くとその情熱が全てだとも思うのです。

 ただ、私と会ってみようと思ったきっかけは「誕生日が一緒だったから」と聞いた時はずっこけましたが、理由など何でも構いません。

 誰かを幸せにすることができれば、また必ず誰かが求めてくれるはずですから。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

雨のち曇り、そして青天井‐1601‐

 前回は、芦屋の「谷崎潤一郎記念館」と谷崎が暮らした「富田砕花旧宅」を訪れたところまで書きました。

 更に谷崎の足跡をたどるべく、阪神電車の魚崎駅まで移動してきました。

 住吉川の左岸を走る六甲ライナーに沿って、北に5分程歩いたところにあるのが「倚松庵(いしょうあん)」、別名『細雪』の家です。

 明治、大正、昭和を生きた文豪、谷崎潤一郎の代表作『細雪』の舞台となった旧宅です。

 六甲ライナーの工事のため、150m南の敷地から移築されたのが1990年(平成2年)のことです。

 阪神間では13件もの家に住んだ谷崎ですが、昭和11年から18年と、最も長く住んだのがこの家です。

 3人目の妻、松子は前夫との間に恵美子という娘が居ました。

 また、次女だった松子には三女、四女がおり、この倚松庵で一緒に暮らすことになります。


大阪船場の旧家、蒔岡家には美しい四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子がいました。

 幸子は、貞一郎を婿養子に迎えて芦屋に分家しているが、堅苦しい本家を嫌って雪子と妙子は、芦屋に居つきます。

 なかなか縁談が決まらない雪子、自由奔放に生きる四女の妙子らの、優雅な日常を、船場言葉で描いたのが『細雪』です。

 谷崎自身が貞一郎のモデルで、家族の日常をほぼそのまま描いた物語なのです。

 名作は一通り読んでいるつもりでしたが、未読だったようです。

 早速購入したのですが、読み始めから谷崎の世界に引き込まれていきます。

 文章が美しく、読みやすい。

 例えるなら、口当たりのやわらかい上質のワインのよう。芳醇といった言葉が、自然に浮かんでくるのです。

 この歳になって、大谷崎の筆力に感激したのです。

 エントランスを入るとすぐにあるのが応接室。最も登場場面が多い部屋でしょうか。

 谷崎は洋風好みだったようで、マントルピースがあり、ステンドグラスも見えます。

 隣合に食堂も机と椅子。

 一脚だけが当時のままとありました。

 反対に浴室は五右衛門風呂。

 祖父の家には五右衛門風呂が残っていたので、かろうじて現役経験者なのです。

 台所には面白いものがありました。

 これも当時の物で、冷蔵庫だそう。上の部屋に氷を入れる原始的なものです。

 管理の女性は65歳くらいでしょうか。

 「昭和40年くらいまでは、氷屋さんが毎日配達してくれたものですよ」と言っていました。

 私が生まれる少し前まで、そんな暮らしがあったのでしょうか。

 2階南東角の部屋は、三女雪子の部屋。

 一番奥にあるのは、奔放な人生を歩む四女妙子の部屋です。

 これは1階最奥にある和室の地窓。

 作品中でも、陽と陰を描き分けています。

 先に寄った「谷崎潤一郎記念館」では、生前の松子夫人のビデオが流れていました。

 かなりの年齢だったと思いますが、そのきりっとした話しぶりに品格と知性がにじみだしているようでした。

 エントランス脇の床に掛かる文字は、彼女の直筆とのことでした。

 自らの名にある松を、とても好きだったそうです。

 それで門の脇にはおの大きな松の木が植えられたのでしょう。

 奈良の志賀直哉旧居も素晴らしいなと思いましたが、私の中では双璧です。

 最終的には70歳の時、1956年(昭和31年)に京都の家を売却し、関西での生活を終えます。

 37歳、1923年(大正12年)の関東大震災でやむを得ず関西にやってきた谷崎は、当初関西を嫌っていたとも言います。

 しかし、食べ物の美味しさ、山と海を臨む阪神間を気に入り、作家として最も充実した時期を過ごすことになりました。

 『細雪』に至っては、場所と共に家まで作品にとって重要な役割をはたしています。

 建築と街に関わるものとしては嬉しくありますが、ピリッとした気持ちにもなります。

 ノーベル賞候補に何度もあがった文豪の半生を、2回に渡って勝手に分析しましたが、スケールが全く違うというのが実感です。

 巨匠、文豪はいつも興味の対象です。

 どんな世界でも青天井であるのは同じです。大雨のち曇りの、とてもモチベーションが上がった一日だったのです。

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噂の文豪の、危ない関係‐1600‐

 昨日は「災害級の大雨」という記事をみて、遠出はやめることにしました。

 九州南部では、残念ながらその通りとなってしまい……

 熊本は2016年の震災のあと、建物の危険度判定活動に参加しました。「水の国」を実感したのですが、今回の大雨もそろそろ終息に向かってくれれば良いのですが。

 阪神電車に乗って、芦屋までやってきました。

 阪急電車と共に、芦屋川の上に駅があります。

 南東へ歩いて10分程のところに「谷崎潤一郎記念館」はあります。

 絵でも観に行こうかなと探していると、あまりにもセンセーショナルなキャッチコピーに目を奪われたのです。

 1886年(明治19年)、東京の日本橋に生まれた谷崎潤一郎は、東京帝国大学に在学中の24歳のときに「刺青(しせい)」を発表。

 あまりに過激な描写で、なかなか注目されなかった作品でしたが、当時の流行作家・永井荷風に激賞され、一気にスターダムの階段を上って行きます。

 1923年(大正12)、37歳のとき箱根で関東大震災にあい、そのまま関西へ移住。

