カテゴリー別アーカイブ: 04 建築

餅屋は餅屋‐1173‐

 九州が梅雨入りかと思っていたら、西日本も梅雨入り。今日は良い天気でしたが、明日からは雨のようです。

 4月末に撮影した「滋賀の家」の竣工写真が届きました。

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 元、山城だった大きな敷地に母屋を残し新居は建っています。

 母屋の縁側は南西を向いていました。

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 南西向きの開口は、これからの季節、西日が辛いのです。

 そこで、新居は真南に向き、かつ母屋と同じ角度の壁も作りました。

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 南西面には出来るだけ開口を設けず、設けた場合は窓位置を壁の中に沈めました。

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 夕景でみると、窓が奥まっているのが分りやすいのですが、ここにテレビが埋めこまれているのです。

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 そうすることで、ほぼ西からの直射は防ぐことができます。

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 エントランスを右に曲がるとLDK。

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 キッチンは真南に向きますが、リビングエリアはヘの字に曲がっています。

 この部分も、西日を遮ってくれるのです。

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 キッチンから南の庭を望みます。

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 見返すと、吹き抜けを介してつながる寝室の小窓が見えます。

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 吹抜けの上にはセカンドリビング。

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 北向きの開口は光の入りすぎがありません。

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 庭にはドッグランがあります。

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 同じく犬を飼う友人が集った際、自由に遊べる需要なスペースです。

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 犬好きにとって、外と中の区別はそれほど無いようですが。

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 庭に張り出したサンルームは、庭に開放しお茶をするエリアですが、奥には、ブラッシングスペースもあります。

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 1階にある仏間。床柱は、旧宅から転用しました。

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 寝室は中央にあるウォークインクローゼットを介してつながります。


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 2階の子供部屋は、淡いグレーの壁に、白っぽいフローリング。

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 こちらは濃いフローリングにブラックの壁。


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 撮影には、奥さん、お子さん、そして愛犬にも協力して貰いました。

 ご主人にも参加して貰ったカットもあったのですが、皆さんの顔がしっかり映りすぎてNG。

 これだけが少し残念でしたが、奥さんからメールが届きました。

昨日、竣工写真が届きました。とても良い写真で感激しております。
さすが、プロの写真家の撮ってくださった写真はちがいますね!
とてもいい記念にもなり喜んでおります。

お天気にも恵まれて夕景のショットもとても美しいですね。
また、ホームページのWORKS楽しみにしています。

 撮影当日も本当に良い天気に恵まれました。

 私もプロ仕様のカメラを持っていますが、はやりプロの仕事はプロの仕事です。

 高度情報化社会になり、知識や、経験が、尊重されない時代に見えます。しかし、本当に大切なことは教えられないと思っています。

 その一歩手前までは教えられても、最後の壁は、自分が失敗したり、成功したりしながら越えるものだと思います。

 これにはかなりの時間が掛り、仕事として経験する以外に方法がないのです。

 写真家の平井さんは、飄々とした人ですが、今回も結果を出してくれました。餅屋は餅屋です。

 餅屋がほぼない中、このことわざが死語にならないよう、全ての職業人は、プロの仕事をしなければなりません。

賢者の選択‐1171‐ 

 セブンドリーマーズの社長、阪根が「賢者の選択 Leaders」という番組に出演していました。

 何度か書きましたが、彼とは中学校からの付き合いです。

 一昨日、webサイトにも放送回がUPされました。

 セブンドリーマーズ社は現時点で、カーボンゴルフシャフト部門、ヘルスケア部門などを持ちます。

 当事務所はカーボンゴルフシャフト部門の、直営3店舗をデザインしました。

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 2014年2月オープンの「芝公園ラボ」。

 番組内でもフィッティングの様子が紹介されていました。

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 そして、2015年4月2日にグランドオープンした「梅田ラボ」。ようやく竣工写真が上がってきました。

