昨年の11月、香港に出版社からメールが届きました。
香港建築科学出版社という建築関係の出版社で、その編集者からだったのです。
来年4月頃、商店建築、文化建築、劇場などの小型公共建築についての本を出版する予定。webサイトで作品を見たのですが、作品を掲載して貰えますか。ついては添付してある、英語の招待状をご確認下さい。
招待状が英語だったので、アメリカに留学していた先輩に目を通して貰うと、別に怪しい感はないと。それではと、先方とのやり取りが始まったのです。
希望の作品は?「加美の家」と言うので、趣旨と違いませんかと聞くと、大丈夫ですと。また、送られてきたサンプルのデータが、関西ならだれもが知っている建築家の作品。
これはと事務所内で盛り上がり、データを英訳、写真を転送サービスで送り、一通りの作業を終えたのが12月初めでした。
12月6日に編集者からのメールを開くと「残念ながら今回は掲載できません」とあります。
条件の中に2008年以降の作品とあったのです。作品の指定があった事もあり、私が必要条件を読み飛ばしていました。
再び香港建築科学出版社から連絡があったのが今年の4月。「当社のwebサイトにStar Weekというページがり、そこに掲載しないか?」というものでした。
その時点で5人程の建築家が掲載されていましたが、そうそうたる顔ぶれです。本当にここへ載せてくれるのかなと半信半疑でしたが、すぐに資料を送ったのです。
8月24日に、他の海外出版社から問い合わせがあったので、ふと思い出し見に行くと載っていました。私が。
他の建築家をざっとピックアップすると、ドバイで世界一番高いビル「ブルジュ・ハリファ」を設計したエイドリアン・スミス。完成すれば世界一高いタワーになるサウジアラビアの
「キングダムタワー」のゴードン・ギル。
「香港上海銀行・香港本店ビル」で世界的に知られるノーマン・フォスターは、イギリスで男爵の称号を持ちます。
「テルアビブ美術館」のプレストン・スコット・コーエン、「メルセデス・ベンツ・ミュージアム」のベン・ファン・ベルケル……
日本からは中国で活躍する迫慶一郎と保坂猛。最新で紹介されている建築家は、有機的な建築で圧倒的な存在感を示すフランク・O・ゲーリーです。
日本には神戸にフィッシュ・ダンスがあります。
フォスターも、ゲーリーも20代から作品集を持っている建築家です。このそうそうたるメンバーの中で、私はどう紹介されているか。かなり短いコメントですが。
In response to our Chinese reader’s request,this week editors recommend this japanese architect.
His designs is Sharp,colorful,dynamic.
後ろの文の意味は分かりますが、前の文書はどういう意味なのか。
翻訳サイトに入れてみると「中国人読者の要望に応え、編集として、今週はこの日本人建築家を推薦します」とでもなるのでしょうか。
ページの作りが、他の建築家とちょっと違う感もありますが、嬉しいことです。『今週は』という事は今週いっぱいなのでしょうか。
それでも良いのです。今度は中国で仕事するか!いや、出来ればイタリアがいいな、とか勝手なことを言いながら、夢は膨らむのです。良ければのぞいてみて下さい。
ちょっと扱いにくいのですが、「Star Week」の右端の矢印をたたいていくと9番目です。
香港建築科学出版社 Hong Kong Architecture Science Press
4年程前にも、イタリアの出版社から作品を掲載しないかという問い合わせがありました。
調べると由緒ある住宅誌。しかし「どうやって写真を送るのとか、コメントは何語なのかとか、出版料は要るの」など、こと細かに聞いているうちに、話しは流れてしまったのです。
その時感じたのが、スピードは説得力。座右の銘という程ではありませんせんが、常に心がけています。