カテゴリー別アーカイブ: 04 建築

この土地を買う、買わない

 この日曜日、奈良へ行っていました。

 以前、建築相談に来所した夫妻から、メールがあったのです。

 「近くに手頃な土地が見つかったので、一度見て貰いたい」という内容で、相談の際もリフォームにするか、新しい敷地で新築するか迷っているとの事でした。
 
 詳細は控えますが、金額的には納得できるが、幹線道路と線路が近いというので迷っていたのです。まずは自宅を見せて貰い、その後敷地へ向かいました。

 農地を開発し、8区画が売りにでる予定です。土地購入の相談があった場合、伝えるチェックポイントは以下のようなものです。

1. 都市計画上の用途地域の確認。→当然ですが、法的に建築行為が可能な場所かどうか。
2. 接道の長さ、種類、巾員の確認。→基本的に4m以上の道路に接していないと建築行為は出来ません。
3. 上下水道、ガス、電気など、ライフラインの確認→特に上水道の引込管が無い、または細い場 合、結構な費用が掛かる場合があるので要注意。
4. 敷地の地盤強度→軟弱な地盤は改良が必要。その場合は、金額を把握しておく。(農地転用は軟弱な可能性が高い) 
5. 敷地環境の確認→時間帯や曜日を変えて見に来る。出来れば近所の人の話を聞いてみる。住人だからこそ分かる情報が聞ける。

 土地に抵当権が設定されていない等は勿論の事として、ざっとまとめるとこのような感じでしょうか。

 もう一点、実際の金額交渉になった時、焦らない事も重要だと思っています。一般の相場より、高く買うのは問題ですが、凄く得をしようという考えを捨てれば、冷静な判断が出来ると思います。

6. 急かされた場合は断る→急かしたり、焦らさて、というのは物を売るときの常套手段。悪意はなくともよく起こる状況という事を頭に入れておく。

 ここで始めの話に戻ります。

 線路が近くにある敷地は、過去に設計した経験があります。

 よって、20mから30mくらい離れれば大丈夫という仮説を立てました。

 区画によってはクリア出来そうです。

 もう一つは、すぐ横の幹線道路。この距離感は経験がありません。

 経験で言うと、やはり30m以上離れていれば、概ね大丈夫だと思います。しかしすぐ横となると……まずは敷地に目印をつけました。

 その場所に立ちながら、昼間の音の大きさがどの位のものなのか、真剣に聴いてみます。候補の区画では、丁度高架になっており、それ程でも……という気もします。

 小一時間、辺りをウロウロし、ご自宅に戻りました。「で、どうでしたか」と勿論問われます。

 もう一度過去の経験を思い起こしてみると、国道に面した家を思い出しました。母の実家です。

 香川県にある金毘羅さんへ向かう国道沿いにあり、電気屋を営んでいます。今でもその店舗兼住宅はあります。盆、正月に帰った時、私達は2階に寝ていたのですが、大型トラックが通ると、揺れを感じました。

