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大阪市平野区、設計事務所。建築家 守谷昌紀

代官山、六本木

 先週末は東京へ出張でした。

 朝の6時台の新幹線なら片道1万2千円です。この金額に辿り着くのに随分苦労しました

 打ち合わせは昼から。一通りの準備を終えると渋谷、代官山、六本木あたりを回りました。

 まずは渋谷の南東にある青山製図専門学校。設計は渡辺誠、90年代の快作です。

 カラート77は葉祥栄。完成は’97年。

 法規制に忠実に従い、恣意的なデザインを極力排除した結果が、この形というのですから不思議です。

 ヒルサイドウエストは槇文彦の設計。現在、自身の事務所もこの中にあります。

 モダニズム建築の正統派で、数々の賞を獲得している重鎮です。その品格はさすがで、清楚な佇まいでした。

 ※モダニズム―19世紀までの、様式にとらわれた建築を批判した運動。

 ヒルサイドウエストとカラート77はこんな位置関係にあります。

 現地に行くまで、こんなに近いと想像できませんでした。

 このあたりが、東京の密度と質と言えるのかもしれません。

 そのまま旧山手通りを東に行くと同じく槇文彦設計のヒルサイドテラス。’67年から’02年までの6期に分けて計画されています。

 一人が25年をかけ、広範囲にわたって街をデザインするのは稀な事です。

 そのまま六本木ヒルズへ。話題だった森タワー。

 左には再び槇文彦設計のテレビ朝日が僅かに写り、東京タワーが見えます。

 最近のヒット映画「ALWAYS 三丁目の夕日」では象徴的に使われ、200万部を売ったリリー・フランキーの小説「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ 」では題名に。

 槇文彦はこう言っています。みちは都市の切断面。その切断面と建築の表皮に街の風景の大部分がしみだされてくる。

 法律とは言え、この色には問題があると思います。しかしその表皮が最も大きい建築かもしれません。

 しみだし続けてすでに50年。日本の山が富士山なら、都市の風景を象徴するのは東京タワーかもしれません。

野外なら

 最近長男は、自転車に乗るのをを楽しみにしています。

 日曜日は近所の長居公園へ。

 コマ付きですが短い足をフル回転させ、ビュンビュン飛ばします。

 車輪の発明によって得られたスピード感を楽しんでいるのです。

 夕方からは実家の屋上で焼肉。半分はサービス、半分は自分の趣味です。

 火の発見が、人の進化を大きく助けました。生肉で食べるよりずっとリスクを減らせるし、何より美味しい。

 子供にはウインナー。野外で食べれば何だって美味しいものです。

 日が暮れて来たので、最後はスイカ。

 休みは屋外に居ることを信条として来ました。

 中々叶わない今、実家の屋上で炭をおこします。自然の中には敵わなくても、せめて心地よい夕風を感じながら。

 一年で、最も気持ちの良い季節になりました。故、開口健は言いました。「おおいなる野外へ」なのです。

小指の爪

 この日曜日は母の日でした。母だけではありませんが、思い出す事があります。

 小学校の頃、両親が爪を切っていました。横で見ていると2人とも、足の小指の爪がほとんど無いのです。どうしたのか聞きました。

 共に「毎日働いていると、ちびて無くなる」と言うのです。それを聞いて「大人になると有るものが磨り減って無くなってしまうのか……」と空恐ろしい気分になりました。

 実家はガラス屋でした。小さい頃は特に忙しかったので、住居下の仕事場からは、毎日遅くまで父の怒声が聞こえてきました。楽しい思い出ばかりではありませんが、足の爪が磨り減るまで働き、こうして生かされていることに感謝します。

