タグ別アーカイブ: 歯科医師会館

「住吉区歯科医師会館」‐11‐およそ2年、サイトも完成

 9月下旬に撮影をした「住吉区歯科医師会館」のページが完成しました。

 先週末から、当社のサイトで公開しています。

 建物の正面は人で言えば顔にあたります。

 少しでも良い顔で撮ってあげたいと思うのが創り手の心情です。

 この日も天気は素晴らしく、うっすらと掛かる雲も僅かに夕日を受けて淡い色を映しこんでいます。

 写真家と「普段の行いが……」などと軽口をたたくのです。

 webサイトの構成は「分かりやすく」がまず一番ですが、建物の内部を歩いているような気持になって貰えたらとも考えています。

 加えて、より美しく、ドラマティックな写真があれば尚嬉しいのです。

 写真のアングルも色々ない考え方がありますが、基本「真正面」と思っています。

 しかし、それではどうしても伝わり難い空間もあります。

 この大会議室などもその例でしょうか。

 少し斜めから撮ったアングルのほうが、全体は伝わりやすいかなと思います。

 しかし、トップライトとmariane maiko matsuoの作品は、正面からとらえ直してもらいました。

 トップライトの上は、このような光庭です。

 言葉通り、採光専用に庭ですが、一番奥や側面にはルーバーも配し、風の流れもつくってあります。

 これらを囲むように、会長室、事務室、小会議室が並んでいます。

 会長室は、執務机から光庭を望むことができます。

 日々、忙しい診察の合間を縫って館に訪れる会長が、少しでも「気分がいい」と感じてくれたなら良いのですが。

 女子トイレ。

 男子トイレ。

 そして共用トイレ。

 このトイレは事務の方が使われるはずで、少し広めに設計しました。

 広い館を、いつもケアして下さる訳ですから。

 ご本人から、写真掲載のOKも貰いました。

 息をのむほどの繊細な筆使いで描かれたこの絵が、この会議室に品格を与えてくれます。

 銀箔が自然光を反射し、四季折々の表情を見せてくれるのでしょう。

 夕景に関しては、トラブルもあり再撮影をしました。

 事務の方に無理を言ってお願いしたのですが、その甲斐はあったと思っています。

 2018年の2月初旬にスタートしたので、2年近くの月日が経ちました。

 時間と命は等価です。作品が生まれることは、まさに私の生きた証しなのです。

 webサイトが完成したなら、ようやく一区切りを迎えます。

 会員の方々と、地域の方々が、この建物を愛してくれると嬉しいのですが。

文責:守谷 昌紀

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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【News】

『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「住吉区歯科医師会館」‐10‐光こそが神、仏

 先週の昼時「住吉区歯科医師会館」に寄ってきました。
 
撮影の確認の為ですが、秋の高い空にそのフォルムが引きたちます。

 6月中旬に竣工写真の撮影をしたのですが、夕景が残っていました。

 撮影の段階になり、地面に埋め込んである照明が点灯しないことが分かったのです。

 監督にはすぐ来て貰いましたが、どうすることもできず、申し訳ないことに写真家にはその場で帰って貰ったのです。

 その後梅雨に入り、この日までずれこんでしまいました。

 暑かった夏を越えたジューンベリーは、一回り大きくなったでしょうか。

 下草のアイビーは枯れている部分もあり、猛暑の影響がこんなところにもでています。

 昨日の夕方、写真家はすでに到着していました。

 このカットが5:25pm。

 事務局の方には何度も撮影日の変更をお願いしたりで、申し訳ない限りです。

 会議の準備をしてある机を、少しの間移動させて貰い撮影の準備に入りました。

 昨日の日没は6:00pm。

 夕景は、日没から20分くらいの間が勝負です。

 6:18pm。

 光が浮き出し、良い感じになってきました。

 このあたりがメインカットでしょうか。

 6:23pmには、ここまで光は落ちます。

 最後に私も正面を1カット抑え、無事終了しました。

 撮影には私が立ち会った方が良い写真が撮れます。

 理由を説明するのは難しいのですが、一番良い写真を撮りたいと思っているのが私だからです。

 当社の人手不足もあり、全てのスケジュール調整から、現場の掃除までを私がするしかなく……

 そんなこともあり、6月の時はかなり頭にきていたのです。

 何でもそうですが諦めたら終わりです。

 敵わなければ何度も、何度もトライするのみ。ただ、それをクライアントが受け入れてくれるかは別問題ですが。

 特別な能力を持っている訳ではない私が、何とかここまでやってこれた一番の理由は「しつこさ」だと思っています。

 光によって建物がここまで表情を変えることは、いまだに新鮮な驚きです。

 そんな場面に立ち会える可能性があるからこそ、しつこく、しつこく仕事に取り組めるのです。

 昨日は、天の神さまが素晴らしい光の演出をしてくれました。

 教会のステンドグラスから落ちてくる光を神々しいと感じるように、人は光自体に神を感じるのかもしれません。

 仏教においては、山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)の通り、全てに仏性が宿るので光もまた仏です。

