オープンハウス

 先週の金曜日、現場日記にオープンハウスの告知をしました。

 週末の折込広告に入っている、内覧会のことです。場所を公開せず、申し込みのあった人に地図を送る点が、少し違うところでしょうか。

 私の事務所は今年で14年目になりますが、本格的なオープンハウスは今回が初めて。良い建物にしようと思えば、時間が有るにこした事はありません。引っ越し前のギリギリまで工事が続いているのが実状です。

 オープンハウスとなると、引っ越し前の休日が条件。更に告知期間をなど考えると……結局開催できていませんでした。何より、家はクライアントのもの。開催を前向きに考えてくれた場合に限ります。

 この計画は、平野区で20坪ほどの敷地に完成した、木造3階建てのローコスト住宅です。

 クライアントは、自身の要望と別に「頑張れば、自分達の思う家が必ず建てられる事を証明し、伝えたい」と考えていました。

 なぜそこに至ったかと言えば、まず家創りをスタートするだけでも簡単ではなかったからだと思います。

 候補の土地が見つかっては、金額が合わなかったり、建築の条件が合わなかったり。1年半の時間をかけ、目処がついたのが今年の3月。
ローンの条件で、6月末までに金額と施工会社の決定が必須でした。あわただしく図面を仕上げ、見積りをとり調整を終え、施工会社と契約。着工となったのです。

 私たち設計事務所と家を建てるのは、土地探し1つとっても、大変なことです。そこがスタートですから、完成にいたるまでには、多くの時間と、労力が必要になります。

 しかし、終盤にさしかかれば、もう終わってしまうのかという気持ちになるはずです。

 何故そんなことが言えるのか。私もそんな気分になり、その現場を見続けてきたからです。最も充実した時間は、最も苦労した時間なのです。

 と、言っているはなから「上がってきた木製建具の寸法が間違っていて、12月24日になるとメーカーが……」と監督から連絡が。
どんな状態であるにしろ、今回は必ず開催します。それもこれも全て現実。

 興味のある方は気軽に遊びに来てください。

マイベストプロ大阪

 今日は失礼して私の写真から。

 先月の末、メールが届きました。件名は以下の通り。

 読売新聞 マイベストプロ大阪 「大阪において一級建築士の先生を少数名募集させていただいております」

 このwebサイトに参加しないかというものでした。

 サイトを見に行くと『困ったときに、大阪で活躍するプロを簡単に探すことができる、地域密着のwebガイド』とありました。

 説明を希望すると、すぐ事務局の方が来所してくれたのです。
 
 何か問題があった時、webサイトも多すぎてどこに相談して良いか分からないという、読者の声がある。そんな時、読売新聞が審査した専門家を紹介するサイト、という話でした。

 オープンは1年前だったのですが、その時は応募→審査という形式でした。今回アンケートで一級建築士が不足しているという意見があり、探していたところ、当事務所のwebサイトを見つけたとのこと。

 このサイトは読売新聞のTOPページにも小さくリンクが貼られ、読売新聞の関西版サイトにもバナーが貼られています。

 掲載して貰うのに全く問題ありませんが、サーバーのレンタル代だけはこちらで負担しないといけません。しかし、利益を求めているような金額ではないのです。事務局の人に読売新聞がこのwebサイトを運営するメリットは何か聞いてみました。

 新聞とはそもそも、読者の知りたい地域に密着した情報を伝えるのが役目。その役割を果たし、更に他紙と差別化するためです、と。

 すべて納得したのです。早速お願いすると、次は読売新聞サービスというところから取材日の連絡がありました。

 当日現れたのは、60歳を少し過ぎた紳士。聞けば読売新聞のスポーツ欄担当記者だったそうです。50歳中頃のカメラマンも、元・高知支局長。

 何となく若い人をイメージしていたので、一瞬驚きましたが、話し始めると興味を持って質問をしてれ、話は盛り上がったのです。支局長撮影の写真が初めの一枚。

 記事はその記者が書いてくれたもの。専門の情報だけは少し校正しましたが、出来る限り元の文章を尊重しました。初めて接した、新聞記者という仕事に敬意を払ったつもりです。 

