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悪い天気というものはない‐1583‐

 令和元年の5月2日(木)です。

 2004年、平成16年に開始したこの日記ですが、令和も変わらず続けていきたいと思います。

 ライフワークと思っていますが、流石に90歳になっても書いているとは思えないので、いつかは終わりが来るわけです。

 しかし、それを考えても仕方ないので、日々を丁寧に生きて行こうと思うのです。

 昨日は生憎の雨でした。

 敷地調査へ行っていたのですが。関西にもまだまだ知らない街があることに驚きます。

 それが、嬉しくもあるのですが、街にはそれぞれの匂いがあるものです。

 前回、大学時代の友人が子供を連れて七色ダムまで遊びに来てくれたと書きました。

 彼らが帰った夜、また別のスキー部時代の仲間が訪ねてくれました。

 関西に帰省中で、小学3年生のお子さんを連れてわざわざ神戸からやってきてくれたのです。

 午前中はご主人とお子さん、午後は奥さんとお子さんをガイドしました。

 しかし、今回も残念ながらノーフィッシュ。私もまだまだ修行が足りないようです。

 しかも、午前中にはお子さんがボートから湖に落ちてしまうというハプニング。

 すぐに助け上げましたが、2人で4月に初泳ぎを済ませてしまいました。

 なかなかにタフな男の子で、笑い飛ばしていたので救われるのですが、安くて美味しいラーメン鍋で埋め合わせです。

 サッポロ一番にキャベツと追い餅を入れるだけの手抜き料理ですが。

 それでもあの美しい自然を体感して、何か少しでも感じてくれたなら嬉しいのです。

 知人たちが帰った次の日は結構な雨でした。

 魚と人は常に逆。まぶたの無い魚は晴れを嫌います。

 水の中で暮らす魚と、水の外で暮らす人が同じ価値観な訳がないのです。

 そういう雨降りの日は、レインウェアを来て湖上に出るに限ります。

 魚の活性は上がり、人は減り、良いことばかりなのです。

 2日間、釣らせられなかった鬱憤を晴らしてきました。

 「悪い天気というものはない。

  服装が適切でないだけだ」

 スカンジナビア半島の格言だそうです。

 少し視点を変えて見れば、全てのことをポジティブに捉えることができる。至言だと感じます。

 水の中と水の外。どちらも同じ地球上です。

 魚とまで分かりあう必要があるのか分かりませんが、それが分かれば、人の気持ちなど、手に取るように分かるはずだと思うのです。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