 いずれにしても、大きなご褒美を貰った気分なのです。

文責:守谷 昌紀

■■■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載

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『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「住吉区歯科医師会館」‐9‐トラブルはネタにする

 6月は、撮影においては最も気を使う季節です。

 ギリギリまで悩んで決めた6月13日(木)は、快晴となってくれました。

 これからは気象庁の予報を最重要視すると決めました。

 道中、長居公園の外周は多くのランナーがアップをしているようでした。

 何かの大会が催されているようです。

 長居公園が快晴なら、住吉区歯科医師会館も勿論晴れ。

 写真家の平井美行さんにお願いしていました。

 竣工時より、ジューンベリーの葉が青々としています。

 まさに撮影日和です。

 この建物のプランの中心は、2階の北東にある光庭です。

 この部分の工事は難易度が高く、ようやく最終形を載せることができました。

 奥と右の壁下部にあるのが、視線は遮り、風は通すルーバーです。

 そして中央には3つのトップライトが並びます。

 光庭の周りに、会長室、事務室、小会議室が並びますが、会長室の執務机横から、光が差し込んでくるようプランしました。

 仕事の合い間をぬって公務をこなす姿をいつも見ていたので、少しでも良い空間を提供したいと考えたものです。

 1階の大会議室には机と椅子が入っています。

 トップライトの真下に入るとこのような景色。

 先月末、すでに一度公演があったのですが、プロジェクターを使う際、ブラインドを閉じても少し明るいとのこと。

 明るいことは喜んで貰っているのですが、この点は課題です。

 絵の正面に入るとこんな景色です。

 marianeさんの絵も、前回より活き活きと見えるのは、私の気分からでしょうか。

 エントランス右に、館のロゴも取りつきました。

 この竣工写真の撮影まで終えて、私の仕事はワンクールなのです。

 しかし若干のトラブルが発生し、夕景の撮影だけが持ち越しになりました。

 間違いなく防げた問題で、かなり腑に落ちていなかったのですが、平井さんには梅雨が明けた頃を狙って、再度来て貰うことになりました。

 撮影においては天の気分に影響されます。

 その意味で、昼景の撮影は120点だったので、良しとなければなりません。

 トラブルをネタにする。

 これはいつも心掛けてきたつもりです。

 しかしこの日は、正直久し振りにカリカリきていたのです。まだまだ修行の日々は続きます。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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「住吉区歯科医師会館」‐8‐そして開館

 昨年の2月にスタートしたこの計画も、ようやく引渡しを迎えました。

 エントランス上のロゴも入りましたが、今週末にはお披露目の公演会が開催されます。

 「虫歯の鳥などいないのでは」という多少コミカルなコンセプトでプレゼンテーションをしました。

 14社のコンペと聞いていましたが、他社のことを気にしていても仕方がありません。

 歯科医師会から選ばれた「会館建設委員会」のみなさんはすんなりと受け入れてくれました。

 そういう意味では、正面にあるくちばし状の庇は、この館を誕生させてくれた原動力でもあるのです。

 建築は機能を持っています。

 機能あるものを少しでも美しくすることだけが、私の使命です。

 階段は特に集中してデザイン、監理をしました。

 委員会のある方が、この景色を見て「教会みたいだね」と言ってくれました。

 創り手としてはとても嬉しいコメントなのです。

 作家のmarianeさんと苦労して取りつけた作品は、大会議室の右奥にあります。

 この場所に導かれてきたかのように、ピタリと納まっています。

 光はその場所を神聖なものにしてくれる力を持っているのです。

 作品には銀箔が貼られているところがあります。

 その部分が、光の変化を刻々と映します。

 そういう意味でも自然光が照らすこの場所を、大変気にいってくれました。

 ホールから2階に上がるとオフィスフロアになっています。

 ガラスの手摺は、2階からの光を遮りません。

 最も階段寄りにあるのが会長室兼応接室。

 そして光庭を囲むように、事務所、小会議室が並びます。

 4月10日(火)午後8時からのプレゼンテーション時に提出したパースです。

 そのパースと寸分違わずとは言いませんが、軸はぶれていないと思います。

 むしろ、実物の方が美しいかもしれませんと言えば、厚かましいでしょうか。

 100名近い歯科医師が在籍する歯科医師会ですので、全員の方々が喜んで下さるかは分かりません。

 同じクライアントと2度仕事をすることは極めて稀なこの仕事において、一期一会の精神で取り組んできたつもりではあります。

 創り続けることだけが私の仕事です。

 イノベーション等の言葉とは程遠い、この原始的な仕事がやはり好きなんだと改めて思うのです。


文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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「住吉区歯科医師会館」‐7‐開館間近