 「梅田ラボ」は、過去2店舗の黒を基調としたデザインとは趣を異にし、より広い層に足を運んだ貰うという目的がありました。

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 店舗面積は過去最大で、試打エリアも2打席になりました。

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 1人1人のスイングデータを取り、完全オリジナルのゴルフシャフトをつくるのはどの店舗も同じです。

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 ラウンジエリアには、ル・コルビュジエ、イサム・ノグチの名作が並んでいます。

 黒いダイヤモンドをモチーフにしたディスプレイと共に、この店舗の位置づけを表しているのです。

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 番組では、彼の半生とセブンドリーマズ創設までの道のりを、非常に分りやすく、面白く語っていました。

 コミュニケーション能力の高さは昔からですが、更に貫禄がついたな、というのが素直な感想です。

 母体となっているCFRPのトップ企業、スーパーレジン工業の高い技術力があるとは言え、やはりリーダーの選択が会社の行く末を決めるのです。

 売り上げ3500億が目標という数字を聞くと、多くの社員を率いるその重責が伝わってきます。

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 つい先程まで、建築家・槙文彦の講演を聞いていました。

 現在86歳。

 東大の丹下健三研究室出身で、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞をはじめ、全てのものを手に入れたと言ってよい、生きるレジェンドです。

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 9・11テロの跡地に建つ、4つのスカイスクレパーの1つが4WTC(4ワールドトレードセンター)。

 これも2013年の彼の作品です。

 しかし語られた言葉は穏やかなものでした。

 「街に、ささやかな核をつくるのが建築家の役割」

 「ニーチェは、孤独は最高のホームと言った。百貨店のトイレ前のソファーでなく、街にも独りを楽しめるような空間が必要です」

 目の前にいるのは、86歳の老人です。しかし、まぎれもない、世界最高峰の建築家。

 役割が、人を無限に成長させるのでしょう。

 若い女性は弱くとも、母となれば強いのです。いや、強くならざるえないのです。

 規模は違えど、私もリーダーであり建築家。常に世界一の頂を目指し、登り続けるだけです。 

家が揺れる大音量‐1162‐ 

 雨の多かった4月前半から一転。晴天が続きます。

 昨日は「滋賀の家」の撮影でした。

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 雲ひとつない快晴。元山城の敷地につき、土塁の上から外観を狙います。

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 見事に咲いた山桜と、建物の位置関係を探る写真家。

 写真家の一番の仕事は、アングルを探すことです。気に入ったカットを、ワンカットいくらで私が購入するという流れです。

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 自営で完成したドッグランも、ようやく本物が見れました。敷地が広いだけに、建物以外の部分が重要です。

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 最近は、人物ありの写真も撮ってもらいます。

 どこに立って貰い、どう撮るのか。これは任せる他ありません。やはり経験がものを言います。

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 その間、私がサブカットを撮って回ります。

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 3時の休憩に、奥さんが手作りデザートを用意してくれました。

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 シフォンケーキは、お気に入りにお店直伝。厨房の中に入れて貰い、レクチャーを受けたとのこと。

 これは完全にプロの味。クリームブリュレも本当に美味しかったのですが、それを準備してくれることが、何より嬉しいことです。

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 計画がスタートした当初から、スタッフの田辺も本当に可愛がってもらいました。庭を眺めながらのティータイムは、最高の時間のはずです。

・前の家の時は来なかった親族が、頻繁に立ち寄るようになった。
・お客さんが長居する。
・カフェみたいと言われる。
・知らない人が、庭を散歩してタケノコを採っている。

 最後はご愛嬌ですが、本当に喜んでいるという気持ちを、目一杯伝えて貰いました。

 ただただ幸せな、午後のひと時……

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 昼の部の撮影が終り、最後は夕景の撮影です。

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 この日の日没は6:37pmでした。

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 7:00pm頃まで粘り、この日の撮影は終了。

 その後、夕食までご一緒させて貰いました。ご主人は元プロなのです。

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 パエリア、ローストビーフ、生しいたけのソテー、トマトとモッツァレラチーズ、タコのバルサミコソースあえ。