 寝れなかったという程の事はありませんが、他の選択肢があるなら、買いではないと判断。その考えをもう一度整理し、夫妻に伝えたのです。
 
 明けて火曜日、お礼の言葉と共に「今回の土地は、見送ることにしました」とメールがありました。

 新築を楽しみにしていると聞いていたので、複雑な気持ちもあります。どの答えが一番正しかったかは分かりません。

 しかし、現実を公平に見て、最も強い動機に従う、が私の哲学です。悔いはありません。

和の心

 先週の土曜日は、見学会に行っていました。
 
 あいにくの雨だったのですが、個人ではなかなか見れない住宅を見学させて貰ったのです。

 私は社団法人日本建築家協会(JIA)という団体に所属しています。

 その中に、住宅部会という会があり11月勉強会の世話人となっていました。

 何を企画しようか考えた結果、普段はアプローチするのが難しい作品を見てみたいと思ったです。

 お願いしたのが、木原千利先生。

 関西に事務所を構えられて約40年。コンテストの審査員等も務められる建築家で、和の心を追求する作風は、唯一無二の存在なのです。

 快くOK頂いたのは、双葉の家。1992年に竣工した作品です。

 住宅につき、見学の募集人数を30人と限定。部会員の皆さんへ案内を送ると、2日で定員に達しました。

 雨ではありましたが、しっとりとした趣もまた良く、内部も大変良い状態が保たれています。住まい手の愛情も伝わってくる、素晴らしい住宅でした。

 木原先生には、この建物の設計意図、ディティールから建築家としての心構え、また現場の職人との関係まで、2時間以上の時間をかけて丁寧に説明して頂きました。

 参加者は設計を生業とするものばかり。皆が輪になって、その一言一言を聞き漏らすまいと、尊敬の念を持って聞き入る姿は、非常に清々情景でした。
 高台寺の傘亭から、双葉の家の屋根を浮かせるというモチーフのインスピレーションを受けた話。
 
 細く、軽やかに見せたいというのは設計者として永遠のテーマだが、それを実現するには、良い材料で、良い仕事をしないといけない。

 また、何とか一緒に実現したいという職人の仲間をつくらないといけない等々、内容は多岐に渡りました。

 初めて電話した時、非常に柔和な話しにホッとしました。その際に「勉強熱心だね」と言われ「なかなか、本物の和の建築を見る機会がないので、是非お願いしたいです」と応えました。