 ゴールデンウィーク前は、くちばしの上唇が出来上がったところでした。

 その後も現場は動いており、ようやく下唇も揃いました。

 たかが庇、されど庇です。

 建築においてのデザインとは、ただの装飾であってはならないと思っています。

 必要なものを、「美」へと高める行為だと解釈しているのです。

 外構工事は残っているものの、その全体像を現してくれました。

 エントランスの扉が入り、その抜け感がよりはっきり分かります。

 「模型通りに仕上がったな」はよくありますが、「模型よりいいな」と思うことは稀です。

 手前味噌かもしれませんが、この建物は後者だと感じていました。

 エントランスホールを入ると階段があります。

 その右手に、青をテーマとした男子WC。

 反対側には、赤をテーマとした女子WC。

 当たり前の配色と言えばそうですが、床と奥の壁を統一することで、無垢感がでればと考えました。

 2階にある共用WCは間をとって黄緑です。

 大会議室から階段を見返すと、大きなガラスの開口を中央に切ってあります。

 大会議室なので、不透明のフィルムを貼る予定でした。

 ですが、あまりにもマッチしているので、医師会の皆さんに、ブラインドを取り付けるという方法を提案してみようと思っています。

 一番奥のトップライトはまだ覆いがついているので、手前2ヵ所から光が落ちています。

 かなり迷った床の色合いも、これで良かったと確信がもてたのです。

 工事も終盤、美装に2人の職人が入ってくれていました。

 ピカピカの状態で、引渡したいとの思いは、私達も現場も同じなのです。

 昨年の2月にスタートしたこの計画も、残すところ1週間となりました。

 来週、2階のガラス手摺がとりつけられ、大会議室の絵画が飾られると、全てが完成です。

 名残惜しくも、楽しみでならないのです。

文責:守谷 昌紀

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『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
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「住吉区歯科医師会館」‐6‐くちばし現る

 明日からはゴールデンウィークが始まります。

 令和を迎えることもあり世は10連休。告知としては当社もそうしていますが、流石にそこまでは……

 それでも4連休×2の8日間は、過去最長タイでしょうか。

 5月中旬の引き渡しに向けて、「住吉区歯科医師会館」のくちばしがついに現れました。

 玄関回りの塗装はまだですが、足場がほぼなくなり、この建物のフォルムがよく分かります。

 現場と相談して決めたディティールに間違いはないはずです。

 1階の大会議室も仕上げ工事がほぼ終わりました。

 作家の画が飾られるくぼみも仕上がっています。後は作品の設置を待つだけなのです。

 絵画のかかる壁は東面ですが、低い位置に3つ開口があります。

 向かいにある西面の壁では最上部に開口を切りました。

 入口側を振り返るとその高低差が分かりやすいでしょうか。

 昼時に行ったので、職人の皆さんは食事中。失礼して声を掛けると「風がよく流れて気持ちいいね」と。

 高低差のある窓は、積極的に採用してきた手法です。

 2階の廊下においても同じ。

 西面は高い位置にあり、事務室の室内窓を介して光庭へ風が抜けて行きます。

 光庭の先にある東面の外壁も、低い位置に開口を切ってあるのです。

 西面の建物が3階建てなので、その間にある路地で冷やされた風が期待できるので、夏はかなり気持ちよいはずです。

 AI時代ですが、それらの力を借りずとも、空間はよくなると思っています。

 そこまでAIを敵視しなくてもよいのですが、電気もいらず、人工知能がなくとも、自然や環境と真摯に向かい合えば、建築は更に良くなるはずなのです。

 エネルギーが要らないということは、お金も要りません。

 財布にも優しいのですから、少しくらいは言わせて貰ってもよいのかなと。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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「住吉区歯科医師会館」‐5‐咲きほこる