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 杯が進まないはずもなく、あっと言う間に終電の時間に。長男の彼が送ってくれました。現在就職活動中とのことです。

 ご主人は、音楽にもこだわりがあり、LDKの天井にはBOSEのスピーカーが埋めこまれています。

 長男の彼は「家が揺れるくらいの大音量で音楽をかけ、踊っている」そうです。このロケーションならそれも可能。

 ゲストが喜んでくれるのは嬉しいことですが、家族の幸せは、更に上の喜び。

 彼にとっては、冬の太陽光が奥深く届くことより、美しい景色を切り取ることより、大切なことだったのかも分かりません。

 光、風、音。人にとって大切なことは、本当の意味で人それぞれ。

 就職が決まれば、この家を出ることになるでしょう。盆暮れに帰ってきたくなる思い出が、ひとつでもできればと願うのです。

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

イベント in メルボルン‐1160‐

 先週末、「灘の高台の家」の1年点検へ行っていました。

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 西宮から神戸にかけて、夙川、芦屋川、夙川、石屋川と何本も川があります。北から南に流れるので明るい。並木が多いのも特徴でしょうか。

 近くの青谷川も、ここまで遡ると随分狭くなります。

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 八重桜が満開。紅葉も小さな花を付け、まさに新緑の季節。

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 こちらのご夫妻は「物を持たずに空間を持つ」タイプ。

 2階のLDKは、1年前となんら変わらないほど、美しく保たれていました。1時間程滞在し、いくつかの是正工事を施工会社に依頼。全く問題ないでしょう。

 今月初め、オーストラリアで働く日本人女性からメールが届きました。

 メルボルンの設計事務所に勤め、日本から建築家を呼ぶ小さなイベントを企画しているとのこと。

 所用で帰国しており、一度訪問しても良いかという内容でした。

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 現在はオーストラリア大使館に支援金の手続きを行っている最中で、スムーズに進めば11月の開催予定です。

 5年程前に「つるみ歯科クリニック」で治療を受けた際、気持ちの良い空間だったので、受付で設計者を聞きました。

 個人情報保護の観点から、教えて貰えなかったそうですが、建築家を探す過程で、当事務所のサイトを見つけたそうです。

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 「もしオファーがあればメルボルンに来てくれますか」という質問には「喜んで」と答えました。

 偶然「つるみ歯科クリニック」へ通院経験があったからこそ生れた縁ですが、改めて建築は世界の共通言語だと感じます。

 彼女は、オーストアラリアの自由な風土を気に入り、ここで働くと決めました。永住権を手に入れる為に翻訳の資格をとり、働くために200通の履歴書を送ったそうです。

 そして、建築の仕事に関わりながら、オーストラリアと日本の架け橋になりというのが、このプロジェクトの動機。

 仕事がないなど、働き先がない、このエネルギーに比べれば戯言でしかありません。

 オーストラリアは乾燥しているので、防火の観点から木造建築が難しいそう。一方、地震がないので、開口部はかなりの大きさが可能だそうです。

 私達が設計した建築が、オーストラリアの地に建つ景色を、想像するだけで楽しくなってきます。 

誰も咳をし、笑う‐1159‐

 一昨日の火曜日は、雨の京都へ。

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 蹴上のウェスティン都ホテルへ行っていたのですが、雨濡れる古都もなかなか良いものです。

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 盛和塾の勉強会だったのですが、参加者は約1300名。同じ支部に属する方が、自らの経営体験を発表しました。

 本当に立派な内容でした。従業員270名の人生を背負うことが、人をこれだけ成長させるのかと思うのです。

 会の最後は、全員が輪になって「ふるさと」を歌います。

 塾長の稲盛さんが、落ち込んだ時のこの唄を歌い、勇気を貰ったことに由来するもの。

 全員が、稲盛さんの考えに共感し、少しでも会社を良くしたいと思っている同士なのです。

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 会場となったウェスティン都ホテルは、関西が誇る巨匠・村野藤吾の設計です。

