昨日、西日本全体を覆っていた雨雲がようやく去って行きました。
青空を見たのは1週間振りくらいでしょうか。
今朝、施工会社から「プレカットを進めている広島の工場で、電気がストップし、社員の出社もままならないようで、工程が読めない状態です」と連絡がありました。
現在も話題になっていますが、数年前、タイの大雨で大手メーカーの出荷が遅れたということもありました。
流通が進化し、日本、世界がつながっていることを実感します。
また、信玄堤、太閤堤の名が残る通り、武力だけでなく、治水がその後の繁栄を左右したこともよく理解できます。
特に甚大な被害がでた中国地方の方々に、心からお見舞い申し上げます。
昨日はようやく電車も動くとのことで、伊丹へ行って行ってきました。
梅田に着くと、宝塚線も動いておりJRで移動します。
京都、大阪の雨を集める淀川も、茶の濁流となっていました。
JRの伊丹駅で降りたのは、初めてかもしれません。
伊丹は、大阪と神戸の間に位置し、酒の町として栄えました。
江戸時代の酒蔵が残る「みやまえ文化の郷エリア」に伊丹市立美術館はあります。
近隣に大きな美術館が多くあるので「諷刺とユーモア」という、一味違ったコンセプトで設立されました。
現在は「ディック・ブルーナのデザイン展」が開催されています。
ディック・ブルーナは「ミッフィー」の作者として知られ、昨年の2月に亡くなりました。
ユトレヒトのアトリエで、彼が細い筆で、丁寧にミッフィーを描く姿がビデオで流れていました。
1927年、オランダのユトレヒトで出版社を経営する父のもとに長男として生まれます。
親は仕事を継ぐことを望みますが、彼は画家を志しました。父は反対したものの、自社が出版するペーパーバックの表紙をデザインする仕事を彼に任せるのです。
その際にブルーナ社のキャラクターであるクマをデザインしたのがブラック・ベアーです。
チケットにも使われていましたが、本を読みすぎて目が真っ赤です。
ブルーナカラーと言われる、赤・青・黄・緑(後に灰と茶)と黒だけを使い、極めてシンプルなデザインで注目を集めました。
20世紀初頭、オランダではデ・ステイルという芸術運動が起り、絵画ではピエト・モンドリアン、建築ではリートフェルトが牽引します。
フェルナン・レジェやアンリ・マティスに大きな影響を受けたとありましたが、これらの運動も彼の進む道を明確にしたようです。
館内は、ディック・ブルーナからインスピレーションを受けたアーティストの作品エリアがだけが撮影可でした。
色々なものを見て、体感して、人は自分探しをします。
私も「シンプルの正体」というコピーに誘われて、この展覧会にやってきました。
ミッフィーは子供のまっすぐな瞳と向きあうため、常に顔だけは真正面を向いています。
絵本を15.5cmの正方形としたのは、長方形だと小さな子供の顔に当たってしまうから。
私もデザインを生業としていますが、シンプルを求める気持ちは、以下のディック・ブルーナの言葉と全く同じです。
ぼくがシンプルを追い求めるのは、デザイン的な美しさということだけでなく、そこにイマジネーションを残したいからなのです。
多くを描きすぎず、ごくわずかな色を使うことで、見る人は、描かれた内容以上のものを自由に見ることができるでしょう。見る人に何かを押しつけるのではなく、自由に感じてもらえる絵を描いていきたいのです。
先々週、京都国立近代美術館にでモンドリアンやマティスの展示もありました。
若き日のブルーナは、南仏のヴァンスにマティスが手掛けたロザリオ礼拝堂を訪ねました。
晩年の3年間を費やし、集大成と言われる礼拝堂のステンドグラスをみたとき「ぼくらしいものをつくりあげてみたい!」と思ったそうです。
オリジナリティを最も求められるアートさえも、地球規模で繋がっているのです。
先に書いた、リートフェルトが設計したシュレイダー邸は、世界遺産に登録されていますがユトレヒトにあります。
また、オランダ中部には、レンブラントの生まれたライデン、フェルメールの愛したデルフトもあります。そしてゴッホの生まれた町も。
ながらく「オランダへ行ったみたい」と思っていましたが、そろそろという気がしてきました。
シンプルの正体。それは他者への敬意、期待、自由を望む気持ちだと思うのです。
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■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載
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■『houzz』5月28日の特集記事に「あちこちでお茶できる家」掲載