カテゴリー別アーカイブ: 11 日常

遅刻厳禁‐1092‐

 夏休み中、何度か子供が事務所にやってきました。

 宿題の自由工作をするためです。

 娘は迷路。

 長男は、私がボートを降ろす模型。かなりピンポイントです。彼らの夏休みも、残すところ3日になりました。

 新聞の1面で、片田珠美という精神科医のコラムを取り上げていました。要旨は以下のようなものでした。

 日本社会の幼稚化が指摘されて久しい。クレーマー、モンスターペアレンツのように他人のせいにしたり、すぐ「キレ」たりする大人が増えた。

 子供時代は「登校拒否」、大人になってからは「出社拒否」と、「打たれ弱さ」も目立つ。

 これらの問題の根源は「自分は何でもできる」という幼児的万能感をいつまでも引きずる「成熟拒否」の蔓延がある。

 成熟した大人になるには、若い頃から転んでは起き上がる体験を繰り返すしかない。

 今週初め、ある建材メーカーから「前任の引継ぎで」と電話がありました。新任の22、3歳の女の子は、自らとったアポイントに15分遅刻。そして

「遅くなりました~」と言ったあと、すぐ営業を始めました。

「15分も遅れたら、まずは謝らないと」と言うと、間髪いれずに「済みませんでした」と。もう言わないで、というスピード感です。

 まず、自分が転んだと認識しなければ、立ち上がることは出来ないのですが。

 映画「ベスト・キッド」がリメイクされたようです。主人公の少年は、日々の雑事全てが、成長へのトレーニングだったと、後で知ります。

 そう考えれば、日常に張り合いもがでるというもの。概ね、極意というのは、誰でも知っているが、続けるのが難しいのです。

何度も言うから覚えない‐1040‐

 人の記憶は、そこから消えそうになると、脳に焼き付けられるそうです。

 先週、木曽福島へ向かう際の義妹との話しです。

 木曽福島の少し手前、中山道沿いに「寝覚めの床」という所があります。

 彼女は、小さい頃から何度も電車で、木曽の山荘へ通っています。電車がこの地に近づくと、その度に車内放送で説明が流れます。

 何十回聞いたか分からないのに、今聞かれて説明できないと、笑っていました。

 奇岩の中を木曽川が流れる景勝地。その景色に誘われ、竜宮城から帰った浦島太郎がやってきて昼寝をした。目覚めたあと、ここで玉手箱を開け、現実に戻った。夢から覚めたので「寝覚めの床」と呼ばれている。

 これがいわれです。本人の名誉のために言うと、彼女は守谷家で唯一国立大を卒業。生物の研究で、修士課程を修了しています。

 何かを記憶するには、以下のことが重要だそうです。

1. 書いたり、声に出したりして体で覚える。
2. 書く際はテキストを伏せ、思い出しながら書く。

 覚えようとして覚えるのではなく、記憶から消えようよする時、忘れたくないという脳の働きで、よる強く記憶として焼き付けられるのです。

 「学生時代に、論理的に教えて貰ったら、間違いなくやったのに」という気持ちと、「聞いたことがあるけど、やらなかったなあ」という後悔。

 いつでも言ってくれるなら、覚える必要はありません。「何度言えば分るんだ!」ではなく、何度も言うから分からないというこのパラドックス。

 人の記憶の関係は、人と人の関係そのものでした。

真実は現場にしかない‐1037‐

 大雪続きの日本列島。

 各地のクライアントから、雪景色の写真が届きました。我が家の梅も凍えそうです。

 しかし、それはそれで美しいもの。 

 晴れた日曜日は、一気に勢いが増しました。3分咲きというところでしょうか。

 話は変わりますが、昨日こんなことがありました。

 母が近所のショッピングセンターへ買い物へ行きました。ついでに、私の靴下を買ってきてくれたのです。

 あっても困らないだろうというのと、あまり時間も無だろうと思うのか、時々そんなことがあります。ところが、袋を開けると、ちょっと私の趣味と……

 そこは親子なので「これちょっともうひとつやわ」と言い、レシートを貰い店へ向かったのです。衣料品売り場へ着くと、先に同じ金額の商品を選び、レジで事情を説明しました。