 「ウェスティン」となり、かなり手が入ったようですが、柔らかなフォルムの階段は、村野好みが良く現れています。

 色がもう一つで残念なのですが、実際の感覚で言えば「ミルキー」が適切でしょうか。

 これも村野好みの真骨頂。 

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 本館の裏には、本格的な和室別棟エリアがあります。

 待ち時間を利用し、見て廻りました。

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 中でも、佳水園は村野流数奇屋建築の傑作と言われます。

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 門をくぐると、まず白砂の中庭が広がります。

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 エントランスホールに掛るのは、川端康成の書。

 一流は一流を知るのです。ただ、純粋な書としての評価は別ですが。

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 この日も満室とのことでしたが、外国人観光客が多いようです。

 どうせなら、本格的な和の空間を体験して貰えると、建築に関わるものとしてはやや誇らしい気持ちになります。

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 回廊をぐるりと廻り見返すと、軒の薄さに驚嘆します

 なぜ薄いのか。薄く作るには、素材のことを良く知っている必要があります。また、過去の実作での経験から、その最小値を探っていくことになります。

 その葛藤と手跡を、人の目は一瞬で見抜く能力を持っていますし、過去に見たことがないものに心が動きます。創り手はそういうものを目指すのです。

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 軒に穿たれた開口。視線を誘導しています。

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 軒の隙間から見えるのは八重桜か。どこまでが意図なのか。巨匠が没して30年、もううかがい知ることは出来ません。

 早くに独立したので、自分には師が居ないとよく嘆いていました。

 稲盛和夫、村野藤吾、ミース・ファン・デルローエ、ル・コルビュジエ、アルバート・アアルト……

 良き師は掃いて捨てるほど居る、と言えばバチが当たりそうですが、自分にその気と、行動力がないだけだったのです。

 謦咳に接すると言いますが、謦咳とは「咳払い、笑ったり語ったりすること」と広辞苑にはあります。

 人は、同じように咳をし、笑い、語る。どんな立派な人でも、同じ人間だと知ることが、その本質なのではと思うのです。

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 有り難いという気持ちと、さあやるぞという気持ちを秘めて、京都を後にしたのが、夜の11時過ぎ。

 ちょっと遅くまで飲みすぎました。

必ず勝つ‐1157‐

 今日は昼から「松虫の長屋」の現場へ行っていました。

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 現在進行している計画の3割はリノベーション。

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 この計画は、中でも構造の付け替えがかなり複雑です。

 腕利きの大工も「これはなかなか大変」とのこと。でも「やってやれないものはない」が口癖です。

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 子供さんにとっては、スーパーマンに見えるでしょうか。監督とともに、全幅の信頼を置いているのです。 

 昨年の秋頃、コンペ開催の案内メールが届きました。

ネット上で開催されるコンペで、参加料を支払う必要はありますが、その他の制約は全くありません。

 また、クライアントの要望も非常に明確で、熱意と誠意を感じました。

 ネット上のコンペは、過去に一度参加したことがありますが、その際は負けてしまいました。

 以来、絶え間なくオファーを貰っていたこともあり、参加する必要も感じていませんでした。

 しかし、人員も揃い、直接貰ったオファーではない仕事で、事務所の力を試してみたいという気持ちもあり、参加を決めました。

 まずは十数社から十社への書類選考でしたが、無事通過。

 その1ヶ月後、11月初めに実際のプレゼンテーション資料を作成し、郵送しました。

 11月後半、3社に残ったとコンペ主催者から連絡がありました。その後、順に面談があり、実際に契約することになったのです。

 主催者が、当事務所を選んだ理由を連絡してくれました。恥ずかしげもなく、公開させて貰います。

 アトリエ m様に決定された一番の理由としましては全社による最初のプラン提示において、同じようなプランが並ぶ中、アトリエmさんだけが一風変わった物をご提案いただきました。