 そう思えるようになったのは、ごく最近ですが。

 しかし母の日に、感謝の言葉を伝えた訳ではありません。妻に「カーネンションの一本でも買っといてえヤ」と。全く恥ずかしい限りです。

 いつか面と向って言える時が来るのでしょうか。そんな事も出来ない自分が恥ずかしく思いますが、真っ当な感情だとも思うのです。完全に言い訳ですが。

 その頃の母の年齢はとおに超えました。一生懸命働いてきたつもりですが、幸い足の爪は全部あります。

初宮参りに思う

境内の中の家」という作品が完成したのがこの2月。

 昨日、その神社へ長女の初宮参りに行って来ました。クライアントとして色々な話をしましたが、神職者としても尊敬できる方だったからです。

 長女が生れて3ヵ月。初宮参りが遅くなったのは入院があったからです。

 一般的に出産後は5日ほどで退院です。生れて一週間経った頃、24時間の看護体制があるところに移った方が良いという事になりました。

 ある数値が不安定だったのです。即日救急車で移送されることになりました。

 急なことだったので、妻も動転しています。私も一緒にバタバタしてしまってはと、自分にまあ落ち着けと言い聞かせました。

 それから1ヶ月過ぎた頃に2つ目の病院を一旦退院。一週間後の検査でまた安定せず再び転院。そこは市内でも有数の規模を誇る総合病院でした。

 結局原因は分からずじまいでしたが、数値が徐々に安定しだした4月の中頃、3つ目の病院を退院したのです。

 これだけ医療が進んでも、分からないことは沢山あるそうです。それを聞いて何かホッとする部分もあります。しかし進んだ医療のおかげで、原因が分からないことが分かったのです。

 3歳未満の子供の医療費は、概ね月額の上限があります。保護や保険はバイタリティーを奪うという気持ちは変わりませんが、その手厚い補助は、必要に迫られタクシーに乗ったりと、出費がかさむ私達にとって、有り難いものでした。

 娘が入院している間に、気付いた事がありました。

 3つ目の病院には、重篤な子供も多く入院していました。両親は寝泊り出来ない規則なので、夜の8時に帰らなければなりません。

 2、3歳の子供は、母親が帰る時には勿論泣きます。そんな光景を見るのは辛いですが、それが日常である彼らにとって、いちいち悲観している暇など無いのです。どんな状況であれ、泣き笑いしながら逞しく生きているのです。