 「お客様済みません、○○カードで買われた場合、ご本人に○○カードを持って来て頂き、カードへ返金してから、新たな商品を選んで頂くことになります」と。

 55歳くらいの細見の女性店員は、丁寧に対応してくれました。しかし、私としても同じ金額の商品を選んでいるし、レシートも持って来ているので、納得はいきません。

 「決まりは分からないではないけど、折角プレゼントしてくれた母親に、またここまで来てくれとは言いにくい。何かいい方法はないですか」と私。

 彼女は、隣にいた50歳くらいの小柄な女性店員に「プレゼンなんだから、お母様には来て貰えないものね。何とかならないかな。母の日のプレゼントの時は、どうやって交換したっけ」と相談してくれました。

 「多分大丈夫だと思いますが、課長に確認を取らないといけないんです」と言い、小柄な方の店員が、内線で課長と話をしています。しかし、どうも芳しくないよう。
 「お客様すみません、やはり駄目とのことなんです」と。

 聞くと課長は、すぐ近く居るそう。「課長さんに来て貰っていいですか」というと、1分程で出てきてくれました。36歳の男性で、一流企業も社員らしく、育ちの良さそうな顔立ちです。

 「話は聞きしました。2人の店員さんは、何とか交換してあげようと、色々知恵を絞ってくれたんです。こういう解釈なら、交換できるんじゃないか、と。念の為と、連絡したら駄目という。普通にあるケースだと思うんだけど」と再度事情を説明しました。

 「基本的には駄目なのですが、そう言う話なら、サイズが違っているのでサイズ交換とうことで何とか」という結論でした。聞くと2人の女性はパートさんだそうです。

 「現場で働く人達は、僕の立場で何とかしてあげようと頑張ってくれたんです。とっても有難いと感じました。どんな結論を出すにしても、もう少し現場の声を聞いてからにしたほうがいんじゃないですか」と、つい言ってしまいました。

 事件は会議室で起きてるんじゃない、というセリフがありましたが、組織が大きくなればなるほど、組織の層が厚くなればなるほど、現場の声は届かなくなって行きます。

 しかし、松下幸之助にしろ、本田宗一郎にしろ、現場にこそ真実があると知っていたはず。4人しか居ない当事務所で、私が現場から遠ざかる心配はありませんが。

 真実は現場にしかない。現場には必ず解決の鍵が転がっているはずです。

背負い水‐1035‐

 週末にかけて、関東はかなりの雪が降ったようです。

 「柏の家」のクライアントから「念願の雪見風呂が満喫できました」と写真が送られてきました。

 大変なとき、それを楽しみに変えるくらいのバイタイリティを持ちたいものです。

 海老江下水処理場に隣接してあるのが「下水道科学館」

 昨日、娘を連れて行ってきました。
 
 以前から、下水のことをもう少し知りたいと思っていたのです。

 大阪市を水害から守るため、長居公園通り地下につくられた、なにわ大放水路。直径6.5m。その実物大模型がありました。

 娘には「勉強に行こう」と言ってあったので、メモを持参していました。

 何を言った訳でもないのに、覚えたてのひらがなで、下水処理の方法をメモしはじめます。いつまでも、こんな素直な子供で居てくれたら……と願わずにはおれません。 
 
 下水道には大きく分けて3つの役目があります。

 1. 家や工場からでた汚れた水を処理場まで運ぶ。
 2. 地面に染み込むことのできない雨水を排水する。
 3. 汚れた水を綺麗にし、自然へ戻す。

 大阪市では、汚水と、雨水を同じ下水道で運んでいます。これを合流方式と呼びます。

 半日ほど勉強し、分かったことがいくつかあります。

 汚れである有機物を取り除く方法は、バクテリアの分解に頼っている。

 処理には、様々な最先端の技術が使われています。しかし、最終的には微生物という自然の力を借りているという事に、ある種納得、安心しました。

 驚いたのは、大雨が降った際、いくらかの汚水は、そのまま川に放流されているという事です。

 処理場の能力を超えた場合、下水管からフローするような形で、市内のあちこちで、直接放流が行われているのです。自分が出した生活排水が、そのまま川に流されているなど、想像もしていませんでした。