 また、平面図+立体模型、数十頁に及ぶ概算見積もり書なども付属をしてくれたのもアトリエmさんだけでした。

 妻と相談する上で、アトリエmさん以外は考えられないと言うのが正直なところでした。

 実際にお会いをさせていただき、お話をしてみると守谷様の人柄や設計に対する思いや取組み方なども大変すばらしいものを感じました。

 心から嬉しいコメントですし、そう思って貰える人と仕事が出来るほど幸せなことはありません。

 以前の敗戦から、出る以上は必ず勝つと決めていました。

 当事務所は現在5名ですが、アトリエ系事務所としては小さい方ではありません。

 コンペの図面、模型作成のピーク時は3人を投入し、図面は2プラン、模型は計3つを作成しました。

 概算見積り、キッチンの本見積り、当事務所の契約条件なども合わせて、ダンボール箱に梱包して郵送したのです。

 ものごとに絶対はありませんが、ここまでの時間とマンパワーを投入できる事務所はそうはないはずだと考えていました。

 スタッフの成長も感じていましたし、これで負けることがあれば、私のプランが悪い意外に理由はありません。クライアントの幸せと、環境の特徴を両輪としたプランを作成したのです。

 以前の敗戦は、中途半端な自信だったと思います。コンペに出なくても仕事はある。それなりの実績は残してきた等など。それなら出なければ良かったのです。

 もし負けていたらこの事を書いたのか。それは分かりません。

 しかし、勝つと決めていたのは本当です。
 

「梅田ラボ」OPEN‐1155‐

 4/2(木) 11:00 セブンドリーマーズ・梅田ラボがグランドオープンしました。

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オープニングレセプションが3月27日。29日まで内覧会が続きました。

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 エントランスから奥に入るとラウンジエリア。その背面ディスプレイは全く手が付けられていませんでした。

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 これはCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)から黒いダイヤモンドをイメージしたものです。

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 側面から見ると、ダイヤモンドカットが分かるでしょうか。

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 ラボの心臓部はなんと言っても試打エリアです。

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 その横にはワーキングスペースがあり、この場で測定、調整が行われます。それがラボとギャラリーの違いなのです。

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 更衣室の壁は床材と同じ材で貼られています。

 その材をくりぬき、アクリルを埋め込んだロゴですが、現場は非常に苦労していました。

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 この更衣室エリア、ダイヤモンドディスプレイがようやく形になったのは昨晩遅くでした。

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 今日から1週間は雨予報です。その寸前、快晴に恵まれ、桜の満開宣言の中、梅田ラボは船出をしました。

 よくここまで来たというのが、実感です。

 以前、コピーラーターの糸井重里氏が「おもつらい」と言っていました。「面白い+辛い」の造語です。

 もの創りとは、なんと、おもつらいものか……

 「梅田ラボ」について、2回続けてUPしましたが、私にとっても今日で一区切り。

 出来たこと、足らなかったことを精査したいと思います。

仕事という舞台‐1154‐

■■■ セブンドリーマーズ・梅田ラボ ■■■
     ■■ 4/2(木) OPEN ■■

 先週金曜日は、セブンドリーマーズ・梅田ラボのオープングレセプションでした。

 本当に多くの方に来場頂きました。心から感謝申し上げます。

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 写真があまり撮れなかったので、昨日も少しのぞいてきました。

 駅前第2ビル前の桜は、7分咲きくらいでしょうか。桜は背景が濃い色だと撮りやすいのです。

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 人通りの多いところで、駐車違反を取り締まる、緑のおじさんも立ち止まって見てくれていました。

 大阪駅側のアーケードに面し、西隣はIBS石井スポーツです。
 
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 アーケード側からアプローチすると、石貼りの床。

 石、フローリング、カーボンが入り混じるスロープから奥に進むと、ガラスに面してラウンジエリアがあります。

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 ここに、当日届いたLC1とケンオクヤマデザインのソファが並びます。

