ブラックボックス

 昨日の新聞に、日航機墜落事故から25年が経ち、残された家族の談話が載っていました。何とも言いようのない、非常に厳しい現実が綴られていました。

 25年前の今日はとても暑い日で、私は中学3年生。帰省先の岡山で一報を聞いたと思います。そんな事を思っていると、ふと先月読んだ記事を思い出しました。

 『2010年7月19日 航空機のフライトデータレコーダー発明者、85歳で死去』

 内容は「1956年に初のフライトデータレコーダー(いわゆるブラックボックス)を発明した、オーストラリア人のデビッド・ウォーレン博士が亡くなった」というものです。続きを読み、なんとも言えない気持ちになりました。
 
 同氏は9歳のときに父親を航空機事故で亡くしている。父親から最後にもらったプレゼントは鉱石ラジオセットで、それが電子工学に関心を持つきっかけになったという。現在フライトデータレコーダーは世界中の旅客機に採用されており、「ウォーレン博士のフライトデータレコーダーは世界の航空安全に計り知れない貢献をした」とオーストラリア国防省は述べている。
 
 「怒りや憎しみを、行動の動機にしてはいけない」と考えます。

 しかし、ウォーレン少年は、父親を奪った航空機事故、もしくはその航空会社を憎まなかったとは考え難いと思うのです。その少年が、フライトデータレコーダーの発明に至るまで、どのような心の変遷があったのでしょうか。

 憎しみつくし、悲しみつくし、最後は今生きていることに感謝し、いつしか「人類の安全の為に、何か出来ないか」そんな動機に変わり、研究へ……全てはあくまで想像ですが。

 お盆は、故人が戻ってくる期間。今の生に感謝し、祖父、祖母を含めた全ての故人へ、の冥福を祈ります。彼らがいてこそ、今の私達があるのですから。

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