 すると「私の建築は、和ではないけどね」と少し笑いながら言われたのです。

 伝統的な和の建築を再現するのではなく、自然を慈しむ心、招く心、もてなしの心を具現化しているのだというのが、よくわかりました。

 形式ではなく、追求するのは和の心。とて刺激になり、背筋がピンと伸びた感じです。

愛おしの東京

 昨日は「四丁目の家」の現場監理へ行っていました。

 現場も終盤になり、監理に来るのも残すところあと僅か。

 朝一番の新幹線にのるには、4時半起きです。

 それを差し引いても、東京で仕事が出来るのは本当に嬉しいことです。

 10時頃に現場につくと、は内装の下地がほぼ終わり、部屋らしくなってきました。

 詳しくは現場日記にまたUPします。
 

 午前中は、先に現場監督と打合せ。
 
 会う機会が少ないので、時間はあっと言う間です。

 昼休みにして、私は子供部屋の収納上で15分昼寝をしました。
 
 ちょっと寝ると、頭がスッキリするので積極的に昼寝をします。

 しかし、ここで寝たのは私が始めてか、大工の誰かはすでに経験済みか……

 現場はとても綺麗に掃除されていました。

 この現場の大工は33歳くらいの人なのですが、とても仕事は丁寧です。
 
 残念ながらタイミングが合わず、まだ会った事はありません。

 設計事務所から転職してきた36歳の監督と、若い棟梁。このコンビで、とても良い関係が保たれているように感じます。

 工程が遅れ気味なのだけは、ちょっと不満が残りますが。

 何はともあれ、仕事の基本は整理・整頓です。

 美ししく保っていると、見えにくい問題点も単純に見えやすいのです。

 クライアントとの打合せが、昼から夕方の5時頃まで。

 帰りの新幹線まで少し時間があるので、まずは地下鉄渋谷駅へ向かいました。

 しかし、安藤忠雄の設計の渋谷駅は、正直期待以下でした。

 楕円の吹抜けが重なっていく空間も、工事用具が並んでおり、写真としてもあまりで。ちょっと残念でした。

 もう一度地下鉄にのり、表参道へ移動。

 何の気なしに、脇の道へそれて行くと、これも安藤忠雄設計のグンゼ直営店がありました。

 暗くて分かり難のですが、長い水平窓には男性用下着が並んでいます。

 かなり長さの窓で、6m位はあったでしょうか。この建物は確か鉄骨造だっと思います。

 こちらはチャレンジが見て取れる建物でした。

 この計画で、初めて東京に来たのが2008年の3月。

 こちらに来るたび、合間を縫って、色々な建物を見て回りました。

 昨晩もポツポツと降っていたのですが、この時はかなりの雨でした。

 傘を差しながら、見て回ったのですが、その時の写真でも、最も美しかったのは、ディオールだったのです。

 設計はSANAA。昨年プリッカー賞を受賞した妹島和代と西沢立衛のユニットです。

 建物全体が宝石箱のように光り、本当に美しいのです。光りの量、質が繊細に計画されているのです。
 
 帰りの新幹線では、ぼろ雑巾のように寝ています。

 この機会を無くしたくなければ、関東で仕事をすること。ああ、愛おしの東京という感じです。

 しかし今週木曜日から、東京よりせわしない街へ建築と街を見に行ってきます。これらはまた次回に。

メタボリズム

 日曜、月曜の出張を終え、大阪へ帰る前。有楽町の東京国際フォーラムに寄りました。

 1996年完成で国際コンペによってラファエル・ヴィニオリが選ばれています。

 有楽町は東京駅から南に一駅。現在「UIA(国際建築家連合)2011東京大会」が開催されているのです。

 26日(月)の開会式には天皇、皇后のも出席され、各国から建築家が集まる、世界最大級のイベントです。日本のブースも沢山ありますが、中国関係のブースが多かったのも、時代を反映しています。

 これだけの人種の同業を見る事は、なかなか無いと思います。若干の愛おしさを覚えながら会場を出ました。

 有楽町から2駅程南の新橋駅へ移動。この辺りは銀座のはずれとも言えるのでしょうか。

 何度か来ましたしたが、エポックメーキング的な建物をまだ見ていませんでした。「中銀カプセルタワービル」(1972年)。2007年に亡くなった黒川紀章の設計です。

 1960年代に未来の都市像を思い描き、思想を生み出した建築家たちがいました。

 丹下健三に影響を受けた、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といった建築家を中心として展開された運動が「メタボリズム」です。

 生物用語で「新陳代謝」をさし、中年男性が気になる「メタボリックシンドローム」とは残念ながら関係ありません。

 彼らは、環境に対応する生物のように、姿を変えながら増殖していく建築や都市をイメージしました。戦後の荒廃から高度成長へと移っていく時代の事です。

 その中で、全てをユニット化し、部屋ごとの取替を可能にした「中銀カプセルタワービル」は象徴的な建物でした。

 完成から40年近くが経ち、雨漏りをはじめ多くの問題もあると言います。やや汚れ、汐留の高層ビル群に埋もれていましたが、確かな存在感を示していました。

 高速道路を挟んで、南側にはジャン・ヌーベル設計の電通本社ビル(2002年)があります。

 クリア、シャープ、永遠。

 メタボリズムとは反対の解と言えます。それが向かい合っているのは、密集する東京ならではの事かもしれません。

 少し西へ歩くと、メタボリズムに大きな影響を与えた、師・丹下健三設計の作品。

 静岡新聞・静岡放送ビル(1967年)があります。

 これは同じ系譜だと納得できます。

 黒川は晩年、都知事選に出たり、参議院選に出たりと奇行に似た部分もありました。その頃に残した言葉が印象的でした。

 「私はデザイナーとしては優秀ではなかったかもしれない。しかし思想家としては何かを残したと思う」

 これは奥さんが語っていたと思います。

 真相は霧の中ですが、成功者の悲哀とダンディズムを感じるのです。

GOOD DESIGN EXPO 2011 その2

 先週月曜日の夜、イタウバハウスのクライアントからメールが届きました。

守谷様

 お世話になっております。

 グッドデザイン賞の一次審査を通過したとお聞きしてから、グッドデザインエキスポを見に行きたいなあと思ってたのですが、今日のゲツモク日記の模型の写真を
拝見し、これは見に行くしかないなと思ったのです!

 あの会場に展示されている『イタウバハウス』と一緒に写真を撮りたいなあと!

 どうしたら行けるのか、頭の中で勝手に考えているところです。仕事の方はなんとかなりそうな気はしますが、妻がうんというのか、家族みんなで行くか、一人で行くか、
一人だと夜行バスが一番安く行けるかな?などなど・・・。

 もうすぐ、子供を寝かして妻が降りてくるので相談してみようと思います。

 行けるのか、行けないのかどちらか決まればまた連絡させて頂きます!