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 ラウンジエリアの対面にあるのが、更衣室エリア。

 床材と同じフローロングで立ち上げました。このシャープなエッジは、大工が三晩かけて仕上げてくれた箇所です。

 是非手に触れて欲しいポイントなのです。

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 試打エリアは2打席ありますが、奥のブースが心臓部。

 「測定できないものは作れない」の言葉通り、解析力、設計力こそがセブンドリーマーズ製シャフトのオリジナリティーです。

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 それらのデータが、ヒットスクリーンに映し出されるのですが、このシュミレーションゴルフだけでも体感の価値ありです。

 ゴルフに興味のある方は是非訪れてみて下さい。

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 セブンドリーマーズの創設者で社長の阪根。30年来の友人ですが、忙しい中、昨日も現場に立っていました。

 セブンドリーマーズでも多くのプロジェクトを束ね、かつスーパーレンジ工業というCFRPのトップメーカーを経営します。その手腕に一目置かれる存在です。

 そう言えば、近いうちにテレビ出演もあると言っていました。分かればここでも告知したいと思います。

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 左は店長の子安さん。長くゴルフ業界で働いてこられた、爽やかな方です。歳を聞くと、更に驚くほど若いのですが。

 右はスタッフの笹川さん。アルペンスキーでは長らく大阪の国体選手でした。学生時代からの本当にお世話になりました。

 「白馬の山小屋」は、ご実家のセカンドハウスで、私にとっては2人目のクライアントでもあります。

 「永遠のアルプスの少女ハイジ」とは阪根の言葉。

 誰からも愛される人柄は、関西スキー界で知らない人はいません。

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 当面は2人が中心となって、梅田ラボは運営されて行きますが、この日も、各部署の担当者が集っていました。 

 仕事人生は舞台に例えられます。

 主役、ヒロインから、脇役、通行人Aまで。全てに意味があるから、その役柄があります。

 主役は常にスポットライトを浴び、舞台が成功すれば賞賛を、そうでなければ非難を一手に受けます。

 しかし、その舞台を成功させるという目的が一致していたなら、それぞれの役割に貴賎等ありません。

 役割を理解し、それぞれが持てる才能を十分に発揮して、目的を達成する。そこを共有できているか、否かが、成否を分けるはずです。 

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 金曜日は「羽衣の家」「イタウバハウス」のクイアントも遊びに来てくれました。

 「羽衣の家」のクライアントはスキー部の先輩で、阪根と私に花束をプレゼントしてくれました。

 建築家という仕事も社長業と同じく、賞賛と非難を一手に引き受けざる得ない仕事です。どれほど現場、スタッフが頑張ってくれたとしても、両方を引き受けるしかありません。

 成否を背負うチャンスを与えられたなら、覚悟を決めるしかないのです。

 しかし、花など貰ったのはいつ以来でしょうか。こういったところに、育ちの違いが確実にでます。

 叩き上げのバイタリティーと3代目の育ちの良さ。両方あればベストですが、それこそ矛盾するものでしょうか。

浴槽の営業じゃけん‐1150‐

 彼岸まで1週間をきり、寒さの終わりが見えてきました。

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 水仙が満開です。

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 今日は朝から、大和重工業というバスタブメーカーの営業がありました。バスタブを積んで持って来てくれました。

 その重さ130kg。

 飛び込みの営業は断っており、自分が本当に聞きたいと思うモノ、人しか会わないことにしています。

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 このメーカーのバスタブは鋳物ホーロー製で、現在進行している計画にも、いくつか採用しています。

 鋳物ホーローとは鋳物でつくった型に、ガラスを焼き付けたもの。

 重厚感と、清潔感を備える素材で、モノのポテンシャルは非常に高いと言えます。

 広島出身の営業マンは、一人で車から降ろすと言います。繰り返しますが重さは130kg。

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 手伝わずに、見せてもらうことにしました。

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 実に器用に、バスタブを揺らしながら、動かしていきます。