 良ければまたサイトものぞいて下さい。 

ベイブレード

 昨日の夕方、長男とおもちゃ屋さんへ寄りました。

 昔の仮面ライダーなら、本郷猛のベルトは最高にかっこいいけど、おもちゃはチャチなもの。しかし今は違います。主人公のものが若干安っぽい、要するに量産できるものなのです。

 長男が欲しがっているのはベイブレードという、ベーゴマ風のおもちゃ。コマは紐で巻いて回すものですが、専用の回す器具があるのです。

 これはアニメなので、主人公と同じものではありませんが、子供が欲しがるように、ありとあらゆるオプションがあります。元はベーゴマにも関わらず。

 スタジアムと呼ぶ専用の台、コマ自体も右回り用、左回り用、両対応。

 軸部分が取り外し可能になっていて、色々なパーツを組み合わせ、コマの特性を変えれるという触れ込みです。

 すでに2つ持っているのですが、なぜか娘の分も合わせて2つ追加で買ったのです。1つ700円程。

 帰って特性を見ると「回転時間重視」とありました。一体何を根拠にそんなことを……と見ていると、コマ自体と軸が別構造になっていて、コマは回っているが、軸は回らない構造になっていたのです。

 ベアリングでも入っているのかもしれません。摩擦がかなり軽減されるので、実際良く回ります。

 よくもまあ、と思いながらも、大人が本気で売る気になれば、ベーゴマでも、ここまで出来るのだなと関心しました。

 ゲームと比べると、体を使う分圧倒的に良いと思っていますし、買って買えない金額でないところが、親としては難しいところです。

 「大人が本気で売る気になれば」と書きましたが、彼らが本気で狙っているのは子供でなく、我々なのだと思うと、ゾッとしないではありません。
 

CO2

 明日、ノーベル賞の授賞式がスエウェーデンのストックホルムで開催されます。

 日本人の受賞者は2人。北海道大学の鈴木章名誉教授(80歳)、米パデュー大学の根岸英一特別教授(75歳)。共に化学賞を受賞しました。

 授賞式に先駆けてのインタビューで、根岸さんは以下のような発言をしていました。

  温暖化をを防ぐ為に、CO2を減らしましょうというのはばかげた方法だ。もっとCO2が欲しくなるように、もっていかなければ。人類の必要な営みの副産物としてCO2を出している。CO2を出さないようにしようというのは人類にとって重要な化学反応を抑えるのと同じだから、非常に消極的な考えだ。

 ではどうすれば良いか。

 その答えは自然にある。光合成だ。それを自然にやってももらおうとすると、たくさんの木を植えるとか大変だ。まず実験室でやって、成功すれば工場でやる。
 おかしな方向に行っているが、科学者が百八十度切り替え正しい方向に持っていかなければならない。

 詳細な研究の方向性は新聞で読んで頂くとして、最高の成果を残す研究者は、限りなくポジティブで、かつ痛快です。

 物を大切に、慎ましく生きることは大切なことですが、順番を間違えれば、息をするのさえ気を使いながら……となりかねません。近ごろ閉塞感という文字を良くみますが、空気を吸うのさえ気を使うなら、当たり前と言えます。

 しかし空気を買う時代が絶対来ないとは言えません。それらを払拭する為にも、根岸さんをはじめ、研究者の発表を楽しみに待っています。

 

友人は大切に

 日曜日の夜は、妻が出産のときに一緒だった友人家族と自宅で忘年会。今年初です。

 その会の前に、近くの現場に皆でやって来ました。

 お母さんから、近くなら現場を見てみたいとリクエストがあったのです。

 しかし子供達は前にある遊具のほうが気になり……見学会にはなりませんでした。

 休日に近くを通れば、出来る限り家族で現場に寄ります。

 子供が手にするおもちゃでも、モノはどんどん完璧に、精度が高くなって行きます。これからもその傾向は強まる一方。

 建築現場は精度低く、クレームだらけという訳ではありませんが、人の手の跡がまだまだ残っています。削った木屑、曲がった釘など。
こんな物を見るのが大事だと思うのです。

