「回遊できる家〈リノベーション〉」‐2‐リフォームローンとは

 実際「リフォームローン」とはどのようなものか。

 一般的に言えば、500万円から1000万円までが相場。

 一方、新築の住宅ローンは土地と一体で組むこともあり、4000万円位までは問題なく下りることが多いのです。

11

 先日解体を終えたこちらの計画。

13

 今回は、外壁、屋根はほぼ活かしますが、内部はスケルトンです。

15

 南向きの掃き出し窓を入った景色。

17

 奥から見返すとその大きさが良く分かります。

 この家は、140㎡弱(42坪)あります。新築で建てた場合を、仮に坪80万円で試算してみます。

 80万円/坪 × 42坪 = 3360万円。

19

 新築に比べて追加されるのが解体・撤去工事。

 それが約100万円程掛かっていますが、それをひとまず除いたとして、工事費用が1000万円の場合は以下のような計算になります。

 1000万円 ÷ 42坪 = 23.8万円/坪

 壁紙の貼り換えや、設備機器のやり替えだけなら全く問題ありませんが、この規模の建物のフルリノベーションでは、正直難しいのです。

 建物の規模、リノベーション後の価値などを合わせて、融資の金額を決定して欲しいというのが希望ですし、それが時代のニーズなのです。

 クライアントは、いくつもの銀行に相談をしました。しかし「1000万円までなら」という回答ばかり。

 しかし一行、新築と同じような流れで審査してくれた銀行を見つけました。スムーズにとは言わないまでも決済がおり、ようやく着工となったのです。

 クライアントは「同じような希望を持っている人の励みになれば」と、言って貰いました。

 その過程も、詳らかにして行きます。

文責:守谷 昌紀

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「回遊できる家〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ

 国は、空き家をなくす為「リフォーム、リノベーションを推進する」とアナウンスしている。

 当たり前だが、新築にしろ、リノベーションにしろ、建築にはお金が掛かる。

 ここのところを抜きにして、いくら推進しても前には進めない。

91

 この計画は、リノベーションして向かいの家に引っ越すという、ちょっと変わったものだ。

92 (2) - コピー

 現在の家が左、引っ越す先が右。

93

 家族が増えるに従って、現在の住まいが、少し手狭になってきたのがリノベーションの動機である。

94

 向かいの家は、築38年。ご主人の生家でもある。

 一回り大きな家だが、昔ながらの日本家屋。軒が深く、内部まではなかなか日が届かない。

 この部分を解決しようというのが、まずは本計画のテーマだった。

95 - コピー

 そんな問題を解決するのが私達の仕事。

 提案をクライアントに喜んで貰ったのだが、銀行はリノベーションに対しての融資が渋いのだ。

96

 リノベーションとは建物の価値を高めるの意。

 既存建物を活かし、空間の価値を高めるのと、壁紙貼り換えのリフォームでは、勿論工事の規模も変わってくる。

 この辺りの現実を、政治、金融とも把握し、言行一致して貰いたい。

 新築と全く同じと行かないまでも、扱いの差が大きすぎるのだ。

 しかし、何でもトライしてみるものだ。非常に理解のある銀行が何とか見つかり、無事工事スタートにこぎつけた。

 計画の依頼を貰ったのは2013年の4月。融資だけが理由ではないが、工事がスタートするまで、約3年の時間が掛かった。

 「明るく」がサブテーマなら「長く子供と仲良く」がメインテーマ。

 クライアントのこの前向きなテーマがなければ、ここまでたどり着けなかったかもしれない。

 計画の推進力は、クライアントの真剣な思いだとつくづく思うのだ。

文責:守谷 昌紀

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】

■セミナー:4月24日(日)14:00~16:00
(会場:住まいの情報センター3階ホール、定員100名)
■見学会日時:<予定>5月15日(日)14:00~16:00

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記