 世は「平成最後」とかまびすしいですが、新元号が4月1日に発表されると知りました。

 つい先日、娘に教えて貰ったのです。

 そんな世間の喧噪とは関係なく、季節は粛々と進んで行きます。

 現場の近くの長居公園で、早咲きの桜かなと思って近づくと「アーモンド」と表記がありました。

 あのアーモンドなのでしょうか。

 工事も残すところ1ヶ月となり、職人の往来も激しくなってきました。

 来月、クライアントである歯科医師会の皆さんをお迎えする「現場内覧会」を予定しています。

 来客用ヘルメットもすでに準備済。

 壁下地の工事も進んでいますが、全て鉄製のライト・ゲージ・スタッドで構成されています。

 一般にはLGSと呼ばれるもの。

 防火性能に優れていますが、木ではないので加工が簡単ではありません。

 大工ではなく専門の職人の手で施工されるものです。

 トップライト周りの繊細な部分も、LSGで下地をしているのがみてとれます。

 1階の大会議室も随分形になってきました。

 2階の会長室は床下地を施工中。

 トップライトは転落の危険がないように養生中でした。

 「虫歯の鳥などいないのでは」というコンセプトから展開していたったのが、正面の庇です。

 「くちばし」と呼んでいますが、この繊細な部分を鉄骨で構成するのは、なかなかに難しい仕事です。

 最上部のくちばしをどう納めるか、検討している図。

 その直下にあるサッシが、丁度搬入されてきました。

 できる限り外壁と一体化させるため、最後の最後まで検討して貰った部分です。

 建物にとっての顔は、できる限り美しいものにしたいのです。

 バラ科とあったアーモンドの花は、桜に良く似ています。

 冬をやりすごし、今まさに咲き誇る瞬間です。

 日本における近代建築の祖、建築家・前川國男は弟子にこう言ったそうです。

 「自然は美しいね。なぜだと思う。自らに責任を持っているからだよ」

 またこうも言いました。

 「人間は、はかない存在である。頼れる確固たる存在が必要だ。それに建築は応える必要がある」

 建築で一番大切なものは永遠性だと言ったのです。

 この歯科医師会館も、私より長く存在してくれるはずです。永く咲きほこる建築であって欲しいと思うのです。

文責:守谷 昌紀

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「住吉区歯科医師会館」‐3‐太陽は誰のもとにも降り注ぐ

 2019年の現場日記は「住吉区歯科医師会館」からスタートです。

 昨日の14日は、成人の日を祝うかのような青空でした。

 人気のない現場に入れるのは、設計者の特権かもしれません。

 静かな現場を、ゆっくり回るのは楽しい時間です。

 年末の建方工事を終え、床版となるデッキプレートの設置が終わっていました。

 この館のプランを創り上げていった過程は、第1回目に触れました。

 キーとなった空間は大会議室ですが、それらを法的にも可能としたのが、右奥にある3つのトップライトです。

 階段は広めに設定していますが、2階はどちらかと言えばオフィス的な空間です。

 それらの空間に対しても、光庭に対して窓を設けることで、採光を確保しています。

 その床面にトップライトを設けているので、2倍の価値があると言えるのです。

 デッキプレートの上にはワイヤーメッシュという鉄筋を敷設します。

 これらはコンクリートの中に埋もれるのですが、デッキプレートと接してしまうとその性能を発揮できません。

 よって、少し浮かした位置にセパレーターという部材で固定するのです。

 屋上のワイヤーメッシュも敷設が終わっていました。

 この2度美味しい光庭ですが、建物の中に外部があるとも言えるので、形状としてはかなり複雑です。

 元は3階建てだったのですが、法規の改正で3階建てが不可能であることが分かりました。

 「光と風」は私にとって変わらぬテーマですが、建築は人が使うものである以上、全ての設計者にとって永遠のテーマとも言えます。

 側面からの開口で光と風が十分取り込めれば理想ですが、それが難しいとなったとき、何かしらの案を練らなければなりません。

 そういう意味においては、光庭とトップライトは苦肉の策とも言えます。

 どれだけ暗いと言っても、天空が塞がれることはありません。

 太陽は誰のもとにも、平等に降り注ぐのです。

 これは階段を固定している部分です。

 大工でなければ出来ないような細工を、防火性能を満たすために鉄のプレートを溶接し固定します。

 こんな詳細部の集合体が建築です。

 よって、近代建築の三大巨匠、ミース・ファン・デル・ローエは「神は細部に宿る」と言ったのです。

 神様が応援してくれるよう、細部にこそ手を抜かず、今年も1年物創りに励みたいと思います。

文責:守谷 昌紀

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【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

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『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
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「住吉区歯科医師会館」‐2‐見た目が良いは、中身も良い

