キッズデザイン賞

 梅雨が明け、真っ青な夏空が続きます。

 一番好きな季節は夏ですが、今年は節電の夏でもあります。

 事務所内は半袖、半ズボンをOKにして、打合せ時以外ここまでエアコンの使用は無し。何と乗り切ろうとチャレンジ中です。

 長男は入学と共に、生き物に興味が出てきたようで、ザリガニに続いて昨日はカニ捕り。

 和歌山の加太近くの谷川まで行ってきました。

 このあ辺りから自然の磯が増えてきます。

 かなりの暑さだったので、1時間半程遊んで帰って来ました。

 今回は持って帰らないという約束でした。

 しかし……

 海水の素を買う羽目になるのか。

 話は変わって、7月8日金曜日の夕方。

 第5回キッズデザイン賞を受賞したとメールがありました。

webサイトにはこうあります。

 「キッズデザイン賞とは、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン、子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン、そして子どもたちを産み育てやすいデザイン、を顕彰する制度です」

 建築家協会からのメールで開催を知ったのですが、すぐに「Ohana」のことを考えました。ぴったりだと思ったのです。

 1次審査通過の連絡が5月25日にありました。2次審査はパネルに加えて、1/25の模型を出そうと決めました。期限は6月22日午後2時。東京の会場に必着です。

 期日の前日から、所員が徹夜で当たったにも関わらず、夕方になっても完成の目処は経ちません。

 午後7時までに運送会社へ持ち込まなければ間に合わないのです。

 念の為聞いてみると「今日は夜間便があるので、午後9時までならなんとか」と。

 皆を鼓舞しました。

 最後は私が無理やり仕上げて、所員が事務所を出たのは8時55分。何とか間に合いました。

 もう駄目と思った時が始まり。

 どんな事があっても、やりきらないと、評価がつかないのです。

 そんな経緯もあり、この受賞、とても嬉しいです。

横浜、七夕、短冊

 前日の打合せ、会社訪問を終え、月曜日は東京ドーム近くのホテルへ戻りました。

 翌早朝、ホテルの周りを散歩していると見覚えのあるビルが。

 先日発表されたばかりの、谷口吉生の最新作です。

 抑えが効いており、美しさは際立ったいました。

 ニューヨークのMoMA新館、豊田市立美術館など、清楚な建築は谷口の真骨頂です。

 チェックアウトし、JR水道橋から横浜の「みなとみらい」までは40分程。

 ある会合にやって来ました。

 昨年はエピック・ゲームズ・ジャパンの仕事をしたので、この辺りは随分身近に感じる
ようななりました。

 港町横浜。

 釣竿とクーラーだけのおじさん。

 かなりのベテランとみました。

 道具を見ると、関東で言う黒鯛、関西ではチヌを狙っているようです。

 久しぶりにチヌの引きを味を思い出していたのです。

 横浜での2日間の会合も終え、昨晩3泊4日の出張から戻りました。

 今朝の大阪は雨。彦星と織姫は会えるのか。

 我が家の玄関先には短冊のついた笹が。笹は庭から切りました。

 3歳の長女の願い事は「ぷりきゅあ(きいろ)になりたい」です。

 プリキュアは一度も観たことがないのですが、保育園で教えて貰ったのでしょうか。

 小学1年生の長男は「けんちくかになれますように」。

 そう書けば私が喜ぶと思ってのことかもしれません。

 一昨年は「建築家」、昨年は「恐竜を発掘する仕事」でした。

 何とか今年返り咲いたのですが、まだまだ予断を許さない状況です。

 強制はしませんが、この仕事をして貰いたいと言う気持ちはあります。

 子供の将来は自由です。

 しかし、私が気持ちを伝えるのも自由なはず。

広尾のハンバーガー

 土曜日はマイベストプロのセミナーでした。