 ここまででも嬉しい話ですが、昨日現地からメールが届きました。

 会場の東京ビックサイトは、お台場あたり。

 GOOD DESIGNはあらゆるジャンルから応募があります。

 ブロックごとに区分けされているのです。

 今回は家族全員での東京行き。

 写真を見る限り、子供さんも楽しんでくれたようです。

 あつかましくも、①会場建物、②会場内の風景、③模型とご家族の写真、をお願いしていました。

 届いたメールには「家具までが忠実に再現されているのが感動しました。グッドデザイン賞受賞できるよう祈っています」と添えられていました。

 クライアント、私達、施工会社が一体となって、建築は出来上がっていくものです。

 イタウバハウスは文字通り、クライアント、更にご兄弟の手も借りて施工して貰いました。

 現場日記に載せきれなった写真がまだまだ沢山あります。

 結果が気にならないと言えば嘘になりますが、私達が出来る事はここまで。

 大切なのはその過程です。

 とは言え、自信がないではありません。

香港建築科学出版社

 昨年の11月、香港に出版社からメールが届きました。

 香港建築科学出版社という建築関係の出版社で、その編集者からだったのです。

 来年4月頃、商店建築、文化建築、劇場などの小型公共建築についての本を出版する予定。webサイトで作品を見たのですが、作品を掲載して貰えますか。ついては添付してある、英語の招待状をご確認下さい。

 招待状が英語だったので、アメリカに留学していた先輩に目を通して貰うと、別に怪しい感はないと。それではと、先方とのやり取りが始まったのです。

 希望の作品は?「加美の家」と言うので、趣旨と違いませんかと聞くと、大丈夫ですと。また、送られてきたサンプルのデータが、関西ならだれもが知っている建築家の作品。

 これはと事務所内で盛り上がり、データを英訳、写真を転送サービスで送り、一通りの作業を終えたのが12月初めでした。

 12月6日に編集者からのメールを開くと「残念ながら今回は掲載できません」とあります。

 条件の中に2008年以降の作品とあったのです。作品の指定があった事もあり、私が必要条件を読み飛ばしていました。

 再び香港建築科学出版社から連絡があったのが今年の4月。「当社のwebサイトにStar Weekというページがり、そこに掲載しないか?」というものでした。

 その時点で5人程の建築家が掲載されていましたが、そうそうたる顔ぶれです。本当にここへ載せてくれるのかなと半信半疑でしたが、すぐに資料を送ったのです。

 8月24日に、他の海外出版社から問い合わせがあったので、ふと思い出し見に行くと載っていました。私が。

 他の建築家をざっとピックアップすると、ドバイで世界一番高いビル「ブルジュ・ハリファ」を設計したエイドリアン・スミス。完成すれば世界一高いタワーになるサウジアラビアの

「キングダムタワー」のゴードン・ギル。

「香港上海銀行・香港本店ビル」で世界的に知られるノーマン・フォスターは、イギリスで男爵の称号を持ちます。

「テルアビブ美術館」のプレストン・スコット・コーエン、「メルセデス・ベンツ・ミュージアム」のベン・ファン・ベルケル……

 日本からは中国で活躍する迫慶一郎と保坂猛。最新で紹介されている建築家は、有機的な建築で圧倒的な存在感を示すフランク・O・ゲーリーです。

 日本には神戸にフィッシュ・ダンスがあります。

 フォスターも、ゲーリーも20代から作品集を持っている建築家です。このそうそうたるメンバーの中で、私はどう紹介されているか。かなり短いコメントですが。

In response to our Chinese reader’s request,this week editors recommend this japanese architect.

His designs is Sharp,colorful,dynamic.

 後ろの文の意味は分かりますが、前の文書はどういう意味なのか。

 翻訳サイトに入れてみると「中国人読者の要望に応え、編集として、今週はこの日本人建築家を推薦します」とでもなるのでしょうか。

 ページの作りが、他の建築家とちょっと違う感もありますが、嬉しいことです。『今週は』という事は今週いっぱいなのでしょうか。

 それでも良いのです。今度は中国で仕事するか!いや、出来ればイタリアがいいな、とか勝手なことを言いながら、夢は膨らむのです。良ければのぞいてみて下さい。

 ちょっと扱いにくいのですが、「Star Week」の右端の矢印をたたいていくと9番目です。

香港建築科学出版社 Hong Kong Architecture Science Press

 4年程前にも、イタリアの出版社から作品を掲載しないかという問い合わせがありました。

 調べると由緒ある住宅誌。しかし「どうやって写真を送るのとか、コメントは何語なのかとか、出版料は要るの」など、こと細かに聞いているうちに、話しは流れてしまったのです。

