昨日から7月に入りました。
梅雨明けが待ち遠しいところですが、夏祭りが始まる季節。近所のだんじりが、試験引きに回ってきました。
6月30日「アマゾン ジャパン、リフォーム定額販売に参入」というニュースがありました。以下、記事の抜粋です。
アマゾン ジャパンは2015年6月30日、EC(電子商取引)サイトのAmazon.co.jpでリフォーム商品・サービスの取り扱いを始めたと発表した。「キッチンやトイレ、ユニットバスなどを、工事費込みで1クリックで購入できるようになる」(同社のジャスパー・チャン社長)。
アマゾン ジャパンがAmazon.co.jp内に「リフォームストア」を立ち上げ、積水ハウスグループ、大和ハウスリフォーム、ダスキンが約5000品目の商品やサービスを定額料金で出品する。
今回、Amazon.co.jpに商品を提供する事業者も「ネット販売は、リフォーム市場の拡大につながる」(積水ハウス 社長兼COOの阿部俊則氏)と、新たな販路に期待を示す。
「Amazon.co.jpのカスタマーレビューで五つ星をいただけるよう、工事を担う人材の育成に全力を尽くしたい」(阿部氏)。
現在、見積り調整中のリノベーション。この細い路地を入ったところに現場はあります。
最も狭いところは1.4m。資材の搬入も手仕事になりそうです。
築100年は越えようかという建物で、雰囲気は十分。
しかし中はもっと凄いのです。
雨漏りが。
1階まで水道が貫通しています。
前の持ち主が引っ越す際、向かいに住むクライアントに「買ってくれないか」と打診しました。
かなり強引な屋根の架け替えがしてあります。
少しでも光を入れたかったのか、物干しとして使っていたのか。
気持ちは分りますが、この形状ならどうしても漏ってしまうでしょう。
急な階段を上がると、2階は更に厳しい現状が待っています。
雨漏り、シロアリに柱は喰われ、かなり屋根が下がっています。
大きな地震がくれば、屋根が落ちないとは言えません。
この現場は、見積りがスタートして、すでに2ヶ月。その前の、調査・設計期間が半年です。
設計においての考え方、各施工会社の工事の仕方など、一つとして、同じものはありません。それが、リノベーションです。
リノベーションは既存建物の価値を上げるという意味があります。よって、直すというニュアンスのリフォームではなく、こちらを好んで使っているのです。
職人の高齢化、東京オリンピックによる人材不足は深刻です。建築施工会社は淘汰が進み、適正な金額で仕事が出来る施工会社は、どこも忙しくしています。
実際に工事をするのは施工会社が率いる職人チーム。ハウスメーカーという施工会社は極論すれば無いと言えます。
ハウスメーカーの仕事を請け負うと、分厚い施工要領所が送られてくるそうです。
どこの寸法をチェックし、どの角度から写真をとり、どの位置にビスをうち……と、誰でも施工出来るようになっているのです。
マニュアル化全盛の時代ですが、建築現場にもその波が押寄せてきました。
EC(電子商取引)が時代の中心となっていうのは紛れもない事実です。しかし、物創りの現場に居る人は、今も昔も変わりません。
「工事を担う人材の育成に全力を尽くしたい」というコメントには、仕事があれば、職人は育つと思っているのではないかと感じます。
技術を磨く為には、相当な時間が掛ります。それは、合理的でない場合が殆ど。必要なのは仕事ではなく、仕事に掛ける時間、仕事をしてくれる人に対する敬意ではないかと思うのです。
巨大企業に私が吼えた所で、なんの影響もないでしょう。
しかし、リフォーム、リノベーションは経験、感覚がものを言いいます。覚悟されて、参入下さい。
仕事を取れる会社が、発言力を持つのは、いつの時代も同じ。私も、最も求められる建築家を目指してきました。
しかし、コストのしわ寄せ、無理な納期など、泣きの見るのは現場の職人という構図を避けなければ、建築現場の未来はありません。