 申し込みは15人あったのですが、参加者は8名。「暑さのせいもあるので、がっかりしないでください」とは事務局の声。

 私は一人でも全く問題ありません。ゼロはちょっと辛いですが。

 まずの課題はもう少し、資料を絞っておく事。しかし、コウストダウンのノウハウを余すところなく記載した資料なので必ず役に立つと思います。

 手伝いに来てもらった妻に言われたのが、もう少しに抑揚をつけること。元来が早口なのでこれらも勉強です。機会があれば是非チャレンジしたいと思います。

 日曜は朝一番の新幹線で東京へ。

 その足で「四丁目の家」の現場を見てきました。その後クライアントと打合せ。この件はまた「現場日記」へUPしたいと思います。
 
 今日は朝から、施工会社と打合せでした。その後、3時からある企業を訪問する為に広尾へ。

 メトロの駅を降りて歩いていると、初めてのつもりが、この外国人の多さとともに、来たことがあるような……

 「ホームワークス」という店舗を見つけ、やっと思いだしました。

 「広尾散歩通り」と呼ぶそうですが、その曲がり角にある、ハンバーガーとサンドウィッチの店です。

 訪れたのは1998年の春だったと思います。私にとって初めての商業施設「Spoon Cafe」の設計依頼をもらった頃でした。

 丁度マクドナルドのハンバーガーが80円の時代でした。クライアントである大学時代の後輩から「東京には大人の男性が昼食として満足できるハンバーガーを1000円で売っている店がある」と教えて貰い、一緒に見に来たのがこの店だったのです。

 近くに大使館が多く、外国人客が多いという特徴はありましたが、それでも1000円のハンバーガーは衝撃でした。

 その時食べた、アボガドバーガーは刺激的でした。「ハンバーガーってこんなに美味しいものか。これなら1000円は貰える」と思ったのです。

 分厚いハンバーグを中まで火を通し、こんがり焼きあげるには炭火しかない、ということも分かってきました。

 これらの良いところを勉強し、カフェの役割とは何かを考えながら、出来上がっていったのが「Spoon Cafe」なのです。 

 この時の新幹線代は、クライアントが支給してくれました。初めて仕事上の交通費を貰い、27歳に私にとって、只々楽しい勉強会だったのです。

 偶然通りかかり、そのお店が11年変わらぬ姿でありました。

 そのお店も、Spoon Cafeも支持され続けているのは、偶然ではないと思いたいのです。

イラストレーター

 ここではアプリケーションでなく、イラストを描く人の話です。

 ノンフィクション作家・沢木耕太郎が好きで、ほとんどの作品を読みました。その中にこんな話がありました。

 彼は懇意にしているイラストレーター、黒田征太郎とラジオの対談番組に出演しました。観覧者からの質問コーナーでの事です。

 ある若者が「あなた位のイラストなら、僕でも少し練習すればすぐ描ける」と発言します。

 応えて黒田征太郎は「じゃあ、今、ここで描いてみろ」と言います。威勢の良かった若者は「少し練習すればと言ったので……」と尻すぼみなっていきました。

 黒田征太郎と言えば、ミナミ、アメリカ村のビルの壁一面に「人」のようなイラストが有名です。FM802のロゴも彼の作品。確かに一見素人っぽく見えます。

 「もし」や「たら」では無く、今、ここで。「いつか」とか「出来そう」に意味はないのです。

 現在、オープンデスクの学生が1人来ています。コンペ等も重なり、大変助かっているのですが、本来は2人が交互にくるように予定を組んでいました。

 一方の女の子が、一日目の出勤のあと「都合で行けなくなりました」と短いメールが来たのです。それは構わないのですが、決めたことはやり遂げないと本人の為には良くないと思っています。しかし実際に面接をし、採用しても、半分近くが3日程で辞めるのが現実です。