 「かわいそう」はあくまで、人事と感じての視点です。それはそれでも良いのですが、私も入院する娘を持つ身となり、初めてそれが分かったのです。

 それから「~でなくて良かった」とは考えなくなりました。また考えないようにしました。誰かと何かを比べることで、自分を納得させている姿は、恥ずかしいと感じたのです。

 在る、だけで幸せ。不幸と感じても幸せ。在れなければ、そう感じることさえ出来ないのですから。

 「何故生きるのか」という問いにはいくつもの答えがあります。しかし今はどんな状態であれ、人は生きる為に生きるのだと思っているのです。

集中集中

 連休が明けて2日目です。最近ゴールデンウィークは、正月、お盆をしのいで年最長の休暇となるケースも出てきました。

 私達は白浜へ。

 5日の月曜日は雨、晴れた6日火曜日は白浜アドベンチャーワールドへ。

 子供と半日遊びました。日差しは強く、風は冷たい、絶好の行楽日和。

 上野動物園のリンリンが亡くなって、日本にいるパンダは全部で8匹。うち6匹までがここ白浜に。

 中国への保障は1匹1億円と言われます。そんなことは当然双子の兄弟には関係なく、同じ格好で昼寝。

 イルカのショウーはスモークの中からの登場です、ちょっと演出が変わっていました。

 何度も書いていますが、大人でも十分楽しめるものです。

 日除けの無い象のオリは暑かったのか、ホースから直接水を飲んでいます。

 象は本当に鼻を器用に使います。

 連休モードから通常モードにスパッと切り替えます。

 「集中に準備や手順は一切不要。一瞬で切り替えるよう訓練する」と脳科学者・茂木健一郎氏は言っていました。

 理由は、携帯、インターネットなど情報量過多で考える行為がどんどん分断される傾向にあるから。間違いなくそう思います。

 良いと思うことはすぐに取り入れるべし。
 

こどもの日 白浜で

 今日は子供の為の休日。なので、平仮名が正しいようです。

 連休も終盤ですが、今年初の旅行に来ました。白浜は生憎の曇り空。

 ゆっくりするつもりでが、なかなかそれが難しく……

 昨年だったか、気がついたらホテルの洗面台を拭き掃除していました。縁の裏まで入念に。

 明日は晴れの予報。アドベンチャーワールドへ行く予定です。最近は最終日がすいてる事が多く楽しみです。

 こんな日にも訪れてくれた皆さん、有難うございます。残すところ2日になりましたが、良い休日を!

モノレール

 今日から5月でゴールデンウィーク真っ只中。しかし金曜まで仕事の人が大半でしょうか。後半も引き続き良い天気との予報ですが、今晩は崩れそうです。

 一昨日は昭和の日で祝日。予定があったのですが、キャンセルになり急遽万博公園へ。先週に続いてなので今回はモノレールについて。

 料金については書きました。

 谷町線の終点、大日から万博記念公園までが6駅で¥360。安いという人はいないでしょう。

 高いのには理由があるはです。モノレールなどは一般的に新交通システムと呼ばれるようです。鉄道など交通網が整備された後に作られるので、よほどの理由が無いと多くの乗客、すなわち売
り上げが見込めません。

 土地買収、地下のトンネル工事などは費用が掛かりすぎる為、高架を作るだけで良いモノレールが選択されるようです。要するに建設費を抑えているにも係わらず、この料金が必要という事です。

 高速道路の上を乗り越える場所では、目算で高さ25m。

 レールが車体に隠れて見えないので、下手なジェットコースターより怖いくらいです。

 実はこの大阪モノレール、ギネス認定で世界最長。

 土地は無いが、お金はある日本の都心部以外、こんな立派な「レール」は作らないかもしれません。

 その分眺めのほうはなかなかです。

  それでも、目を惹くのは太陽の塔。面白い質問を聞きました。子供に顔の表情について聞くものです。

 「笑ってる」「怒ってる」等など、子供によってまちまちだそうです。長男にも聞きました。答えは「逞しい顔」。なるほど、やっぱり芸術。

初釣り

 日曜日、長男と初めて船釣りに行きました。父が連れて行ってくれたのです。

 父、私、長男は海。妻、長女は港近くのアウトレットモールと、話が一致しました。

 釣りと言っても波が高かったので、港を僅かに出ただけの場所です。

 それでも魚群探知機で魚影を探します。

 ただのプレジャーボートに、こんな装備が普通にあるのは、おそらく日本だけでしょう。

 凄いと言えば凄いし、贅沢と言えば贅沢極まりないことです。

 普段なら、ああだこうだと反発する歳ですが、父の指導を素直に聞いていました。

 時間が短かったこともあり、ボーズ(全く釣れないこと)でした。

 しかしウインドサーフィンを近くで見るだけでも興奮していました。

 釣りは随分入ったようで、非常に嬉しいのです。ゆくゆくは、私も付き合って貰うつもりですから。

 父に教えて貰った事で、一番感謝するのは屋外の遊びを教えてくれたことです。

 釣り、素潜り、船、スキー、テントを張って寝る等など。

 自分がして貰った事は、全て伝えたいと思います。但しスキーは別です。多くの友人が出来ましたが、とてもお金が掛かるので、そんな年齢になったらまた考えたいと思うのです。出来ればそんな枠は外して考えたいのですが、これは現実的な話……。

これはサービス

 いつでもそうですが、全く個人的な感想です。

 大阪―東京の新幹線「のぞみ」のチケットを買う時、金券ショップでなくとも安くなる方法があります。あちこちで宣伝していますが、<エクスプレス予約>というJRの会員制ネット予約サービスがあるのです。
 