 一昨日、「住吉区歯科医師会館」の建方工事が完了しました。

 青空に赤の鉄骨がよく映えています。

 天気のよい朝のうちに慌てて撮りに行ったのですが。

 建物の顔になる部分をファサードと言います。

 表面の化粧だけでは何ともならないので、やはり中身が大切。

 その点は人も建築も同じです。

 出来上がる前に骨格から化粧までを考えることが建築設計の仕事とも言えるのです。

 11月上旬に掘り方工事がスタート。

 11月末には基礎の一番底、ベースコンクリートを打設しました。

 最終的にはコンクリートしか見えない基礎も、中にある鉄筋が重要です。

 コンクリートは圧縮力には強いのですが、引っ張りに弱く、それを補うのが鉄筋の役割。

 19世紀のヨーロッパで発明された、いわばハイブリッドな構造体です。

 柱を据える基礎柱部は、大きな力が加わるので太い鉄筋が密集します。

 慎重にコンクリートを打設しなければならない箇所なのです。

 12月上旬に基礎の立ち上がり部分のコンクリートを打設。

 一昨日の建方工事に備えていました。

 無事、基礎柱部に柱が固定されました。

 建築設計の世界には「開口と階段を狙え」という言葉があります。

 建築は観るものではなく使うものです。

 よって機能を持っていますが、それらを芸術品のレベルまで昇華させたい。

 それはいつも変わらぬ願望です。

 躯体は月並みだけど、見た目は素晴らしいという建築はありません。

 予算が有り余っていて、張りぼてだけど素晴らしい建築などそうないからです。バブル期なら別かもしれませんが。
 
 建築において、良いものを創りたければ、構造体にこだわるしかありません。

 今年は本当色々なことがあった年でした。

 1月のコンペからスタートしたこの計画も、何とか棟上げまでたどり着くことができました。

 来年は亥年。

 今年の分も取り戻すつもりで、直進して行きたいと思います。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映
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「住吉区歯科医師会館」‐1‐プロローグ

 歯科医院を開業すると、地域の歯科医師会に入るのが一般的だ。

 住吉区歯科医師会のwebサイトには以下のような説明がある。

 歯科医同士で情報を共有し、歯科治療に関する知識を深めるための講習を開催しています。時には、地区の医療・福祉団体や他地区の歯科医師会と合同セミナーを開催するなど、積極的に技術向上に取り組んでいます

 小学校で歯科検診を受けたことがある人も多いと思うが、これらも歯科医師会が窓口となっての社会貢献活動のひとつである。

 旧会館は築38年となっており、耐震基準を満たしていないことが建て替えの動機となった。

 パブリックな建物ゆえ、コンペで設計者を選ぶことになったそうだ。

 新築住宅ガイドというサイトからコンペ開催の連絡があり、当社も参加させて貰うことにした。

 まずは書類選考で10社に絞られ、当社が2次選考に提出した案は以下のようなものだ。

 歯科医師会館なので黒はない。やはり、白く清潔な建物がよい。

 白い箱状の建物中央に、大きな開口を開け、くちばし状の庇を設けた。

 「虫歯の鳥などいないのでは」というメッセージだ。

 旧会館は暗く、寒いとお聞きしていた。

 隣地も迫り窓を開けることもままならない。

 光と風に満ち、地域の歯科医師の皆さんが足を運ぶ際に、楽しみにして貰えるような会館を模索した。

 プランを決定する上で、最も影響を与えたのは大会議室だ。

 多くの方々が訪れることもあり、非常時の避難経路を考えると1階が適切だと考えた。

 建築基準法上の「採光」を確保するのが難しいのだが、2階の一部を光庭とし、トップライトを採用する案を提案した。

 これらが、1階の北奥の最も暗い部分に、安定した光を与える。

 ドラマティックな風景を演出してくれるはずだ。

 2階においては、その光庭を囲むように各室を配置。

 季節の良い時期には、隣地を気にせず掃き出し窓を全開にできる。また、夏の暑い時期には裏路地の冷たい風が通り抜ける。

 歯科医師会館だけに健康な建物を目指したのだ。

 白いくちばしをくぐってエントランスホールへ。

 オープンな階段からは光が落ちてくる。

 再び、住吉区歯科医師会のwebサイトから引いてみる。

 「地域の皆さまの歯の健康を守ることができるのは私たちだけ」という誇りをもって、より歯科医療現場の最前線で活躍できるよう努力していきます。

 その気概にお応えできるような、建築を目指したい。

 また地域の皆さんとの交流の場となればこれほど嬉しいことはない。

 住吉区は、これまでに一番多くの仕事をさせて貰った地域でもある。

 仕事人としての気概をもって、歯科医師会の皆さん、地域の皆さんの幸せに何とか貢献したいと思うのだ。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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