 私が特に厳しいとは思っていません。ただ、嘘や適当な事は言わないようにしているだけなのです。

 これから夏休みに入り、学生の動きが活発になる時期です。参加を考えている人に求めるのは「真面目」と「本気」だけ。情熱ある若者なら喜んで受け入れます。

 最後に、7月2日(土)のセミナーの案内もしておきます。

 読売新聞「マイベストプロ大阪」が主催、「1000万円台で納得の注文住宅を実現させる交渉術」という題名で講演をします。

 今日は「イタウバハウス」を取り上げます。

 こちらの建築工事費は1865万円。この秋にテレビ番組でも取り上げられる予定です。

 クライアントはTRUCKの家具が好きで、今回も何点か買い足していました。

 建築工事には何を含むかによって、若干表示金額の差はありますが、ローコスト住宅には間違いありません。
 

 クライアントの了解を得て全ての金額の内訳を公開しています。その理由は、夢はかなうと知って欲しいから。

 どうやってその夢を実現したか、出来る限り伝えたいと思っています。

 アンケートも署名も不要ですので、良ければ遊びに来て下さい。

7月2日(土)はセミナー1

 webサイトでも告知していますが、今週土曜日、7月2日のセミナーで講師をします。

 昨年末に「マイベストプロ大阪」というサイトに登録しました。

 読売新聞が、地域に根差しこだわりの専門家を紹介するというサイトです。読者から「インターネットが便利なのは分かるが、選択肢が多すぎて何を基準に選んで良いのか分からない」という声が設立の動機だったとのこと。