 その時感じたのが、スピードは説得力。座右の銘という程ではありませんせんが、常に心がけています。

GOOD DESIGN EXPO 2011

 お盆が明けた先週の木曜日。8月18日の夕方に宅急便の営業所に駆け込み、模型、パネルを郵送しました。

 GOOD DESIGN AWARDに応募しているのです。 

 Gマークで知られるGOOD DESIGNから、1次審査通過と連絡が来たのが7月20日。

 1次審査はweb上ですが、2次審査は現物審査。建築の場合はパネルが一般的です。

 イタウバハウスでチャレンジする私達は、合わせて1/25の模型も出すことにしました。

 7月8日に受賞したキッズデザインでは、Ohanaへの審査員コメントが発表されました。

『第5回キッズデザイン賞』フューチャープロダクツ部門
 
 写真スタジオと子ども視点という新たなフィールドに挑戦している試みに賛同した。自然光がふんだんに入る設計は写真を撮る際に威力を発揮してくれるだろう。撮影の際の子どもの緊張を和らげ自然な姿を撮ることができそうである。

 さらなる上位賞には届きませんでしたが、私達の挑戦を十分評価して貰ったと感じます。

 GOOD DESIGN の2次審査は、GOOD DESIGN EXPO 2011として今週末一般に公開されます。

会期
8月26日(金) 18:00 – 21:00
8月27日(土) 10:00 – 21:00
8月28日(日) 10:00 – 16:00

※各日とも入場は終了の30分前まで
会場東京ビッグサイト 東展示棟 東5、6ホール
入場料1,000円(3日間共通)/中学生以下無料

 他人の目を気にするなという価値観もあります。自分が正しいと信じたら、悔いのないようその道を行くべきだと思います。

 しかし、仕事の評価は自分たち以外、他者が下すものです。私達の仕事がどう評価されるのか、是非聞いてみたいのです。

 昨日は東京出張だったのですが、開催前で見に行けませんでした。

 例年は4万人以上の来場者があるようです。

 もし近くに行かれた方は是非のぞいてみて下さい。感想などあれば是非。
 
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【News】
■7月8日「Ohana」『第5回キッズデザイン賞』受賞
『関西56人の建築家と家をつくる』7月10日発売に
「加美の家」が掲載されました
『ハウジング』 6月21日発売に
「ドタバタ広場のある家」再掲載
■毎日放送『住人十色』4月23日「光庭の家」放映
【Events】
■7月2日(土)『読売新聞マイベストプロ大阪』のセミナーで
ローコスト住宅について講演しました
■8月1日~8月31日までハービスPLAZA(大阪)4階にて
「加美の家」のパネル、模型を展示しています
メディア掲載情報
一級建築士事務所 アトリエ m
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

○○年後の感想

 こつこつとリニューアルを進めていたアトリエmのwebサイトですが、一昨日ようやく完成しました。

 もし、おかしなところがあった場合は、気軽に教えて貰えると嬉しいです。いきなり人頼みになってしまいますが。

 今回課題にしていたポイントは3つあります。

【1】 全作品をスライドショーへ。
【2】 スライドショーは止めたり動かしたり、自由に操作が出来るものへ。
【3】 各作品に「メディア」「現場」(現場日記へリンク)そして「○○年後の感想」を加える。

 【2】はちょっと分かりにくかもしれません。

 スライドショー画面の左下をクリックするとサムネイルが出てきます。

 また右のポーズボタンでストップします。

 色々な機能を探したのですが、思った通りのものはなく、これが一番理想に近いと判断しました。

 【3】の「○○年後の感想」は各クライアントへメール、faxで質問を送り、返信してもらったものです。

 これらはとても手間の掛かる事ですが、半数以上のクライアントから返事がありました。(これからも届くと思います)