 「のぞみ」新大阪―東京の正規料金は¥14,050。<エクスプレス早特>というサービスを使えば¥12,000までになります。が、このシステムが極めてややこしい。

 まず、JR西日本のJ-WESTカードを申し込みます。それが届くとネットから<エクスプレス予約>をして¥13,200でチケットを買いました。しかし<EX-IC>というサービスが始っているようで、更に安く¥13,000なるよう。また追加で申し込みました。

 ICチップの入った<EX-IC>というカードが届きます。最大の売りはチケットレスと金額。早速そちらに変更しました。その後、短所が分かりました。在来線の大阪市内や東京23区内も別の乗車券が別途必要だったのです。

 また<エクスプレス早特>は、早朝6時台の「のぞみ」なら¥12,000になるサービスです。これも<EX-IC>は不可。それでまたまた変更してやっとこの金額に辿り着きました。

 ここまでサポートセンターに電話すること3回、ほぼ半日を要しています。電話口の女性が「往復されるなら、行きの東京駅に着いた際、帰りのチケットを発券しておかないと、お帰りの際に東京23区内でも別途在来線の乗車券が必要になってきます」と。

 また「お客様が前回間違われたのは、ログインした際は<EX-IC>の画面になる設定になっております。それを<エクスプレス予約>の画面に変更するという、赤い文字をクリックして頂かないと……」

 ここまで理解するのにも、随分掛かったのですが、更に更に

 「エクスプレス予約には、グリーンプログラムというサービスがあり、ポイントがたまると無料でグリーン車へランクアップ出来ます。更に、J-WESTカードにも別途ポイントがついて、たまると商品と引き換え出来たり、何千ポイントかごとにSMART ICOCA(イコカ)へお金としてチャージすることも出来ます」と。
 
 「じゃあ、SMART ICOCA(イコカ)にも申し込まないといけないんですね」

 「ハイ。お金としてチャージするのがご希望であれば」

 「ああ、ええ、じゃあ申し込みます……」

 最後に聞きました。

 「会員になって、最も安くなること以外を望む人っているんですか?」

 「はい。金額よりもチケットレスを望む方もいらっしゃいます」

 「なるほど……」

 このサービスは本当に利用者が理解出来ると考えて作られたのでしょうか。行きは¥2,050、帰りは¥850安くなったのに、何故か得をした気分にならなかったのです。

 値引きサービスを受けるのには、カードを作ったり、会員証を作ったり。財布はそれらで満タンです。

 沢山のカードを持ち歩くのは嫌なので、実際に一年使わなかったものはメリットがあっても解約していっています。

 嫌なら申し込まなければ良いのですが、値引きがあるなら、受けないと損をした気分になります。果たしてこれはサービスなのでしょうか。どうも脅迫されている気さえするのです。

万博公園

 1970年生まれの私達は万博生まれ。高度経済成長期の最後とその特需景気を懐かしむように言われるのです。

 なんとなく誇らしく思うところも有ります。万博、太陽の塔、岡本太郎、お祭り広場、丹下健三。当時を知らなくとも、イメージ出来る事もあります。

 実は初めて訪れました。車なら吹田あたりは渋滞地点で、やや敬遠していました。電車なら地下鉄とモノレールで案外近いものです。しかしモノレールは数駅で360円。入園料250円と比べると高い感は否めません。

 中央にある太陽の塔は園内何処からでも見えます。自分たちが居るところを迷うことはありあません。

 今回は東口から入園しました。東の広場も広大で、兎に角敷地が広いのです。

 家族連れは気になる、子供の遊具も充実しています。 

 イベントのようですが、その横にフワフワ広場なる特設アトラクションが設置されていました。

 キャッキャという嬌声が聞こえる中、そこで遊びたくない子供はおりません。400円追加。

 帰りは太陽の塔のある中央口から出ました。ここから入ると、正面から向かい合うことになります。

 38年経った今でも、多くの人がカメラをむけ記念写真を撮っていました。

 難しい顔で撮影している人はいません。芸術は人を幸せにする為にある。

 いろんな解釈があると思いますが、これこそ芸術なのです。