お盆は混むもの

 長かった梅雨が明け、高校野球が始まり、気が付けば今週末はお盆です。

 先日クライアントと、里帰りの話をしていました。奥さんの実家は愛媛県の西側の海、豊後水道に面した島でした。海は美しく、天気の良い日は大分県まで見えるそうです。しかし帰省は一日掛りという話になりました。

 本州から四国に渡り、四国を東から西へ横断し、最後は船で島へ。お子さんも小さいので、大変だろうなと思いましたが、何というか、聞いているだけでワクワクしてきたのです。

 私が小さい頃は父と母の郷里へ帰省していました。大阪から岡山県倉敷へ。フェリーで四国に渡り、香川県まんのう町へ。帰りは高松からフェリーで神戸へ戻ります。

 今ほど夏期休暇の分散化が進んでいない、高度経済成長期も終盤の1970年代。フェリーはいつも一杯でした。

 父の家業はガラス屋で、トラックで帰ることもありました。トラックは予約がとれず、昼過ぎから港で順番待ちなのです。人が並ぶように、港の広い駐車場に列になって待っていました。暑い夏の日、アスファルトの上で随分な時間を潰すのは、中々大変でした。

 我が家の2tonトラックには、3畳の和室が積めるようになっていました。冗談みたいな話なのですが、父お手製の簡易キャンピングBOXをクレーンで載せるのです。

 書いてしまって良いのか、フェリーに乗る際は、私たち兄弟はこの3畳の部屋に入れられ、静かにしておくよう言われていたのです。早い話が無賃乗船……。

 決して許されるべきことではありません。しかし私の記憶に残っているのは、長い待ち時間、客室が一杯で、デッキに毛布を敷いて星を見ながら寝たこと、そしてこの3畳間。

 今年のお盆はETC割引で、大渋滞が予想されています。それによる経済損失と、CO2の排出量が試算されていました。後者は大問題ですが、効率よく、スムースに移動するのだけが決して良いとは思いません。
 
 面倒で非効率でも、何かしらの記憶に残る旅が、絶対に良いと思うのです。今年の大渋滞も、ちょっと楽しみな気がする私は、変わり者かもしれませんが。

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