花嫁の父は

 日曜日は、京都に行っていました。母方の従姉妹が結婚したのです。

 朱塗りの大鳥居で有名な平安神宮で挙式しました。

 それを終えると、主役の二人は人力車で登場です。

 披露宴会場は平安神宮のすぐ南。疎水のほとりにある、静かなレストランでした。

 京都市動物園の辻向かいで、疎水越しに中が覗けます。時折キリンの姿が。子供達はすぐに退屈してしまうので、こんなことが有り難いのです。

 式の最後には、花嫁から両親へのメッセージ。

 花嫁の父は、私にとっては叔父です。小さい頃は本当に良く遊んで貰いました。

 心優しい人で、つい私も目頭が熱くなりました。

 従姉妹は勿論泣いています。叔父もやはり……泣いていないのです。

 娘を送り出す父は、ただ辛く寂しいものだと思っていました。しかし現実はそれだけでは無いのかもしれません。もう少し思い出してみると、号泣していた人など居なかったような気がします。

 花嫁の父。哀愁を秘めた、なんとも奥ゆかしい言葉です。

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