 電気、水を節約する。街に落ちているゴミを出来るだけ拾うことで、多少環境に配慮していると思っていたことが、恥ずかしくなってきました。

 ドラえもんの声を担当していた声優、大山のぶ代さんがこんなことを言っていました。

 「人が一生に使える水の量は決まっている。それを使い切った時が命の終わり」

 背負い水という思想ですが、最後に行き着くところは、このような考えなのだと思います。地球が水の惑星と呼ばれる通り、水こそが生命の源なのです。

 娘に、柴島にある「水道記念館も行こうか」と相談してみました。これは「公園へいきたい」と拒否。

 上水道の勉強はまたの機会に。

大感謝祭‐1031‐

 昨日は、一日「遠里小野の家」に居ました。 

 オープンハウス開催の為です。

 夜間は強い雨が降っていました。しかし当日は、晴れ間ものぞくまでに回復。

 「普段の行いが良かった」とは、良くある軽口です。

 この日は、クライアントの検査もあり。当事務所の最終チェック、掃除と、最後まで皆が動き回っていました。

 始めの訪問は、現在設計を進めているご家族。

 引っ越し前で、机とイスは当事務所のものです。しかし、その笑顔が全てを物語ってくれます。  

 質問が多かったのは「外観」「光」「洗濯室」「造り付け収納」「中庭」あたりでしょうか。

 私の家族も呼んでいました。開催中、人の絶える時間は殆どなく、35名が足を運んでくれたのです。

 お昼前のことですが「Shabby House」のクライアントから電話がありました。「近くなので」と遊びに来てくれたのです。

 クライアントとクライアントが話している姿を見て、色々と思うことがありました。

 家が建った後、今度遊びに行きましょうと声を掛けて貰うことが時々あります。

 やはり進行中のプロジェクトが最優先で、歯切れの悪い答えになることがほとんどです。これは、オファーが増えれば増えるほど、顕著になって行きます。

 全てのクライアントへの感謝の気持ちをどう表現すればよいか。これは、こちらがホストなるしかない、と気づきたのです。

 今年は、大感謝祭を開催したいと思います。詳細は追ってご連絡致しますので。 

 

男子寮潜入‐1029‐

■■■「遠里小野の家」オープンハウス開催■■■
1月26日(日)10:00am~4:00pm
日帰りの東京出張なら、新幹線は6時台。

 

 今年の冬は、特に寒さがこたえます。
それでも、夜明けの空を見ると、本当の意味で体が目覚めます。

 道中の楽しみは、やはり富士山。
雲一つない富士を見ると、今日は「いい日だ」という気持ちになります。
東京まであと1時間弱。

 年末、「銀座ギャラリー」の打合せも、日帰りの予定でした。

 しかし計画は佳境に入っており、自然と熱を帯びてきます。朝から始めた打合せも、あっと言う間に夕方6時になりました。

 クライアント企業の方が「もう泊まっていかれたらどうですか」と。
今までにもホテル泊はあったので、一応下調べはしてあります。この日から冬休みの企業が多く、ホテルは一杯でした。

 それで「今日は帰ります」とお伝えすると「なら、役員寮に泊まっていって下さいよ」とのこと。結局お世話になることに。

 担当者の方と寮に戻ったのは10時過ぎ。

 その寮には、同年代の幹部の方がもう一人。

 新入社員の方と合わせて3人が暮らしています。

 「先に風呂でもどうぞ」と言われるままに。

 出てくると、鍋が用意されていました。

 先に帰った2人の社員さんが、買い出しに行き、一緒に帰って来た担当者の方が、料理してくれたのです。

 幹部の2人は、長く単身赴任をしており、料理も手馴れたもの。4人で遅い夕食になりました。

 これが、掛け値なく美味しかったのです。お酒も入り、話も盛り上がったのですが、何よりその心遣いに感激しました。

 私は「企業」という規模の会社に勤めたことがありません。そこで感じるのは、マンパワーの凄さです。それぞれの分野に専門家が居り、あらゆるプロジェクトに数名の担当がつきます。

