イタリアとスペインの旅③ <ヴェネツィア編>

 8月12日(日)は朝フィレンツェを出て、10時半にヴェネツィアに着きました。

 サンタ・ルチア駅を降りた瞬間、その旅行者の数に圧倒されました。

 ここは世界の京都。観光地の中の観光地なのだと、実感したのです。

 街の中央をS字に蛇行しながら流れる運河が、何と言ってもヴェネツィアのハイライトです。

 私達は水上バスの12時間チケットを買いましたが、運河の上の密度もかなりのものです。

 リアルト橋は付近は川幅も狭く、水陸共に最も混みあうところ。

 それでもゴンドラはゆらゆらと、川を横切ります。

 ボートのホーンがなっても「こっちも仕事なんで」と言う感じで、そう慌てる様子もなく。

 元は侵略者の攻撃から逃れ、干潟に住まざる得なくなったのががヴェネティアの起源と言われます。

 そんな地理的条件から、至るところに水路が張り巡らされたのでしょうが、これが後の貿易による繁栄を支える事になります。

 路地のような細い水路に目を奪われるのは何故でしょうか。

 大阪は八百八橋と呼ばれた時代もありました。多くの水路は埋め立てられましたが、ヴェネツィアのような選択肢は無かったのかとも思います。

 水上バスでサン・マルコ広場まで来ました。

 辞世の句は「もっと光を」。ゲーテも愛したというカフェもあり、旅情は高まります。

 このサンマルコ広場に面した店舗に「オリベッティ」のショールームがあります。

 この旅の目的、カルロ・スカルパの仕事に初めて触れる事になります。現在ショールームは閉鎖され、ナショナルトラストが管理していますが、15.5ユーロで見学できます。

 ずっと写真でしか見たことのなかった、そのデザインに直接触れる事ができました。

 彼はヴェネツィア出身なのです。

 概ねそうなのですが、第一印象は「思ったより小さい」です。

 しかし、それは建築写真の性格上仕方のないものなのです。

 細部を見て回りました。

 その仕事を見て、彼の日本文化へのリスペクトを感じる事が出来ます。このあたりの詳細は、次回ブリオン・ベガ編で。

 運河の最下流部にある、プンタ・デッラ・ドッガーナ。

 もとは海の税関だった建物を活かしながら、安藤忠雄が改修した美術館です。

 安藤は海外での仕事の大変さと、面白さをあちこちで語っています。

 この歴史あるヴェネツィアの街に、日本の建築家の仕事がある事だけでも勇気を持てる気がします。

 いつかイタリアで……夢を描くのです。

 こちらは夜の9時くらいになって、ようやく日が暮れ始めます。

 アドリア海に沈む夕日を眺めながら、通りに面したBARで一杯。

 ヴェネツィアの夜は、遅くまで賑やかなのです。

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■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』■■■ 7月8日(日)「匠」として出演しました

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