 全て原文のまま載せているので、生の声です。

 これから建築する人にとって参考になると思いますし、私達にとっても励みになり、勉強になりました。有難いコメント、至らなかった点、全て真摯に受け止め、活かして行きたいと思います。

 15年の節目ということもあり、リニューアルを考えていたのですが、ようやく落ち着きました。

 行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。 『方丈記』 鴨長明

 この文章は今から800年前に書かれたものです。今でも、スッと私の心の中に入ってきます。

 自然の理の通り、変わり続けて行きたいと思います。そして色褪せない仕事をしたい思うのです。

P.S. 先週、旅行口コミサイトから「ブログを掲載して良いか?」とオファーを貰いました。

トリップアドバイザーというサイトで「世界最大級の旅行口コミサイト」とTOPページにあります。

 仕事に関係ないところで見て貰っても仕方がないのでは、とアドバイスされた事もありますが、そうも思っていません。

 自分が思った事を書き、それを読んだ人が何か感じ、出来れが何らかの行動に繋がれば、とても売嬉しいことです。

 以下の「お役立ちリンク集」の中の「おすすめブログ」の枠内に掲載されています。良ければのぞいて下さい。

九州1 九州2
大分1 大分2
阿蘇1 阿蘇2

パパの家

 月曜日の夕方は「Shabby House」に行っていました。

 家族で招待して貰ったのです。

 Shabby Houseは先日webサイトにUPしたばかりで、アトリエmの最新作です。 

 子供たちは少し時間があれば大丈夫。

 じゃあ大人の距離感って一体何なんだろう、と思うのです。

 ご主人は、特にお酒にこだわりのある方です。

 この日もとびきりのビールでスタート。

 料理も奥さんが出来上がりを順番に。

 完全にレストランのお客さんです。

 子供たちは、ひとしきり盛り上がったあと、酒部屋に入れて貰いました。

 お子さんはこの部屋を「パパの家」と呼んでおり、普段は入らないそうです。

 この日は特別に、麦茶を振る舞って貰いました。

 子供に、小さな宇宙を感じて貰えたかどうか。

 最後には誕生日ケーキまで。
 
 チョコレートで書かれた名前は私なのです。

 あまりこういった事に慣れておらず、お礼をしっかり伝えたれたかさえ覚えていません。

 もう感謝しかありません。

 今日は41歳の一日目。毎日、全力で働きたいと思います。

 「全力に悔いなし」という言葉を胸に。

縁側

 私の住む平野区は、大阪市の南東端にあります。

 >山々を低く覚ゆる青田かな 蕪村 

 市内ですが、ところどころに田んぼもあります。

 東に望む生駒山が低く感じるかは別ですが、青田の緑は一服の清涼剤というところでしょうか。

 先週は台風の影響もあってか、比較的過ごしやすい日が続きました。

 事務所は来客時以外、未だエアコン無しで頑張っています。

 我が家は築35年の木造住宅ですが、前に小さな庭があり、縁側があります。昨年までは2階で寝ていたのですが、今年は1階に布団を下し縁側と、リビングで寝ているのです。

 夕方、庭木にしっかり水をやると、かなり涼しく、朝方は寒いほど。

 必然的に子供たちは取り合うことになります。

 一昨年、偶然売りに出た家に縁側があったので、体感することになりました。

 暮らしてみて、また今年のように更に環境のことを考える機会があって、日本人の知恵を実感します。

 日本の家は、外部と内部をつなぐ中間領域を本当に大切にしているのです。

 ただ、これは縁側でないと駄目な訳ではありません。条件を整理してみました。

1. 掃出し窓である(床レベルまでの開口部)→冷たく重い空気の動きが良い
2. 前が庭など開け放てる環境がある→窓があっても開いていないと意味がない
3. 部屋の反対に窓がある→2方向通気の原則
4. 深めの庇がある→高い夏の太陽を部屋に入れない、暖めさせない
5. すだれが掛けられる→部屋内を暖めさせないが風は通す

 条件を満たせば、縁側である必要はありません。1.などは難しいかもしれませんが、2.が特に工夫次第で大きく変わるところです。

 窓があるかより、開けておけるかのほうが重要なのです。