家の裏側に垣間見る物語‐1816‐

関西でもようやく土曜日に梅雨が明けました。

観測史上最速の5月16日からだったので2ヶ月超。

しかし待ち遠しかったというには強すぎる日差しです。

それが夏というものですが。

先週の中頃、激しい雷雨が続いた日がありました。

夜中に雹(ひょう)が降ったようで、バルコニーにかかる屋根が穴だらけに。

築36年の古家に越してきてはや12年。劣化した塩ビの波板では抗いきれなかったようです。

朝起きると、妻が「直さなあかんわ」と。

「こんな所に、長く住ませているのはあなたのせいなので、早く直して」という意味です。

父に手伝って貰い、日曜日にDIYしました。

”Do It Yourself!” = 「自分で出来る!」

良い言葉です。

まずは劣化した波板を撤去。

 次に桟のピッチを測って穴あけ加工。

 こんな金物でどんどん固定していきます。

 2人掛かりで、5m強を3時間くらいで張り終えました。

一番難しかったのは最後の一枚。

波板の幅が何とか手が届く60cmであること。

丸めて曲げられることで端部も張れることがよく分かりました。

基本、何でも話しのネタだと思っているので、トラブル、DIY大歓迎です。

時間さえあれば、ですが。

東京にある「四丁目の家」の奥さんは、「広いバルコニーで、思いっきり洗濯物を干したい!」が開口一番の要望でした。

「デザイン」などという言葉を軽く凌駕する熱量で訴えられ、間違いなくメインコンセプトにすべきと思ったのです。

「黒壁の家」の奥さんは、ひどい花粉症で、室内干しで完結できるようにして欲しいという要望でした。

1階が希望ということもあり、LDKに南面する中庭に、0.9m×2.4mの洗濯室を提案しました。

中庭左の壁がその空間です。

2階からみると、その天窓が見えています。

 細長くても何とかできますと言って貰ったので、このプランが成立したのです。

家は人生を楽しむ最大の道具。

機能を満足せずに喜んで貰えることはありません。



今朝バルコニーをのぞくと満員御礼。

洗濯物が所狭しと吊り下げられていました。

半日、家の裏側で作業をしていると、奥様方の日常がよく分かります。

何となく私達が居なくなるタイミングを見計らっているのですが、痺れを切らせて皆さん洗濯物干しを始めました。

先週、2件あった定例打合せでも、洗濯物干しエリアにはかなりの時間を割きました。

物干し金物の形状は?

物干し竿の高さはどのくらいが適正?

物干し竿は何本あれば合格?


洗濯物干しの設計をしたいから建築家になりました、という人は居ないと思います。

しかし、そんな所に違いを出すチャンスがあるのだと、奥様方に教えて貰ったのです。

家の裏側がと言える洗濯干しですが、そんな所にその家の物語が垣間見えるのです。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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