それでもやまない雨はない‐1426‐

 先週の台風21号に続いて、22号が発生。

 2週続けて、大雨の週末になりました。

 土曜日は「中庭のある無垢な珪藻土の家」の撮影の予定でしたが、延期せざるをえず。

 緑を囲む京都のオフィス「(仮称)山本合同事務所」

 家事動線がコンパクトな「白のコートハウス」

 築80年、住吉の長屋を「碧の家 」に〈リノベーション〉

 木、金、土の現場回りはずっと快晴で、1日ずれていればと、歯噛みしたくなります。

 昨日はJRでの移動でしたが、昼頃はかなり強い雨脚でした。

 淀川も増水していましたが、直撃ではなく先週ほどの被害はなかったようです。

 昼には大阪に戻り、ショールームでの打合せに。

 グランフロントにあるリクシルで2時間半みっちり打合せをしました。

 夕方頃には雨もあがり、神戸方向から夕日も差してきたのです。

 梅田にも人足がもどり、どことなくホッとした気分になります。

 例えに出して申し訳ないのですが、「やまない雨はないというけど、本当だろうかと思っていた」と元プロ野球選手・清原和博が話していた場面をみたことがあります。

 FAで、西武から念願の巨人に移籍したが、思うような成績をなかなか出せず。

 また、松井秀喜との主砲争いに敗れ、夜遊びばかりとメディアからバッシングを受けていた頃を指してのコメントでした。

 やまない雨がないのは間違いありません。しかし、晴れがやってきたとしても、またいつか台風はやってきます。

 数限りない栄光を手にしてきた彼が、本当に超えられなかったのだろうかとも思いますし、早熟の天才だったからこそ超えられなかったのかもしれません。

 先週、ある計画のプレゼンテーションをした後、断りの連絡を貰いました。

 私も設計したいと思っていたにも関わらず、断りがはいったのは久し振りです。

 負け惜しみもありここで書いているのかもしれませんが、この経験を少しでもプラスにしなければ、同じところを行ったり来たりするだけです。

 今回は良かったですが、またいつか大型の台風が直撃する機会はあります。

 ならばそれを想定し、準備し、危険も含めて、生きることを楽しむしかありません。

 それでもやまない雨はないのですから。

水と日影を南国大阪に‐1408‐

 まだまだ厳しい残暑が続きます。

 土曜日の明け方、雨音で目が覚めました。雨が上がったあと外にでてみると肌寒いくらい。

 雨の力は凄いものです。

 天満橋あたりから中之島をみる景色は、大川越しで涼しげです。

 見た目だけでなく、水上を通る風は冷やされ、若干温度を下げています。

 北浜にある「SEIUNDO」。内装のデザインをさせてもらいました。

 2016年3月に完成しましたが、大川沿いの最新のオフィスビルの中にあります。
 
 北に川のある立地を活かし、ビル自体がその涼風を取り込もうというコンセプトで設計されているのです。

 楕円のカウンターを中心にすえ「隔てず、導き、繋ぐ」をコンセプトに設計しました。

 実際に川側窓からの風はかなり涼しいようで、結構な時期までエアコンを使っていないとのことでした。

 日本は南北に3500kmある国ですが、大阪なら北緯34度です。

 日差しが強いイメージのあるバルセロナで北緯43度。函館とほぼ同じ緯度なのです。

 北緯35度前後といえば、ヨーロッパ大陸を南下し、アフリカ大陸北端のモロッコあたり。もう南国の趣きです。

 ニューヨークは北緯40度、ロンドンにいたっては北緯55度。北緯45度の稚内よりはるかに北です。

 世界の大都市の多くは大阪、東京と比べるともっと北にあることが分かります。

 にもかかわらず、何とかこの気温で済んでいるのは、日本が海に囲まれた島国だからです。

 温暖化が進む中、海の気温も上がっていることを考えると、日本の都心部は、本気で夏の気温、日射対策をしなければなりません。
 
 建築にまず出来ることがあるとすれば、日影をつくることでしょうか。近年は特に重要なテーマとして取り組んできたつもりです。

 深すぎず、浅すぎず、価値ある美しい日影をつくりたいと思っているのです。

 「高台の家」は、各居室南に庇を設けました。

 「さかたファミリー歯科クリニック」は建物全体を庇で覆い、外壁にあたる光の量も軽減しました。

 庇と日影が主役の建物です。

 「R Grey」は、9月1日から入居が始まる賃貸住宅ですが、限られた開口部を最大限に活かせるよう考えました。

 緯度が決まると、夏至、冬至の南中高度が分かるため、庇の設計がより正確にできます。

 バルセロナで設計するなら、庇の位置を変えなければなりません。

 庇が開口部前に日影をつくり、その部分の気温を下げます。

 また、内部空間の床を温めないので、室内への熱負荷がかなり小さくすむのです。

 私の初期の仕事で、庇が無い建物があります。

 それが「R Grey」の隣に建つ「平野西の家」です。1階は当社のアトリエです。

 正面の大開口に対して、もっと日射の検討が必要だったと思います。

 この家は弟の家で、申し訳なく思うのですが、なにかしらの対策をしなければと思っています。

 光と風の導き方が、現代建築における要点あるのは間違いありません。

 元建築家協会会長の出江寛は作品の評論をする際「軒のない建築は駄目だ」と一刀両断だったといいます。

 必ずしも軒である必要はないと思いますが、現代建築において、その意味がなお強いものになってきたと実感するのです。