 皆が連携し、仕事は進んで行くのです。

 設計事務所は、仕事を覚えれば独立していく人が多数派。また、慢性的な人不足がゆえ、電話応対、模型製作、作図など、あらゆることを一人でしなければなりません。

 それぞれの長所短所はあると思いますが、最も感じる違いは、企業と社員の人生は一蓮托生だということです。

 幹部の2人は、豪快に笑い飛ばしましたが、単身赴任で寂しい部分もあるはずです。

 そんな中、自らの仕事に責任を持ち、家族のため、会社のために尽くす姿は、完全に戦士です。

 バブルの頃「24時間戦えますか?」と言うCMがありました。

 スタッフと、共に戦う腹はくくれているのか。自分に問うています。

暮れは元気にごあいさつ 2013年‐1023‐

 今日も快晴の大阪。寒い日が続いています。

 ♪暮れの元気なごあいさつ~♪というCMは今でも流れているのでしょうか。自分の2013年を振り返ってみます。

1月 「匠」が選ぶビフォーアフター大賞2012

空間アイデア部門の2位をもらいました。

2月 必然で必要、そしてベストのタイミングで起こる

後厄がおわり、さあ、という1年でした。

3月 大阪の住まい力アップ、最優秀賞受賞

「住之江の元長屋」が、コンクールの第1回目の戸建て部門の最優秀賞を貰いました。

4月 こっそり見て、さっさと忘れる

ガンダムのデザインをしたのが大河原邦男。
その展覧会へ。「こっそり見て、さっさと忘れる」の言葉は痛快でした。

 

5月 池原の悲しき恋人

9年振りに子供と訪れた池原ダム。20年ほど前を思い出します。
釣りについて書いてみました。

 

6月 バックパックに詰めて行くもの、置いていくもの

自分の人生に必要なものとは。

7月 それはポーカー詐欺だ

多くの若者と仕事をしてきました。
中でも旅好きな若者へは、沢木耕太郎の言葉を送ります。「恐れずに。しかし、気をつけて」

8月 法力で投入れる

長年気になっていた投入堂を見に鳥取へ。

9月 清き水に住む

環境によって全く味が変わるボラ。
生物は環境に左右されるものなのです。

10月 カミングアウト‐1000‐

この日記を始めて9年9か月。1000記事目を迎えました。
その機会に、自分とって最も辛かった時期のことを書いてみました。


11月 菊竹の狂気‐1011‐

初めて訪れた出雲大社で、建築家の真の迫力を目の当たりにすることに。


12月 サービス精神だけは忘れずに‐1015‐

3年振りに家族写真をOhanaへ撮りに行きました。
2013年も明日の大晦日を残すだけになりました。
この1年、精一杯頑張れたのだろうか、と自分に問うてみます。
やはり、出来なかったことの方が多く頭に浮かびます。
点数で言えば72点くらいでしょうか。

 土曜日の朝、新幹線から快晴の富士山が見れました。

  人は変わる。変われるでは無く変わるんです。調子がいいからずっと同じ状態でいたいと言っても無理なんです。ならいいほうに変わろうよと、僕はいつも言ってるんです-王貞治- 

 いつも心は日本晴れ、とは行きませんが、常に顔を上げ、全力で前に進んで行きたいと思います。

 今年1年、この日記にお付き合い頂き、本当に有難うございました。
2014年が、素晴らしい1年となりますよう、心からお祈りいたします。

 2013年 12月30日 守谷 昌紀

♪幸せってなんだっけ‐1020‐

大阪に生まれて43年。

初めて「美々卯」のうどんすきを食べました。

ショールーム回りをしていると昼時になりました。

クライアントが、うどんすきでも行きませんかと。

谷崎潤一郎も愛したというその味は、上品至極。

アナゴ、活きエビ、ハマグリ、うどん。特にエビイモは絶品でした。

奥さんは京都出身の方。味には厳しい京都人も満足と、食い倒れの街、面目躍如でした。

この日はショールーム回りだったので、それ程の準備は不要でした。

例えば現場打合せの際、準備が甘いと決まるもの決まりません。所員には、その風景をイメージし、一通り思いを巡らせるよう伝えています。

それが間違ってなかったかなと思ったのは、以下の本を読んでから。「勝負脳の鍛え方」は林成之という脳科学者の著書。彼は、水泳の北島康介選手をサポートをしていました。

一度書いたことがあるのですが、イメージ記憶のところには触れていませんでした。以下は私のメモです。

 記憶はイメージ記憶である。スポーツなら手足の動かし方を記憶するのでなく、成功した時のイメージで記憶している。

 例えばキャッチボールなら、相手の胸元に投げようと意識を持って投げるから、体が自然にイメージ記憶に照らし合わせて微調整する。

 ゴルフのパットなら、入れる意識ではなく、どんな転がり方でカップインするかをイメージすれば、体が自然に微調整する。

 入るイメージが出来なければそれに向かって調整できない。

①目的でなく目標が大切
②具体的な方法を明らかにして実行
③目標を達成するまで、その実行を中止しない

 目標が達成できないと、色々な理由をつけて方向転換しようとする。これは、人間が持つ(自分の脳を守ろうとする)自己保存の本能に従った考え。

 これを一度体験してしまうと、何をやってもいつも目的が達成できない脳になってしまう。そういう仕組みが人間の脳にはある。脳の疲労は大敵で、気の置けない人や家族との楽しい会話。愚痴は×。