 その風土を気に入り、その後の21年の間に阪神間で13回も引越しを繰り返しました。

 京都にも別荘を持ち、この館の庭もそれをイメージしたものだとありました。

 『スキャンダル~噂の文豪~』のポップに全く恥じず、その私生活は凄いの一言でした。

 3度の結婚、人妻、妻の妹、息子の嫁と、女性への欲望を隠そうとしませんでした。むしろ、それらが執筆の原動力だったという切り口です。

 大谷崎とまで言われた、何度もノーベル賞候補になった文豪に失礼ですが、それよりもその私生活に興味深々でした。

 谷崎により興味が湧き、実際に暮らした家が近くにあると分かり、更に10分程東へ歩きました。

 ひとつ大阪よりの打出駅との間に、富田砕花旧居はあります。

 現在は芦屋市が管理しているとのこと。

 静かな住宅街に突然小振りな瓦屋根の家が見えてきました。

 詩人・富田砕花は岩手県の出身ですが、縁あって1984年に亡くなるまでこの家で暮らしたそうです。

 自然派の作家らしく、庭もあまり手を加えていません。

 母屋は戦争で焼失し、建てなおしたものとのことでした。

 それでも、昭和の雰囲気が色濃く残っています。

 もとは社会の先生だった方が、色々と教えてくれました。

 門の右にあった棟を角屋と呼んでいるそうですが、1階は砕花の資料展示室となっています。

 この角屋だけが戦火を免れたそうです。

 谷崎は、1934年(昭和9年)から1936年(昭和11年)までこの地に暮らし、この2階で「潤一郎訳源氏物語」を執筆したそうです。

 私が建築設計をしていると言うと、普段はみれないんだけどと、2階も案内してくれました。

 天井に引戸があります。

 それをスライド。

 のぞかせて貰いました。

 「窓がここしかないので、あの下で執筆していたのでしょう」と。

 好意に感謝し、ここを後にしたのです。

 谷崎の初めの妻、千代は従順な女性でした。しかし妹せい子は対照的に、奔放で小悪魔的な性格。せい子にのめりこんで行きます。

 谷崎の親友で詩人の佐藤春夫は千代に同情を寄せ、それが愛情へと変わって行きます。

 谷崎はそんな佐藤に、千代を譲るといいます。しかし結局せい子とは破局。佐藤との約束は反故にされ、絶交します。

 これが世に言う「小田原事件」ですが、形ばかりの夫婦に戻った谷崎は、自分たち仮面夫婦を題材とした「蓼食う虫」を執筆します。

 作品の完成後、千代は佐藤春夫と結ばれるという結末を迎えますが、「妻譲渡事件」と世間を騒がせたのでした。

 佐藤春夫の代表作「さんま、さんま、さんま苦いか塩つぱいか」は千代への思いから生まれたものだと知りました。

 谷崎の「陰影礼賛」は建築の世界でも名著として知られています。

 軒の深い日本家屋の奥深くで、金襖や金屏風がほのかに光るさまに、谷崎は日本の美を見出だしたのです。

 陰があってこその光。人の人生も、光だけでは立体的に捉えることは難しい気がします。

 それでも昭和の文豪たちは、全くレベルの違う危ない関係だったのです。

 この日はここまでと思っていたのですが、「細雪」の舞台も訪れることにしました。

 続きは次回に。

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成功と勝利の淡い香り‐1565‐

 庭の梅は、今週初めがピークでした。

 今年は1月末からポツポツと咲き始めました。

 今日の雨でひとまず終わりでしょうか。

 小さな花びらは、桜とは違った美しさがあります。

 丁度ひと月楽しませて貰いましたが、淡い梅の香はまた11ヵ月後です。

 家に帰ると粒の大きな苺が食卓に置いてありました。

 妻の実家からのお土産だったそうでが、すでに2つほど無くなっています。

 おそらく苺大好きの娘でしょう。

 梅も苺も、香りがその存在を知らせる大きな役割を担っています。

 先月から今月にかけて、サッカーのアジアカップが開催されていました。日本は惜しくも準優勝。

 本田、長谷部らが退いても、大迫、南野、堂安と若い才能が続くことに、サッカーというスポーツの人気を感じさせます。

 しかし、次回ワールドカップ開催国、カタールの優勝は見事でした。

 キャリアの終盤に、ビッグネームがJリーグを選択したことはこれまでにもありました。

 しかしイニエスタ選手はまだ34歳。これまでに来日した中でも、ひときわ大きな存在です。

 バルセロナと「無敵艦隊」と言われたスペインの司令塔を務め、2010年のワールドカップ南アフリカ大会では優勝。

 オランダとの決勝戦、延長で決勝ゴールを決めたのも彼でした。

 新聞に見開きで紹介されていました。

 「やるか、やらないかのところで、まずやると踏み出す。そして少しずつでいいから良くなる努力を重ねる。

 最終的にいい結果をもたらしてくれるのは、日々の行いしかないと思います」

 記事にも「人柄そのまま、飾りも、てらいもない」とあります。

 ですから、なおさら前半の言葉に惹きつけられます。

 やるか、やらないかのところで、まずやると踏み出す。

 言葉は単純ですが、ここが成否の9割を占めている気がするのです。
 
 人は人生の中で多くの人と出会います。

 赤い果実と香りだけで、苺の味が想像できるように、それまでの経験を基に、言葉、表情から相手が信用に値するかを判断するのです。

 サッカーでは、「ゴールへの嗅覚」という言葉がでてきます。

 それは、誰にでも嗅ぎ取れる訳ではない香りがあるからこその表現だと言えます。

 勝利や成功にも、同じようなことが言えそうです。

 確かに、淡い香りがあるような気がするのです。

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