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染み出すのは澄んだ水『 870』オープン‐1799‐

 清滝街道で大阪平野から奈良盆地にはいります。

 阪奈道よりはカーブが緩やか。街道風情が残るので、現場へ行く際は好んで使っています。

 奈良側に入ると更に景色は穏やかで、目に優しい里山風景が広がります。
 
 土手には野焼きの跡が見てとれますが、その匂いも懐かしいのです。

 計画地の水源が近くにあると聞き、その付近を通ってみました。

 池という表記でしたが、小さな湖のような佇まいです。

 水質もかなり良さそうで、水道の水も美味しいだろうと想像します。

 最速梅雨入りの影響を受け、「The Longing House」の外構工事も雨の中での土間コンクリートの打設です。

 最も道路側にあるレッドシダーが張られた空間は会員制サロンでした。

 インスタグラムでは、工事終盤からの写真もUP済み。

 そしてエントランスに「HELLO」の文字が。

 頭の中で、ハロー・グッバイのメロディが流れた人は、間違いなく70年代生まれのはず(笑)

 オープンは5月23日(日)で、その後もかなり予約が埋まっていました。

 私としても嬉しい限りですが、工事のほうは本当にギリギリで、そこは気が気ではありませんが。

 先日、現場日記で紹介した井戸のようなもの

 今週からの雨で、ぐっと澄んできました。

 大阪に降る雨も、地面という巨大なフィルターを通って沁みだしてくると、これだけ清い水になることに、感動すら覚えました。

 本格的な井戸ではありませんが、非常時にトイレを流したり、普段は庭木の水遣りに使うことができると、クライアントも非常に喜んでくれました。

 計画がスタートし、あっという間に2年が過ぎていました。

 課題、難題、金額というフィルターを通して染み出してきた思いは、多分純粋なもの。

 きっと『870』を訪れる方にも届くと思います。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

やるからにはトップチームで‐1754‐

 日曜日はかなり早くに目が覚めました。

 「今週は全く走れなかったな」と思いながら空を見上げると雲ひとつない快晴。スカッと気分が良いものです。

 走る前に「M1グランプリの予約でもしておくか」とテレビを付けると、渋野選手が大写しになっていました。

 長らくゴルフはしていませんが、少し見ていると動きが機敏で非常に気持ちが良いのです。

 ボールの前にアドレスし、目標を二度ほど確認。

 スッとスイングに入り、しなやかにインパクト。

 世界のトッププロを20年もゴルフをしていない私が語るのも失礼ですが、勝者のリズム、空気感を感じます。

 今日が最終日でしたが、悪天候で順延となったよう。明日の結果が気になるところです。

 昨夏全英オープンを制してから、成績に波があったようですが現在22歳。まだまだ結果を残してくれるでしょう。

 ゴルフは父に連れられて中学生くらいから始めたので、大好きなスポーツのひとつでした。

 仕事を始めてからは練習時間が取れず、かつ誰かに負けると腹が立つので辞めてしまいましたが。

 先週は「The Longing House」の建方工事がありました。

 左右ともマンションに挟まれていることもあり、かなり大きな重機が入っています。

 クライアントと見ていると、なかなかに面白いのです。

 特に建方はチームプレイです。

 重機のオペレーターは2階が全く見えていません。

 棟梁が身振り手振りで指示をする姿ですが、熟練工達の仕事は見ていて気持ちが良いのです。

 この計画、家を建てる前に課題が山積みでした。

 一段高い隣地対策としてRCの擁壁を計画していましたが、これが難しいかもとなりました。

 それで、道路工事などの土留めを応用した、鉄骨とPC板の案を考えました。

 しかし掘り始めると、湧き水が染み出してきました。

 穴を掘って一箇所に集めてポンプアップ。

 なかなか水は引きません。

 基礎工事に入る寸前まで、ポンプが可動していました。

 現在は何とか止まっていますが、「どうせ湧くのなら、井戸でも掘って非常時に利用したらどうかしら」とクライアントから提案があったのです。

 「もうダメだが仕事のはじまり」と書いたのですが、ここに関わる人は皆前向きなのです。

 何とかかんとかPC板を吊り込みましたが、今度は隙間を狭める調整をしなければなりません。

 これが、完成形です。

 H鋼の中に、最終高さのスペーサーを設置しています。

 1枚600kgなので3枚1.8tonを一度ジャッキアップして、仮スペーサーとした木の柱2本を撤去。

 そして両端のスペーサーと同じ高さの薄い木をかまします。

 徐々にPC板を降下させ、ジャッキを外して完成です。この方法は、監督と外構業者とで知恵を絞って考えてくれました。

 ゴルフでは、トーナメントリーダーは最終組でスタートします。よって渋野選手は最終組。

 同組はスウェーデン人とアメリカ人の2人でした。

 競争相手ではありますが、世界のトッププロと回るのはとても楽しいだろうなと思って見ていました。

 ここ最近の仕事で言えば、10件連続して同じ監督と仕事をしています。

 金額を合せてくれるから受注するのですが、考え方の方向が常に「解決」へ向いているのです。

 多くの監督は「どうしたら良いですか?」というスタンスですが、「どうするべきか?」と言う視点で考えてくれるので、必然的に良い結果へ寄って行きますす。

 舞台で言えば、私は脚本を書く仕事ですが、演者がどうすれば良い舞台が完成するかを本気で考えてくれなければ公演は成功しません。

 多くの建築会社と仕事をしてきましたが、やはりトップレベルのチームで挑みたいのです。

 この監督と今日の午前中も打合せをしていましたが、ある建築家の代表作を担当していたことが偶然分かりました。

 竣工は26年前のことですが、少し縁があり、この作品がどれだけ難易度が高いかを聞き知っていました。

 一生懸命に働き、家族の幸せを本気で願うクライアントと、トップチームで物創りをすれば、良い物以外できようがありません。

 少しずつ、少しずつ山を登ってきたつもりですが、標高が上がれば上がる程、ステージは狭まってくるはずです。

 渋野選手のように、そんな景色の中で働きたいといつも思っているのです。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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