 登録者は新聞社の基準で審査をされているのです。

 「初めてセミナーを開くので講師を募ります」という連絡があったのが、先月はじめ。どうせなら第一回目にと手を挙げたのです。

 朝刊と夕刊に1度ずつ告知が掲載されました。

 しかし先週の話では申込み者は6名。定員35名に対して寂しい人数です。

 題名は「1000万円台で納得の注文住宅を実現させる交渉術」。

 ちょっとキャッチーすぎて、怪しく感じるのかもしれせん。

 手前味噌ですが、ローコスト住宅の特集に取り上げて貰った実績もあります。

 「城陽の家」と「イタウバハウス」を実例に、どうやって1000万円台で実現したか、本気で伝えるつもりでいるのです。

 今日は「城陽の家」を取り上げます。

 こちらの建築工事費は1700万円。

 竣工は2004年と少し時間が経ちましたが、適正な金額を出す基本はいつも同じです。

 クライアントのセンスが存分に活かされています。

 建築工事には何を含むかによって、若干表示金額の差はありますが、ローコスト住宅には間違いありません。

 いずれの物件も、クライアントの了解を得て内訳を公開しています。

 アンケートも署名も不要ですので、良ければ是非遊びに来て下さい。

 話は変わりますが、昨日は朝からザリガニ釣りに行ってきました。

 6月6日の雪辱戦です。

 惨敗を受けて、さらに調査してみると、有望なポイントが見つかりました。

 噂は本当でした。

 ひっきりなしに、アタリがあります。

 長男は緊張しながら、ファーストコンタクト。

 無事バケツに入れていました。

 2匹目からは、アミをかぶせてから掴んでいました。

 「なんでそんなことしてるの?」と聞くと「こうやって掴むといいって、図鑑に書いていたから」と。

 2匹目から実践とはなかなか、と感心していました。

 6匹ほど釣ったので、帰り支度をしていると小学生3人組がやってきました。

 手慣れたもので、聞くと「昨日は100匹釣った」と言います。

 小さいのは逃がし、3匹だけもって帰りました。

 興奮気味の長男と、35年ぶりに飼ってみます。

 この場所は書くつもでしたが、止めておきます。

 ちょっと近所の小学生気に悪き気がして……

 気になる人はメール下さい。

寄り添うことはできる

 昨日は夏至。

 当たり前の事ですが、一年で一番太陽が長く出ている日です。

 小学生が夏休みに育てるのは、ヒマワリとアサガオです。

 我が家でも、随分大きくなってきました。

 ヒマワリは向日葵と書きます。いつも太陽の方を見るように、私達も常に希望を見て生きて行きたいものです。

 玄関で子供が育てるのはカブトムシの幼虫。ついにサナギになりました。

 植物も、虫も明るい日の下に出るため、暗い土の中で過ごしている期間があります。

 人にとって、明るく前向きであることは一番大切な事です。しかし、反対の出来事からも学べる人が、更に奥行のある人へなって行くのかもしれません。

 作家の伊集院静が、テレビでこんなことを言っていました。

 「小説が人の人生を変えられるとは思っていない。ただ寄り添うことは出来る。誰しもこんな悲しみがあるんだな、とか。そういう小説を書きたい。なかなか書けないけどね」

 伊集院静は最後の無頼派と言われ、無類のギャンブル好きだそうです。

 ギャンブル小説の最高峰は阿佐田哲也の「麻雀放浪記」でしょう。学生の頃、もう熱中して読みました。本名の色川武大名義では「怪しい来客簿」や、直木賞作品「離婚」などの純文学も書く多才な作家でもあります。

 彼を師事し、晩年まで同じ卓を囲んでいたのが伊集院静でした。
 
 広告代理店のCMディレクターから始まり、近藤真彦の「愚か者」「ギンギラギンにさりげなく」の作詞と、多彩なキャリアを誇ります。直木賞作家でもあり、以前から気になる作家でしたが、まだ作品を読んだことは無いのです。

 前妻の夏目雅子が亡くなった時の事も語っていました。

 「金があれば海外で移植を受けさせられたかもしれない、と考えた。しかしそれは叶わなかった。それからは、金なんかに左右されない人生を、ビクともしない人生を歩んでやると決めた」