 忘年会の方は、妻も気合が入っており、食卓は料理でいっぱい。飲んで食べて、子供達も10時頃まで遊んでいました。

 家に友人が遊びに来てくれるのは、本当に嬉しいことで
す。そう言えば、引っ越してからも我が家に来てくれたのは、クライアントと妻の友人ばかり。

 はたして私に友達は……

 子供には、友人を大切にしなさいと言っているのですが。

コラム 第2章

 『住まいの設計』は扶桑社が出版する住宅雑誌。

 今までには、「光庭の家」「サロンのある家」を掲載して貰いました。

 そのweb版が『住まいの設計プラス』

 こちらでは、4月から「伊東内科クリニック」の現場日記をコラムとして取り上げて貰いました。

 クリニックが先頃竣工したので、編集部から引き続きコラムを書かないかと、オファーを貰ったのです。 

 どの計画にするかは、私が決めて良いと言われ、これから始まる「四丁目の家」にしました。今回は、工事に入る一歩手前。見積り調整から始めてみます。

 TOPページにも告知があり、嬉しい限りですが、何より嬉しいのは、引き続き書かないかと言われたこと。はやり継続は力なりでしょうか。

 計画地が東京なので、現場監理の回数は限られますが、コツコツUPして行くのでまたのぞいてください。

 禅宗のお坊さんは、生活の全てが修行だと考えます。ただし、集中して取り組む、というのが条件。そう考えると、文章を書くことも、物創りの修行であると言えますし、実感もしています。

 今日は12月に入って2日目。今年も最終章に入りました。今年も頑張った、と言えるかはこれからに掛かっています。

 終わりよければ全てよしなのです。

Ohanaの仕事

昨日は、朝一番から七五三の撮影に行っていました。

 Ohanaへ初めてお客さんとして行ったのです。

 植栽も随分育ち、オリーブも1m近く伸びていました。

 子供達が着付けをしている間、1階の仕事場でカメラマンの石井さんと四方山話をしていました。

 スタッフでもある奥さんが2階のスタジオから「準備出来ま~す。そろそろテンション上げてくださ~い」と。

 ちょっと茶化して言っているのだと思っていると……全く違っていたのです。

 まずは家族写真、続いて2歳の娘、5歳の長男、最後に兄妹で。撮影に入った石井さんのテンションは凄かった。

 奥さんが「ここから笑いますよ」の通り、ありとあらゆる手(技術)を使って、子供達は笑いっぱなし。見ている私達も、涙が出るくらい笑わせて貰いました。「これだけ笑ったのは久し振り」というお客さんも居るそうです。

 スタジオ内の撮影はもちろん駄目ですが、Ohanaの仕事を知って貰うということで、横顔だけ許して貰いました。

 無理を言った割には、伝えきれないのが口惜しいのですが、こういうものは体験するしかないものです。

 撮影が終わり写真を選ぶ間、子供達は階段下の空間で遊んでいました。

 カメラマンの石井さんと知り合って約3年。

 仕事のスタイル、Ohanaの目指す方向など、何度も何度も話し合ったのですが、その仕事自体は全く知らないに等しかったのです。

 バ-ンスタインの愛弟子、指揮者の佐渡裕が、師のことをこう回想していました。

 「指揮台の上では何をしてもいい。音の為ならたとえ素っ裸になってもいいという考えでした」

 コメディアンのように笑わすというのではなく、いい表情を撮る為に手を尽くすという感じでしょうか。全く同じ考えと言えます。

 帰り際奥さんに「この建物のおかげで、ともて仕事がしやすくなりました」と言って貰い、不覚にも若干涙ぐんでしまったです。

 私が建物の設計者というのを、出来る限り差し引いて。写真が出来上がる前でも、家族にとってこの時間は、最高のエンターテイメントで、ディズニーランドへ行ったのにも負けるとも劣らないものだと思います。ディズニーランドへ行ったことはありませんが。