何故そんな事を考えるようになったかと言うと、BBQの際の忘れ物を無くしたかったから。

現地についてから「あれが無い、これが無い」となると楽しさも半減。こんな事を考えるようになりました。一人悦に入っていると「いつも準備を有難う」とか「流石だね」と言ってくれるようになったのです。

『幸せってなんだっけ』 作詞:関口菊日出・伊藤アキラ

幸せってなんだっけ、なんだっけ

随分昔、明石屋さんまが歌っていました。

大げさに書きましたが、人の幸せってそんなものなのかなと思うのです。

アルミ削りだし‐1016‐

 デザイン系の事務所は圧倒的にMacですが。しかし当事務所のOSはWindows。

 CADを導入したのが1999年で、その頃のパートナーが「CADでないと描けない」と言いました。彼がWindowsユーザーだったのです。理由はそれだけ。

 当時私はPCさえ持っておらず、手描きで図面を描いていました。

 しかし、物創りの現場では、常にAppleの話題はでてきます。

 例えば、エッジの話。建築においてもあのシャープさを出せないか、という要望は頻繁にあります。極限を目指す物創りの精神は、誰もが感じているのです。

 画像で説明する道具として、ようやくiPadを購入しました。



 

 やはり美しい「物」です。

 あの指の動きに慣れるまで、随分時間がかかるでしょうか。

 しかし、本当の美しさは裏面にあります。

 

 クライアントでもある、製造業の経営者に教えて貰いました。

 このボディはアルミの削りだしだそうです。

 「削りだし」というのは、アルミの塊からこの形に削っていくという工法です。

 いわば彫刻のような作り方。

 彼が言うには、この金額でこの物を作れるのはAppleだけ、とのことでした。

 ジョブズは、徹底的な現場主義で知られました。新製品のアイデアを検討する時は、膨大な数の試作品を作りました。

 また、Apple storeの実店舗をつくる時も、大きな倉庫の中に実物大の試作品を作り、検討したそうです。

 東京で進めている店舗の計画でも、Apple storeの事は話題に上がりました。ある部分において、それを超えられないかと言う話になりました。

 遣り甲斐のある課題です。しかし、勝算はあると思っています。

 ジョブズの思考の特徴に「問題に気づく力」があると言います。問題の根源を見つけさえすれば、多くのことは解決できるということです。

在庫なし、取り寄せ不可‐1014‐

 ラジオからは、そろそろクリスマスソングが流れてきます。

 家が建ってから、と言ってきたクリスマスツリーを買うことになりました。

 妻が「白もいいんじゃない」というので、子供を連れてホームセンターへ。

 売り場の人に聞くと「品切れで、いつ入ってくるかも分らないし、取り寄せも出来ないんです。済みません」と。

 子供達はすでに盛り上がっているので、簡単には帰れません。

 「いつ入るか分らず、取り寄せも出来ないなら、飾っていても仕方ないよね」ということで、現品を売ってもらいました。

 少し値引きもあり、組み立てる手間も不要。

 飾りもそこそこ付いており、ラッキーでした。

 少し飾付を追加して完成です。

 若い頃、こんな事があると、ややムッとして「何とかならないの」と言ったと思います。

 日本ほど、ごね得な国はおそらく他にないからです。

 少々無理を言っても、多くの店員は何とかしようとしてくれるのです。

 しかし、そういった行動をとると、確実に人の品格は下がって行きます。

 「ごねる」は御涅槃(ごねはん)から来たもので、本来は死ぬという意味。

 思い通りにしろと文句をつける「ごてる」と混同した誤用だそうです。

 品格が下がるどころか、死に至るとは。

 「包装はいいです」と言い、3人で意気揚々と持ち帰っていると、どうにも視線を感じます。

 考えてみれば、売り物を持ち帰っているようにしか見えません。

 全ての視線に「いや、お金は払ってるんです」とは言えないので、大きなテープだけ貼ってもらいました。

 この件、私はごねたのか、ごねていなのか。僅かですが、気にならないではありません。