 ドリームズ・カム・トゥルーの吉田美和も今回の震災をふまえ「音楽が誰かを助けられるとは思っていない」と発言していました。

 「私の時も、そうだった。ただ、思っているほど、人は弱くない。ただ、音楽はそこにある事は出来る」と言っていたのです。

 共に、自身のパートナーを失った経験を語っています。その世界で上り詰めたと言っていい2人が、行きついた答えは同じものでした。

 仕事において「幸せのために」を追及して来たつもりですが、「寄り添える」という言葉を聞いた時、何の違和感もなく体の中に入って来ました。

 寄り添うことはできる。

浜名湖

 週末は旅行に行っていました。

 友人が浜名湖のホテルを取ってくれたのです。

 仕事終わりに現地で落ち合ったので、土曜日は夕食のみ。

 翌日は朝からウォットという水族館へ出かけました。

 入館料300円で魚や貝を触ったりできるのです。

 浜名湖は汽水域なので(淡水と海水が混ざっている)、多くの海産物がとれます。

 新幹線から見る景色も、ダイナミックでとても気になるエリアでした。見どころも沢山ありそうです。

 とは言え、小学1年生どうしの長男達は、とにかく遊びたいのです。

 次に行ったのは舘山寺という温泉街にある遊園地パルパル

 一応上限を決め、2人で考えるように言いました。そもそも、2人いれば何だって遊び道具になるのですが。 

 6歳で身長1m10cmを超えると、子供達だけでも結構乗れるものです。

 そう考えると、随分大きくなったなとも思えます。

 親の楽しみと言えば、やはり食事。土曜日の夜はまずウナギ。

 蒲焼、鰻重とも、間違いのない味。

 子供も沢山食べたのがウナギの白焼。

 パリッと焼きあがっていて、わさびと生姜を少しつけて醤油たれで食べるともう……

 娘と取り合うこうくらいの美味しさでした。お店は「かねりん鰻点」

 雰囲気も応対もとても良い感じでした。

 http://www.kanerin.net/

 B級グルメなどは、最近よく聞く言葉ですが。

 浜松のご当地グルメは餃子のようです。確かに住宅街にも、ポツポツと店があるのです。お持ち帰りで買ってみました。

 お店は「喜慕里(きぼり)」

 1人前500円程。甘めのタレでかなり美味しかったです。

 日曜日の昼は、舘山寺温泉街にて。

 目当ての店が一杯で「うなぎ湖畔食房舘山寺園」へ。

 ウナギも勿論美味しかったのですが、しらす丼をお勧めします。

 釜揚げのしらすの上に生のしらすが載っていて1500円。最後は出汁茶漬けに。これはかなり満足できました。

 段々飽きてきた子供達は足元で遊び出しました。

 1000円上限割引の最終日というのもあり、この店を出て帰路につきました。

 結論でいうと「浜松は食べ物が抜群に美味しい」です。

 東海道の要所、新居の関所があり、海産物豊富な浜名湖があり、家康の御ひざ元。

 これくらい条件が揃えば、必然かもしれません。今回は浜松大橋や、新居の関所などにも行けなかったので、また行ってみたい街です。

ポテイト

 先週の土曜日、クライアントが来所した際にジャガイモを持ってきてくれました。

 自家製なのです。

 本業ではありまませんが、代々農業を営んでいる家系。

 クライアントである若夫婦も田植えと稲刈りの時期は手伝うのです。

 今年も、6月の初旬に無事田植えが終わりました。

 翌週の打合せの時に持ってきてくれたのがこのジャガイモ。前週まで、田んぼに植わっていたのかもしれません。

 細長いのが、メークイン、丸いのが男爵です。

 女性スタッフに聞くと、細長いメークインは煮崩れしにくく、ねっとりとして、カレーやシチュー向き、男爵はホクホクしているが煮崩れしやすく、コロッケやマッシュポテトに向いているそうです。

 ジャガイモの起源はアンデス山脈。16世紀にスペインがヨーロッパに持ち帰ります。コルテスやピサロの時代ですが、寒さに強く、肥料も少なくて済むので、ヨーロッパでの栽培は爆発的に広がりました。

 ジャガイモやトマトなどを南米から持ち帰ったのは大航海時代です。長い航海の間、どうしても新鮮な野菜が足りず、ビタミンCが不足します。その結果、壊血病という病気になり、多くの人が命を落としていました。

 その救世主がジャガイモでした。ジャガイモやサツマイモは加熱しても多くのビタミンCが残るという性質を持っていたのです。

 16世紀のヨーロッパの人口爆発に一役かっていたのもジャガイモ。日本には17世紀初頭に持ち込まれたようですが、江戸時代に起こった度々の飢饉の際にも、重宝されたようです。

 そう考えると、麦、米に加えて、ジャガイモこそが近代人の胃袋を、最も満たしてきた野菜だったと言えるかもしれません。

 こちらのクライアント「農業はあまり好きではないんですが……」と言っていました。

 しかし、奥さんが横から「歳がいったら、絶対するんじゃない?」とも。

 子供達が独立したら、庭先で小さな菜園。その光景は幸せな景色と言えますし、そんな街はとても住みやすいと思うのです。

アンリ・マティス

 昨日は『SUMAInoSEKKEI』の取材でした。

 「イタウバハウス」だったのですがずっと雨の予報。昼過ぎまでなんとかもって、無事撮影が終わりました。今日は「Shbby House」の撮影です。詳しくはまた現場日記で。

 先月末、カンディンスキーの展覧会へ行きました。

 それもあって、クライアントから新聞の切り抜きがfaxされてきました。「抽象画の創始者に迫る」という題で、その中に抽象画が生まれた瞬間というエピソードがありました。

 ある夕暮れ、カンディンスキーは自分のアトリエで、信じられないほど美しい絵画に惹きつけられます。誰が描いた絵画だろうと思い見ると、自身が描いた絵を横向きに立てていただけだった、という話です。