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 無事地面に降ろし、その上でスタッフに説明を始めて貰いました。

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 バスタブの上で、YouTubeによる製造工程の解説付き。

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 それが終ると、また一人で車内に戻し、帰っていきました。その間、20分程。

 浴室としては、近年はユニットバスが採用されるケースが多くなりました。 メーカーとしては、高級ホテルなどが重要な納入先のはずです。

 それを、我々のような、建物を量産する訳ではないアトリエまで実物を持ってきて、営業をするのです。

 「当社は、毛利元就の居城近くにあった、たたら場が起源となっています。じゃけん……」

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 どこで読んだか忘れましたが、伝説の営業マンの話です。

 本当にモノを売りたいと思ったら、その会社の前で車を停め、自分でタイヤをパンクさせてでもコミュニケーションをとる。

 考えてみれば、バスタブを地面に降ろさなくても、商品説明は出来るのです。

 モノの見極めは、厳しくしています。その上で、多くの競争相手から選ばれるには、何か一押しが必要です。

 自社の製品に対する愛着、歴史、人はその後押しになりえるのです。

 水仙の学名はナルシサス。

 ナルキッソスは、水面に映る自分の姿に恋焦がれた美少年。このギリシャ神話に基づき、自己愛をナルシシズムと言います。

 自分の見え方ばかり気にしている営業マンをみると、何を伝えたいの、と聞きたくなります。

 実にアナログで、気持ちのよい、営業でした。もっと言えば「こやつ、モノの売り方を知っているな」でしょうか。

ここから落ちても大丈夫‐1146‐

 先週の木曜日、「松虫の長屋」の現場へチンチン電車で向かいました。

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 阿倍野のホームの巾は60cmそこそこ。そこからハルカスを見上げるのは、定番の写真です。天辺は雨雲で霞んでいました。

 クライアントに教えて貰ったのですが、阿倍野の60cmホームは事故ゼロだそうです。人がいかに環境に左右されるかを、証明する数値です。

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 昨日は、最上階から1フロア下の59階、マリオット都ホテルを予約していました。その時は、いい写真が撮れるだろうと、対比に撮っていたのですが。

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 残念ながら昨日も雨。阿倍野の60cmのホームを見返すの図です。

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 父が70歳で古希。長男が10歳で2人とも3月生まれ。一緒にお祝いをとなりました。

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 昼のコースを満喫し、反対の北側へ景色を見に行きました。

 25歳の時に、事務所として借りたマンションが、JR天王寺駅にすぐ北に見えるはず……

 ありました。ただし、20階建てのマンションにほとんどが隠れています。

 そう言えば「高層マンション反対!」の看板が沢山たっていました。

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 ヨーロッパの教会は、より高い位置からの光を求めて、高層化が進みました。

 日本では、多くの五重の塔が示すように、寺社仏閣が高さを求めています。

 高さは、権威の象徴だったのです。より高くという欲求が、阿倍野に300mの建築を実現させました。

 私は歳と共に。どんどん高い所が苦手になってきました。昔は平気だったのが、最近では飛行機に乗ると、手に汗握ります。

 その理由は明確です。高いところから落ちると死ぬと分かり、今は死ねないと思っているからです。

 人の体は、自分が走れるスピードの衝撃なら耐えれると言われます。

 100mを12秒で走れる人なら、8.3m/S。

 V(スピード)=g(重力加速度9.8)t(時間)

 上の式にあてはめると、約.085秒落ちても大丈夫となります。

 S(距離)=1/2g×t×t

 その距離は3.5mです。2階強といったところでしょうか。

 この式で計算すると、以下のようになります。

 ウサイン・ボルトなら5.6m、12秒で走れる人なら3.5m、15秒の人なら2.3mから落ちても大丈夫。

 私の結論。可能な限り、建築の高さは抑えるほうがいい、です。

 これで、高層ビルのオファーはもうこないと思いますが。