 出来ればその写真を見せられれば良いのですが、出来ないのが残念であり、写真スタジオの価値とも言えるのです。

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追伸:今日のお昼過ぎに、石井さんからメッセージを頂きました。そのまま転記します。
こんにちは、守谷さん
日記、読みましたよ!
いっぱい褒めていただいてありがとうございます。
もっと褒めて下さい!でも ディズニーは言いすぎw
”そろそろテンションあげてくださーい!”は
もちろん茶化して言うてるんですよw
指揮者の言葉もいいですね。
エガちゃんの言葉を思い出しました、ボクの好きな言葉です。
”俺を見て客が笑顔になる。俺はそれだけで幸せだ。
客の笑顔があれば笑わせるか笑われるかの違いなんてどうでも良いことだ。”
あと採用見送りになったカットですけど
守谷さんのブログに使える?かなと思いつつ・・・送ります。
幸せになる笑顔ですよね!
Ohana いしいたつや

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細部に

 甥っ子が幼稚園で竹馬をするらしく、父に頼んでいました。

 弟には竹を買ってくるよう言ったそうですが「なかな買ってこないから、店にある材料で作った」と。

 店とは、実家のガラス屋のこと。厳密に言うと竹馬ではない竹馬です。

 

 以前は、若干つめの甘いところが有りました。

 しかし、孫のものを作るようになり、精度が上がった気がします。

 馬の足先には、馬蹄が付いていました。

 God is in the details 「神は細部に宿る」

 これは、ミース・ファンデルローエが好んで使っていた言葉。

 ミースは、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトと共に、近代建築の三代巨匠と呼ばれる建築家。彼の言葉は想像力を掻き立てます。

 Less is more 「少なきことは豊かなこと」

 言葉自体が「少なき」で、様々な解釈が可能。それこそが、豊かな事とも言えるのです。

 結論に大して意味はありません。しかし、仮説を立て、考えるのは過程であり、意味のあることだと思います。

 「神」を良心と仮定します。良き心、正しい心は、細部、最も複雑で難解な部分に現れてくる。

 これが私の解釈です。

山芋焼きを食べて練り歩く

 日曜日の夕方は、ミナミへ。妻の同僚だった友人家族が、来阪したのです。

 転勤が多く現在は岡山在住。久しぶりの大阪なので夕食は「お好み焼き」となったのです。

 お店もリサーチ済みで、道頓堀の「美津の(みづの)」へ。

 かなり人気店のようで、5:00pmに現地集合。少し待ちで席を確保出来ました。

 帰る頃には10人程の行列が出来ていました。

 支持されるには理由があります。

 小麦粉の全く入っていない山芋焼きは、フワフワとした食感で、長男もかぶりついていました。

 やや酸味のあるソースが美味しいので、お好み焼き、焼きそば、どれも流石の味。

 「三代続く」のうたい文句は伊達ではありませんでした。

 長男と1歳違いの子供さんは、とてもウマが合うようで、帰りは肩を組み、道頓堀を闊歩していたのです。

 彼に「宿泊先まで遊びにきてよ」と声を掛けてもらい、そのまま滞在先のホテルへ。

 夫妻が大阪にいたのは5年程で、そのうち妻が一緒に働いたのは1年です。

 それでも当時の話は尽きることがなく、滞在先のホテルを出たのは10時でした。

 ご主人は、一流企業の幹部候補です。興味があったので、何故モチベーションが保てるのか聞いてみました。

 「どれだけ深い悲しみを知っているか、かなと思うんです」

 意外でしたが、納得できます。悲しみ、苦労の種類はいろいろあります。それが無いほうが良いとも言えますがそんな人生はありません。

 自分の無力感を知った人が、仕事に対して、生きることに対しして謙虚になれるのだと思うのです。

 よく話し、よく笑い、よく飲んだ夜でした。

大阪城の散歩道

 一昨日は、大阪城あたりに行っていました。

 目的は、OBPの高層建築を、天守閣あたりから撮ってみようというもの。

 行って実感したのですが、天守閣はかなりの高台にあります。現代の高層建築と高さがあまり変わらない程なのです。

 実際に秀吉が建てたものより、一回り大きくなっているとは言え、当時の景色を想像すると、改めてその大きさ、技術に感服するほかありません。

 「あっ、虹」と聞こえたので見上げると、三日月のような虹が。

 紅葉も本格化していて、お堀越しの景色は一見の価値ありです。

 「冬の散歩道」はサイモン&ガーファンクルだったか。

 冬にはまだ早いですが、そんな言葉が頭に浮かびました。

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