 カンディンスキーが画家を志したのはモネの「積みわら」を見てでした。強い感銘を受けたが、何を描いてあるのかは分からなかったともありました。

 この絵は、事務所に飾っているアンリ・マティス。

 1995年の夏、初めて設計の依頼を貰いました。「羽衣の家」のクライアントは大学時代の先輩のお父さん。

 その時社会に出て2年目だったので、勤め先の担当者として仕事をさせて貰うことになっていました。
 
 しかし所長と微妙な行き違いが生まれ、独立することになります。

 事情を話すと、先輩のお父さんは、にこやかに僕に任せると言ってくれたのです。大変温厚な精神科医でした。

 1996年の年末あたりに、食事に誘って貰いました。行き着けのミナミの串カツ屋さんでしたが、プレゼントも貰ったのです。それがマティス。

 マティスはカンディンスキーとほぼ同時代を生きています。1869年フランスに生まれ、当初の写実的な絵から、荒々しい筆遣いと大胆な色彩のフォビズム(野獣派)と言われる絵に変化していきます。更に、単純な線、単純な色を求め最後には切り絵に行きつきました。

 調べていると、この絵の題名が分かりました。『Christmas Eve』

 美しいと感じることを「美しい」と言う、自分が良いと思うものをプレゼントするのは勇気のいることです。
 
 この絵が届いたのはクリスマス前だったかもしれません。14年経ち記憶が定かではありませんが、そんなことを思いながらこの絵を見ています。

Let’s Go To The Dentist! (歯医者へ行こう!)

 昨日、初めて「つるみ歯科クリニック」で診察して貰いました。

 設計を始めたのが2003年の3月で、開院が2004年の9月。院長と知り合い、8年目にして初めて歯を見て貰いました。先々週あたりに親不知が腫れ、ちょっと気になっていたのです。

 30歳くらいまでは、時々歯科医院に通っていました。その頃「治療しても進行を止めるだけ。歯は良くならないんだ」と、やっと気付いたのです。

 前歯3本の神経はなく、差し歯も1本あります。

 その後10年、歯科医院のお世話になっていません。

 それには32歳の頃仕事をさせて貰った吉松歯科医院の院長に、歯の磨き方を教えて貰ったことも、大きかったと思います。

 以来、子供に、スタッフに「歯磨きは貯金!」としつこく言って来たのは、自戒の念からなのです。

 ところが、10年も行っていなかった結果、結構色がついていたり、歯垢がついているとの事。コーヒーなどで着色が起こると、初めて知ったのです。

 また、残念ながら1ヵ所だけ虫歯も見つかりました。院長と治療の流れを相談しました。

 「歯の掃除」→「虫歯の治療」→「ホワイトニングの型取り」→「親不知の抜歯」

 折角なので、ホワイトニングもやってみることにしました。

 まずは「歯の掃除」。これは、削るのではなく超音波の振動で歯垢などを落とし、磨いてくれます。

 私にとって、治療というのは「痛いのを我慢して削る」ものでした。

 このネガティブな部分を、少しでも和らげようようと、歯科医院の設計に取り組んで来ました。

 しかし「歯の掃除」はこの対極にあります。

 歯垢はとれ、ホワイトニングをしなくても、かなりの白さを取り戻せました。

 削る為だけにあると思っていた道具の中には、美しくする為、まさに審美の為の物も混在していたのです。

 来た時より、歯はツルルツになり白く美しくなるのですから、エステに行くのと全く同じなのです。

 エステに行ったことはありませんが。

 実際に治療を受け、改めてこのクリニックの試みには価値があったと思えます。

 自画自賛になりますが、とてもいい空間で、飽きません。

 院長の奥さんもドクターで、少し話をしていたのですが、欧米では歯のメンテナンスをするのは当たり前だそうです。

 歯も建築も全く同じです。

 設計をしていた当初、看板にこんなキャッチフレーズを入れませんか?と提案していました。
 
 『Let’s Go To The Dentist!』

 「歯医者へ行こう!」という意味ですが、今まさにそんな気分です。

 これを機に、私も定期健診に行くことにします。治療でなく行くのはとても楽しいのです。

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